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2004/01/25

『シュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」』

今日の本は結構読むのに時間が掛かったかもしれない。ようやく読み終えた!という達成感があるな。

主婦の友社 発行
 シュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」
 ジョー・シュワルツ 著、栗木 さつき 訳 bk1amazon

330頁もある結構読み応えのある本。内容は化学に関わる様々なエピソードの、これでもかといったオンパレード。食べ物、サプリメント、洗剤、シャンプー、薬、プラスチック、等々。ある時は、化学にとっての歴史的な発見や発展のお話だったり、過去の事件の背景を化学的に明らかにするお話だったりと、確かに個々の話は興味深く面白い。

また、著者は本書の冒頭で「化学物質」を有害なものとして恐れる風潮に対して、「化学物質」じゃない物質なんかこの世にないこと、また天然物質だから良くて、人工化学物質だから有害である、というのは全くの誤解である、ということの説明に大きなスペースを割いている。本書を執筆した背景には、こういう化学に対する悪いイメージが一人歩きしている状況があることは間違いない。著者はカナダの大学教授である。アメリカやカナダで流行しているらしい、様々な主として健康にまつわる沢山の話が紹介されるが、そのほとんどが、そのまま日本にも当てはまることに驚かされる。一般社会が科学的な手続きや基礎知識に乏しいために、しばしば誤った知識、製品、或いは言動が世を席巻するのは日本だけではなかったということだ。

特に、シュワルツ博士はホメオパシーやカラーセラピーといった疑似科学に対しても、皮肉たっぷりな表現で切り込んでおり、なかなか小気味良い。そして本書の最後には「科学とはいったいなにか」というタイトルで全部で22の簡潔なまとめが記載されているが、これが非常に秀逸。

ただし健康に関連して、シュワルツ博士は、種々のサプリメントが有用だとして勧めているようだけど、これについてはどうかなぁ? むしろ質素でもよいから多種の食材をバランス良く食べることが肝心という論調の方が賛同できるけど。。この辺は北米では既にサプリ漬けが一般化していることに起因しているのかもしれない。

この本はbk1やamazonの書評でも非常に好評のようだけど、問題は誰が読むのか?ってことかな。そもそも普通の本屋にはまず並んでない。(僕はインターネットで購入した。)主婦の友社の発行であり、確かに一般の主婦に読んでもらいたい意図を持って出版されたのであろう内容なんだけど、これを普通の主婦が読むとは思えない。(ってきっぱり書くと主婦ハラと言われるかな?) 恐らく化学に対して親近感を持ってない人は読んでもワクワクしたり、続きを読みたい、って気にあまりならないんじゃないかな? なまじ分厚いだけに気力がないと読めないかも。(かばんに入れて持ち歩くにもでかくて重いし)とは言っても、本書は別に順番に読み進める必要はない構成になっているので、目次を見て興味を持てそうなところだけ、とか今後何かの時に巻末の索引を使って関係した部分だけを辞書代わりに拾い読みするだけでも十分に有用だと思う。

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