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2004/02/29

海面水位の上昇

YOMIURI ON-LINE(2/28)に載った記事。

日本沿岸の海面上昇は過去百年で最高、温暖化が原因
 日本沿岸の海面水位が、過去100年で最も高くなっていることが、気象庁の観測でわかった。地球温暖化などの影響で、日本近海の海水温が広範囲で上昇したことが原因という。
 同庁によると、昨年の海面水位の平均値は、過去30年間の平均と比べ約4センチ高かった。平均水温(海面―水深700メートル)も1985年以降、ほとんどの海域で、毎年0・01度から0・1度の割合で上昇していた。
 水温の上昇によって海水が膨張し、水位変化につながったと見られる。水温が上昇したのは、北太平洋で海上風の向きなどが変化したことのほかに、地球温暖化の直接の影響とも考えられるという。
地球温暖化と海面上昇の関係は興味あるので、少し調べてみた。そもそもの元ネタは、気象庁の発表資料

YOMIURIの記事ではこの100年で最も水位が高いとあるので、どんな様子か心配だったが、実際のデータを見ると、この100年の間に水位が単調に上昇していたのではなく、周期的に変動している。現在のレベルは1950年代と同レベルであり、100年前と比べても6~8cm程度の上昇にとどまる。これで本当に温暖化の影響と言えるのか? と思うのだが。(毎度のことだが、誤解を招かないような、きちんとした記事にして欲しいものだ。)もっとも地球全体では20世紀中に10~20cm上昇したと推定されているようなので、かなり場所による違いがあるようだ。

水温の変化とよく一致するという見解のようだが、生のデータを見る限り、相当に微妙な話をしているようで、断定できるほどの相関があるようにも見えない。そもそも海面水位は水温に対してそんなに敏感なのか? 他にも色んな要因がありそうに思えるが。

この資料の中のリンク先を見てみると、海面上昇の説明があった。

海面水位を上げる原因は、日々の満干潮に見られる天体の起潮力によるものと、風による一時的な吹き寄せを除くと、1.海水の増加、2.海水の熱膨張、3.海流の位置や強さの変化、4.海面気圧の低下、の4つがあげられる。このうち「1.」と「2.」は温暖化が直接海洋に影響するケースであり、全球平均の水位が上昇する。温暖化によって大気の流動が変化すれば海洋も影響を受けて「3.」と「4.」による水位変動が生じ得る。但し、これは水位の分布が変わる現象で、局所的な水位は変わるが全球平均の水位は変わらない。温暖化によって陸上の氷河が溶けると「1.」による水位上昇が生じる。また、海洋が今までより温まると「2.」による上昇が生じる。例えば海面から1000mまでの水温が0.5 ℃上がると約10cmの水位上昇につながる。20世紀中に起きた水位上昇のうち、「1.」による寄与は5cm程度と見積もられ(Meier, 1984, 1990)、「2.」の効果の方が大きかったとされる。21世紀中の水位上昇も「2.」が主体と考えられている。しばしばセンセーショナルに言われる、南極の大氷床の融解、崩落は、もし発生すれば破局的な水位上昇を引き起こすはずだが、今世紀中の話ではないだろうと考えられている。
ということで、色々な要因があるが、確かに水温の影響が一番大きいらしい。

水の熱膨張率 0.21×10^-3(1/K)を用いて計算してみると、水温が0.5℃上昇すると水の体積は、0.5×0.21×10^-3 = 0.1×10^-3の割合で膨張するので、深さ1000mまでの海水について考えると、0.1×10^-3×1000 = 0.1 となり、丁度0.1m(10cm)水位が上昇するという答えが得られる。

ちなみに、地球全体で海水は約1,370,323千km3あり、平均深さは約3795mとのこと。(理科年表 1993年から) 地球温暖化が人間活動に伴うCO2の増加によるものとすれば、温度上昇は外から起こる訳で、深海の温度はほとんど変化しないと考えるのは妥当だろう。それにしても、水温の影響をこんなに簡単な計算で見積もることができていいのだろうか?

20世紀に起こった10~20cmの水位上昇のうち、海水の増加によるとされる5cmを除いた5~15cmが温暖化の影響とすると、水温上昇は~0.8℃程度ということになる。一方、20世紀中の平均気温の上昇は、0.5~1.0℃だったらしいので、平均海水温度上昇とほぼ同等ということになる。整合性がとれていると言ってよいのだろうか?

*そもそも気温と海水温度がそんなにリンクするものか? それに空気と水では比熱が全然違う。海水を温めるのは大変そうだし時間遅れがあるのでは。(水は空気に比べて暖めにくく、冷めにくい。) 

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2004/02/28

室内空気質健康影響研究会

2/15のブログで紹介した「化学物質過敏症」に関連して、今度は厚生労働省のホームページに記事が載った。報告書の名前は「室内空気質健康影響研究会報告書:~シックハウス症候群に関する医学的知見の整理~」という長いもの。

 近年のシックハウス症候群を始めとする室内空気質による健康影響への関心の高まりを受け、厚生労働省健康局生活衛生課では、有識者からなる「室内空気質健康影響研究会」を平成15年5月から3回にわたり開催し、室内空気質の健康影響について、厚生労働科学研究等を通じてこれまでに得られた医学的知見の整理をお願いしてきた。今般、その報告書が取りまとめられたので公表することとする。
 室内空気質健康影響研究会は、室内空気質の健康影響について、これまでに実施されてきた調査研究で得られた医学的知見を整理することを目的として開催されたものであり、主として「シックハウス症候群」及び「MCS(Multiple Chemical Sensitivity:多種化学物質過敏状態)/化学物質過敏症」の2つの論点について議論を行ってきた。
ということだが、先の記事で紹介した、環境省が2/13に発表した「本態性多種化学物質過敏状態の調査研究報告書」という資料と比べてみるのもまた、味わい深い。

そもそも、似たような調査・研究を、二つの省庁で別々に行っているのも、いかにもなんだけど、当然だけど「化学物質過敏症」の捉え方も微妙に異なるように見える。

環境省の調査では、「今回の二重盲検法による低濃度曝露研究では、ごく微量(指針値の半分以下)のホルムアルデヒドの曝露と被験者の症状誘発との間に関連は見出せなかった。」という結論を得た。つまり、調査した範囲では、因果関係は見られなかったとしている。症状の名称としては、原因不明という意味を込めて、「本態性多種化学物質過敏状態」と名付けている。

今回の厚生労働省の調査では、「シックハウス症候群」については、基準値をやや下回る濃度のホルムアルデヒドやクロルピリホスの曝露に対して、特に感受性の高い人の場合に健康影響が生じる可能性は否定できないとした上で、化学物質以外の種々の環境因子(温度・湿度・気流・照度・騒音・振動等)や生物因子、或いは精神的ストレスの影響も排除できないしている。何だか歯切れが悪い表現だ。

また、「化学物質過敏症」についても、「環境中の種々の低濃度化学物質に反応し、非アレルギー性の過敏状態の発現により、精神・身体症状を示す患者が存在する可能性は否定できない」とした上で、「中毒やアレルギーといった既存の疾病概念で把握可能な患者が少なからず含まれており、MCSと化学物質過敏症は異なる概念であると考えられる。そのため、既存の疾病概念で病態の把握が可能な患者に対して、「化学物質過敏症」という診断名を付与する積極的な理由を見いだすことは困難であり、また、化学物質の関与が明確ではないにも関わらず、臨床症状と検査所見の組み合わせのみから「化学物質過敏症」と診断される傾向がある」としている。これまた何も結論していない表現。

今回の厚生労働省の調査は、過去の研究報告の調査とまとめを行ったものであり、新たな知見が得られるというよりも、厚生労働省としての見解をまとめるためのものと考えるべきだろうが、結論も今後の課題も中途半端な両論併記で、一体誰に対して何を期待したものなのかがよくわからない。

ちなみに、厚生労働省の調査と環境省の調査のメンバーの内の数人は両方兼任している。ならば、もう少し統一感のあるまとめ方はできないものなのだろうか? 少なくとも、呼び名ぐらい統一して欲しいな。

たまたま、共同通信の2/26配信の記事で

シックハウスの謎解明へ 厚労省が初の調査
 新築やリフォームした家で頭痛やのどの痛みなどを感じる「シックハウス症候群」の原因を探るため、厚生労働省は26日までに、症状を訴える人たちの自宅に出向いて実際に室内汚染状況を測定する大規模な調査に乗り出した。
 住宅内の化学物質濃度を調べる全国調査はあるが、症状との関連を調べる全国的な調査は初めて。化学物質だけでなくダニやカビなどの原因物質を総合的に分析するほか、温度、湿度の違いによる地域差も検討、謎に包まれたシックハウス症候群の実態把握を目指す。
 調査は岸玲子・北海道大大学院教授を主任とする研究班が実施。全国的な傾向をつかむため、札幌、福島、名古屋、大阪、岡山、北九州の6市を選んで調査を進めている。
 現在は自治体に提出された建築確認申請書類を閲覧して計4000軒程度の新築・リフォーム住宅を無作為抽出し、住民に自覚症状の有無、具体的な換気方法などをアンケートしている。
というのを見つけた。岸さんは、厚生労働省の今回の調査報告のメンバーでもある。これまでに得られた知見を踏まえた、化学物質以外の要因もきちんと抑えた調査であれば、何かがわかるかもしれない。できれば同時に、同様の環境に住んでいて、症状の出ていない人との違いを明らかにするような調査ができるといいのだけど。

それにしてもこうしてみると、環境省と厚生労働省のそれぞれが、多くの時間と人を使って、大々的な調査を同時並行して行っているんだねぇ。これらの調査そのものは必要なものだと思うけど、やり方は考えてね。

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2004/02/27

近未来の言語状況

時事通信(2/27)のニュースで見つけた記事。

「世界言語は英語」過去の栄光に=減少傾向、4位に転落へ-2050年の若者母語
 英語を母語とする人口は長期的に減少し、2050年の若者では中国語などに続いて4位に転落するとの予測を、英国の英語学者が27日付の米科学誌サイエンスに発表した。英語が世界言語になるとの見方は過去のものとなる一方、会社員や学生にとっては、英語か中国語の習得がコンピューターの操作と同じように不可欠になりつつあり、多言語化が進んでいるという。 
英語が4位? ベスト3当てクイズみたいだな。気になったので調べてみた。雑誌Scienceは、最新論文の全文には有料会員しかアクセスできない。アブストラクト?は読める。

ということで、Google Newsで検索してみると、いくつか見つかったが、一番内容の豊富そうな、The Atlanta Jounal-Constitutionの記事にリンク。

ベスト3は、(1)Chinese、(2)Hindu-Urdu、(3)Arabic なのだそうだ。人口から考えると、中国、インドというのはまあ順当、次がアラビア語になるわけだ。更に4位が英語で、僅差の5位がスペイン語らしい。Hinduはインドの公用語、Urduはパキスタンの公用語らしいが、この辺は似たような言語が沢山あったような。いっしょくたにしていいのかな? それを言うと、中国語もアラビア語も一つの言語とはいえないような気もするけど。

Graddol, of the British consulting and publishing business The English Company, anticipates a world where the share of people who are native English speakers slips from 9 percent in the mid-twentieth century to 5 percent in 2050.
英語を母国語にしている人って今でも世界の10%以下なんだねぇ。でも、当然、反論というかコメントがあって
Swarthmore College linguist K. David Harrison noted, however, that ``the global share of English is much larger if you count second-language speakers, and will continue to rise, even as the proportion of native speakers declines.''
まあ英語が世界共通語であることは変わりなさそうだ。結局、使う人の多寡ではなく、力関係で決まるということだろうし。

でも、特にこれから発展していくのは、アジアの国々だから、そこでビジネスを成功させようとしたら、英語だけでは駄目で、現地語を勉強しろ、ってのも当然の話。

一方、例えば日本人のインターネット上のコミュニケーションは、ほぼ日本語だけで行われているけど、このコミュニティに日本語を理解できない人達は、まず加わることができない。今後自動翻訳の精度が格段に上がれば、彼らが日本語ページを読んだり、我々が英語ページに変換したり、という形でコミュニケーションできるようになりうるけど、現状ではまだまだ苦しい。同様のことが、中国語や他の多くの非英語言語圏で起こっているわけだ。これが克服されると、確かに世界は大きく変わるような気がする。

自動翻訳が進歩するのと、人間が努力してマルチリンガルになるのと、近い将来はどんなコミュニケーションスタイルとなるのだろうか? この論文はそういう方面には突っ込んでないみたいだ。

*それにしても、日本のWeb上の新聞記事は、どうしてこんなに短くて、しかも舌足らずな説明しかできないのだろう? 向こうの新聞記事は、必要があれば十分に長いし、内容も豊富。特にこういう論文紹介の時には、単なる要約だけではなく、著者のコメントや他の研究者のコメントが色々と載るので、多面的な内容となる。Web上の記事であれば、スペースに制限はないし、ソースへのリンクを貼る等の工夫もすれば、充実したものになるのになあ。(儲からないって?)

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「水と健康」

2/24のブログで中西さんの「水の環境戦略」を紹介したのに続いての、水に関する本。著者は、あの「ダイオキシン 神話の終焉」の著者のうちの一人、林さん。

日本評論社 シリーズ 地球と人間の環境を考える 7
 水と健康 狼少年にご用心
 林 俊郎 著 bk1amazon

このシリーズについては、1/21のブログで紹介したように、従来の恐怖を煽るだけの本とは明確に異なる(やや懐疑的な)立場で、様々な環境問題に切り込んでおり、とても好感を持っていた。第1期の6巻の刊行が終わり、引き続き第2期の6巻の刊行が始まったようだ。ラインナップは、

  7 「水と健康」 林 俊郎 著
  8 「ごみ問題とライフスタイル」 高月 紘 著
  9 「シックハウス」 中井 里史 著
 10 「バイオマス」 奥 彬 著
 11 「畜産と食の安全」 岡本 明治、倉持 勝久、清水祥夫 著
 12 「これからの「環境」」 地球と人間の環境を考える編集部 編

となっている。ちょっと調べてみると、面白そうな著者陣のラインナップとなっている。

著者は本書を通し、現在の日本の飲み水は、塩素消毒によって十分に安全が確保されており、塩素の副作用を嫌った風潮に対しても、発がん性やその他の毒性等は何も心配する必要はない、と主張する。

他にも、虫歯を防ぐためにフッ素を添加している国もあるのに、日本はフッ素基準が低すぎるので虫歯が多いこと、胃がんや子宮がんの多くは感染症の側面があり、飲み水の塩素消毒により、減少し続けていること、メトヘモグロビン血症は、乳児と人口乳と硝酸の組み合わせで起こる特殊な病気であり、それ以外のシチュエーションでの通常の水道水中の硝酸は全く危険性がないレベルであること、等の今までよく知らなかったことが色々と書いてあり、勉強になる。

本書前半では、過去の水系感染症と人類との戦いの歴史から始まり、塩素消毒の効果は単なる感染症予防だけでなく、胃がんや子宮がんの克服にも大きな効果があると述べる。更に塩素消毒の副作用として問題視されているトリハロメタン類についても、現状で発がんの可能性はほとんどないので、全く心配無用と断言する。

結論は正しいのかもしれないが、読んでいて妙に違和感がある。必ずしも十分な裏付け(参考文献は誰かの本ばかりで、論文が含まれていない)がないままに、「~ではないか」とか「~と思える」という口調が目立つためだろうか?

それにしても、日本人に胃がんが多いのは、戦後から昭和49年まで日本でだけ使用されていたAF2という防腐剤がイニシエータとなり、それに加えてピロリ菌がプロモータとして働いたからだ。塩素消毒を開始してから日本人の胃の中のピロリ菌は顕著に減少しており、胃がんの発生は今後減っていくはず、というのはどこまで正しいのだろう?

それぞれ重要な要因と考えられているのは事実のようだが、それだけでもあるまい。まして、水道水の塩素消毒を開始してから、ピロリ菌感染率も胃がん発生率も共に下がっているから、という状況証拠だけでは納得しにくい。国民の栄養状態や生活習慣など他にも様々なものが、同じ時期に同じ様に変化してきているのだから、因果関係を明らかにするのは相当に難しい筈だと思うのだが。

トリハロメタン類についても、今までにこれが原因でがんになった人は一人もいない、と言うが、従来の多くの研究結果から推定されてきた「発がん性」を全く無視するような表現はいただけないのではないか。普通に生活していて心配するレベルではない、と書けばいいのに。どうも、科学者としてのある種の謙虚さのようなものが感じられないんだな。

最後に、地球規模で何億年ものスケールで見た時、地球上では莫大な量の元素が大気と水と陸地を循環しており、大量の重金属や陰イオンが、海に流れ込んだのであり、近年になって人間活動が地球に与えている影響など大したことはなく、過大評価する必要はない、という主張がなされる。しかし、海に流れ込んだ元素の総量の問題ではなく、人間が与え続けている変化の速度が、自然界で起こった変化に比べて桁違いに早いことが問題なのではないか? 

このように、さすがに「ダイオキシン」で市民団体等から猛反発を受けた著者らしく、本書もまた突っ込まれ所が満載だ。確かに、恐怖を煽る本は問題で、特に水については、不安に付け込んだ怪しい商売も多い。しかし、だからこそ科学的にきちんと反論していく必要がある。(怪しい水の科学的批判は、天羽さんの水商売ウォッチングが必見だろう。)

本書は、結論は正しそうだが、論理がやや乱暴で、むしろ火に油を注いでいるような気がしないでもない。本来はグレイなものを、無理やり白にしてしまっている部分もあるようだ。

中西さんの「水の環境戦略」では、人間の生命を守るためだけでなく、生態系を守るという視点からのアプローチも必要であることや、世界全体では飲み水はWHO基準でいいだろうが、先進国として日本は一歩進んだ環境観が必要だし、要求されるレベルも自ずと異なるのだ、という見解を示した。それと比べると残念ながら、本書は底が浅いというか、志が低いなあという印象が残ってしまう。(著者は確信犯なのではないか?という疑いもあるのだが。。)

大丈夫か、このシリーズ?

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2004/02/26

二酸化炭素吸収証書

2/19のブログで、コスモ石油のCO2排出権販売のニュースを紹介したが、試しに2トン分の排出権を購入してみた。500円/トンと安いし、何となく地球環境に貢献したような気にさせてくれそうだし。(本当は、省資源・省エネルギーに努めた方がよっぽど良いだろうに。却って無駄遣いの言い訳になるって恐れも。。)

いざ、インターネットで購入しようとしたら、送料500円が必要らしい。権利を購入するだけなのに、送料がやけに割高な感じがしたけど、証書を送ってくれるらしいので、しぶしぶ承諾。

で、本日届いたのが、こんな証書。1トンにつき1枚、計2枚。

cosmo1.JPG

cosmo2.JPG

写真は上が表側、下が裏側だ。

この証書、タイトルは「二酸化炭素吸収証書」となっていて、権利書ではないのか? 表側の一番下に

本証書が証明する1t-CO2(換算)についての排出権は、証書取得者にコスモ石油から移転されます。
とあるので、ちゃんと排出権は僕のものになったらしい。どこにも名前は書いてないので、これを持っている人が自動的に権利者と認められるのかな?

裏面を読むと

本証書は、京都議定書に準拠し、又はその制度のもとで実施される可能性がある市場での有効性を担保するものではありません。さらに、投機目的のものではなく、株式などのように市場で売買されるものではありません。転売できる保証はない点にご注意願います。
とあるが、個人的に売買するのは許されるようだ。

ふと思いついて、オークションサイトで探してみたけど、さすがにYAHOO!にもBIDDERSにも出品されてないな。まあ、今のところコスモ石油から誰でも買えるし、品切れになった頃にまた探してみるか。でも売れないだろうな。。(マニアがいれば別だが。どう考えても、現時点でこの証書には金銭的価値もなければ、地球環境保護の実質的価値もない。あるとすると持っている個人の自己満足だけだ。)

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続:BSE検査の科学的根拠

1/28のブログで取り上げて以来ご無沙汰のBSEネタ。最後の牛丼騒ぎで異常な盛り上がりを見せた、アメリカ産牛肉の輸入禁止措置をめぐる攻防も、何となくネタ切れというか、水面下での交渉にステージが移ったのかもしれない。牛肉の安全について、とことん議論してコンセンサスを目指すのには、絶好の機会だと思うのだけど、「科学的」根拠はうやむやにしたまま決着させようというのだろうか? 

Mainichi INTERACTIVEの2/21の記事によると

 米国のBSE(牛海綿状脳症)発生で米国産牛肉の輸入がストップして約2カ月。その影響を受けて、日本各地の港で税関を通過できない米国産牛肉約1万3000トン、約100億円分が滞留している。行く当てもなく、このままだと焼却処分しかない状況に追い込まれ、全部焼却すると費用が13億円という。
 BSEの発生で日本政府が米国産牛肉の輸入を止めたのは12月24日。それ以前に税関を通った牛肉の流通は認められたが、それ以降の牛肉はたとえ港のコンテナや倉庫に入った後でも、検疫を受けることができなくなり、コンテナに眠ったままになった。
 協会は厚生労働省に対し「滞留している牛肉は、輸入禁止直前に通関を済ませた肉と同じものだ」と再三にわたり輸入の許可を求めているが、同省監視安全課は「米国でBSEが発生した以上、安全性が確保されるまでは輸入を認めるわけにはいかない」と禁止時点で輸入を止めることは当然の措置だと話す。
とある。輸入禁止を決めた以上、どこかで線を引かなくてはいけないので、こういう問題も仕方ないか? と思うのだが、一方でギリギリセーフになった牛肉は、最後の牛丼を求めて行列を作った人達に喜んで食べられたってわけだ。ちょっと割り切れない思いもしないではない。

厚生労働省のホームページで米国におけるBSE発生への対応について(Q&A)を読むと、結構おもしろい事が書いてある。

Q4:すでに輸入され、国内に流通している米国産牛肉等は安全ですか?

A4
 BSEの原因とされている異常プリオン蛋白は特定部位等に分布することから、特定部位等を含まない牛肉及び牛肉等を用いた加工品は安全性に問題はありません。
 ※  なお、国際獣疫事務局(OIE)の基準では、筋肉は特定部位ではないとされており、牛肉の安全性には問題がないとされています。

昨年12月の時点のものなので、国民に不安を与えないように配慮してだと思うけれど、これだと今アメリカに要求している全頭検査の論理と明らかに矛盾している。(早いところ消した方が良くないか?)

特定部位を含まなければ、たとえBSEに感染した牛の肉であっても安全である、という論理は、このQ&Aの他の部分でも使われてるし、農林水産省のホームページのQ&Aでも出てくるから、現時点では公式見解とみてよさそうだし、(科学的にも)限りなく正しいとみるべきだろう。では、全頭検査というのは何なのか? やっぱりわからない。(安全な特定部位を得るためというのであれば、わかるのだが。。)

特定部位を含まなければ安全であるという論理で、禁輸直前に税関をすり抜けた牛肉の安全性が説明され、禁輸直後に税関に止められた牛肉は「安全性が確保されるまで輸入を認めるわけにはいかない」ってのもなあ。もしかして将来的には税関を通る可能性があるのか? だからこそ、業者はコストが掛かっても冷凍庫に保管しているんだろうか? 変なの。

では、全頭検査とか抜取り検査というのは、一体何を議論しているのか? 学術的な意味で、BSEの原因や発症の程度を知るのには有意義だとは思うけど、安全性にどんな意味があるのか?

asahi.com(2/25)には、

特定部位除去「優先実施を」 BSE対策で専門委員試算
 牛海綿状脳症(BSE)について、食品安全委員会の専門委員が安全対策の効果を計数化して試算したところ、病原体がたまりやすい特定危険部位の除去や再利用禁止の効果が大きく、全頭検査の実施より優先すべきだとの結論が出た。同委員会は牛肉輸入再開の条件を最終的に判断する立場にあり、追加対策をめぐる今後の対米交渉にも影響を与えそうだ。
 試算したのは、同委員会でBSE対策を議論するプリオン専門調査会の座長を務める吉川泰弘・東大大学院教授。病原体が食肉に含まれる危険性を指標化し、国際基準とされる検査体制と比べ、日本で実施されている全頭検査でどれだけ安全性が上がるかを「上積み効果」として算出。個々の安全対策を比較した。
 それによると、特定部位対策で脊柱(せきちゅう)を除去する効果は、全頭検査の上積み効果の約20倍だった。脊髄(せきずい)が飛び散らない処理方法や特定部位を飼料などに再利用しないことの効果も、全頭検査の上積み効果より大きいか同程度だった。
 また米国では、世界で初めてBSEが発生した英国からの牛の輸入や肉骨粉の規制状況などからみて、過去10年間に300~400頭の感染牛が発生したと試算した。このうち、まだ若い牛や他の病気で死ぬ牛などを除き、計20頭は処理時に検査で発見できたはずだと推計。起立不能などの症状牛からBSEを発見するには、年間数万頭にとどまっている検査対象を10倍以上に拡大することが必要と結論づけた。
 吉川教授は「科学的な議論を進めるたたき台として試算した。米国は特定危険部位の除去を徹底し、検査対象を大幅に増やすべきだ。ただ、全頭検査の必要はないだろう」と指摘している。
という記事が載った。ようやく科学的で定量的な議論が始まるのだろうか? というか、これで全頭検査問題に幕引きをしようという作戦か?

食品安全委員会のホームページから関連情報を探したが、米国におけるBSEの発生についてというページにも、残念ながらそれらしい資料は未だ載っていない。こんな中途半端な新聞記事ではなくて、きちんとした数字が載った資料を早く見せてもらいたいものだ。

日本が騒いだせいなのか、アメリカにも心配になった人がいるようで、全頭検査を要求している。2/19には、アメリカの消費者団体パブリック・シチズンが、米農務省長官に検査体制が不十分だという書簡を送っている。日本語に訳してくれているので、衆議院議員の笹山さんのページの記事にリンクしておく。その前の記事、オーストラリア産の肉が安全だという科学的根拠はないよ、という話も説得力がある。

*それにしても、農林水産省のBSE関係の情報公開はお粗末。厚生労働省のホームページは、結構まじめに更新しているし、公開しようという意思が感じられるのに対して、農林水産省のホームページを探しても、アメリカでのBSE発生に対して、何故全頭検査を要求するのかといった説明が全く見当たらない。

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2004/02/25

続:ゴミから2800万円

YOMIURI ON-LINE(2/25)によると、

 「路上生活者らがゴミをあさって困る」「ストーカーがゴミ袋を開けて下着などを持っていかないか心配」――こんな住民の苦情や不安にも応えようと、横浜市は、集積所に出された家庭ゴミを市の所有物とし、勝手に持ち去った人を窃盗罪で告発できるようにする。25日の市議会で条例が可決、4月1日から施行する。

 ゴミは、所有者のいない「無主物」で、勝手に持ち去られても明確な対抗手段がないとされている。アルミ缶や古紙などの資源ゴミの所有権を条例で明示する自治体はあるが、全家庭ゴミを対象にするのは初めて。

 資源ゴミに対する所有権の条例化は、東京都杉並区が昨年3月に導入して以来、東京都江東区や埼玉県志木市などでも行っている。横浜市は市内4万世帯のモデル地区で、ゴミの30%減量を目指す「G30プラン」を実施。5種類に分別していたゴミを10種類に細分化して収集しており、2005年4月にはこれを全市に拡大する計画。

となっている。(来年からゴミの分別が増えるんだなぁ。)

さて、ということは2/23のブログで2800万円見つけた人はどうなるのか? 草加市には資源ゴミの所有権を明確にする条例があったのだろうか?

同じくYOMIURI ON-LINE(2/25)によると、

 埼玉県草加市内で資源ゴミとして出された古新聞紙の中から現金2800万円が見つかった問題で、草加市は24日、落とし主が現れない場合、現金の所有権を主張する方針を決めた。

 同市によると、問題の古新聞を回収した千葉県の業者は、市の委託業者ではなく、勝手に資源ゴミを集めた可能性が高い。児玉一・同市助役は「警察の調べで、紙幣が市の資源ゴミ集積所に置かれていたことが明らかになれば当然、市として拾得物の所有権を主張したい」としている。

 同市では月2回、市内の四業者に委託し、古紙などの資源ゴミを回収しており、現金が見つかった23日も回収日だった。資源ゴミの持ち去りが増えていることから、同市では、業者に対し、午前8時以降の回収を徹底するとともに、市民にも広報誌などで、夜や未明に資源ゴミを出さないよう求めている。

と、何だか条例はなさそうだけど、所有権を主張するらしい。

埼玉新聞の2/25の記事によると、

 草加市は二十四日、市内のごみ集積所で回収した古紙の中から見つかった二千八百万円について、現金の所有権を主張していく方針を決めた。市は、集積所からの資源ゴミの持ち去りを禁止した看板の設置などを根拠に所有権を主張していく。
 市はアルミ缶や古紙など資源ゴミの持ち去りが頻発するため、二年前から市内の集積場約四千五百カ所に資源ごみ持ち去り禁止の看板を設置。
 看板には市が所有の意思を持って回収していることを明記。持ち去りの現場を押さえた場合には、所有権を主張し刑事告訴をする方針だった。
 市はまた、現金を発見した古紙回収業の千葉県八街市の男性(60)に対して、市の委託を受けていないのに無断で古紙を持ち去ったとして窃盗罪で刑事告発する方向で検討している。
 古紙の回収は、市内の四業者に委託して回収し業者に売却。市価は一キロ当たり○・五円で売却益は十四年度で三千円。しかし輸出用は高く売れることから持ち去られている。告訴の検討について市は「売却益はわずかだが、市の所有物を勝手に持ち出すのは容認できない」と話している。
ということで、読売新聞の記事よりも強気なニュアンス、条例はないけど看板があるってことか。確かに、勝手に持って行っちゃ駄目というのもわかるんだけど、素直に届けたというのに窃盗罪じゃあ、善意を仇で返すみたいだし。大岡裁きみたいなのを期待しちゃ駄目だろうか?(そうしないと、教育上もよろしくないような気も。。)

*埼玉県では2/25の未明にATMごと2800万円が盗まれたみたいだが、これは単なる偶然に間違いない!

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2004/02/24

「水の環境戦略」

産総研の中西さんのリスクマネージメント論はとても論理的で納得できるものだと思っている。本書はその中西さんの代表的な一般向け書籍だが、何故か今まで書店の店頭で出会うことがなかったので、先日オンラインで注文して入手。2003年10月15日発行の第18刷である。第1刷の発行が1994年2月21日なので、丁度10年前に発行された本ということになる。今更だけど、10周年記念ということで、コメントを書いておこう。

岩波新書 324
 水の環境戦略
 中西 準子 著 bk1amazon

本書は教科書ではないので、堅苦しくはないし、様々なエピソードと共に著者の熱い思いが伝わってくるような、読み物としておもしろいものになっている。ただし、数式こそ出てはこないが、規制値の考え方等の部分は、なじみの薄い方にとっては結構手強いかもしれない。

まず地球規模での水問題を取り上げ、日本を始めとする先進国が、自分たちの利益だけを最優先に行動していてはいけない、という問題提起をする。次に日本の水事情について、歴史的な背景、日本の縦割り行政、規制値の決め方、そして既得権益を守ろうとする動き等、ある意味で生々しい問題点が次々と明らかにされる。

更に、日本の下水道の問題、水質基準の問題を具体的に説明しながら、その背景にある大きな問題へとアプローチする。お得意の「リスク管理」という概念の説明をして、最後は、守るべき環境とは何か?という大きな問題に行き着く。

現場で長い期間、泥臭い戦いを続けてきた著者ならではの、痛烈な批判も随所に見られ、一貫して、行政に対するある種の怒りとか不信感のようなものが根底にあるようにも見える。果たして政府や行政のやっていることは、どの程度信頼できないのか? ならば一体誰を信じたら良いのか? それを見分ける目を養うのは相当に大変そうだ。

実は、中西準子のホームページで毎週更新される最近の雑感を読んでいても、行政に対する怒りはそんなに感じられない。この10年の内に、著者が丸くなったのか、それとも行政側が変わったのか?(省庁は再編されたし、随分情報公開もされるようになったのは事実だし。)

本書を読むと、事前に予想していた以上に「水道水は怖い」という印象を持つ。塩素消毒の効果を過信しては駄目で、ひたすら塩素を放り込む従来型の消毒では、トリハロメタン等の各種有機塩素化合物が、発がん性が問題となるレベルで含まれている可能性があるようだ。

一方で、話題となった「環境ホルモン」が本書には全く出てこない。それもそのはず、「奪われし未来」が日本で発売になったのが1997年9月であり、「環境ホルモン」が問題となったのは、今からわずか6~7年前の話だったのだ。時代の流れが早くて大変だ。

さて、では日本の水の現状は10年前からどう変わったのか? より悪くなっているのか?それとも少しは良くなってきているのか? 実はタイミングの良いことに、水道水の水質基準は最近改定され、この4月から施行される。水道課ホームページから、新しい水道水質基準等について

本書は、水問題を考える際の参考書として、多くの人に読まれているようで、影響力が大きい。従って、規制値も行政組織も変わった今、できることであれば、改訂版を出して欲しいと思う。著者の目からは新しい水質基準はどう見えるのか? 研究者に対しては、本書を参考にして、自分で調べて判断しなさい、と言えるだろうが、本書はあくまでも一般向けであるのだから。

ちなみに、著者のホームページから最近の水問題へのコメントを探すと、2003/02/18の雑感が見つかったが、今回の基準改定についてのコメントはみつからない。

本書はわずか二百数十ページの新書版にも関わらず、非常に中身が濃い本である。そのためか、消化不良というか、突っ込み不足の感がする部分もある。特に、水問題に限らず、地球規模から身近な地域にまで及ぶ、様々な環境問題を考える際に、どういうスタンスで何を規範とすればよいのか? というとても興味ある問題を提起してくれている。その意味からは、より広い視点から見た、環境問題全体を読み解く助けとなるような話が読みたい、と思う。

*本当に水道水は危険なのか? ということについては、実は別の最新の本を買ってあるので、それを読んで比較しながら考えてみたい。

*本書は「水の循環」をキーワードとしているが、それで思い出した、ちょっとしゃれた話。hirax.netから、私と二度めに出会う「水」。(このサイトの他のコンテンツも理科系にはお勧め)

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2004/02/23

古新聞の中から2800万円 誰のもの?

速報ベースのせいなのか、新聞によって全然ニュアンスが違ってくるニュース。

asahi.com(2/23)によると、

一万円札2800枚、回収古紙の中から発見 埼玉・草加
 23日午前9時45分ごろ、埼玉県草加市内で、古紙を回収した男性(60)が、ごみの中に一万円札2800枚が紛れ込んでいるのを見つけ、草加署に届け出た。
 調べでは、男性は同日午前9時ごろ、草加市内で回収したごみを、同県川口市の古紙回収問屋に運び、分別作業をしたところ、ポリ袋1袋に入った1万円札の束を発見したという。1万円札はちょうど2800枚。男性は午前4時半から同7時半にかけて草加市内三十数カ所で、一般住宅から出された新聞紙などの古紙を回収したという。
 草加署は、事件性がないと判断した場合、半年以内に持ち主が名乗り出なければ、現金は拾得者の所有になるとしている。 (02/23 19:57)
とのこと。へぇ、多分このお金は特別の事情があってのもの、持ち主は出てこないだろうなぁ、この男性ラッキーかもって感じ。

ところが、YOMIURI ON-LINE(2/23)によると、

 調べによると、男性は市の委託を受けていない業者で、この日の午前4時半から約3時間かけ、ワゴン車で走りながら、市指定の資源ゴミ集積所など市内三十数か所にあった古新聞紙をかき集め、埼玉県川口市の古紙回収問屋で分別作業をしていた際、現金入りの袋に気づいた。
 草加市では月2回、市内4業者に資源物の回収を委託しているが、仕事の都合などで夜間や未明に資源ごみを出す住民が後を絶たず、委託を受けていない業者が回収時間前に持ち去ってしまうケースが目立っていた。
 このため今後問題となるのは、落とし主が現れない場合の所有権。遺失物法によれば、所有者が半年間判明しない場合、盗品を除き、拾得者に所有権が発生する。今回の拾得者は回収業の男性だが、市では「警察の調べで紙幣が市の資源ゴミ集積所に置かれていたことが明らかになれば、当然、所有権を主張したい」としている。
という新たな事実が。。 そうか、市の資源ゴミ集積所に置かれていたものは、落し物じゃなくて、市の所有物ってわけか。もしかして、この男性にはお金が全く渡らないこともあるのかい? それどころか、下手すりゃ窃盗容疑かも? せっかく正直に届けた善意の人に対して、そんな殺生な仕打ちをしちゃうと、今後は誰も届出しなくなるんじゃないかい? お代官様ぁ~! そもそも委託を受けていない業者が持ち去るのが常態化していて、それを容認していたとすると、自分の都合の良い時にだけ権利を主張するのはいただけないよな。

2/25追記:その後の動きを2/25のブログにした。

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アクセシビリティ診断ツール

インターネットで、色々なページを見ていると、時々とても目が疲れたり、読むのに苦労するサイトがある。文字の大きさや色使いといったものは、サイトのデザインを大きく左右する要素なので、デザインする人の個性が反映されたものと言ってしまえばそれまでだが。視覚に関して特に問題のない人でも、時々そういうサイトに出会うくらいだから、障害を持つ人にとって見づらいサイトが沢山あるのは想像に難くない。そんな、サイトの「見やすさ」を評価するソフトが無料で手に入るということで、ちょっと試してみた。

ソフトを開発して提供しているのは、富士通でプレスリリースが出ている。要するに、ユニバーサルデザイン(年齢や身体的条件に関わらず誰でも使えることを最初から想定して、製品やサービス、空間をデザインすること)を目指しましょう。その一つとして、アクセシビリティ(環境、設備、機器、ソフトウェア、サービス等を障害者、高齢者等、様々な人々が利用しやすくしていこうという思想、及び、利用しやすさの度合い)を高めるための診断ツールを提供しますよ、ということらしい。

診断ツールは3種類あって、説明を読んでも、それぞれをどう使うのかが今一ピンと来なかったけど、とにかくダウンロードして使ってみた。

【ColorDoctor】
ウィンドウが左右にニ分割されており、左ウィンドウは通常の表示、右ウィンドウは色弱者にとっての見え方(グレースケール、第一色覚、第二色覚、第三色覚)で表示される。ブラウザモードを選べばチェックしたいページのURLを入れて表示させることができるし、透過モードとすれば、自分のPCのデスクトップ画面をそのまま表示可能。

左側の画面を操作すると、右側の画面もリアルタイムに変換表示されるので、面白い。健常者にとって、色弱の人たちに見えている世界が体験できるだけでなく、確かにこういうツールがあれば、気軽にチェックして改善しようという気になる。

試しに、昔検査で使ったチャート(石原表というらしい)の載ったページを表示させてみると、なるほどと納得である。そういえば、労働安全衛生規則が改正になるのでということで、以前来ていた職場の安全表示の色使いを見直してくれという通達もみつかったが、これも実際にこういうツールで見せられると納得できるというものだ。

【ColorSelector】
背景色と文字色の組み合わせが読みやすいかどうかを判定するツール。カラーパレットから、背景色と文字色をそれぞれ選んで判定してもらう。先のColorDoctorが、出来上がったデザインを後から診断するのに対して、こちらは作成時に色を選ぶ際に参考にするといった使い方かな?

【WebInspector】
サイトのURLやHTMLのファイル名を指定して、開始ボタンを押すと、チェック結果がファイルに出力される。このファイルには、改善した方が良い点を、項目ごとに整理して具体的に書き込まれている。

ちなみに、この「Do you thik for the future?」サイトを診断してみた結果、優先度1の問題点が3件、優先度2が何件か出てきた。例えば、優先度1の一つは「<html>にlang属性がありません」という指摘であり、もう一つは「タイトルバックのオレンジ色(#ff6600)と文字の黒(#000000)の組み合わせは、色覚特性(第一色覚-赤)の基準でコントラストが足りません」となっている。

そもそも、このサイトは@niftyのココログサービスのデフォルトデザインのうちの一つをそのまま使っていて、指摘の場所は全くいじっていないのになあ。。(しかも@niftyは富士通系だし、) 

ちなみに、優先度2の指摘は、リンクを開くときに新たなウィンドウで開く設定(target="_blank")はやめましょう、となっている。これは、好みの問題と思うけど、どうなんだろう?

最初インストールするのに、Java 2 PlatformとMicrosoft .NET Frameworkのインストールを要求されたりするので、多少面倒くさいけど、自分が情報発信する立場の人は、体験的にチェックしておくのは必要なことだと思う。むしろ、ホームページ作成ソフト等にこういった機能が標準装備されていても良さそうなものだが。(IBMのホームページを見ると、バリアフリーの扉のようにアクセシビリティは大きなテーマのようだけど、富士通とは違うアプローチなのかな? 同様なソフトは置いていないみたい。)

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2004/02/22

ネットで学ぶ防災知識

2/21の日経新聞夕刊の片隅に「ネットで学ぶ防災知識」という記事が載っていた。

総務省・消防庁はインターネットで災害時の心得や防災の基礎知識を習得できる「防災・危機管理e-カレッジ」を開講した。ホームページに接続すれば、事前の備えからいざという時の行動まで映像やクイズ形式で学ぶことができる。
ということで、行ってみました防災・危機管理 eカレッジ

「大地震を3日間生き延びる!」というクイズ形式の入門編から始まり、「災害の基礎知識コース」「災害への備えコース」「いざという時役立つ知識コース」「地域防災の実践コース」「災害時のボランティア活動の実践コース」の5コースからなる基礎編、地方公務員向けの3コース、そして地震・津波・火山・水害・土砂災害・市民防災・災害情報の7コースからなる専門編までのラインナップ。

地震大国日本で暮らすからには、基礎知識ぐらいは身に付けておいた方が良さそうだ、ということで、まずは「大地震を3日間生き延びる!」のクイズに挑戦して見た。全部で9つの質問に答えるクイズ形式、6問以上に正解するとスクリーンセーバーと壁紙がダウンロードできるらしい。最初に過去の大地震の動画映像と共に、地震災害の特徴や注意事項が流れ、その後クイズが始まる。問題はかなり初歩的なレベルで、まあ誰でも6問ぐらいは楽に正解するだろう。ちなみに僕は全問正解だった。正味20分ぐらいかかったけど、どちらかというと家族みんなで楽しみながら学びましょう、という使い方かな。これで物足りない人は、基礎編、専門編へと進んでくれ、ということみたい。

それにしても、この壁紙とスクリーンセーバーなんだけど、これを目当てにクイズに挑戦してみよう、という気にはならないと思うなあ。一体誰が、これを自分のパソコンの壁紙やスクリーンセーバーとして使うんだろう? 転載禁止ということで、ここには載せないけど。。(そうか、クイズに正解しないとどんなのが貰えるかわからないんだから、別にいいのかな。。)

インターネットとブロードバンドの普及によって、こういうプログラムが実効性を持つような時代になったということで、今後色々と新たな試みが出てくるだろうと思う。エンターテイメント系以外でも、こうしたeラーニング系も種類が増えてくれば、それなりに確実に需要はあると思われる。

ただ、一方的に流れる映像を見ているだけだと、TVとあまり変わりがないようだし、パソコンを使うからこその工夫がもう少し欲しいところ。個人個人でいつでも好きな時にできる、というメリットがある替わりに、学校での学習のようなある種の強制力がないので、継続できるような仕掛けとか、eラーニングならではの楽しみが必要だと思う。

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2004/02/21

続:放射線診断と発がん

2/10のブログで取り上げた、放射線診断による被曝が原因での発がんのニュースだが、最近このニュース関連のキーワードでここを訪ねてくれる方が意外と多いこと、ブログ記事に少し調べないと答えることのできないコメントがついたこと、そして元々もう少し調べてみようと思っていたこともあって、改めて元論文にじっくりと目を通し、更にあちこちのサイト探検をしてみた。かなり論文の内容に突っ込んだ記載になると思うので、ご勘弁を。

まず、もともとの新聞記事や論文に対するコメントで注目に値するものとしては、日本放射線技師会のコメント、及びNature BioNews Japanのニュース記事がある。更に、元のLancetの論文に付いたコメンタリーも見逃せない。

いずれも、発がん率の計算に用いる元データが広島・長崎の被曝者のデータを用いている点を問題としてあげている。問題点は、被曝量が何桁も違うデータを、低線量の診断被曝に使えるのか?という点と、原爆ではα線、β線、γ線が多量に放出されたのに対して、診断に用いるのは主としてX線であり、これを一緒に扱えるのかという点の二つあるようだ。(そもそも閾値なしの直線モデルでいいのかどうかも、まだ結論が出ていないらしいが。)

発がんリスクの考え方については、東京都予防医学協会の検診と放射線のページがとても充実していて、必見!! (実際のところ、このページの内容を理解すれば、それで十分のような気も。。)

発がん率の計算に必要なもう一つのデータが、放射線診断での被曝量。論文で使われたデータは入手できなかったが、似たようなデータは原子力関連で充実している。特に日本原子力研究所のデータベースが充実しており(やや古いが)、放射線検査数や被曝量としてはこんなデータが見つかった。論文で使っている1000人当たり1477回という診断回数は、人口を掛けると日本全体で年間1.86億回となるので、この表の歯科X線診断を除いた残り全部に相当する程度の回数となる。論文中でも、歯科X線は含まれていないようだ。

さて、日本のがん患者のうち3.2%は診断での放射線被曝が原因、という数値がどのように出てきたのか? 何とか頑張って、元論文を読んでみたけど、何となくわかったことと依然としてわからないことがある。

まず注意が必要なのは、この研究は、基礎となるデータといくつかの仮説をベースにして、複雑な計算をして出てきた数値を議論しているものだということ。実際の発がん患者の過去の被曝量を調べて、裏付けを取るような疫学的な側面は全く考慮されていないということである。(そういう調査は今までなされていないのかな?)

とは言え、(診断頻度/年・人)×(診断被曝量/回)×(発がん率/被曝量)というような、単純な関係で求めているのではなく、かなり複雑なことをしている。性別、年齢別、診断方法別、更には診断部位別の、放射線診断頻度と被曝量のデータを使用して計算しているし、更に、性別、年齢別、及び、がん種別の発がん率データと年齢ごとの生存率(1-死亡率)のデータも使っている。こうして各年齢までに生き残った人の部位別累積被曝量を求め、そこから年齢別の診断起因の(がん種別の)発がん数を計算する。そして実際の全発がん数との比率が求める答えとなる。(ように読めたんだけど、合ってるかな?)

(詳細な計算方法に興味のある方は、Appendixを参照して欲しい。)

求められた主要な国ごとの放射線診断回数(1000人あたり)と発がん率の関係は以下の通り。一番右の欄は、発がん率を一人当たりの年間診断回数で割った値。(普通にtableタグで表を作ると、何故か空白行が沢山できるみたい。tableタグを使わないと表がグチャグチャになるし。)









表1
ABC
Japan14773.22.2
UK4890.61.2
USA9620.90.9
Germany12541.51.2
Poland6410.60.9
Switzrland7501.01.3

A:放射線診断回数(回/1000人・年)
B:放射線診断起因発がん数/全発がん数(%)
C:B/A×1000(%/回/年)

確かに、日本は診断回数が多いので、それに起因する発がんも多いという結果が出るのはわかるのだが、それとは別に、国によって発がん率と診断回数の関係(C)が結構異なることに気付く。日本は、診断回数あたりの発がん率(C)も最も高いという結果になっている。これはどうしてだ? (診断回数と被曝量の関係は、今回はすべての国で同じ数値を用いているらしい。)逆にアメリカとポーランドが診断回数の割に発がん率が低い。

国ごとの発がん率の違いについては、論文中でも議論されていないし、誰も特にコメントしていないようなので、自分で考えるしかなさそうだ。計算の元となった数値や途中経過がほとんど出てないので、詳細はわからないが、以下の項目がヒントのような気がする。

・今回の研究は、あくまでも全発がんに対する診断由来発がんの比率を議論している。ベースとなる全発がん率(とその年齢分布)が国ごとに違うので、比率だけを議論するのはちょっと不十分ではないか?
・国によって、平均寿命や年齢別人口構成が違うので、その影響がありそう。

そこで、先の表を書き換えてみる。すなわち、診断由来発がん者数/全発がん患者数ではなく、診断由来発がん者数/全人口を診断回数と比較してみる。









表2
ADEF
Japan14770.600.4181.8
UK4890.120.2477.7
USA9620.200.2176.8
Germany12540.250.2077.8
Poland6410.080.1271.7
Switzrland7500.240.3279.8

A:放射線診断回数(回/1000人・年)
D:放射線起因発がん数/全人口(人/10000人)
E:D/A×1000
F:平均寿命(歳:男女平均値)

こうして見ると、日本は人口当たりの放射線診断起因の発がん数が、人口当たり(D)で見ても飛びぬけて多いことになる。また、診断回数当たり(E)で見ても、依然として最も高い。そして、どうやらここにあげた国の発がん率/診断回数(E)は、平均寿命(F)と結構高い相関が得られるように見える。少なくともこの計算方法で求める発がん率は、同じ放射線被曝量でも、人口構成や寿命が違うと変わってしまうわけで、もう少し突っ込んだ考察が必要な気がするなあ。

ところで、診断によって得られる利益については、この研究では全く考慮されていない。この研究と対をなす意味で、診断があることで救える命(延びる寿命)がどれだけあるのか?を検討する研究が必要だろうと思う。なお、同じ診断でも被曝量は相当にばらつき(方法、装置等の違い)があるようだし、実際に不必要な検査がなされている側面もあるようなので、この研究がそういう分野の議論を巻き起こすきっかけとなった点は評価される部分だと言えそうだ。

とりあえず、少し調べてみてわかったことは以上。というか、これ以上突っ込んだ話はちょっと無理かな。発がん率の絶対値の妥当性を議論する資料もないので、それは専門家にまかせよう。思った以上に込み入った話になってしまったけど、久々に論文を細かくチェックしてしまうことになったな。まあ、こんなのはblogで書くにはふさわしくなかったような。

*そうか、リスク・ベネフィットで議論するなら、発がん率ではなくて、損失余命に換算する必要があるのだろうな。そうすれば、検査で得られるベネフィットについても、獲得余命(という用語もありそうだ)に換算することで、同列で比較できる。どう数値化するかは議論がありそうだが。。

#妙に専門的な話にはなったけど、あくまでも医学については全くの素人のコメントです。もしも興味があれば、この内容を素直に信用せずに、原本に当たってください。間違いがあれば、指摘いただけるととてもありがたいです。

*本当は新聞社の報道姿勢等にも突っ込みたいところだが、長くなりすぎたので、別の機会に。

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2004/02/20

226回目の献血と金色有功章

今日(2/20)、相模大野献血ルームで血漿成分献血をしてきた。1/8以来ということになる。

今回は、右腕で検査、左腕から採血。検査の時に、うまく血管に入らなかったみたいで、やり直し(>_<)。まあ、検査用の細い針だからいいか。今回は実際の献血の時は、とても快調に血が出てくれたようで、良かった良かった。

今日のおみやげは、「手軽においしい炊き込みごはん 具入り無洗米 鮭ごはん」(1合パック×2袋)というのにした。(他の選択肢は、前回と同じトートバッグ、以前もらったペットボトルカバーだったし。)

で、うちに帰ってみたら、赤十字から郵パックが届いていて、開けてみたら「金色有功章」が出てきた。どんな奴かというと、これ。しかし、一体どういう条件を満たしたというので、貰えたのだろう? 

僕は随分昔から献血をしているので、表彰制度が変わる前に、「銀色有功章」(30回)、「金色有功章」(50回)、それに「功労盾」(100回)をいただいている。制度が変わってからの回数が50回になった時かなんかに「ガラス器(紫色)」を貰っている。金色有功章の表彰規定は

献血回数100回以上、但し、旧制度により銀色(30回)又は金色(50回)有功章を受章していない方にのみ、上記献血回数に達した場合、贈呈させていただきます。
となっているから、文面どおりに読むと、旧制度で金色有功章をもらっている場合には、この章はもらえないことになるんだが。。 しかも、新制度になってから100回になったとすると、それもまたおかしい。過去の献血記録を調べてみたら、新制度になったのは1995年4月、それ以降にした献血は今日を含めても、まだ75回。まあ、理由はともかく、くれと言ったわけでもないのに、勝手に(失礼)送ってきたのだから、ありがたくいただいておきます m(__)m

同封されている手紙には、「岡山県赤十字有効会ご入会について(ご案内)」とあり、会費3,000円/年を払えば、名誉ある(?)赤十字有効会に入れてくれるらしいが、会則を読んでも何をしているのか、よくわからないし、当然のように無視。。

*そう言えば、岡山県の赤十字からは、2001年8月に「献血運動推進協力者」として表彰してもらい、記念にカシオの電子辞書(XD-E55)を貰ったな。あれは何でだったかな?

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2004/02/19

コスモ石油のCO2排出権ビジネス

まずは、今日(2/19)の化学工業日報ニュース

コスモ石油、CO2排出権をHPで一般販売へ
 コスモ石油は18日、豪州での植林支援によって得た排出権を、「二酸化炭素吸収証書」としてホームページで販売開始したと発表した。これまで講演会などの場で一部販売していたが、不特定多数の個人を対象とした排出権の販売は、日本で初の試みとなる。同社は地球温暖化防止をユーザーとともに考え、環境保全に対する意識の高まりを狙う。
価格は、二酸化炭素1トン当たり500円とのこと。そういえば、二酸化炭素排出権のニュースについては数日前にも見たなと思って探したら、これもコスモ石油だった。

2/17のNikkei BP BizTech

コスモ石油、「フォーミュラ・ニッポン」にCO2排出権を提供
 コスモ石油は、3月27~28日から開催される今シーズンの「フォーミュラ・ニッポン」のレース全戦に渡って、二酸化炭素(CO2)の「排出権」を提供する。
 コスモ石油は地球温暖化防止に向けた取り組みの1つとして、2001年より、オーストラリアでユーカリの植林支援を行っている。また、この森が吸収したCO2を専門機関に測定、検証してもらい、排出権として取得している。
 環境省の調べでは、「フォーミュラ・ニッポン」の1レースで全マシンが排出するCO2合計量は5.2tに相当する。コスモ石油はレースでのガソリン使用分に相当するCO2を排出権によって吸収することで、モータースポーツファンを中心に、地球温暖化に関する認知と環境保全意識を訴求していく考え
最初見たときは、太っ腹だと思ったけど、500円/トン-CO2で換算すると、5.2*9*500=23,400円にしかならないのか。

コスモ石油のニュースリリースは、それぞれ、個人販売フォーミュラ・ニッポン。また、二酸化炭素排出権販売の詳細については、こちらがくわしい。今回の場合には、コスモ石油が出したお金で、オーストラリアに新たにユーカリの木を植林し、その木が生長していく過程で大気中のCO2が(光合成による炭酸同化作用で)固定され、それだけ大気中のCO2が減少する、と考えればよいだろう。

この資料によると、オーストラリアから購入したCO2排出権は、280万トン-CO2に対して100万豪ドル(約8000万円)だから、単価は30円/トン-CO2弱か。思ったより安いんだね。(例えば今導入を検討されている炭素税なんかだと、炭素1トン排出あたりで数千円~数万円という所だった筈)

で、この権利を環境意識の高い人たちに500円/トン-CO2で購入してもらい、その収入で様々な環境貢献事業をやろう、という仕組みのようだ。ということは、オーストラリアに植林して大気中のCO2を減らすだけでなく、更に環境に貢献する事業を進めることができるわけだ。

CO2排出権については、いわゆる京都議定書の中で取り決められたルールだけれど、今のところは、アメリカの離脱やロシアの態度保留で、京都議定書が有効になってない(発効していない)。従って、コスモ石油にとっても現時点ではオーストラリアからCO2排出権を購入したからといって、直接のメリットはないだろう。しかし必ずや近い将来には必要な権利だろうから、今のうちに実績やノウハウを作っておきたいし、同時にこのように環境を意識している企業姿勢のPRもできるし、更に実際に地球環境に貢献する事業も推進される。一石三鳥か? うーん、考えたなあというか、こういう仕組みで、どれだけ多くの人が賛同してCO2排出権を買ってくれるかだな。

別にコスモ石油の宣伝をするつもりはないけど、この一連の事業は、なかなか面白いアイデアだし、好感が持てると思う。このケースがうまくいくようだと、他の会社にも同様の動きが起こるかもしれない。僕も一口購入してみようかな。(日本のCO2総排出量 約12億トン/年を人口で単純に割ると、一人当たりの排出量は約10トン/年・人となる。いわゆる家庭生活から出る分は、その1割強と言われているので、1トンのCO2排出権の購入というのは何となくリーズナブルかも。。)

*2/26追記 実際にCO2排出権を購入してみた。続きはこちら

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『「食べもの神話」の落とし穴』

以前から、「おもいっきりテレビ」や「発掘あるある大事典」等のTV番組で、或いは様々な雑誌の特集で、次から次へと新しい「健康法」や「健康食品」が紹介されている。一部の良識ある人々や批判的な精神を持っている人々からは、色々と問題視されているが、肝心のTV局側は全く反省する様子もないようだ。

批判的なサイトとしては、ちょっと毒がありすぎるかもしれないけれど発掘?あるあるトンデモ大実験が代表的。ここでは、これらの番組のおかしな部分をおちょくりつつも、理論的に批判しているし、中々参考になる切り口を見せてくれる。

健康と食品の関係等については、一度まとまった形で知識を得ておきたいと思っていたので、迷わず購入。

講談社ブルーバックス B-1418
「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム
 高橋 久仁子 著 bk1amazon

フードファディズム(food faddism)という言葉は、この本で初めて知った。「食べものや栄養が健康や病気に及ぼす影響を過大に評価すること」らしい。

先に読んだシュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」にも似たような話は出てくるので、必ずしも日本人だけの特徴ではないのだろうけど、本当に何でこうも次から次と新しい話に食いついちゃうのだろう? 古いところでは「紅茶きのこ」を始めとして、今にして思えば、いつの間にか衰退していった、食や健康にまつわる流行は数知れない。もしも決定打があったのなら、それでみんなが健康になり、もう他の健康法や健康食品は不要になっている筈なのにね。本当に懲りない人たちだ。

もう一つ重要なのは、こういう健康ものが流行する時には、必ず「キーワード」となるそれらしい専門用語がついてまわるということかな。古くは「アルカリ食品」あたりから始まって、「食物繊維」や「ポリフェノール」、「フラボノイド」だとか。でも、一体どれだけの人達が、これらの用語の意味やその働きを、理解しているのだろう? そもそもこれらの用語をどこで覚えたかというと、マスコミ報道やメーカーの宣伝からというのがほとんどだろう。そういう情報ソースがどの程度信用に足りるものか、一度疑ってかかった方が良いんじゃないだろうか?

まあでも、「からだに悪い」と言われたものを平気で口にするのは怖いし、「良い」と言われたものなら食べてみたくなる、それが人情ってのも事実。

本書は、巷に流行する数々の健康知識がどの程度信用できるものかを丁寧に検証している。それこそ、どこかで聞いたような食品にまつわるウワサを次々と検証していて、とってもためになる。あまり難しく考えずに、項目ごとにパラパラ眺めるだけでも、今まで自分が信じていたことが、如何に怪しい話だったかがわかって、かなり楽しめるんじゃないだろうか。

この本に書いてあることを信じるのか、それとも従来からのTVや雑誌の情報を信じるのか? それは各自が判断することだが、それ以前に多くの人はこの本のようなまとまった良質の情報に接する機会さえないのが現状だ。この本の内容等をベースにしたバラエティ番組をうまく作れば、かなり新鮮味があって目からウロコの快感も得られるから、それなりにヒットすると思うのだが。「対決! 発掘あるある大事典 vs. 食べもの神話の落とし穴」なんて番組、いかがですかねぇ。

また、近頃よく聞く「特定保健食品」とか「保健機能食品」や「栄養機能食品」といった言葉の意味やその違い、食品の表示の読み方といった、知ってるのと知らないのとでは大違いの内容にも触れられている。極端なケースでは、消費者の無知をいいことに、法律の隙間を突いたようなきわどい商売も成り立つ業界のようだし、勉強しておくに越したことはない。

本書の最後では、非常に質素だけどやたらと品数の多い三食分の「理想的な献立」を紹介してくれている。質素といいながら、こんなに多くの食材を少しずつ使った食事をしようと思うと、今の世の中、かえって贅沢と言えるかもしれない。

まあともかくも、健康を維持するには、バランス良く、好き嫌いせずに、数多くの食品を、栄養オーバーにならないように食べることが重要らしい。ついでに言えば、色んな情報に振り回されて、健康に気を使いすぎるのも良くないようだ。難しいよな。。

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2004/02/18

ボスプレッソ買ってきた

この数日、「ボスプレッソ」とか「bosspresso」というキーワードで、このサイトを訪ねてくれる方が急増しているので、何でだろうと考えてみたら、1/23のブログで紹介した、サントリーの新製品「ボスプレッソ」がついに昨日(2/17)に発売になったことが原因のようだ。

ということで、紹介した責任上(?)コンビニに行って買ってきた。「ボスプレッソ」は缶の形に特徴があるので、すぐに見つかったのだが、なんと「ボスプレッソ」の隣には、すごーく良く似た形の「紅茶花伝」が並んでいて、どう見てもこの二つ同じ形だぞ! 紅茶花伝はコカ・コーラ社で、ボスプレッソはサントリー社なのになあ。

PICT0100.jpg

左から、紅茶花伝(190g:130円)、ボスプレッソ(190g:124円)、従来から売っているボス(190g:115円)(いずれも税前の値段) 見た目は少し細めに見えるけど、実は胴体部分の太さは今までの缶とぴったり同じ。

調べてみたら、ちょっと業界向けだけど、東洋製罐のプレスリリース写真を発見。(広口のメリットがあるのはわかるけど、どこが地球環境にやさしいのかが今一わからない。誰と何処を比べた結果、どう地球にやさしいのだろうか?)

さすがにサントリーは頑張っていて、ボスのページのオープニングも派手にボスプレッソの宣伝してるし、製品ラインナップからボスプレッソを選んで詳細を見ると、製法や容器の特徴もしっかり書かれている。なかなか、サントリーさん気合入ってます。(それなのにGoogleで「ボスプレッソ」と入れたり、「Bosspresso」と入れると、うちのページがトップに来てしまうのね。目の上のたんこぶだろうなぁ、申し訳ありません m(__)m )

一方、コカ・コーラのサイトに行って、製品情報を探してみたけど、紅茶花伝のところには、この新製品(エキストラ リッチ バニラ・ミルクティー)の事は何も出てないぞ。ようやく、ニュースリリースから、探しだしたのがこれ。更にファミマ限定で、ジョージアのバニラクリーミーカフェというのが同じ容器で発売のようだ。どちらもボスプレッソと同じ2/17発売だ。ジョージアの写真はこちら参照。

紅茶花伝のリリースに書いてあるけど、このボトル、スチール缶だけど胴体部分には、やや厚めの断熱フィルムが巻いてあり、ホットでも持ちやすく工夫されている。これはグッドかも。ボスプレッソもたぶん同じ。

で、飲んでみた感想。確かに広口なので、飲みやすい。その代わりにすぐに飲み干してしまいそうだな。味? コーヒーはもっぱらブラック・無糖で飲む人なので、クリーム・砂糖入りはよくわからない。(甘みは相当抑えられてるし、おいしいと思うけど、値段差10円分の価値があるかどうかは、個人差があるし。。)

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「常識の壁」

帯には『養老孟司先生と「バカの壁」の話をしていて、もう一つある大きな壁「常識の壁」に気がついた。』とある。著者は、現役の毎日新聞論説委員長、ということで、何となく柳の下のドジョウ狙いだろうな、という嫌な予感を持ちつつも、ついつい買ってしまった。

中公新書ラクレ 118
 常識の壁
 菊池 哲郎 著 bk1amazon

何とコメントしようか、とても困ってしまう本だ。正直に言うと、到底大新聞の現役論説委員が書くような話とは思えない、荒唐無稽な思いつきが満載された、何だか変わった本である。常識を疑え!というコンセプトはとても正しいと思う。でも、きちんとした裏付けが全くなくて、まるで飲み屋での与太話のようなノリで書かれているので、読みやすい代わりに、この本の内容に期待して買ってしまった自分が段々悲しくなってくる。

ということで、本当は余り多くをコメントしたくないのだが、具体的に指摘しないのは、やはりフェアじゃないと思うので、いくつか。

まず、サマータイムを導入しようという提案、これ自体は普通のアイデアだが、この人のすごい所は、サマータイムでは1時間ではなく3時間早めよう、というのだ。何故サマータイムを導入しようというのかという理由がまたすごい。今の日本に欲しい最大のものは気分一新で、それにはスカッと何もかも変わってしまうものが欲しい、それはサマータイムしかない、しかもほとんど無料でできる、とおっしゃる。

今の世の中、サマータイムを導入しようとしたら、どれだけのコンピュータプログラムや社会の仕組み(鉄道ダイヤだとか)に影響が出るのか? これはこれですごい特需という気がするぐらい、手間と金が掛かりそうだけどねえ。

で、サマータイムで新たに生まれた夏の暑い午後の3時間をどうするか?といえば、さすがにサラリーマンも毎日飲んで遊んでばかりもいられず、家に帰って家族と有意義に過ごしたり、世の中のことを考えたり、生き方が変わるだろう、と言うのだが、何言ってんだか? だって睡眠時間を削らない限りは、外が明るかろうが暗かろうが、起きてる時間は一緒なんだし、どこから有意義な時間が生まれるてくるのでしょう? 

次は、日本からノーベル賞は90人くらい出てもいいのだ、という提案。何故かというと、半導体を始めとして世の中を便利にしたのは日本じゃないか、日本人は謙虚だったり、お互いに足を引っ張ったりしてるから、賞がもらえないんだ、とおっしゃる。どこに根拠があるのやら。おまけに、日本人には創造性だってあることの例として、普通の女の子が3年でマラソン世界一になったのは、能力の引き出し方が上手だからだという。おいおい、高橋尚子さんはどうみても普通の女の子じゃないと思うし、それと創造性とどう結びつくんだ? 最後は、テニスから歌、そしてオノ・ヨーコまで、多様な分野で世界一流になる人が日本女性に多いのも、女性の方が没頭できる環境があるからだ、ってどういうデータを元にしているのか、単なる思い付きとしか思えないけど?

極めつけは、日本の国をそっくり民営化しましょう、という提案。現在、日本の財政は税金半分と借金半分で成り立っていて、このままいけばどんどん借金が増えるばかり。いっそのこと、税金はやめて、有料サービスと国民の投資で国を運営する方式にしてしまえ、とおっしゃる。余りに途方もない提案なので、まともに反論もできないが、そんな運営が可能とは到底思えない。だって、誰がそんな赤字の国に投資するんだ? 

本書は、全編こんな調子で、具体的な根拠を全くあげずに、著者の思いつきで、どんどん話が展開していく。確かに、著者は長年この国の様々な問題点を見て、色々と考えてきた方なので、さすがに問題意識は鋭いと思う。だから、みんなの常識に凝り固まった考え方に一石を投じるという意味では、本書をきっかけとして何がしかの議論が起これば、確かに結構なことだとは思う。しかし、新聞社の論説委員長という立場を考えると、余りにもお粗末では? もっときちんとしたデータを元に、緻密な論理展開をしなくては、誰も本気で議論を起こしてくれないでしょう。それとも、実はそんな事は全部わかった上で、確信犯的に荒唐無稽な提案をしてるのだろうか??

ということで、随分批判的な書き方をしてしまったけど、どうやら僕には常識の壁を越えられなかったということかもしれない。皆さんは挑戦してみる?

*ちょっと検索してみたら、本書の第二章がほぼ全部Webで読めることがわかった。これ(8/24:リンク先変更)を読んでから買うかどうか考えればよかったな。

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2004/02/17

抗生物質使うと乳がんに?

2/11のブログで、「社会調査のウソ」という本を紹介したが、正にこの本のサンプルになりそうな記事じゃなかろうか? もっともこちらは社会調査というか医学論文なんだけど。

asahi.com (2/17)の記事によると、

乳がんリスク、抗生物質の頻用で2倍に 米研究チーム 抗生物質を頻繁に使う女性は、そうでない女性に比べ乳がんになるリスクが最大2倍を超えるという大規模な調査の結果を、米ワシントン大などの研究チームがまとめた。米医師会誌18日号で発表する。理由はよく分かっていないが、抗生物質の乱用に警鐘を鳴らす結果といえそうだ。
 米ワシントン州のがん検診のデータを利用し、乳がんが見つかった2266人と、乳がんではなかった7953人について、過去の処方記録などから抗生物質の使用頻度を調べた。
 抗生物質の使用経験がある女性を使用日数ごとに分け、未使用の女性と比べると、乳がんのリスクは1.45倍(1~50日使用)~2.14倍(501~1000日使用)になっていた。使用頻度が高かった人ほど、乳がんによる死亡率も高い傾向があった。
 抗生物質が、腸内細菌に悪影響を及ぼして有害物質が体内に吸収されやすくなったり、免疫系のバランスを崩してがんが抑えられなくなったりすることが考えられるという。
 研究チームは「抗生物質が、必ずしも必要でない場合まで使われるのは気がかりだ」と指摘し、それをやめれば、乳がんの一部は防げるかもしれないとしている。
なんだそうだ。。

これって、もちろんそういうことかも知れないけど、まず疑うべきことは原因と結果が逆になってないか?ということじゃないだろうか?? だって、以前から何らかの自覚症状があったり、別の病気やがん等の治療で抗生物質を処方されていた人が、後日乳がんになった、という可能性は排除されているのか? 或いは、抗生物質を今まで使用してなかった人は、一般的に健康な人だし、がんになりにくい可能性も高そうだよね。いずれにしても、抗生物質が直接がんの原因となっている証明にはなっていないように読めるけどなあ。

まあ、権威ある雑誌に掲載されるのであれば、まさかそんなに初歩的な相関関係と因果関係の読み間違いなんてことはないとは思うけど。。 

いつまでリンクが有効かわからないけど、Google Newsでみつけた向こうの国の記事。Mercury Newsとか、San Fransisco Chronicleなど。

向こうの記事だと、

``The study talks about an association, but it's very clear that it's not showing cause and effect,'' said Rebecca Garcia, vice president of health sciences for the Susan G. Komen Breast Cancer Foundation, a group that drives research and patient support efforts. ``We still don't have a lot of answers right now as to what causes breast cancer.''
なんて記載もちゃんと書いてあるじゃん。

それにしても、健康な(女の)人が、ちょっとした炎症で抗生物質を使うべきかどうか?というのはこのままだと確かに悩ましいよね。これもまた、リスクが漠然とした、リスク&ベネフィット問題だな。

*2/22追記
CNN.co.jp(2/22)に同様の記事が載った。朝日の記事になかった内容の部分のみ引用しておく。

研究論文の解説を執筆したピッツバーグ大学のロバート・ネス博士は「これまでに分かっている中で、最も強力な危険要因だ」と強調する。更年期障害などの治療で女性ホルモンを投与する「ホルモン補充療法」により、乳がんの発症が30~40%前後増えるとの報告もあるが、今回のデータはこれをはるかに上回る。
抗生物質と乳がん発症の関連については、1999年にフィンランドの研究チームが、約1万人の女性を対象にした研究で同様の結果を報告している。では、これほど強い関連が生じるのはなぜか。抗生物質を使ったことのない女性はもともと健康状態が良好で、がんにかかりにくいとの説もある。抗生物質を使う理由となった病気そのものが、がん発症につながったのかもしれない。あるいは、抗生物質が小腸内の細菌群のバランスを崩したり、免疫システムに影響を与えたりして、がんへの抵抗力を弱めてしまうことも考えられるという。共同チームは「関連の仕組みを理解するためには、さらに研究を続ける必要がある」と述べている。
この研究の評価はまだ割れているんだけど、本当に因果関係があるとすると大変だから、研究を続けましょうというコメント。だとすると、大新聞が断定的な内容の記事にするべきではないと思うけど。CNNの記事では、一応賛否両論併記だから良いけど、朝日の場合には、まるで確定した事実のように報じてるのが問題だろうな。

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書評の信頼性

このブログでも、読んだ本の書評もどきも書いている一方で、bk1やamazonへもリンクするようにしている。これは、その本についての情報(出版日、価格、ISBNナンバー等)や僕以外の人のコメント等も参考にして欲しいからなんだけど、今日(2/17)のCNN.co.jpにこんなニュースが載った。

アマゾン書評、自作自演が発覚 カナダ
ニューヨーク──書籍のインターネット販売最大手アマゾン・ドット・コムのカナダ版で近ごろ、書評欄に書き込んだ人々の個人情報が表示されるシステム障害が生じた。アマゾン側は利用者からの連絡を受けて不具合を修正したが、このシステム障害の結果、多くの著者が自身の著作に対して好意的な書評を書き込んでいることが発覚した。14日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

1963年の小説「夜の都会」などで有名な米国人作家ジョン・レチー氏も、書評の「自作自演」が発覚した1人。レチー氏は新刊「The Life and Adventures of Lyle Clemens」の書評に、匿名で最高ランクの「五つ星」をつけたことを認めている。

アマゾンの書評欄は、個人情報を出さずに書き込めるシステムになっている。個人情報が表示されてしまたことについて、アマゾンの広報担当者は「今回生じた障害は不運な事故だった。今後はこういったことが生じないように対処する」としている。


まあ、匿名で誰でも書き込めるシステムなんだから、匿名で自分の本を高く評価するなんて、最初から予想される範囲内のように思えるけどね。

ソースはニューヨークタイムズということで、本家ニュースはこちら(無料登録が必要)。結構長い記事で、CNNに出てこない他の例がいくつか出ているが、多くの知人に依頼して高い評価を記入してもらうケースとか、逆にライバルの本を酷評するとか。どちらかというと、そういう水面下の色んな行動をスキャンダル的に楽しんでいるようなニュアンスの記事みたいだ。

考えてみると、インターネットの匿名掲示板と似たような部分があるのだから、見る側が書かれている情報をどう判断するのか? ということが重要だっていう当たり前のことなんだけど。ちなみに、匿名掲示板の2chではこんなことは以前から常識になってる罠。アマゾン総合スレ part3アマゾン書評、自作自演が発覚 カナダなど。

たまに、著者が自らコメント書いているのもみかけるけど、そういうのを見つけると何となくうれしくなる。逆にわざわざ匿名で高い評価を書くってのは浅ましいというか、そんなに評判が気になるかなあ? 大体からして客側はそんなに書評を信用してるのだろうか? 確かにそれなりに参考にはなるけどね。

今後システム側でチェックを厳しくしようとしても限界はあるし、やっぱり見る側が判断する能力を高めていくべき。(書評に限らず、ネットから入手するあらゆる情報についてだけど。)今はここのブログのように、いろんなサイトで多くの人が独自に読んだ本にコメントをつけているから、そちらを検索して情報を得る方法が今後の主力になるかも。(そのサイトの他の記事まで読めば、ある程度は信頼性が推定可能?)

ちなみにレビュー投稿のルールはこんな内容。日本と向こうでは若干違うのかもしれないけど。

*本家アメリカのAmazon.comでは、レビューする際に匿名の場合は、"a reader from New York"のように都市名を書くのが慣例になってるみたいだ。

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2004/02/16

ベンタエアウォッシャーのその後

1/31のブログに書いた「ベンタ エアウォッシャー LW14」だが、使用開始から2週間が過ぎ、取説によると、水の交換とハイジェン液の交換、及びハウジングの清掃をする時期となった。

確かに、水の中に汚れが貯まる方式なので、水はやや汚くなっていたが、それよりも目立ったのは空間部の汚れ。下部ハウジングの水面より上の部分や、上部のファンの羽などが、黄色っぽい油の様なものでベタッと汚れている。何だ、これは??

部屋の汚れ成分が付着した可能性もあるが、ちょっと考えにくいな。ハイジェン液由来ではないのか? でもハイジェン液はライトブルーのサラッとした液なので、こんなベタベタの黄色い汚れとは無縁のようにも見える。

それにしても、この装置、工具も使わずに簡単にバラバラにできるので、掃除がとっても楽チン。何十枚もの円盤が束になっているローラーディスクだけは、狭い隙間の中までこすって洗うことはできないけれど、それ以外はとてもすっきりと洗える。この辺がドイツ製らしいところ。

PICT0097.jpg

さて、今回はハイジェン液の替わりに、家庭用の洗剤を使ってみることにした。ハイジェン液は1回で50mlを使用するが、500ml瓶で4,000~5,000円もするようだ。効能は、水垢付着防止、臭いの発生防止、ローラーディスク上への水膜形成、といったものらしいが、これらは普通の界面活性剤でほとんど達成できそうだ。

そこで、最初に台所用の洗剤(ジョイ)を少量入れてみた。ところが、これが泡が出るわ出るわで、あっと言う間に泡だらけとなり、このままではシャボン玉製造機になりそうだったので、慌てて停止。

次に試したのは洗濯用の柔軟剤(ハミング)、これも立派な界面活性剤だ。今度はそれほど泡立つことも無く、順調に運転開始。難を言えば「フローラルの香り」が部屋に充満しちゃうこと。自分の好みの香りを選ぶか、無臭のものを使った方が良いみたいだ。

これで2週間程度運転してみて、汚れ具合等をチェックしてみることにしよう。

*ウチでは、この2週間ほとんど24時間連続、スイッチ1(弱)で運転してきた。当初気になった運転音はなじんできたのか慣れたのか、気にならなくなったが、さすがにスイッチ2(強)は依然として強烈な音で、とても運転する気にはなれない。

*水分補給は大体2日に1回、3~4リッター位。蒸発能力としては、60~80cc/hr程度となる(一番小型のLW14型)。部屋の湿度や温度にもよるので一概には言えないが、加湿器としての加湿能力は、他の方式と比べて小さいと言わざるを得ないな。

3/4追記 ハミングを入れてから約2週間後の状況を3/3のブログでレポートした。

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2004/02/15

「化学物質過敏症」最新情報

「化学物質過敏症」という言葉を聞いたことがあるだろうか? どこかのTVニュースで結構大きく取り扱っていたような記憶もある。たまたま1年半位前に、本屋で見つけた

文春新書 230
 化学物質過敏症
 柳沢 幸雄、石川 哲、宮田 幹夫 著 bk1amazon

を読んで、正直驚いた。こんな病気があるのか?! 化学会社に長年勤め、その間研究に携わってきたので、自分でも様々な薬品や「化学物質」に触れてきたし、長年触れてきた多くの人たちも見てきた。その経験からして、この本に書かれているような、超低濃度の、多種多様な物質への曝露で、通常の日常生活を送ることが全く不可能になるような、そんな悲惨な症状になるとは、直感的には納得できなかったし、どう考えるべきか、しばらく情報集めをしたりしていた。

ちなみに、最近話題になる「シックハウス症候群」というのは、ホルムアルデヒド等の特定の物質が原因で起こることが明らかとなっている症状であり、ここで言う「化学物質過敏症」というものとは明確に区別されるべきものだと考える。

さて、環境省が2/13に「本態性多種化学物質過敏状態の調査研究報告書」という資料を発表した。この長ったらしい名前は、よく見ると「症候群」でも「過敏症」でもなく、「状態」となっている。要するに、ちまたで問題になっている「症状」は本当にあるのか?という調査である。なお、「本態性」とは原因不明という意味だとのことで、なかなか微妙な表現を選んで使っているみたいだ。過去分の報告書はこちら

興味のある方は、調査報告の詳細を読んでもらいたいが、結論だけを引用すると、

 これらの結果から、今回の二重盲検法による低濃度曝露研究では、ごく微量(指針値の半分以下)のホルムアルデヒドの曝露と被験者の症状誘発との間に関連は見出せなかった。
となっている。3年間掛けて、かなり念入りに行った、極めて「科学的」な研究の結果、いわゆる「過敏症」といわれる有意な症状は認められなかったということだ。

調査対象は、実際に従来の所見で「過敏症」と診断された人なので、全部で38名とサンプル数が少ないのが弱みかとは思うが、今まで因果関係が必ずしも明確ではないのに「化学物質」が原因とされてきた症状について、とりあえずは相関関係も認められなかったというのが現時点での公式見解ということになる。

実は、この調査のメンバーを見ると、先に紹介した本の著者である、宮田先生を始め、「化学物質過敏症」を広める役目をした北里研究所のメンバーが多数含まれている。おまけにこの調査研究は北里研究所の施設を使って行われたとある。ということは、同じ施設で同じ患者さんを相手にした調査で、方法が異なった(二重盲検の有無等)だけで、結論が異なったということになるのかな?

「化学物質過敏症」関連については、何と言っても「進化論と創造論」のサイトにある化学物質過敏症に関する覚え書きが信頼できる情報が充実していて必見。

誤解のないように付け加えると、決してこの症状の存在そのもの(や患者さんの苦痛)を否定するものではなく、その症状の原因が、不特定の多種類の超微量化学物質への曝露だと判断するべきではない、ということである。

一方、マウスを用いた動物実験では何らかの異常が観察されたようだが、詳細が明らかとなっておらず、今後の課題という位置付けのようだ。(ちなみに平成13年報告では、低濃度では影響なしとなっている。)

「化学物質過敏症」の存在を肯定的に捉えている団体化学物質過敏症支援センターのサイトも紹介する。シックハウスと区別せずに、同根であるというスタンスのようだ。今回の環境省の調査報告をどのように取り扱うのか興味のあるところ。

*何故か、環境省が調査結果を発表したというこのニュース、全然報道されない。所詮センセーショナルな結果が出ないとニュースバリューがないのだろうが、普通の人は環境省のサイトの新着情報なんかウォッチしてないからなあ。唯一、環境ニュースというサイト(EICネット)で報道された。

結局「化学物質過敏症」という怖い病気が広まってますよ、という恐怖報道のみが行われ、みんなの記憶に刻まれてしまい、それに対してネガティブな研究成果は誰にも届かないということだ。環境ホルモン騒ぎと似ている流れだ。

*化学屋から見ると「化学物質過敏症」なんて名前を付けるセンスが既におかしい。じゃあ酸素は? 窒素は? 水は? 化学物質じゃない物質って何なんだ??

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2004/02/14

ソニーの植物原料樹脂

1/26のブログでNECのバイオプラスチックのことを書いたので、2/13の日経新聞に載っていたSONYの植物原料樹脂のニュースも書かなきゃ不公平になる。

植物原料樹脂 難燃性を向上 ソニー・三菱樹脂
ソニーは三菱樹脂と共同で、植物を原料とするプラスチックの難燃性を高める技術を開発した。植物原料プラスチックは石油を使わず、土中の微生物が分解するため環境への負荷が小さいが、難燃性に課題があり用途が限られていた。
 難燃剤として無機系の水酸化アルミニウムを使用する。欧州連合(EU)の有害化学物質規制に適合。米民間機関が定める難燃性の規格で「V-2」と呼ばれる基準も満たしており、コンセントをつないで使うAV(音響・映像)機器、ゲーム機などに使用可能になった。

ソニーのプレスリリースを見ると、ポリ乳酸ベースの樹脂であることがわかる。(NECと一緒の樹脂ですね。)こちらには無機系難燃剤を使用としか書かれていないので、水酸化アルミニウムというのは日経の独自取材かな?

日経の記事もSONYのプレスリリースも、植物原料樹脂採用のポイントとして、再生可能性と生分解性という二つのキーワードをあげている。生分解性って本当に意味あるのか、どうもピンとこないけど。

NECのプレスリリースと比べてみると、難燃性のレベルはNECが最高の「5V」に対して、SONYは一番下のレベルの「V-2」であることがわかる。SONYのDVDプレーヤーに対しNECがパソコンやテレビということで、要求される難燃性レベルに多少の違いはあるのかもしれないが、今回の樹脂については、NECの方が性能が上かな?(あくまでも難燃性だけ。コストやその他の性能等は不明。)

それにしても、NECは「バイオプラスチック」でSONYは「植物原料プラスチック」と用語が違うのも困ったもの。これでは一般顧客は違うものだと思ってしまう。用語統一は化学業界の仕事かな? 更に言えば、普通はABS、ポリカ、PET、ナイロン等の樹脂名で呼んでるのだから、ポリ乳酸(PLA)という名前をもっと積極的に普及させてもいいのでは。NECの記事もSONYの記事も、プレスリリースにはポリ乳酸と書いてあるけど、新聞記事には出てないしね。

*三菱樹脂のホームページも見に行ったが、本件に関するニュースは今のところは無し。三菱樹脂はまだましな方だと思うけど、個人顧客を直接相手にしている家電業界と比べて、化学関係の会社はホームページの作り方というか情報の取り扱いがまだまだ下手だね。専門用語だらけのニュースリリースは時々載るけど、簡単な解説や役立つリンクなんてものは滅多に見られない。(もともと一般大衆向けではなく、関連業界向けのニュースリリースという認識なんだな。)世の中の人々の化学物質への不安や疑問を解消していくことが、自分たちの事業にプラスになることを考えるべきだし、製品宣伝と社会貢献を兼ねて、情報・知識をもっと積極的に供給することに目覚めても良いと思うけどね。

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2004/02/13

ボツリヌス菌の密輸?

しわとり治療として、ボツリヌス毒素を注射する方法があるなんて話は知らなかったので、ちょっとメモ。この前、リシンの事を記事にしたし。

asahi.com (2/13)

猛毒ボツリヌス菌、美容用に密輸が増加 成田空港
 ボツリヌス菌を無許可で持ち込もうとして、成田空港でストップされるケースが増えている。昨年7月には香港から持ち込もうとした日本人男性が関税法違反(密輸)容疑で摘発された。
 生物兵器にもなり、感染した場合の致死率は20%と言われるが、摘発されているのは毒素を弱めた製剤で、シワをとる「ボツリヌス菌注射」用として利用される。
 美容外科では1回、数万円。安い製剤をアジアなどから密輸しようとするらしい。税関は「業者に処理を頼んでも『菌が生きているかもしれない』と引き取ってくれない」。 (02/13 02:42)

さて、このしわとり治療とはどんなものか、というと、食中毒で有名なボツリヌス菌の産生する強力なボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)を皮下注射することで、筋肉を麻痺させることでしわができないようにしてしまう治療法のようだ。その他にも発汗を抑える治療にも使うようだし、頭痛を抑える効果もあるなんて話も出ている。

もともとは顔面のけいれんの治療に使われたのが、しわとりに発展したようで、アメリカではポピュラーなようだ。きれいねネット・コラムのお医者さんの記事や、顔面けいれん治療の説明なんかを読むと、やはり副作用が怖そうだ。それでもネットを検索すると山ほど情報が出てくるところを見ると、日本でも相当流行しているのだろうな。

まあ、どんな毒でも服用量が少なければ薬になることもあるし、逆に薬も(薬以外のほとんどのものだって)服用量が多すぎれば毒になる。だから、その怖さを知って正しく使う分には、ボツリヌス毒素だろうと、薬として使用するのは構わないとは思うけど、しわを目立たなくするために、薬の作用で軽い顔面麻痺状態を維持し続ける、ってのは、さすがにそこまでするか? というか、どっかおかしいと思わないかね。

ところで、新聞記事に戻ると、ボツリヌス菌そのもの(!)が密輸されているように読めるし、治療もボツリヌス菌そのもの(!)を注射するみたいな書き方だな。いくら何でもボツリヌス菌を注射するのは間違いでしょう?! 密輸した製剤は、闇で美容外科等に流れるのかな? まっとうな病院ではさすがにこんな怪しい毒素は使わないだろうから、それなりに怪しい治療所が使うってことかな? どうせならば、その辺まで探ってくれれば、この治療に興味のある人の役にたつ記事になったのに。

*それにしても、どう読んでも「最近密輸が急増している」とは読めないんだけど、数字を出してくれなきゃ信用できん!て言う人もいるぞ。あちこち変な記事だけど勉強になったな。

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2004/02/12

ヒトクローン胚からES細胞

最先端の人クローン技術に関わるニュースということで、どこもそれなりに大きく取り扱っているが、内容が技術的にも倫理的にも難しいので、なかなか記事にする方も大変そうだ。現時点では、YOMIURI ON-LINE (2/12) が最も充実した記事になっている。

クローン技術で万能細胞…韓国で世界初の成功
 人間のさまざまな組織になることができ、“万能細胞”ともいわれる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を、体細胞クローン技術を使って作ることに、韓国ソウル大学などのグループが世界で初めて成功した。
今回の技術は、人を複製する「複製クローニング」ではなく、臓器移植等の治療に応用する「治療用クローニング」技術であるという断り付きだが、そのまま複製クローニングに応用が効くという点で、倫理的な問題については悩ましい。

 体細胞クローン技術でヒトES細胞を作った研究は、自分の細胞を使って失われた機能を取り戻す「夢の治療」に道を開くものだ。可能性の実証という面では大きな一歩だが、同じ女性の卵子と卵丘細胞を使う特別な条件で、242個の卵子から1株のES細胞を作ったにすぎない。ES細胞はマウスや、人間の受精卵から作られ研究が進められているが、安全性を含め未知な部分も多く、治療への応用はまだ先という点で、専門家の意見は一致する。
 クローン技術の人間への応用は、クローン人間作りにもつながるとの激しい反対がある。国連でも昨年12月、全面禁止を求める米国やカトリック諸国と、治療応用に含みを残す日本や英国、ドイツで意見が割れ、結論を1年先送りした。
 韓国では昨年末、クローン人間作りを禁止する生命倫理法が成立したが、難病研究目的のクローン胚作りは認めている。日本はクローン技術規制法の指針でクローン胚作りは当面禁止としているが、総合科学技術会議の生命倫理専門調査会の2年半に及ぶ検討作業の中でも、解禁派と慎重派の意見は平行線のままで、昨年末の中間報告は異例の両論併記となった。
 治療面での「恩恵」と、人間の尊厳を脅かしかねない「クローン人間作り」。これらを同時に可能とするクローン技術は、生命科学の進展が突き付ける重い課題だ。
と、応用までは少し時間が掛かりそうだが、倫理面を中心とした法的な枠組みがまだ整備されていない状況に警告を発する記事となっている。言ってみれば、様々な議論を技術が追い越してしまった状況だ。

関連情報については Yahoo! Newsのサイエンストピックスにリンクしておく。

一方、ざっと海外の反響を見たら、The New York Timesがかなり大きく扱っている。記事も2ページにわたるし(読むためには無料の登録が必要)、サイエンス誌に載ったも載せている。この中で印象的なのは、アメリカの科学者のコメントとして、"You now have the cookbook, you have a methodology that's publicly available"とか"It's a landmark paper"といった評価が載っていること。どうも日本の新聞よりも、極めて画期的な前進であると捉えているようだ。

ヒトの体細胞クローン技術でES細胞を作った、という成果が画期的進歩であると同時に、研究そのものがきちんとしていることが高く評価されているようだ。何しろ、242個もの卵子を入手して、系統だった実験を行ったことで達成できたとのことで、その卵子の入手の苦労話もNY Timesには出ている。

さて、この辺の技術については、先にここで紹介した「遺伝子時代の基礎知識」(東嶋和子 著)にも技術的な内容がわかりやすく書かれていてお薦めであるが、もう一冊、社会的側面から詳しく記載された本を紹介する。

 文春文庫 318
 隠すマスコミ、騙されるマスコミ
 小林 雅一 著 bk1amazon

この中の「第五章 クローン技術と呼ばないで」は、研究を進める企業側が良かれと思って行ったキャンペーンが逆に誤解や反対キャンペーンを生んだ例や、怪しげな宗教団体がクローンベイビーを誕生させた(?)話を軸に、報道の在り方によって政策や世論が変わってしまうことの怖さ等を教えてくれる。

確かに、複製クローニングと治療用クローニングは分けて議論したいけど、技術的には分けられないようなので、落とし所が見えないな。科学技術と倫理の問題は、クローン技術に限らず、とても難しいテーマだけど、いよいよ先送りできなくなったということだ。どうしましょ?

*日本の報道だと、「ソウル大学などのグループが」というように個人名が出てこないが、NY Timesの報道だと、"The work was led by Dr. Woo Suk Hwang and Dr. Shin Yong Moon of Seoul National University"と個人名が出てくる。お国柄と言ってしまえばそれまでだけど、つくづく日本は個人を表に出さない国だな。

*Mainichi INTERACTIVEの記事では、「クローン赤ちゃん」という言葉が出てきて、ちょっと笑えた。英語では確かに "clone baby" だけど、他紙はみんな「クローン人間」としているよ。用語統一の日は遠い?

*時事通信 (2/12)には、

【シドニー12日時事】新興宗教系企業クローンエイドは12日までに声明を出し、オーストラリアのシドニーで世界6人目となるクローン赤ちゃんが誕生したと発表した。赤ちゃんは男児で、5日に生まれたという。しかし、同社が詳しい情報を一切開示していないことから、専門家などはこの発表を疑問視している。
なんて記事も載っているぞ。同じ日の新聞で、片や世界初で、こっちは世界で6人目かよ!こんな奴らがいるから、倫理問題がよけいにややこしくなっちゃうという面もあるな。

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2004/02/11

どの検索を使う?

何かを調べる時にはもっぱらGoogleを使ってたけど、最近いろいろと問題点(Google八分とか)も指摘されているようだし、一極集中は或る意味良くないな、ということで、他の検索サイトはどんなことになっているのかを調べてみた。この話題、おそらくインターネット上を、それこそ上手に「検索」すれば、きちんとまとまった情報にたどり着けそうだけど、まずは独力で挑戦。

国内の大体の検索サイトは、powered by Google だったりするので、余り意味がないな、と思っていたけど、オプションで別の検索エンジンを使えるサイトもあった。

Yahoo!検索(日本)の場合、最初の検索はGoogleで行われるようだが、検索結果のページの下部に、「他の検索エンジンで検索:AlltheWeb」というリンクがある。All the Webとはoverture社のエンジン。何処かで聞いたことあるような。

infoseek(日本)の場合は、最初から検索エンジンとしてGoogleとinfoseekの2種から選択可能となっている。infoseekは独自の検索エンジンかな。

もう一つの有名どころとしては、MSN。ここは独自のエンジンで検索しているようだ。

さらに、海外の検索エンジンでも日本語が通るところもある。Googleのアメリカ版で検索しても日本版と全く同じ結果となるが、Yahoo!のアメリカ版で検索すると日本版とは結果が異なるようだ。MSNのアメリカ版も英語が含まれると違った結果を返すようだが日本語検索はやや問題もあるみたい。

Altavistaは日本語での検索もできるし、更に検索結果ページを英語に翻訳して見せてくれる機能もあって面白い。

ということで色々探していて見つけたのが、日本語圏検索エンジン・ディレクトリー全体相関図。何やら聞いたことがない検索サイトも沢山ある。この相関図から直接各サイトにも飛べるし便利かも。

更に、便利サイトとしては、Web検索(検索デスク)が優れもの。ここでは、共通の検索窓にキーワードを入れて、それぞれの検索エンジンで「はしご検索」が可能となる。おまけに種々の検索関連ニュースや統計もあって、勉強になりそうだ。

検索サイト関係の種々の情報やニュース、SEO関係の情報等は、SEMリサーチが情報が豊富で参考になりそう。

ということで、世の中色々なサービスが存在しているので、時々新しいサービスを見に行ったり、常に複数の選択肢を持っておくような工夫をしたいもの。

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『「社会調査」のウソ』

興味を持って眺めている分野の一つとして、種々の「情報リテラシー」がある。特に、一見すると科学的或いは統計的根拠に基づいているように見えるニュース等の報道が、実は非常に恣意的或いは主観的な主張であったり、未だ認められていない仮説の発表を真に受けたものだったり、その道の権威の発言を鵜呑みにしたものだったり、という状況の中で、如何に冷静に正しい判断を下すか? といういわゆる「メディア・リテラシー」に関心がある。

本書は、主として新聞記事を題材に、日頃よく目にする様々な社会調査には、多くのウソが含まれており、その主張をそのまま素直に信じてはいけない! という、とても大切なことを教えてくれるものらしい。

文春新書 110
 「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ
 谷岡 一郎 著 bk1amazon

うーむ、確かにとても面白く、色んな意味で勉強になる。文句なしにお薦めだな。むしろ、2000年6月の発売だというのに、今頃入手して読むとは、我ながら情けない。どうして今まで目に付かなかったのだろう? 

でも、上のリンク先の書評を見ると、ほとんどの人が「目から鱗」状態の絶賛の感想や、マスコミや大学に対して批判的な、著者に賛同するコメントを残しているけど、大学教授の著書、それも新書のような大衆向けの一般書を読んで、素直に同意してて良いのかな? その姿勢もまた、ある意味でメディア・リテラシーが足りない状態ではないのか? この著者のように、とことん懐疑的で、用心深く、そしてひねくれた視点を持っていれば、本書も100%そのまま信用したら駄目だろうに。

さて、本書は新聞記事等のサンプルが非常に豊富に掲載されており、それを題材にして、著者がバッサバッサと問題点を指摘しまくる形式となっており、著者の毒舌ぶりと相まって、非常に爽快というか、次は何だろう?と、とても楽しく読ませてくれるし、何だかすごく勉強になったなあ、という気にさせてくれる本である。

個々の実例に対する著者のコメントは、確かにプロの視点で鋭いし、我々いわゆる素人には思いもつかない裏の事情まで披露してくれているので、成る程こういう見方ができるのか! という事ばかり、とても参考になる。しかし、一方では、そこまで言い切れるのか? という極論もあるし、或いは著者の見方とは少し違った捉え方も可能だな、という点もある。

その道の専門家の視点から見た、主として調査の方法に関しての、技術的な問題点は指摘の通りだろうと思う。一方で、その裏に潜む事情については、必ずしも著者が断定する推察(新聞社や記者の先入観に伴うものだろうとか、最初から世論を特定の結論に誘導するための調査だとか)が正しいかどうかはわからないと思うが、もちろん、そういう疑問を持って記事を読むのは、相当に高尚な楽しみだとは思う。

実は、統計処理のいい加減な適用の話が中心かと思ったけど、実は調査そのものの企画段階から考察までの各段階で陥りがちな過ちを系統立てて説明しており、むしろ統計処理の前段階(誰に調査するのかとか、どうやって調査するのか?という方法論だったり、もっと前段階の何のために、何を調査するのか?といった点)で既に間違っている調査が多いと教えてくれる。

それにしても、著者のような見方をすれば、新聞等に載る社会調査を基にした報道は、そのほとんど全てが眉に唾を付けて読まなくてはならない対象のようで、それはそれで頭が痛いことである。まあこれからは、何とか頑張って本書を参考にし、今まで以上に疑り深いまなざしで報道を見ることにしよう。新聞社の調査だけでなく、行政側が行う各種調査にも相当に胡散臭いものが多いんだ、という認識を持つことで、随分と違う物の見方ができるような気がする。

統計処理に潜む問題点については、既に古典の領域になった名著、ダレル・ハフ 著「統計でウソをつく法」(ブルーバックス B120)bk1amazonがある。35年も前の本なのに未だに増刷されていることからも、この本の評価の高さがうかがい知れるが、何と言っても、未だに内容が全然古くなっていないこと、すなわち、昔から人間は似たような過ちを繰り返し続けているということ、特に統計だとか調査に如何に弱いのか、がわかって面白い、というか、この問題を解決するのは相当に難しいということなんだろうな、とため息。


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2004/02/10

放射線診断による発ガンリスク

代表して YOMIURI ON-LINE(2/10)の記事を引用。

がん患者3・2%は診断被ばくが原因
 国内でがんにかかる人の3・2%は、医療機関での放射線診断による被ばくが原因の発がんと推定されることが、英・オックスフォード大グループが行った初の国際的な研究で明らかになった。
 調査が行われた英米など15か国の中でも最も高かった。CT(コンピューター断層撮影法)装置の普及などが背景とみられ、検査のあり方を巡り波紋を広げそうだ。この研究は英国の医学誌「ランセット」で報告された。
 研究は、各国のエックス線、CTなど放射線検査の頻度や、検査による被ばく量、さらに年齢、性別、臓器ごとに示した放射線の被ばく量と発がん率の関係についてのデータなどを基に、検査に伴う75歳までの発がん者数を推定した。日本は年間7587件で、がん発症者の3・2%としている。日本以外では、英国、ポーランドがともに0・6%で最も低く、米国0・9%、最も高いクロアチアでも1・8%だった。
 日本は、1000人あたりの年間検査回数が最多の1477回で、15か国の平均の1・8倍。発がん率は平均の2・7倍で、1回の検査での被ばく量が他国より高いことがうかがえる。

イギリスの医学誌に載った論文についての記事が、各紙に一斉に載るってのはどういう仕組みなのかよくわからんが、何故かMainich INTERACTIVEを除く各紙が報道している。記事自体は余り変わらないが、解説と識者のコメントで記事全体のニュアンスが若干異なるようだ。

3.2%という数値、何だか大きすぎる感じ。そもそも、この研究では、どうやって発がん率の数値を求めたのか? が疑問。 具体的には、被ばく量と発がん者数の関係をどうやって求めたか、また逆に診断によって病気が見つかり長生きするケースをどう取り扱うのか? といった疑問。この記事を素直に読むと、診断をすればする程がんになる、と脅しているようなもので、本末転倒だもんなあ。

さて、各紙コメントを並べてみる。

YOMIURI ON-LINE(2/10)。

佐々木武仁・東京医科歯科大名誉教授(口腔放射線医学)は「通常のエックス線検査より、放射線量が多いCT検査の普及が影響している」と指摘する。
 精密な検査が可能なCTは、がんの早期発見をはじめ脳卒中、骨折などの診断に革命的な進歩をもたらした。最近は人体をらせん状に切れ目なく撮影し、通常のエックス線では発見できない数ミリ単位の病変も映し出すヘリカルCT、血管の内部まで鮮明に撮影できるマルチスライスCTも登場している。
 一方で、撮影するほど医療機関の収入になることから、数千万円から1億円にのぼる設備投資を回収しようと過剰な検査をする場合もある、との指摘もある。
 佐々木名誉教授は「CTは有効な検査であり、今回のデータが出たからと言って必要な検査をせず、誤診や見落としにつながるのでは本末転倒。ただ、超音波検査など代わりの検査が可能かなどを検討し、発がんの危険性も十分考慮したうえで使うよう徹底する必要がある」と話している。
と、病院側の問題も指摘してるが、さてそれでは患者はどう判断しろというのか?

asahi.com(2/10)。

 この研究に対し、ミュンヘン大の研究者らは「診断によるがんの早期発見のメリットを正しく評価していない」と指摘する。
 〈日本放射線腫瘍(しゅよう)学会理事の晴山雅人・札幌医科大教授(放射線医学)の話〉 日本はCTなど人口あたりの放射線診断機器数が欧米に比べ多い。胃の検診でのバリウムX線検査も欧米では一般的でないが、日本では胃がんが多いため実施されている。これらの影響で日本人の医療被曝量は多いと、以前から言われていた。診断での被曝は患者にメリットがないといけない。その見極めが日本は甘いのではないか。不必要な診断はしないよう努めるべきだ。
と、日本は過度に放射線を使った検査が行われているという論調。確かにそういう面もあるのかもしれないけど、そもそも日本では本当にメリットのない診断が行われているのか?具体的な数値で議論しないといけないだろうに。

さて、これだけではよくわからなかったので、外国のニュースもチェック。Google Newsで検索したら、日本の英字新聞ニュース以外はイギリスのscotsman.comだけ。日本の新聞では記載されていない内容として、

The report, published in last week’s Lancet, was carried out by researchers from Oxford University and Cancer Research UK, who used cancer rates among survivors of the Hiroshima and Nagasaki bombs to calculate the risks of exposure to the radiation delivered by X-rays.
と、放射線被ばく量と発ガンの関係は、広島・長崎の原爆被ばく者のデータを使っているようだが、それで良いのだろうか?更に、
But that risk needs to be weighed against the benefits of detecting disease. Many of the patients undergoing these sorts of investigations will have potentially life-threatening illnesses, including cancers, and the benefits of making an early diagnosis far outweigh the risk of a radiation-induced cancer which, even in the worst-case scenario, is unlikely to exceed one in 1,000.
と、発ガンリスクは検査による早期発見のメリットと比べるべき、という論調が日本よりも明確。更にこの後に、あまり心配する必要はないよ、という記載もある。

そもそも、放射線被ばく量の多い検査は、全く健康な人がそんなに頻繁に受けるものでもなさそうで、簡単な検査で疑いのあった人だとか、或る程度自覚症状が出た人が受けるのではないだろうか? とすると、単純に一人当たりの平均被ばく量を算出して、発ガンリスクを求めても余り意味が無いような気もする。特に被ばく量の多い人はむしろ検査によって寿命が延びているのかもしれないし。しかし、それを考慮してメリットとデメリットを定量的に算出するのは難しそうだな。

ところで、肝心の論文をLancetのサイトで見つけました。最新号ではないのね。Cancer risk from diagnostic X-rays(論文を見ようとすると無料だけどサイトへの登録が必要)。本件、リスク対ベネフィットをどう考えるかという点で、とてもいい見本のように思える。暇があったら、少し追跡調査してみるか。

*YOMIURI ON-LINEとSankei Webでは小数点の表記は「3・2%」というように中黒(・)を使っている。Mainichi INTERACTIVEも同様みたい。asahi.comでは「3.2%」のように全角の小数点を採用している。NIKKEI NETだけは数値は全部半角を使っているみたいで、「3.2%」のような半角表記となっている。なかなか面白いものだ。

*2/21追記
論文を少し読みこんでみてのコメント等を2/21の記事にしました。

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2004/02/09

地球儀ジグソーの幾何学

一部の巷で流行している、3-D球体パズルという名の立体ジグソーパズル、540ピースの地球儀を買ってきて、週末にチャレンジ。何とか無事に完成した。販売は(株)やのまん、特許出願中とのこと。どんな特許かなと思い、特許庁の電子図書館で調べたけど、(株)やのまんが出願した特許と実案の中には、このパズルに該当するものは無かった。まだ公開になっていないのだろうか?

さて、このパズル、通常のジグソーパズルに良く似た形のピースを嵌め込んでいくだけで、きれいな球状の(中空の)地球儀ができるという優れもの。完成後のインテリア性や実用性も去ることながら、製作途中で地理のお勉強ができるのも中々楽しい。一番小さい240ピースから始まって、540ピース、960ピース、1500ピースと4種類のラインナップとなっている。

箱の中に、パズルピース請求はがきが入っていて、そこに

本製品は、ピースの頂点を中心に、5個のピース集合「A」もしくは6個のピース集合「B」の組み合わせになっています。
と書かれている。ここで、5角形と6角形をイメージし、そこからサッカーボールをイメージできるとかなり鋭い。更に、サッカーボール型多面体ならば、5角形が12面と6角形が20面からできていることを思い浮かべ、何故240~1500ピースなんだ? 一体どうなっているんだ? と疑問に思った人は、相当に理科系度が高い。

ということで、理科系人間の僕は完成した地球儀を真面目に観察してみた。その結果、5個のピースが集合している頂点は12個、6個のピースが集合している頂点は80個あった。どうしてだろう? まずは、下の写真を見て少し考えて欲しい。

PICT0095.jpg

PICT0094.jpg


さて、まじめに考えてみた結果、540個のピースからなる、このパズル、確かにサッカーボール型の切頂二十面体をベースに作られている。興味のある人は写真に線を引いてみるとサッカーボール型の模様が見えてくるかと思う。

上の写真は5個のピースが集合している頂点を中心としたもので、中心はアルジェリアに位置している。この点を囲む5角形の頂点は時計回りに、フランス、エジプト、チャド、コートジボワール、大西洋にあり、それら頂点はいずれも6個のピースが集合している点であることが見て取れるだろうか? 数えてみると、この大きな5角形は15のピースからなっている。

下の写真は6個のピースが集合している頂点を中心としたもので、中心はエチオピアに位置している。この点を囲む6角形の頂点は時計回りに、イラン、アラビア海、セイシェル諸島、ザンビア、チャド、エジプトにあり、それら頂点はいずれも6個のピースが集合している点である。また、この大きな6角形は18のピースからなっている。

サッカーボール型多面体は12個の5角形面と20個の6角形面からなっており、このパズルではそれぞれが15ピース、18ピースからなっているので、全部で12*15+20*18=540ピースとなる。一方、5個のピースが集合している点は、その5角形の中心点だけなので全部で12個しかないが、6個のピースが集合している点は、6角形の中心点(20個)とサッカーボール型多面体の頂点すべて(60点)が該当するので、全部で80点となる。ということで、説明になってるかな?

さて、240ピース、960ピース或いは1500ピースのパズルがどんな構成になっているのか、考えてみる??(5*12+6*20=180であり、180の整数倍なのは540だけ、他はどうなってるのだろう?)

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2004/02/08

第10回原子力安全シンポ参加メモ

1/31のココログに書いた経緯で、第10回原子力安全シンポジウムに参加してきた。こういった公的機関が主催するシンポジウムへの参加なんて初めてだったし、原子力関係ともなると色々と参加者管理が厳重なのかな?という思いもあり、少しこちらも緊張気味に会場の東京国際フォーラムに出かけた。

随分と立派な会場で、受付も落ち着いた雰囲気で、何気なくスタッフが入場者の様子を見ているような、ちょっと重厚なムードだった。会場には音楽が流れたりしてて、なかなか頑張っていた。(やっぱり学会主催のシンポジウムなんかより格段にお金を使ってるんだなという印象。)

思ったより参加者は少なかったようで、最終的には200人程度入れる会場に152名とやや余裕あり(受付の方は本日は満席となる予定と言ってたんだけど)。それもどうやら原子力関係者とか主催者関係者といった、どちらかというと内輪のメンバーが多かったのではないか?という感じ。漠然と思っていたような、原子力に反対する市民団体のような人達は、参加していなかったようだ。そういうものなのかな? あまり積極的な宣伝もしていないし。

さて、シンポジウムの資料は、いずれこの辺に載ると思うので、公式の議事録に掲載されているので、それを参考にしてもらうとして、ともかく全体としては、予想を遥かに上回るおもしろい内容で、わざわざ土曜日に出掛けて行った甲斐があったというもの。個人的にはとっても勉強になったし。

今回のテーマとして事前の資料にあった「わたしたちの安全と原子力」は、一部に過ぎず、むしろ『「わたしたちの安全」について皆さんとともに考えたいと思います。』がテーマだったのかな?おかげで内容は予想以上に面白かったんだけど。

最初の基調講演は、黒川清氏(日本学術会議会長)から、過去の歴史的な認識を元に安全についてのパラダイムが変わったことを認識し、国民一人一人が自分たちの将来を決めていかなくてはならない、というような主旨のお話。元気のいい方で、力強く断定的な口調で次々と話が続くので、それなりにインパクトはあったけど、考えさせる点というか、新鮮味は余り無かったかな。そもそも、この会場に来ている人は何らかの問題意識を持って来ているだろうから、ちょっとピントはずれの主張だったのかもしれない。

次は原子力安全委員会から、鈴木篤之氏が基調講演として、原子力の安全性についての最近の事故や事件を踏まえての動き、考え方の紹介。時間が短いのにも関わらず内容が盛だくさんのため、聞く側は消化不良気味。また、今回定量的安全目標として、百万分の一という数値を出したことについては、突っ込んだ説明はなかった。原子力の安全目標が、ゼロ災害を目標とするのではなく、定量的な・受け入れ可能な目標を掲げたこと自体が、画期的な方針転換らしいが、それがすんなり受け入れられる社会になるためにどうするかが、むしろ課題だろうな。

それと共に、安全というのが単なるハード面からの管理・規制といったものだけでなく、ソフト面の対策(手続き的安全性)、特に情報公開に代表される透明性の付与というのが非常に重要なのだ、ということが共通理解という時代になったみたいだ。本当にその通りに運用されるといいが。(種々の企業の不祥事等もあり、いやおうなく変わってきたということなのか?)

そして、休憩をはさんでパネルディスカッション。食の安全について金子清俊氏(国立精神・神経センター)、都市防災について室崎益輝氏(神戸大学教授)、原子力安全について松原純子氏(原子力安全委員会委員長代理)、リスク比較について東嶋和子氏(サイエンスジャーナリスト)がコメントを述べ、司会は小林傅司氏(南山大学教授)で進められた。時間は1.5時間の予定が、30分程度延長となり、それでもまだ時間が足りなかった印象。

内容としては、全く異なる分野のリスク(医・食・災害・原子力等)を人々はどう認識するのか? 安全と安心との相違は? というような観点から、社会の合意をどうやって得るのか、或いはどのように社会を変えていくのか?というような話。BSEのリスクの問題や震災・都市災害リスク等は、こうやって話を聞く機会もなかったので、中々面白く聞け、参考になった。

問題点としては、今回のパネラー陣は、専門分野は異なるものの、いずれもリスクとベネフィットの考え方、ゼロリスクは間違っているという考え方をする人々であり、これに対抗する意見の代表者が含まれていなかったことか。これでは、ディスカッションとは言えない。まして、限られた質疑応答時間に、事務局側の人間や原子力関係OBが積極的に質問・コメントするのは、プリミティブな質問や反対する意見が出にくい雰囲気を作っており、これは悪い点。

科学ジャーナリストの東嶋さんは、僕のココログでも紹介した、「遺伝子時代の基礎知識」の著者で、実際に話を聞いてみても、中々バランス感覚に優れた方と見た。中西先生の「演習 環境リスクを計算する」bk1amazonを必読本だと宣伝してたけど、勉強してますなあ。僕も読まなきゃ。

それにしても、確率的リスク論で導き出された「科学的な結論」が社会に受け入れられるためにはどうすべきなのか? というのが今後の課題であることは明白だと思われる割には、余りそういうアプローチがなかったのが寂しい。例えば、総論賛成・各論反対のような問題、或いは全体としての数値(例えば年間死亡者100人)には納得できるけど、自分がその一人になるのは嫌だという問題。

僕自身は、社会全体が、そのリスクを許容したとして、具体的にそのリスクの被害者が出た時には、社会全体として、その個人に対して何らかの救済をするような仕組み(社会全体のための犠牲者という位置づけ)があることも必要かと思ってるけど。いずれにしても、自然科学的なアプローチだけでは無理で、社会科学的な種々の検討が必要と思うのだけど。

*原子力施設の事故による、施設敷地境界付近の公衆の個人の急性死亡リスクを年間100万分の1程度以下にする(年間平均100人以下)という定量的目標案だけど、よく考えたら、今までの数十年の原子力施設運転で、公衆の死亡者は恐らくゼロ人であり、とすると実績に比べると遥かに甘い目標とも言えるわけだ。(今までがとても運が良かったとも言えるのだろうか? 結局種々の疑問は解けないままか。。。)→2/14追記:別の資料を発見、この中で急性死亡確率の考え方の説明が記載されている。(分母が1億人ではなく、近隣住民数となる) ということで、年間死亡者数は限りなくゼロに近い(100万分の数人レベル)ようだ。やっぱり、確率での表現は理解が難しいな。

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2004/02/07

ココログ1ヶ月

ココログを始めてから、今日で丁度1ヶ月。予想を上回ってカウンターは900を越えたし、改めて訪れてくれた皆さん、どうもありがとう。実は1/20からは、アクセス解析も始めてるんだけど(右上で手裏剣回ってるから気付く人は気付いてたと思うけど。)、今日はその結果を公表しようと思う。

(1)どこから来たの?
 1位 http://search.yahoo.co.jp (ご存知ヤフーサーチ)
 2位 bookmark (お気に入りに入れてくれた方ありがとう)
 3位 http://www.cocolog-nifty.com(ココログの新着情報から)
 4位 http://www.google.co.jp(ご存知グーグル)
 5位 http://web.or.tv(ココログ専用検索エンジンのココログル)

(2)検索キーワード
 1位 ボスプレッソ
 2位 献血
 3位 学力テスト
 4位 HIV
 5位 事故

ということで、検索エンジンは、グーグルよりもヤフーの方が多いことなんかも意外だったなあ。僕自身はほとんどヤフーを使わないからな。ちなみに検索エンジンとしては、グーグルの次はMSNで、次がgooという順番。

検索キーワードのトップがボスプレッソというのも意外。でもグーグルに「ボスプレッソ」と入れると、サントリーのオフィシャルサイトよりも全然上の2番目にランキングされてるしなあ。まったくSEOみたいな事はしてないのにな。献血とHIVの問題や高校学力テストの件は、色々と調べている方が多いようで、かなりコンスタントに訪ねて来られたようだけど、このサイトでは中々欲しい情報が得られなくてガッカリしたんだろうなあ、文句は検索エンジンに言ってね。

ということで、開業1ヶ月のまとめとさせてもらって、今後ともよろしく。

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2004/02/06

gooの日本語自然文検索

ポータルサイトのgooが、日本語自然文検索サービス(Web Answers)の実験を開始したというニュースを見た。gooのプレスリリースによると、

例えば「2008年のオリンピックの開催地はどこ?」といった話し言葉調の自然な表現による質問を即座に解析し、「goo」の検索結果から回答候補(上記の質問例では回答は「北京」)となりうる言葉や表現を高速に解析・抽出し、これらを含むWebページをより上位にランキングし、ユーザに提示します。これにより、ユーザは知りたい情報をより効率よく取得することができ、日々増えつづけるインターネット上の情報資源を、今まで以上に有効活用することが可能となります。
ということで、
・検索文字列を単純な単語ではなく、自然な表現の疑問文の形式で入れる
・従来の検索は該当するWebページリストを出力したが、ここでは質問への回答候補を出力する
という2点が特徴のようだ。

ともかく日本語自然文検索に行って、試してみることに。恐らく多くのブログや掲示板で、様々な結果が報告されることと思うが、まあ、さすがに実験と名打つだけのことはある。現状レベルでは全然使えない。クイズ・ミリオネアの「オーディエンス」をイメージしたのだろうけど、出来の悪い「テレフォン」のレベルになっているような。

例文には「日本の首相は誰ですか?」なんてのがあるけど、「アメリカ大統領は誰ですか?」と聞いて「正義」って答えられてもなあ。確かに正義がアメリカ大統領をやってくれれば、世の中はもう少し良くなっているかも知れないが。(「一番の馬鹿は誰ですか?」と聞くと「ブッシュ」と答えてくれるけど。)

むしろ、自然文形式の検索語に対して、一応従来型のページ検索結果を返してくれるので、そちらの機能の方が下手な回答を求めるよりも使えるかもしれない。従来の検索エンジンでは、なかなか思ったようなサイトにたどり着けない時にチャレンジしてみる価値があるかもしれない。

実験ということもあるのか、検索結果に対するユーザーの評価を求めたり、正解が得られなかった時にユーザーが教えたり(最初から知ってたら調べに来ないだろうに)ということで、どんどん賢くなっていくらしい。(昔どこかに似たようなシステムがあったような気もするな。)そうなると確かに使えるサービスになるのかもしれないが、中には積極的にウソを教えて楽しむ人達も出てくるだろうし、誰か人間のチェックを通さないと悲惨な運命が待っているのかも? このあたりは、両刃の剣といったところで、サジ加減が難しそうだ。

ということで、まだまだお遊びだけど、覚えておいて損はなさそうなサービスという評価かな。

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「遺伝子時代の基礎知識」

今のバイオ関係の色々なトピックには、さすがに学校で習ったような大昔の中途半端な知識では対応できない。だから、最新のバイオ関係知識をどこかで入手する必要を感じるけれど、余りにもホットな内容だけに、意外とうまくまとまった教科書的な本がない。今回は、ブルーバックスを読んでみた。

講談社ブルーバックス B-1424
 遺伝子時代の基礎知識
 東嶋 和子 著 bk1amazon

同じ著者のブルーバックスでの前著、B-1309 「死因事典」bk1amazonが結構いけてる視点で書かれていたのと、本書で取り扱っている個々のテーマが興味あったので迷わず購入した。

「ワコさん」という本書の著者と「チビ」という名の飼いネコが、いろんなゲノムに関わる最新知識に触れながら、学んでいくというストーリー形式となっていて、主人公は「チビ」という立場で書かれている。難しそうな話への導入を、スムーズに進める効果は確かにあったのだろうと思うけど、敢えてネコが主人公なんて小細工を使わなくても、とてもわかりやすくておもしろい本なのにな、と思ってしまう。

テーマは、遺伝子組み換え作物、DNA鑑定、クローン技術、遺伝子診断と治療、再生医療等の、正にゲノムを巡るホットな話題に、真正面から科学的にアプローチしたもので、非常に好感が持てる。僕は生物関係の専門知識は持っていないので、内容の正しさ加減は保証できないけど、きちんと参考文献があげられているので、そんなにいい加減な内容ではなさそうだ。

著者は科学分野を専攻した方ではないだけに、専門的にはやや突っ込み不足の感もあるが、逆に科学的な側面と社会的な側面をうまくバランスさせることができているように見える。ややもすると、生命倫理等のデリケートな議論の中では、この二つの視点を混同してしまうことが多い中で、その点も好感が持てる。何でだろうな? 多分、遺伝子組み換え作物や遺伝子治療といった微妙な問題に対して、変な先入観とかを持たずに疑問を解決していく、というスタンスに共感できるのかな?

さて、この分野(ゲノム応用)はこの先どこまで行くのだろう? 人類の持続的発展のためには、病気との闘いに勝つことも大事だろうし、食料問題だって大事だけど、人間が生きていくための環境・エネルギーの維持もとても大事だ。ゲノムという、とても魅力的で、限りない可能性を持っていそうなものの秘密が徐々に明らかとなってきた今、我々人類はその知識をどう使いこなしていくべきなのだろう?

あまりに大きすぎるテーマなので、考えだすと頭が痛くなりそうだけど、やっぱり考えていかないと、って "Think for the future" というこのサイトのタイトルテーマに通じるよ、ってことでどうでしょ?

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2004/02/05

AIBOに会えなくなる

このサイトの「顔」だし、このニュース取り上げないわけにいかないよね。Yahoo!ニュース (2/4)、

全店頭から消えるAIBO ソニー、経費節減で
 愛らしいAIBOに店頭で会えるのもあとわずか-。ソニーの販売子会社「ソニーマーケティング」(東京)は4日、ペット型ロボット「AIBO(アイボ)」の約110店舗での販売を3月末で全国一斉にやめ、4月以降はインターネットと電話だけでの販売にすることを明らかにした。
 ソニーのロボット技術の象徴として4年半前に登場したアイボも、一時ほどのブームが去って売り上げが低迷。現在の販売実績は、ネット・電話と、店頭とでほぼ半々だが、人件費がかさむ店頭販売を打ち切ることに決めた。
 初代アイボは1999年7月に限定3000台で発売された。インターネットと電話だけの注文で、価格も1台25万円と高かったものの、わずか20分で完売。抽選販売にした初代の改良型にも、限定1万台に対して約13万件の応募が殺到した。
 このため2001年9月以降、全国の量販店や有名百貨店など約110店舗で販売を始めた。だが、熱狂的ブームが去って新規顧客の獲得が思うようにいかず、18万5000円の最新モデル「ERS-7」の販売も伸び悩んでいる。(共同通信)
全国でたった110店舗だし、実際に行ってみると、特に専門の係員がいるわけでもなく、小さなスペースに置かれているだけなので、これを廃止したからといって削減できるコストなんて、たかが知れてそうなもんだけど?

元々アイボは限定販売からスタートしてて、SONYのイメージ商品という意味合いが強そうだし、販売台数をそんなに増やそうと思ってなかっただろうに。当然、アイボ単独での収益もそれほど期待されてなかった、と思うが。

ということは、これはむしろ、今までAIBOが担ってきたSONYのイメージ戦略の一翼を、例えばQRIOに譲ることになったと考えた方が良いんでは? この先、従来の延長線上の新型AIBOが出てくる見込みも少ないかもね。

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確定申告システムの障害

今年は所得税の確定申告の必要があるので、先日近くの税務署に行って、必要書類一式をもらってきた。説明書を見ると、必要な書類はインターネット上にあるっていうので見に行くと、全部がPDF形式で保存されてた。(自力で申告できる人は、わざわざ税務署に書類をもらいに行く必要はないってこと。) しかも、インタラクティブに必要なデータを入力すると、税額等を自動的に計算して、提出用の申告書を作ってくれるシステム(最終結果を各自がプリントアウトして税務署に提出する必要あり)まであるという。早速、昨日(2/3)国税庁のホームページにある、所得税等確定申告等情報の「所得税の確定申告書作成コーナー」に行ってみた。でも、システム障害でサービス停止中だって。

今日のニュースを見たら、本当のトラブルだったようだ。 YOMIURI ON-LINE (2/4)の記事によると

確定申告書、印刷すると別人の物…国税庁HPトラブル
 国税庁のホームページ(HP)上で所得税の確定申告書を作成、印刷すると、別人の申告書が出てくるというトラブルが、先月30日から今月3日にかけて、全国で計4件発生していたことが4日、わかった。
 同庁は3日夜にサービスを停止し、申告内容が流出した利用者に謝罪した。再発防止策を講じたうえで、6日からサービスを再開する見通し。
 同庁によると、トラブルが起きたのは、HP上の「所得税の確定申告書作成コーナー」。申告書には住所、氏名、給与所得などの情報が記入されているが、神奈川県内の利用者がパソコンで申告書を作成、印刷したところ、兵庫県内の利用者の申告書が出てきたなどのトラブルが相次いだ。利用者からの申し出で発覚したという。
 パソコンで入力した申告内容は、国税庁のサーバーを経由したうえで印刷される仕組みになっており、同庁は「全く同じタイミングで複数の申告内容が送信され、システムが誤作動を起こした」と説明している。
 先月13日のサービス開始から今月3日までの同コーナーへのアクセスは、延べ119万件に上る。(2004/2/4/20:45)
とある。個人情報の流出に関しては、住民基本台帳の件もあって、それなりに慎重にやってくれていると思ってたけど、意外とずさんだな。この記事からすると、少なくとも住所と収入等の情報が他人のパソコンに流れたことになるぞ。これって、ごめんなさい、で済むレベルじゃないような気がするけど。情報が漏れた人は損害賠償請求しても勝てるんじゃないか?

一方、同じYOMIURI ON-LINE (2/4)に、こんな記事も載っている。

「電子申告」に設計上のミス、正しい数字入力で誤結果
 名古屋国税局管内で2日から全国に先駆けてスタートした「電子申告」で、利用者に配布された申告用ソフトの所得税の減価償却と定率減税の計算式に、正しい数字を入力しても誤った結果を出す設計上のミスがあることが3日わかった。
 国税庁によると、減価償却では、原則95%までしか償却できないが、申告用ソフトでは100%まで償却する結果が出た。また、所得税額の定率減税では上限額が25万円と定められているにもかかわらず、所得額を入力すると、上限額を超えても所得税額の20%を控除額として表示したという。
こちらは、情報漏洩ではなく、単純な計算ミスだし、おそらく税額を小さめに算出してくれそうなので、まだましだけど。

様々な手続きやサービスが電子化していくことは、とても便利でいいことだと思うけど、少しお粗末過ぎるんじゃないだろうか? 新しいシステム、それも国のサービスとなると利用者数も多いし、予期しなかったことも起きるかもしれないけど、その影響は莫大だし、だからこそ、十分にテストしてから運用して欲しいものだ。(って余りにも当たり前のコメントだね。) スラッシュドット ジャパンでも話題になってるけど初歩的ミスみたいな論調になってるな。

まあ、今年は少なくとも危なくってこのシステムは使わない方が良さそうだな。良く説明書を読んで、順番に記入欄を埋めていけばそんなに難しくはないし。

でも、このシステム、どうせ各自がプリントアウトして税務署に提出する必要があるのならば、計算ソフトを各自がダウンロードしてローカルマシンで計算・印刷する形にすれば、セキュリティ問題に悩まなくて済むのになあ。

*電子化されると仕事がなくなって困ると思い、わざと信頼性に不安があるように思わせるようなエラーを仕込んでるんじゃないか?というのは勘ぐりすぎだろうけど。

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2004/02/04

猛毒 リシン

各紙が扱っているが、代表してYOMIURI ON-LINE (2/3)の記事を引用。米議会に猛毒リシン?上院の郵便室で発見によると、

 米CNNテレビ(電子版)によると、ワシントンの米議会棟の1つ「ダークセンビル」内にある、ビル・フリスト共和党上院院内総務の郵便室で2日、猛毒のリシンと見られる不審な物質が発見された。
 国土安全省当局者の話として伝えたもので、白い粉の不審物質は、同日午後3時(日本時間3日午前5時)ごろ発見され、当局に通報があった郵便物の中に封入されていたものと見られる。問題の物質は、分析のため米陸軍の研究所に送られた。さらに、郵便室がある周辺は封鎖されているという。
 リシンは、下剤などに用いられるひまし油の原料「トウゴマ」の種子から取れる猛毒物質。原料の入手や抽出が容易で、過去にも暗殺に使われたことがある。毒物の専門家によれば、噴霧すれば、大量殺人も可能だという。
とある。「リシン」って何?ということで、少し調べてみた。それと共に少し気になったのは、「猛毒」という言葉、明確な定義があるのだろうか?

記事にも書いてあるように、リシンは植物性の毒素で、いわゆる天然の毒物である。リシンについては、横浜市衛生研究所のページが詳しい。リシンを含む生物兵器については、おおり医院のサイトの中の特別寄稿:生物兵器にまとまっている。(生物兵器って日本発だったとか、ここの内容は面白い。)この頁からリンクされている表7に他の天然毒と比較して、毒性(LD50)が整理されている。LD50は半数致死量で、数値が小さいほど毒性が強いことになる。リシンの100ng/kgというのは、さすがにボツリヌス毒素の0.6にはかなわないが、サソリ毒の20,000なんかより断然強い。表にはないが、フグ毒(テトロドトキシン)が10,000、カビ毒(アフラトキシンB1)が300,000、青酸カリは3000,000という数値(単位はいずれもng/kg)である。(常石「毒物の魔力」から)

ということで、リシンは確かに相当に強い毒と言えそうだ。天然物の中にはすごい毒性の物質があるものだ。ちなみに悪名高いダイオキシンのLD50などモルモットに対してでさえ600~20,000、サルに対してでも50,000という数値である。

さて、では「猛毒」とは何か? どうも強い毒性を持った物質だろう、という印象は持つが、正式にはどうなってるんだろう? ネットを色々検索していて見つけたのが、三重興農という農業関係の会社のホームページの中の猛毒とは毒劇物取締法の特定毒物という記述。ほかにも、農薬関係のページでは、猛毒=特定毒物という記載がみつかる。ためしに、毒物及び劇物取締法を見てみると、特定毒物は別表第三にまとめられている。そこには、四エチル鉛等全部で9種類の物質名がリストされているだけで、通常の「猛毒」の概念とはどうみても一致しそうにない。

他にもあちこち探してみたけど、どうやら僕らが普通に使う「猛毒」という言葉は特に法的にも学術的にも意味はなさそうだ。ちなみに、CNN.comでは、"the deadly toxin ricin"という表現や"Ricin is an extremely deadly poison derived from the castor bean plant."という記載が見られた。まあ日本と似たようなものかな。

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2004/02/03

馬と車が衝突した事故

どうってことのない話だけど、各紙の報道を比べて見ると結構おもしろい。

asahi.com (2/3) 競走馬めざし国道で「練習」、車と衝突後2キロ走り御用 の記事では、

 3日午前8時20分ごろ、川崎市幸区柳町の市道で馬を捕まえた、と近くに住む無職男性(43)から110番通報があった。この馬は、同区小向の競馬練習場から逃げた馬で、市道にいるところを、近所の女性がニンジンを与えているすきに、男性が手綱をつかんで取り押さえたという。
 幸署の調べでは、馬は雌の3歳馬で、練習場の近くにある厩舎(きゅうしゃ)の所属。同日午前8時ごろ、練習場で5日に実施される競走馬になるための試験にむけた練習中、開いていた門扉から逃げ出したという。
となっており、馬はまだ競走馬ではないことにこだわっている感じ。うーむ、競走馬になるためには試験に合格する必要があるんだ。捕まえたのは男性で女性がニンジンで馬の気を引いたようだ。ちなみに馬の名前も厩舎の名前も出ていない。それにしてもこのタイトルは洒落がきついな。

Mainichi INTERACTIVE (2/3) 馬の事故:タクシーに接触、逃走 ニンジンにつられ御用 川崎 では、 

3日午前8時ごろ、川崎市幸区東古市場の国道1号に馬が突然飛び出し、走っていたタクシーに接触、そのまま逃げた。馬は約15分後、約2.5キロ離れた幸区柳町の路上で見つかり、近くの主婦が持ってきたニンジンで、付近のガレージに誘導、シャッターを下ろして閉じこめた。タクシー運転手(61)にけがはなかった。
 神奈川県警幸署の調べでは、馬は市内にある津久井厩舎(きゅうしゃ)所属の「エンドル」(3歳、牝馬)。3日午前3時ごろから、幸区小向の多摩川沿いの練習場で調教を受けていたが、午前7時半ごろ、突然暴れだし、たづなを引いていた調教師、津久井巌さん(76)を振り切って逃げたという。エンドルはデビュー前で、今月5日、競走馬になる試験を受ける予定だった。
ということで、近くの主婦がニンジンで誘導して捕まえたように読める。43歳の無職男性は記事に出てこない。タイトルにニンジンを持ってきてるところが朝日とは大きく違う。(でも「御用」という言葉を使う点が共通するのも面白い。)

YOMIURI ON-LINE (2/3) 川崎で名馬・シンボリルドルフの孫が場外脱走 では、

 3日午前8時ごろ、川崎市幸区小向の川崎競馬組合の練習場で、ゲートに入る練習をしていた津久井厩舎(津久井巌調教師)の競走馬(メス、3歳)が突然暴れ出し、場外に飛び出した。
 競走馬は約400メートル先の国道1号を横断しようとして、東京都世田谷区下馬、運転手望月和夫さん(61)のタクシーと衝突してさらに逃走した。
 約15分後、約3キロ先のJR川崎駅近くの商店街を歩いているところを、川崎市内の無職男性(43)が発見。近くのビル駐車場に連れ込み、ビルの管理人がニンジンを与えて落ち着かせたという。川崎競馬組合によると、この競走馬は名馬シンボリルドルフの“孫”にあたる「エンドル」で、レースは未経験だった。
と、馬がシンボリルドルフの孫であることを初めて明らかにしてくれたが、「競走馬」として扱っている点が異なるな。ニンジンを与えたのはビルの管理人になってるけど、主婦兼管理人なんだろうか?

比較すると色々と面白い。馬の性別表記も、雌、牝、メスの3通りだし。ニュアンスにも細かな違いがある(ニンジンで誘導したのか、捕まえてからニンジンあげたのか、とかね)んだけど、やっぱりタイトルが全然違うのが面白いよね。それにしても、この男性が無職で43歳と報道することにどんな意味があるのやら?(ちなみに女性の年齢は書かれていないな。。)

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恐るべし「★パテントサロン★」

先週末は、200億円という巨額の判決が出た特許訴訟の話題があちこちを賑わした。この件については、元技術者として思うところも色々とあるのだが、それはともかく、今回の件の報道を見て回るのに際して★パテントサロン★の情報収集能力に舌を巻いた。

★パテントサロン★は、いわば、特許、商法、著作権等の知的財産関係の、ダイナミックなリンク集である。つまり、インターネット上の色々なサイトに載った、最新の知財関係記事を探し出し、それを項目毎に整理し、リンクを張って表示したものだ。

驚くのは、掲載されるのが非常に早いこと、そして幅広く網羅していること、更にそれにも関わらず非常によくまとまっていて見通しがいいことである。

例えば今回の中村判決について見ると、判決が出て、各新聞社が記事を載せ始めると、その直後からその記事へのリンクがどんどん更新されていく。まあ、今回のケースは大騒ぎになることがあらかじめ見えてたから、待ち構えていたとは思うけど。でも、それが地方紙まで及ぶのだから、オイオイと言いたくなる程の念の入れようである。更に、メイン記事だけでなく、社説やコラムまで網羅しているとなると、一体どうやって記事を探しているのか非常に興味がある。(通常の検索エンジンでは、こんなにリアルタイムには絶対に引っかからない筈だから)

また、情報入手先としては、新聞社関係だけでなく、スラッシュドット・ジャパンのような掲示板サイトもあるし(さすがに2chは対象外にしているようだけど。)、バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳のような内容は真面目だけどちょっと会社では開きにくいような個人サイトも含まれる。

また、最近はPATENTSALON WORLDWIDEのように、海外記事へまで手を広げてる。これなんか、本当にどうやって見つけてくるんだろう?(個人的に今回の中村判決の海外での反響が知りたくてThe New York Timesなんかを見てたけど、見つけるのは非常に大変だったし。)

これってプロの人間の技なのか、それとも機械での検索(探索)なのだろうか? 機械検索だとしたら、独自のプログラムを持っているということだろうか?

いずれにしても、非常に便利なサイトだし、知財に関わるお仕事している人はほとんどみんなが見ているのではないだろうか? これだけの情報を収集・整理すれば、それだけで立派な付加価値だと思うのだけど。あとは古い記事へのリンク切れ問題に対応すれば、立派に有料サイトで食っていけると思うな。(でも今のままで無料で公開を続けてくださいね。)

しかし、もしも皆がここだけを情報入手先として固定してしまったら、重要な情報を見落とす危険もありうるので注意しようね。何事につけ、一極集中というのは弊害もありうるのだ、という懐疑精神を大事にして、別のソースも持っておきたいもの。(パテントサロンとしてのサイトの運営方針みたいなことは探したけど何処にもなかった。情報を見に行くだけならいいけど、無料のサイトに頼り切るわけにはいかないよね。)

なお、各種記事に直接リンクを張ることの是非が問題になることがあるが、ここのリンクポリシーは明確で、根拠も明らかにしていて参考になる。リンク問題への解答がリンク集になっているのが、首尾一貫していて楽しい。(だって、直リンクしてくれるな!と書いた新聞社のページに直リンクしちゃってる訳だし。)

*実はこの★パテントサロン★を運営しているサイテックシステムという会社の代表の大坪さんという方はまだ若そうだ。すごいな!

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2004/02/02

来年の春分の日

今日(2/2)の日経新聞の片隅に「来年の春分、秋分の日」という記事を発見。

 国立天文台は、2005年の春分の日を3月20日、秋分の日を9月23日などとする二十四節気を記した暦要項を2日付の官報に発表した。
とある。

春分と秋分が毎年微妙に変動するために、春分の日と秋分の日が年によって変動していることは(多分)有名なことだし、翌年の祝日が官報で発表されるということも聞いていたが、それが2月の初日であることは知らなかった。さっそく、官報を探してみると、平成17年暦要項がありました。(が、二十四節気が途中で切れちゃってるんですが、国立印刷局さーん。)

さて、何故に春分の日と秋分の日は年ごとに微妙に異なるのかを正確に説明できるか?と聞かれると、やや自信がない自分に気付いたので調べてみた。正攻法で調べるなら、国立天文台ということで、これはFAQのトップクラスらしく、これが春分の日はいつか?の解答、そしてこちらが何故年によって変わるか?の解答

ややわかりにくいので、更に探してみたら、こよみのページというホームページの中に、こんなにわかりやすい説明を発見。大感謝! なるほど、今まで春分の計算は相当高度な、地球の軌道計算等から求めているのかと思っていたけど、随分と簡単なんだ。長期にわたる春分と秋分の一般的な計算式は、こちらに載っているけど、原理は一緒だな。

ただし、国民の祝日である「春分の日」と「秋分の日」は、あくまでも毎年2月の初日の官報に翌年の分が記載されることで確定するのであって、さっきの計算式で求めた日が祝日になるという保証はないということらしい。ふむ、調べて見るとやっぱり何がしか勉強にはなるもんだ。

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子供の名はバージョン2.0

たまには軽い話。

CNN.cojp (2/2)の赤ちゃんに「ジュニア」ならぬ「Ver2.0」と命名
が笑えた。

ミシガン州ホランド――「サミー・デイビス・ジュニア」のように、欧米で生まれた男の子に父親の名前をそのままつけて「ジュニア」や「2世」とするのは良くある話しだが、このコンピューター時代には今後、ジュニアならぬ「Ver2.0」とつけられるソフトウエア的名称の子供が増えるかもしれない?
当地の自営業ジョン・ブレイク・キューザックさんと妻ジェイミーさんに息子が生まれたのは1月27日のこと。キューザックさんは念願の息子に、「ジョン・ブレイク・キューザック・2.0」と命名した。
アメリカは、こんな名前でも受け付けてくれるんだね。で、笑えるのは次の一節。
夫妻は当然、「2.0」くんの出産報告を電子メールで家族や友人に送った。その中でキューザックさんは「バージョン2には、バージョン1の色々な機能のほかに、ジェイミーの機能も追加されています」と書いたという。
こういうシャレが通じる世界は楽しそうだけど、この子の弟や妹はバージョン2.1とか2.2、この子の子供はバージョン3.0になるのかと思うと、ちょっと切ないね。


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「悪質商法を撃退する」

賢い消費者であるためには、やはり敵を知る必要がある、という訳で読んでみました。この本は、国民生活センターの理事をつとめている著者が、いわゆる悪質商法の、実態、関連する法律、被害への対応法、そして将来展望について述べたもので、幸か不幸か今までこういった被害と無縁だった人達にとっては、絶好の入門書となっていると思える。

岩波アクティブ新書 93
 悪質商法を撃退する
 川本 敏 著 bk1amazon

どうやら日本は先進国の中では例外的に、悪質商法やヤミ金融が生き延びている国のようで、日本は「生活に関する安全」については、世界トップクラスだという認識は、実は昔から誤解だったのかもしれない。(でもどこの国にでも闇の世界ってのはありそうだし、インチキ商品なんてむしろ海外が本場のような気もするけどね。)

それはともかく、次から次へと現れてくる新手の悪徳商法に、いちいち法律や条例で対応しようとしても後手後手になるのは避けられず、そういう状況下では、一般消費者側が相当に高い意識を持って自衛せざるを得ないと思うし、実際に大部分の人達はそうやって被害に逢わずに済んでいるんだと思う。でも著者は消費者側が賢くなるのは、どうしても限界があるし全員が同じように賢くなれるわけでもないから、むしろ規制や法制によってそういった悪質商法が存在できない社会を作るべきだと主張する。(本書タイトルが「撃退する」になっている由縁である。)

確かに著者が述べるように、今の日本では、悪質な商売をすることの社会的なコスト(つかまった時の罰金等)が得られる利益に比べて小さいために、悪質商売が割りのいいビジネスになっているという面があるのだろう。でも規制で作り上げる社会というのが住みやすいかどうかは異論もありそうだし、所詮、抜け穴を小さくはできてもなくすことは難しいのではないか?とも思えるのだが。

とは言え、果たして今後の日本という国は、規制を強めて弱者も生きやすい国を目指すのか、それとも、自主性を重んじて強いものが生き残るような国を目指すのか?というような本質的な命題が、こういった商売の存在をどの程度許すのかという部分にまで関わってくるのねぇ、という勉強になったような気がする。そういう意味では結構奥が深い問題だったのだ。

でも僕としては、やっぱり消費者自身がもっと賢くなる必要があると思うし、悪い商売に引っかからないための教育だとか、報道等によるキャンペーン等がもっともっとなされるべきだと考える。それが結局は社会コストを低下させることになるわけだし。(絶対儲かると言われてひっかかる奴とか、医者が治せない病気が必ず治ると言われて信じる奴なんてのは、規制云々じゃなくて、もっと根本的な人生観から見直していかなければ救いようがないのではないか? と思ってしまう。まあ、そういう人達が平気で生きていける国というのがとっても平和なのだろうし、そういう平和な国に多少悪い奴らがはびこるのもバランス的には必要悪のようなものなのかもという感じさえするが。。)

巻末には、公的な相談機関(消費生活センター)の連絡先や関連ホームページ等も載っていて、簡単な対応マニュアルとしても使えるようになっている。でもさすがに、インターネットの世界では結構有名な悪徳商法?マニアックスは紹介されていないな。(ここは最近、トラブルにまきこまれてと言うのか?google検索から削除されたので有名になったようだけど。)

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2004/02/01

人体の不思議展に行ってきた

今更ではあるけれど、終了間近の「人体の不思議展」を見に、東京国際フォーラムに行ってきた。何はともあれ、すごーい人。最終日前日の土曜日ということで特にすごかったとは思うけど、よくもこんなに沢山の人が、こんな或る意味でちょっとマニアックな展示を見に来るものだ、と感心してしまう。チケット買うまでに延々と1時間も並び、買ってから入場までに30分ぐらい並び、会場の中は物凄い人ごみで、展示品の周囲は数重の人並で、なかなか展示品に近寄れない。それでも、根性入れてほとんどの展示品を間近で見たけど。見ていた時間は1時間半ぐらい。

オフィシャルっぽいホームページは何故か二つ。人体の不思議展人体の不思議展・トップページ

事前に想像していた、少なくとも多少はグロテスクな印象とか、生々しくて気持ち悪くなるようなイメージとかは、全くなくて、それが自分でも意外。ずーっと、何でだろう? と考えていたけど、今のところよくわかっていない。「血」を始めとする液体の存在が感じられないこととか、展示が意識的に生前の姿とかけ離れた形にしていること等が関与していそうには思うけど。まあ、生々しすぎて逆に冷静になれるのかもしれない。(ここだけの話、不謹慎かも知れないけど、むしろ輪切りになった足や、筋肉を骨からはがした腕なんかを見て、ちょっとおいしそうかも、と思ったくらいだからなぁ。ほんと何でだろ??)

無茶苦茶な人ごみで、各展示の説明を読んだりできなかったし、興味を持ったものをじっくり見たりもできなかったけど、それでも確かに見てよかったな、と思えた。何と言っても、昔の人体標本とはやっぱり次元の違う展示だし。まあ、本当の人間を使ったのだから、当然と言えば当然だし、倫理的な問題等はあるとしても(無理やり弓を引かされたり、跳躍させられたりとかね)、それでも、この展示は見ておく価値があると思う。

今後は札幌、静岡、沖縄、京都と回ってからオーストラリア遠征をするようだけど、まだ見てない人は、何とか機会を作ってみるべきかも。

*2/9追記
 確かに見る価値がある展示ではあるのだが、その展示会そのものの胡散臭さはまた別問題。これについては、主催団体が正体不明確であることや、そもそもの人体をどのように調達したのか等の倫理上の問題等が色々と噂されているようだ。参考になるサイトとして、医学都市伝説サイトのblogをあげておく。

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