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2004/01/28

BSE:安全性の科学的な根拠ってなんだ?

アメリカでBSE牛が見つかったことを受けて、現在牛肉等の輸入を禁止しているが、輸入再開の条件をめぐって日米で揉めているとのこと。ポイントは日本と同じ全頭検査をアメリカでもやって「科学的」に安全を保障してね、という日本側の要求をアメリカ側は「非科学的」として拒否しているということらしい。

このBSE問題は、科学的云々以外にもいろんな観点から議論できるし、考えてみたい題材なので、このBlogでは、僕の考え方がある程度まとまった段階で、ひとつずつ情報や考え方を整理していくことにしたい。

BSE問題は、各新聞社のホームページでそれぞれ特集している。例えば、NIKKEI NETYOMIURI ON-LINEなど。(内容的には日経新聞の特集がよくまとまっているのでお勧め。)こういうDB的な使い方が、紙の新聞とインターネット新聞の一番大きな相違なのだろうな、本当に便利だね。

ところが、日本で(国際的には極めて異例な)全頭検査を実施することになった「科学的」根拠なんかはどこにも書いていないようだ。一方で、アメリカが、全頭検査が「非科学的」である、と主張する根拠、もしくはアメリカが実施しようとしている検査体制で十分である、という「科学的」根拠についてもどこにも出てこない。というか、日米共に「科学的だ」「いや非科学的だ」と言うだけの、実のない水掛け論に終始しているだけみたい。

科学的な考え方としては、安井先生のページ(2001/11と日本のBSE問題当初の情報でありやや古い)や中西先生のページ(こちらはつい最近の情報)が参考になる。要するに、全頭検査というのは、もともと科学的根拠などないままに、(絶対の)安心を求める、その時の日本の雰囲気で決めちゃったみたいだ。でも逆にアメリカの体制がどの程度安全なのか? 或いはどの程度危険なのか? これらについても全く示されていないのが現状だ。

安井先生の記事や農林水産省のBSE関係Q&Aの中で日本人がBSE起因で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にかかる確率をみつもっているが(詳細は農水省解説資料も参考)、どうもこれら予測のシナリオはアメリカからBSEの牛が入り込んでくることまでは想定していないようだ。

NIKKEI NET (1/26)によると、

 【ワシントン=吉田透】米農務省は26日、日本が米国産牛肉の輸入再開条件としているBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)全頭検査について改めて拒否した。日本への輸出用だけに検査を限定しても年9億ドル(約960億円)の経費が必要との試算を公表。全頭検査は「科学的に不要なうえ、コストが膨大だ」と批判した。米政府は2月10日前後にゼーリック米通商代表を訪日させ、輸入再開を迫る構えだ。
 ベネマン農務長官の特別顧問であるデビッド・ヘグウッド氏が同日の記者会見で語った。9億ドルという検査コストについて「日本の(米国産牛肉の)市場規模が10億ドル規模であることを考慮すると、大きすぎる」と指摘した。
とあるが、検査コストをそのまま転嫁した場合、アメリカ産牛肉の価格が約2倍になるということか。これで日本の消費者が、自分たちの安全のためのコストと割り切って、従来通りの消費を継続するなら誰も文句は言わない、ということかな。まあ、ありえないな。

最近、日本の理数科教育の危機が言われていて、この前も「理数系科目は社会に出てから役に立たないので勉強しない」なんて意見が記事にあったけど、こういう日常のリスクを正しく判断するためには、理数科の基礎的知識が必要なんだよね。ところが、「どうせ細かな数字を出しても一般国民は理解してくれないし、下手すると誤解してしまう恐れもある」と考えているのかどうか、閣僚が牛肉食べて「ほら安心です」って言い切っちゃう国だからなあ(最近はアメリカも似たようなものらしいが)。これで科学技術立国なんて言わないで欲しいねぇ。まあ確かに鶏と卵の関係かもしれないけど。

ともかくも、まずは具体的なリスクを定量的に明らかにして、比較するところから始めないと駄目だと思う。日本の全頭検査が本当に必要なのか?アメリカの現状はどうなのか?そして、それを基に科学的に考えるということがどういうことなのか?をこういう機会を最大限に利用して示していくべきじゃないのか。(単なる情報公開ではなくてね。)

さて、では科学的な判断で牛の検査体制を決めることができるか?というと、それは無理でしょ。科学にできることは、せいぜいが、現時点でわかっている情報を元に、各種対策をとった時の将来を予測することだろう。その予測結果を用いて最終的な政策を決めるのは、社会が許容できるコストとリスクを基にした利害調整作業ということになるのではないか? 

それにしても、一人の犠牲者も出してはいけない、っていう感覚は本当に国民的コンセンサスなんだろうか?(確かにヒロイズムのようで心地いいだろうけどきれいごとだな。) 現状でも普通に牛肉を食べて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にかかる確率って(タバコの害で亡くなったり、交通事故で亡くなったり、と比べると)相当に低そうだけど。それに比べるとアメリカ人は大らかなのか、あまり気にしていないみたいだね。こんな記事もありました。

CNN.co.jp(1/25)から、「牛の脳」バーガー、今もメニューに 米インディアナ州 という記事。

米インディアナ州エバンズビル(AP) 米国で初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が発見されたことで、牛肉を食卓から遠ざける家庭がみられる一方、インディアナ州南部では、伝統の珍味である牛の脳の料理が今もレストランのメニューに名を連ねている。BSEの原因となる異常プリオンは、牛の脳や背骨などに蓄積しやすく、これを食べると感染の恐れがあるとされる。
創業160年を超えるドイツ料理店、ヒルトップインでは、牛の脳に卵と小麦粉をまぶして揚げ、パンにはさんだバーガーが、昔ながらの人気メニュー。脳は加熱すると膨らむため、パンからはみ出すほどのボリュームだ。ドイツやオランダからこの地へ移り住んだ開拓者らは、家庭の味として親しんでいたという。牛の脳はこのほか、カリフォルニア州やテキサス州の一部でも郷土料理となっている。
ヒルトップインの店内でバーガーを持ち帰り用に包んでもらっていた銀行員のセセリア・コーンさん(40)は、「BSEよりコレステロールの方が心配。先に動脈硬化でやられるかもね」と涼しい顔。マスタードとオニオンピクルスを添えて食べれば、「カタツムリやスシをしのぐ珍味」だという。
友人に誘われて来店したというスコット・ムーアさんも、できたてのバーガーを前に「宝くじに当たったこともないのだから、BSEなんかにかからないはず」と言い切った。
だが、米農務省は最近、30カ月齢以上の牛の脳の売買禁止を決めた。子牛も含め、脳の部分はすべて販売を中止した業者もある。地元の市場ではこれまで牛の脳が100グラム当たり50円以下で売られていたが、今後は入手が難しくなりそうだ。同店のオーナー、トム・デウィグさんは、代わりの食材として、味がよく似た豚の脳を検討中だという。
少しは見習っても良いかも。

*2/26追記:その後の関連記事をベースに2/26のブログを書いた。未だ非科学状態変わらず。

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コメント

最近、吉野屋を始めとする牛丼メニューの休止の話題とともに、盛んに「BSE検査の科学的根拠」について新聞TVで報じられるので、関心を寄せているのですが、具体的な「科学的根拠」報道をほとんど見かけません。マスコミって馬鹿なんでしょうかね?それとも仰るように国民には知らせない方がいいと思っているんでしょうかね?当ページの主の主張には概ね同感です。そこで日米の主張が「水掛け論」になっていそうなので、米国の主張を勝手に推理してみることにしました。
米国の主張(推定):統計学における確率論に基づいて、有意な改善効果があるのかどうかが重要である。「食用牛(もちろん食用に供する乳牛も含む)のBSE感染(脳や髄で異常タンパク質が増殖している状態)が起きる確率」、「全頭検査でBSE感染を見落とす確率」、「抜き取り検査でBSE感染牛が検査されず市場に出回る確率」、「BSE感染牛の食肉に異常タンパク質が付着・含有される確率」、「異常タンパク質を含む食肉を食べた人がCJを発病する確率」を総合して計算しても、全頭検査と抜き取り検査の間には(人の発病率における)有意差がない。全頭検査によって抜き取り検査よりは発病確率が○○億分の一改善される可能性があるが、その可能性の信頼度は○○%程度と低い。ごくわずかの有意差のない改善のために○○億ドルも使うのは非科学的である。「全頭」という言葉が「安心感」をという(厄払いをすれば安心できるという程度の)非科学的な、心理的な改善をもたらしているに過ぎない。

さて私は米国の肩を持っているわけでもありません。国内のあまりにも「非科学的」な報道や世論に疑問を感じているだけです。よく計算したら「やはり日本が正しい」ということになるかも知れません。どなたか統計と病理の分かる方、計算していただけませんか?それともマスコミに計算するよう要求すべきでしょうか?

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/02/12 11:07

丁寧なコメントありがとうございます。本当に、どうして「科学的」根拠についての具体的な議論が巻き起こらないのか?マスコミもそうだけど、日本の政府側も何だか変な対応ですよね。実は一番よく知っている筈なのに。

アメリカ側の主張の推定、おもしろく読ませてもらいましたが、3500万頭もの牛のうち数万頭(何らかの疑い症状の出た牛だけとはいっても)だけの検査では統計的には不十分と思われますね。いずれにしても、日米欧それぞれの検査体制と検査結果を踏まえた定量的な議論を期待したいものです。どういう結論になるにしても、将来に禍根を残さないためには、それが一番と思えます。

ご指摘の通り、日本では「安全」ではなく「安心」を保証しないと納得してもらえないような風潮ですから、どんな反応が出るのか怖いところだとは思いますが。

最近みつけた参考になるサイトとして、BSEの専門家であるhttp://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r7/index.html" target="_blank">国立精神・神経センター神経研究所のページを紹介します。

投稿: tf2 | 2004/02/12 12:07

昨日の投稿後、面白い記事を見つけました。
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/200202/15-01.html" target="_blank">http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/200202/15-01.html
国産牛肉偽装事件の際、農水省が行った抜き取り検査に関する記事です。農水省は米国品質管理協会が定める国際標準(ANSI)に基づいていると主張しています。21レベルの基準の内17番目の基準を採用して、「甘すぎるのでは?」と非難されている記事です。これによるとロットの規模90箱に対して抽出サンプル数2箱でよいとしています。表がロット~1万までしか出ていないのですが、その場合のサンプル数は32です。BSE検査の場合、3500万頭をロットと考えるなら単純比例計算ではランダム抽出で11万頭あまり抽出すればいいことになります。疑い例というスクリーニングがかかっていれば、もっと少ない頭数ですむかもしれません。つまり農水省は自分がやった「科学的」な検査と同程度のことをやっている米国を「全頭検査しないのは不十分だ」と非難しているのかもしれません。
以上の推定数字はやはり統計学的におかしいかもしれませんので、やはり専門家の意見が聞きたいですね。私が昔習った「品質管理入門」では10%以上も抜き取るなんて聞いたことがありませんので、数万頭の検査では不十分とは言い切れないと思います。
いずれにしても日本政府は科学的根拠がどんなものかの認識はあるようですね。
それにしても米国の科学者が「全頭検査は必要だ」とか言い出して、正に乱戦気味ですね。

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/02/13 15:43

おもしろい情報をみつけていただきありがとうございます。なるほど、農水省も都合の良い理屈をつまみ食いしているって訳ですね。新聞記者さんも、こういうことを思い出して、議論を巻き起こせばいいのに、知ってて知らんふりなのかな?

しかし、今回のケースを普通の工業製品の品質検査と同列に扱いにくいのも事実ですよね。(普通の品質検査なら不良品率をある有限の数字に設定するけど、今回の目標は限りなくゼロに近いレベルらしい。)本当は、科学的とはこうだ!って主張したい科学者は山ほどいると信じたいけど、まともなデータがないので、誰も計算できないのが実情かと思います。やはり政府が腰を上げるべきでは。

確かに、アメリカ側から全頭検査が必要だという声が出てくるとは予想外の展開ですね。まあ、これでアメリカがそうするならば、当面はそれでも構わないけど、こんな前例が残っちゃうと、将来また新たな問題が起こった時に大変だと思いますけどね。

自民党の農水省出身の参議院議員さんのページですが、全頭検査は不要だって書いてますね。
http://www.e-hinode.com/syutyo/s20040103.htm">http://www.e-hinode.com/syutyo/s20040103.htm

投稿: tf2 | 2004/02/13 16:43

一連の記事を見ていて、何となく米国の主張の根拠が見えてきたような気がします。それは「BSEの牛を見つける」ことが目的ではなくて「人間への感染を防ぐ」ことが目的だということによるのではないでしょうか。
再度米国の主張の推定:一時期、かなりの数のBSEが発生し、髄などの危険部位をハンバーグの増量剤に使用するなど、大半の国民が異常プリオンを口にしたであろう英国においてすら、人間の感染・発病は100人前後である。これは英国総人口の数百万分の1で宝くじの1等より確率が低い。一方、米国では非常に限られたルート(カナダからの輸入子牛?)を除き危険部位の飼料への使用は禁止されてきたし、危険部位を食品に使用することは全面的に禁じられており、また「へたり牛」は全頭検査しているので当時の英国に比べれば、格段に発病率は下がっている。この発病率を改善するためには、その確率と同程度あるいはそれよりも低い誤り率の検査をしなければならない。ところが、現在の検査法は100%見落とさないかというと、そうではない。原理的にでもおそらく99.99%を上回らないであろう。さらには人為的なミスはさらに誤り率を高くしてしまう。すなわち「確度の低い検査はやっても(発病率低減には)意味がなく、科学的根拠を持ち得ない」「誤り率数百万分の1以下の検査法は存在しない」と主張しているのではなかろうか。では彼らは何のために年間数万頭の検査をしているのか?それは発病率を下げるためではなく、BSE感染ルートや感染原因の特定、分析が目的なのであろう。酪農、畜産農場の数や輸入・出荷ロットに比べればそこそこの数と言えよう。
こうやって書いている内にも、カンザス州の食肉加工業者が日本向け牛肉については全頭検査を実施(申請)するという記事が出ています。ほぼこの問題は見えてきたような気がします。「全頭検査は論理的意味がなく、心理的意味が大きい」、「日本の牛肉を全頭検査しておいて、輸入牛肉だけは全頭検査しなくてよいとは(マスコミの手前)口が裂けても言えない、ということでしょうか。一部に言われる、「短期的には全頭検査もしくは相当の対策の実施、長期的には全頭検査の廃止」が妥当でしょうね。長期が月のオーダーなのか年のオーダーなのかは、国民(の理解)とマスコミ次第でしょう。廃止しても「少々高い検査済み牛肉」の市場が残るんでしょうか。「本当に有機野菜なのかどうかよく分からない」「汚い空気をいっぱい吸っている一方、野菜だけ有機にして意味あるのか」という論理的現実にも関わらず、少々高い有機野菜が売れているということは「安心感にも価格が付く」時代なんでしょうね。

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/03/01 10:50

お久しぶりです。またまた丁寧なコメントありがとうございます。今回の米国の主張の推定ですが、主旨はその通りかもしれません。(彼らもそこまで考えてないかもしれないが。)

ただ、「米国では非常に限られたルート(カナダからの輸入子牛?)を除き危険部位の飼料への使用は禁止されてきたし、危険部位を食品に使用することは全面的に禁じられており」の部分、勉強不足で確認できていません。もしよろしければ、根拠をお示し願えますか?http://www8.cao.go.jp/shokuhin/senmon/prion/p-dai5/prion5-sankousiryou3.pdf">食品安全委員会資料によれば、従来は危険部位の除去は行っていないように記載されてます。(最終的な結論には影響ないと思いますが。)

ところで、先日焼肉を食べに行ったら、そのお店では、黒毛和牛を使っているそうで、牛さんの戸籍謄本のような鼻紋入りの書類や処分記録のような書類まで、メニューにはさんでました。まあ、値段が高いことの裏付けにしているのかもしれませんが、消費者側はそこまで要求してないようにも思うのですけどねえ。(消費者を裏切るつもりなら何とでもできるし、逆にそこまでしなくても信頼は得られるのでは?)

投稿: tf2 | 2004/03/01 20:02

「危険部位の除去を今後実施する」という発言記事をどこかで見て、「実施している」と思い込んだかもしれません。「危険部位は除去するようにするから、全頭検査はしなくてもいいではないか」という風に、推定米国主張を変更しておきましょう。
危険部位の除去は方法にも依存するもので、一時期日本で行われていた処理方法では骨髄が飛び散って食肉に混入される恐れがあったそうです。BSEの日本発生当時、「チューブを差し込んで吸引する確実な方法を提案する人」の特集番組を見たことがあります。米国の機械による自動処理には骨髄が混ざる恐れが残る、という記事も見たことがあります。
どこかで政治決着が図られて、「いい加減な処理方法」があとでばれるというようなことにならなければいいのですが・・。
ところで私は日本でのBSE発覚の直前に、新橋のモツ屋で「髄刺し」を食べました。あんまり心配していない理由は、私が発病する頃は老人ボケと区別ができないだろうからです。一緒に食べた40歳代前半の人が心配するので「脳の発育が止まったあとだから大丈夫」と気休めを言っています。tf2さんが焼肉屋の黒毛和牛で私がモツ屋の髄刺し(多分乳牛か外国産)というのはちょっと癪に障る??だんだん話が不真面目になってきてすみません。

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/03/04 13:13

アメリカの検査体制がずさんである可能性も出てきているので、何だか怪しげな状況ですが、一方ではメキシコはアメリカからの牛肉の輸入禁止措置を解除するとか。

まあ、適切な方法をずさんに運用するのと、不適切な方法を厳密に運用するのと、どっちもどっちだろうと思いますけど。願わくばアメリカの今後のBSE対策が、適切な方法を厳密に運用するものであって欲しいのですが。

今回の問題で、安全と安心の違いについての議論が広まったのは一つの成果だと思うけど、一方で科学的な議論はおこらずじまいで、何となく精神論と経済至上主義で「多分大丈夫だろ!」みたいになっちゃう恐れもありますね。

イギリスでのvCJDの発病者は、圧倒的に20代、30代の若い人のようですから、いずれにしても心配いらないのでは?

投稿: tf2 | 2004/03/05 01:21

ところで、BSEだけでなく「水銀と魚」とか「鶏とインフルエンザ」など農水省がらみは怪しいことが多いのですが、「農水省の怪しい発表」というボードを作るのはいかがでしょう(冗談半分)。
水銀のとき農水省は明らかに「マグロをかばって、金目鯛を陥れた」のです。マグロと金目鯛では水銀含有率がほとんど同じにも関わらず・・です。「1食あたりの摂食量」というトリックを使いました。金目は家庭では普通煮魚で食べることが多いので、1食で100グラム程度食べるが、マグロはツナ缶をサラダに入れて食べたりするので、平均摂食量が金目の数分の1だという訳です。マグロの寿司や刺身を毎週食べる人はいるけど、金目の煮付けは週に1回も食べないという実態を無視したのです。1ヶ月の平均摂取量とかでなく、1回の平均摂取量を使って、金目を表に出し、マグロを隠した?のは、「業界」の圧力を感じさせるものです。どっちにしても普通の食べ方なら問題ないのに、やはり「風評被害」を起こしましたね。むしろスケープゴートにされた感じです。
最近の鶏インフルエンザも怪しい匂いがします。山口県のときに、あまりに早々「渡り鳥説を否定」したことです。近畿のカラスでびっくりして、野鳥を捕まえて調べましたが、今日のニュースでは環境省事務次官が「捕まえてみたが感染は見られず、渡り鳥など野鳥の可能性は低い」と談話発表しています。全種類の渡り鳥を捕まえて調べたとはとうてい言えないような段階で、どうしてこのような発表をするのか不可解です。「大陸や半島からの渡り鳥が犯人では対策の講じようがない(高コスト)」という、業界擁護のように思えてなりません。出入り業者または飼料などを疑っていますが、BSEと異なりそんなに長生きするとは思えないウイルスが原因ですから、まずは「感染した生き物」を徹底して疑うのが常道だと思うんですけどね。
まあ、これは私の独り言でも結構です。

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/03/15 18:16

横須賀ハイランダーさん、毎度ありがとうございます。

キンメダイの件は、正にご指摘の通りだと思います。産総研の中西さんが、全く同じ指摘をされてますね。http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak221_225.html#zakkan223">http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak221_225.html#zakkan223

鳥インフルエンザについては、そもそも人に対するリスクと鳥への感染リスクを分けて考えるべきなのに、ごちゃごちゃになっていて議論になってないですよね。日本で死亡する野鳥の検査を片っ端からやっていたら、一体どれだけの手間暇とお金が必要なことになるのやら。今、打とうとしている対策が、何を目的としたものか(人対策か、鳥対策か、それとも鶏対策か)をもっと明確にすべきでしょう。

今年は何故かSARSがほとんど話題にならなかったけど、これは根本対策が功を奏したためなのでしょうか? 鳥インフルエンザも今は大騒ぎしても、いずれ沈静化するでしょうし、でも根本的な部分で、国民の意識まで含めて、何かが変わるのでしょうか? 極めて疑問です。

確かに最近、農水省関連で(非科学的な)問題が目立つのですけど、いかんせん、私がこの方面では素人なので、余り自信を持って突っ込めないところもあったりします。問題意識を持ち続けて、ウォッチしていきますので、何か面白いネタがあれば、お知らせください。

投稿: tf2 | 2004/03/16 19:43

確かに動植物の話はなかなか定量的に扱いにくいですね。そしてこの種の問題は「馬鹿なマスコミが過剰反応報道」し、「ポリティカルな立法・行政が怪しい対応」をし、個々の事件が発覚するたびに肥大化していく特性を持っています。従って、「事件」が数ヶ月起きなければ、根本対策なんか十分でなくても忘れ去られます。BSEの場合、飼料という「入口」対策と危険部位除去、なにがしかの検査という「出口」対策によっておそらく収束していくのでしょう。SARSはどうでしたっけ?既に忘れられつつありますが、ほ乳類間の感染が主であれば接触という「入口」を閉ざして、早期隔離対応という「出口」対応が進んだので収束しているのかもしれません。
一方、鶏インフルエンザは人間に対する危険性はさほど高くないのですが、大陸での感染が縮小している以外に収束のシナリオがまだ見えていません。大陸からの渡り鳥が媒介するならば、全国どこで起きてもおかしくありません。農林水産省が発生地から半径30km以内を警戒地域にして移動を自粛させたのは「昆虫媒介説」によるものだったはずです。渡り鳥や野鳥だとその説が崩れかねない怖さを知っているから、「渡り鳥媒介説」に行けないのでしょう。
カラスの事件がきっかけで人間と飼料を押さえておけばいいと言うわけにはいかなくなって、野鳥を何百羽か捕まえたり、死んだ野鳥を検査したりしているのは、「偶然感染ルートが見つかりはしないか」という期待でやっているはずなのに、「見つからなかったのだから可能性は低い」などと「非科学的」なことをいう輩が現れます。野鳥非感染の証明をするのにBSEと同じ論理を持ち込むなら、「全野鳥検査」をしなければなりません。米国のやろうとしている「全へたり牛検査」と同じやり方をするにしても「全死亡野鳥検査」を実施せねばならず非現実的です。つまり「出口」対策には「全出荷鶏検査」なども困難でしょうから、せいぜい「病死鶏」の出荷停止がせいぜいでしょう。そうすると「入口」対策としては「鶏と野鳥の接触防止(網)」くらいしか残りません。
私の仮説は「そんなに長生きするとは思えないウイルスが原因なら、感染した生き物(鳥)でなければ強い媒介力を持たない」というものです。多分科学的な解明ができないか、どこかで1羽でも感染渡り鳥が見つかって、上記「入口」対策をやる羽目になる可能性は大きそうに思います。

投稿: 横須賀ハイランダー | 2004/03/18 15:14

BSEの方は、アメリカの民間業者が自主的に、日本向けの全頭検査をする方向が出てきちゃいました。

日本としては、本当は、アメリカ側からWTOに持ち込まれて、最終的には、外圧という形で国際的な検査方法の牛肉の流通を認める、というのが落としどころだったのでは?と邪推していたのですが、アメリカの業者が予想以上に困っていたということですかね。まだわかりませんけど。。

鳥インフルエンザは、韓国のものとDNAがほぼ一致した、ということで、渡り鳥や野鳥が媒介した可能性が高くなったみたいですね。いくつかの機関のホームページを見てきましたが、対策としては、横須賀ハイランダーさんのおっしゃる、野鳥と家禽の接触防止が最大の防御というご意見に、そのまま賛成です。

http://www.wbsj.org/index2.html">日本野鳥の会も参考になります。

高病原性鳥インフルエンザについては、昨年オランダで猛威を振るったのに今年はかなり沈静化しています。SARSもそうですが、マクロに見ると、突然発生して大流行して、(適切な拡大防止措置をとれば)、自然に沈静化する傾向があるように思えます。所詮宿主あってのことなので、あまりに凶暴なウイルスは、局所的・短期間の命なのかな、と。

環境省は発生源と感染ルートの解明に必死のようですが、どこまで迫れるのでしょうね。SARSの時は移動するのが人間だったから、いろいろ追跡できたけど、鳥さんは勝手に出入国しちゃうし、いかにDNA鑑定等の技術を駆使しても難しいんでは。

ウイルスの撲滅というのは、進む方向として間違っていそうで(どうせもぐら叩きだし)、むしろ、新しい感染症がいろんな媒体を通じてやってくるような、そんな世界で、どうそいつらと共存していくか、ということを考えていくべきだろうと思います。

投稿: tf2 | 2004/03/19 17:47

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受信: 2005/05/13 20:03

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