「インターネット完全活用編 大学生のためのレポート・論文術」
どっちがタイトルでどっちがサブタイトルかよくわからないタイトルだけど、今日はこの本を読んでみた。前回の「ネットの未来」探検ガイドに続いて、インターネットをうまく使って、欲しい・有用な情報を入手する方法に関するものである。
講談社現代新書 1677
インターネット完全活用編 大学生のためのレポート・論文術
小笠原 善康 著 bk1、amazon
タイトル通りに大学生のための本ではあるのだろうが、大学生でない人達にもとっても有用な本だと思う。でもなぁ。今時の大学生は、こんなに手取り足取り解説してくれる本があって幸せだと思うよ、ただね、テーマの絞込みを国語辞典なんか使ってやらんで欲しいな、とも感じるけど。
それはともかく、今の時代、インターネットをうまく使いこなせるか否かは、普通の知識人として生きていくためにも、とても大切なポイントだと思う。この本では、まず漠然とした単語からスタートして、その意味、背景、周辺情報と徐々にポイントを明らかにしていく、全てインターネットを使った方法が、具体的に紹介されている。具体的なサイトとなると現時点でも日々変化し続けているので、必ずしもそのまま使えるかどうかは保障できないだろうが、このアプローチの仕方はとても参考になること間違いない。
国会図書館の書籍検索に始まり、インターネット上の各種書評を参考にする方法まで、懇切丁寧に説明されている。学術的な資料の検索方法については、通常の検索ノウハウには記載されていないことも多いので、現役の研究者が採用してる方法の紹介という点で、この本はなかなか有益だった。
ところで、論文の電子的提出方法の章は笑えた。いわく、メールで送る際には宛先アドレス間違うな、差出人がわかるようにしろ、自分のアドレス間違うな、論文内に自分の名前を書いておけ、、だって。おーぃ、今時の大学生、本当に大丈夫か? (でも小笠原先生、文字化けの原因はFEPの問題ではないと思いまーす。)
少し気になったのは論文の扱いについて。少なくとも自然科学分野ではいわゆる査読を受けた論文と査読のない雑誌への投稿とは明確に区別されている。しかし、本書ではその点が一切記載されていない。もしかして社会科学分野ってそういうところなのかな? 他にも著者が自然科学や科学技術分野のことについて書いている内容が、やや偏見ぽく感じられたのは確か。(まあ僕のひがみかもしれないが)
最後の章では「嘘つきの法則」と題して、新聞報道でも時にはそのまま素直に読んでは駄目よ、という例や、情報を発信する際についつい大げさになったり、最初に結論ありきの議論をしがちだよ、という点を指摘している。これは、まさにその通り。情報受信側として如何にだまされずに真実を見抜くのか? 情報発信側として如何に誠実でいられるのか? といったことを考えさせられる。最後に著者は「論理的に正しい文」などそもそも存在しない、と言ってくれてるんだけどね。まあ、メディアリテラシーと言ってしまえばそれまでだけど、参考になりました。
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