« ヒトクローン胚からES細胞 | トップページ | ソニーの植物原料樹脂 »

2004/02/13

ボツリヌス菌の密輸?

しわとり治療として、ボツリヌス毒素を注射する方法があるなんて話は知らなかったので、ちょっとメモ。この前、リシンの事を記事にしたし。

asahi.com (2/13)

猛毒ボツリヌス菌、美容用に密輸が増加 成田空港
 ボツリヌス菌を無許可で持ち込もうとして、成田空港でストップされるケースが増えている。昨年7月には香港から持ち込もうとした日本人男性が関税法違反(密輸)容疑で摘発された。
 生物兵器にもなり、感染した場合の致死率は20%と言われるが、摘発されているのは毒素を弱めた製剤で、シワをとる「ボツリヌス菌注射」用として利用される。
 美容外科では1回、数万円。安い製剤をアジアなどから密輸しようとするらしい。税関は「業者に処理を頼んでも『菌が生きているかもしれない』と引き取ってくれない」。 (02/13 02:42)

さて、このしわとり治療とはどんなものか、というと、食中毒で有名なボツリヌス菌の産生する強力なボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)を皮下注射することで、筋肉を麻痺させることでしわができないようにしてしまう治療法のようだ。その他にも発汗を抑える治療にも使うようだし、頭痛を抑える効果もあるなんて話も出ている。

もともとは顔面のけいれんの治療に使われたのが、しわとりに発展したようで、アメリカではポピュラーなようだ。きれいねネット・コラムのお医者さんの記事や、顔面けいれん治療の説明なんかを読むと、やはり副作用が怖そうだ。それでもネットを検索すると山ほど情報が出てくるところを見ると、日本でも相当流行しているのだろうな。

まあ、どんな毒でも服用量が少なければ薬になることもあるし、逆に薬も(薬以外のほとんどのものだって)服用量が多すぎれば毒になる。だから、その怖さを知って正しく使う分には、ボツリヌス毒素だろうと、薬として使用するのは構わないとは思うけど、しわを目立たなくするために、薬の作用で軽い顔面麻痺状態を維持し続ける、ってのは、さすがにそこまでするか? というか、どっかおかしいと思わないかね。

ところで、新聞記事に戻ると、ボツリヌス菌そのもの(!)が密輸されているように読めるし、治療もボツリヌス菌そのもの(!)を注射するみたいな書き方だな。いくら何でもボツリヌス菌を注射するのは間違いでしょう?! 密輸した製剤は、闇で美容外科等に流れるのかな? まっとうな病院ではさすがにこんな怪しい毒素は使わないだろうから、それなりに怪しい治療所が使うってことかな? どうせならば、その辺まで探ってくれれば、この治療に興味のある人の役にたつ記事になったのに。

*それにしても、どう読んでも「最近密輸が急増している」とは読めないんだけど、数字を出してくれなきゃ信用できん!て言う人もいるぞ。あちこち変な記事だけど勉強になったな。

|

« ヒトクローン胚からES細胞 | トップページ | ソニーの植物原料樹脂 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ボツリヌス菌の密輸?:

« ヒトクローン胚からES細胞 | トップページ | ソニーの植物原料樹脂 »