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2004/02/19

コスモ石油のCO2排出権ビジネス

まずは、今日(2/19)の化学工業日報ニュース

コスモ石油、CO2排出権をHPで一般販売へ
 コスモ石油は18日、豪州での植林支援によって得た排出権を、「二酸化炭素吸収証書」としてホームページで販売開始したと発表した。これまで講演会などの場で一部販売していたが、不特定多数の個人を対象とした排出権の販売は、日本で初の試みとなる。同社は地球温暖化防止をユーザーとともに考え、環境保全に対する意識の高まりを狙う。
価格は、二酸化炭素1トン当たり500円とのこと。そういえば、二酸化炭素排出権のニュースについては数日前にも見たなと思って探したら、これもコスモ石油だった。

2/17のNikkei BP BizTech

コスモ石油、「フォーミュラ・ニッポン」にCO2排出権を提供
 コスモ石油は、3月27~28日から開催される今シーズンの「フォーミュラ・ニッポン」のレース全戦に渡って、二酸化炭素(CO2)の「排出権」を提供する。
 コスモ石油は地球温暖化防止に向けた取り組みの1つとして、2001年より、オーストラリアでユーカリの植林支援を行っている。また、この森が吸収したCO2を専門機関に測定、検証してもらい、排出権として取得している。
 環境省の調べでは、「フォーミュラ・ニッポン」の1レースで全マシンが排出するCO2合計量は5.2tに相当する。コスモ石油はレースでのガソリン使用分に相当するCO2を排出権によって吸収することで、モータースポーツファンを中心に、地球温暖化に関する認知と環境保全意識を訴求していく考え
最初見たときは、太っ腹だと思ったけど、500円/トン-CO2で換算すると、5.2*9*500=23,400円にしかならないのか。

コスモ石油のニュースリリースは、それぞれ、個人販売フォーミュラ・ニッポン。また、二酸化炭素排出権販売の詳細については、こちらがくわしい。今回の場合には、コスモ石油が出したお金で、オーストラリアに新たにユーカリの木を植林し、その木が生長していく過程で大気中のCO2が(光合成による炭酸同化作用で)固定され、それだけ大気中のCO2が減少する、と考えればよいだろう。

この資料によると、オーストラリアから購入したCO2排出権は、280万トン-CO2に対して100万豪ドル(約8000万円)だから、単価は30円/トン-CO2弱か。思ったより安いんだね。(例えば今導入を検討されている炭素税なんかだと、炭素1トン排出あたりで数千円~数万円という所だった筈)

で、この権利を環境意識の高い人たちに500円/トン-CO2で購入してもらい、その収入で様々な環境貢献事業をやろう、という仕組みのようだ。ということは、オーストラリアに植林して大気中のCO2を減らすだけでなく、更に環境に貢献する事業を進めることができるわけだ。

CO2排出権については、いわゆる京都議定書の中で取り決められたルールだけれど、今のところは、アメリカの離脱やロシアの態度保留で、京都議定書が有効になってない(発効していない)。従って、コスモ石油にとっても現時点ではオーストラリアからCO2排出権を購入したからといって、直接のメリットはないだろう。しかし必ずや近い将来には必要な権利だろうから、今のうちに実績やノウハウを作っておきたいし、同時にこのように環境を意識している企業姿勢のPRもできるし、更に実際に地球環境に貢献する事業も推進される。一石三鳥か? うーん、考えたなあというか、こういう仕組みで、どれだけ多くの人が賛同してCO2排出権を買ってくれるかだな。

別にコスモ石油の宣伝をするつもりはないけど、この一連の事業は、なかなか面白いアイデアだし、好感が持てると思う。このケースがうまくいくようだと、他の会社にも同様の動きが起こるかもしれない。僕も一口購入してみようかな。(日本のCO2総排出量 約12億トン/年を人口で単純に割ると、一人当たりの排出量は約10トン/年・人となる。いわゆる家庭生活から出る分は、その1割強と言われているので、1トンのCO2排出権の購入というのは何となくリーズナブルかも。。)

*2/26追記 実際にCO2排出権を購入してみた。続きはこちら

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