海面水位の上昇
YOMIURI ON-LINE(2/28)に載った記事。
日本沿岸の海面上昇は過去百年で最高、温暖化が原因地球温暖化と海面上昇の関係は興味あるので、少し調べてみた。そもそもの元ネタは、気象庁の発表資料。
日本沿岸の海面水位が、過去100年で最も高くなっていることが、気象庁の観測でわかった。地球温暖化などの影響で、日本近海の海水温が広範囲で上昇したことが原因という。
同庁によると、昨年の海面水位の平均値は、過去30年間の平均と比べ約4センチ高かった。平均水温(海面―水深700メートル)も1985年以降、ほとんどの海域で、毎年0・01度から0・1度の割合で上昇していた。
水温の上昇によって海水が膨張し、水位変化につながったと見られる。水温が上昇したのは、北太平洋で海上風の向きなどが変化したことのほかに、地球温暖化の直接の影響とも考えられるという。
YOMIURIの記事ではこの100年で最も水位が高いとあるので、どんな様子か心配だったが、実際のデータを見ると、この100年の間に水位が単調に上昇していたのではなく、周期的に変動している。現在のレベルは1950年代と同レベルであり、100年前と比べても6~8cm程度の上昇にとどまる。これで本当に温暖化の影響と言えるのか? と思うのだが。(毎度のことだが、誤解を招かないような、きちんとした記事にして欲しいものだ。)もっとも地球全体では20世紀中に10~20cm上昇したと推定されているようなので、かなり場所による違いがあるようだ。
水温の変化とよく一致するという見解のようだが、生のデータを見る限り、相当に微妙な話をしているようで、断定できるほどの相関があるようにも見えない。そもそも海面水位は水温に対してそんなに敏感なのか? 他にも色んな要因がありそうに思えるが。
この資料の中のリンク先を見てみると、海面上昇の説明があった。
海面水位を上げる原因は、日々の満干潮に見られる天体の起潮力によるものと、風による一時的な吹き寄せを除くと、1.海水の増加、2.海水の熱膨張、3.海流の位置や強さの変化、4.海面気圧の低下、の4つがあげられる。このうち「1.」と「2.」は温暖化が直接海洋に影響するケースであり、全球平均の水位が上昇する。温暖化によって大気の流動が変化すれば海洋も影響を受けて「3.」と「4.」による水位変動が生じ得る。但し、これは水位の分布が変わる現象で、局所的な水位は変わるが全球平均の水位は変わらない。温暖化によって陸上の氷河が溶けると「1.」による水位上昇が生じる。また、海洋が今までより温まると「2.」による上昇が生じる。例えば海面から1000mまでの水温が0.5 ℃上がると約10cmの水位上昇につながる。20世紀中に起きた水位上昇のうち、「1.」による寄与は5cm程度と見積もられ(Meier, 1984, 1990)、「2.」の効果の方が大きかったとされる。21世紀中の水位上昇も「2.」が主体と考えられている。しばしばセンセーショナルに言われる、南極の大氷床の融解、崩落は、もし発生すれば破局的な水位上昇を引き起こすはずだが、今世紀中の話ではないだろうと考えられている。ということで、色々な要因があるが、確かに水温の影響が一番大きいらしい。
水の熱膨張率 0.21×10^-3(1/K)を用いて計算してみると、水温が0.5℃上昇すると水の体積は、0.5×0.21×10^-3 = 0.1×10^-3の割合で膨張するので、深さ1000mまでの海水について考えると、0.1×10^-3×1000 = 0.1 となり、丁度0.1m(10cm)水位が上昇するという答えが得られる。
ちなみに、地球全体で海水は約1,370,323千km3あり、平均深さは約3795mとのこと。(理科年表 1993年から) 地球温暖化が人間活動に伴うCO2の増加によるものとすれば、温度上昇は外から起こる訳で、深海の温度はほとんど変化しないと考えるのは妥当だろう。それにしても、水温の影響をこんなに簡単な計算で見積もることができていいのだろうか?
20世紀に起こった10~20cmの水位上昇のうち、海水の増加によるとされる5cmを除いた5~15cmが温暖化の影響とすると、水温上昇は~0.8℃程度ということになる。一方、20世紀中の平均気温の上昇は、0.5~1.0℃だったらしいので、平均海水温度上昇とほぼ同等ということになる。整合性がとれていると言ってよいのだろうか?
*そもそも気温と海水温度がそんなにリンクするものか? それに空気と水では比熱が全然違う。海水を温めるのは大変そうだし時間遅れがあるのでは。(水は空気に比べて暖めにくく、冷めにくい。)
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