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2004/02/02

「悪質商法を撃退する」

賢い消費者であるためには、やはり敵を知る必要がある、という訳で読んでみました。この本は、国民生活センターの理事をつとめている著者が、いわゆる悪質商法の、実態、関連する法律、被害への対応法、そして将来展望について述べたもので、幸か不幸か今までこういった被害と無縁だった人達にとっては、絶好の入門書となっていると思える。

岩波アクティブ新書 93
 悪質商法を撃退する
 川本 敏 著 bk1amazon

どうやら日本は先進国の中では例外的に、悪質商法やヤミ金融が生き延びている国のようで、日本は「生活に関する安全」については、世界トップクラスだという認識は、実は昔から誤解だったのかもしれない。(でもどこの国にでも闇の世界ってのはありそうだし、インチキ商品なんてむしろ海外が本場のような気もするけどね。)

それはともかく、次から次へと現れてくる新手の悪徳商法に、いちいち法律や条例で対応しようとしても後手後手になるのは避けられず、そういう状況下では、一般消費者側が相当に高い意識を持って自衛せざるを得ないと思うし、実際に大部分の人達はそうやって被害に逢わずに済んでいるんだと思う。でも著者は消費者側が賢くなるのは、どうしても限界があるし全員が同じように賢くなれるわけでもないから、むしろ規制や法制によってそういった悪質商法が存在できない社会を作るべきだと主張する。(本書タイトルが「撃退する」になっている由縁である。)

確かに著者が述べるように、今の日本では、悪質な商売をすることの社会的なコスト(つかまった時の罰金等)が得られる利益に比べて小さいために、悪質商売が割りのいいビジネスになっているという面があるのだろう。でも規制で作り上げる社会というのが住みやすいかどうかは異論もありそうだし、所詮、抜け穴を小さくはできてもなくすことは難しいのではないか?とも思えるのだが。

とは言え、果たして今後の日本という国は、規制を強めて弱者も生きやすい国を目指すのか、それとも、自主性を重んじて強いものが生き残るような国を目指すのか?というような本質的な命題が、こういった商売の存在をどの程度許すのかという部分にまで関わってくるのねぇ、という勉強になったような気がする。そういう意味では結構奥が深い問題だったのだ。

でも僕としては、やっぱり消費者自身がもっと賢くなる必要があると思うし、悪い商売に引っかからないための教育だとか、報道等によるキャンペーン等がもっともっとなされるべきだと考える。それが結局は社会コストを低下させることになるわけだし。(絶対儲かると言われてひっかかる奴とか、医者が治せない病気が必ず治ると言われて信じる奴なんてのは、規制云々じゃなくて、もっと根本的な人生観から見直していかなければ救いようがないのではないか? と思ってしまう。まあ、そういう人達が平気で生きていける国というのがとっても平和なのだろうし、そういう平和な国に多少悪い奴らがはびこるのもバランス的には必要悪のようなものなのかもという感じさえするが。。)

巻末には、公的な相談機関(消費生活センター)の連絡先や関連ホームページ等も載っていて、簡単な対応マニュアルとしても使えるようになっている。でもさすがに、インターネットの世界では結構有名な悪徳商法?マニアックスは紹介されていないな。(ここは最近、トラブルにまきこまれてと言うのか?google検索から削除されたので有名になったようだけど。)

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