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2004/02/19

『「食べもの神話」の落とし穴』

以前から、「おもいっきりテレビ」や「発掘あるある大事典」等のTV番組で、或いは様々な雑誌の特集で、次から次へと新しい「健康法」や「健康食品」が紹介されている。一部の良識ある人々や批判的な精神を持っている人々からは、色々と問題視されているが、肝心のTV局側は全く反省する様子もないようだ。

批判的なサイトとしては、ちょっと毒がありすぎるかもしれないけれど発掘?あるあるトンデモ大実験が代表的。ここでは、これらの番組のおかしな部分をおちょくりつつも、理論的に批判しているし、中々参考になる切り口を見せてくれる。

健康と食品の関係等については、一度まとまった形で知識を得ておきたいと思っていたので、迷わず購入。

講談社ブルーバックス B-1418
「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム
 高橋 久仁子 著 bk1amazon

フードファディズム(food faddism)という言葉は、この本で初めて知った。「食べものや栄養が健康や病気に及ぼす影響を過大に評価すること」らしい。

先に読んだシュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」にも似たような話は出てくるので、必ずしも日本人だけの特徴ではないのだろうけど、本当に何でこうも次から次と新しい話に食いついちゃうのだろう? 古いところでは「紅茶きのこ」を始めとして、今にして思えば、いつの間にか衰退していった、食や健康にまつわる流行は数知れない。もしも決定打があったのなら、それでみんなが健康になり、もう他の健康法や健康食品は不要になっている筈なのにね。本当に懲りない人たちだ。

もう一つ重要なのは、こういう健康ものが流行する時には、必ず「キーワード」となるそれらしい専門用語がついてまわるということかな。古くは「アルカリ食品」あたりから始まって、「食物繊維」や「ポリフェノール」、「フラボノイド」だとか。でも、一体どれだけの人達が、これらの用語の意味やその働きを、理解しているのだろう? そもそもこれらの用語をどこで覚えたかというと、マスコミ報道やメーカーの宣伝からというのがほとんどだろう。そういう情報ソースがどの程度信用に足りるものか、一度疑ってかかった方が良いんじゃないだろうか?

まあでも、「からだに悪い」と言われたものを平気で口にするのは怖いし、「良い」と言われたものなら食べてみたくなる、それが人情ってのも事実。

本書は、巷に流行する数々の健康知識がどの程度信用できるものかを丁寧に検証している。それこそ、どこかで聞いたような食品にまつわるウワサを次々と検証していて、とってもためになる。あまり難しく考えずに、項目ごとにパラパラ眺めるだけでも、今まで自分が信じていたことが、如何に怪しい話だったかがわかって、かなり楽しめるんじゃないだろうか。

この本に書いてあることを信じるのか、それとも従来からのTVや雑誌の情報を信じるのか? それは各自が判断することだが、それ以前に多くの人はこの本のようなまとまった良質の情報に接する機会さえないのが現状だ。この本の内容等をベースにしたバラエティ番組をうまく作れば、かなり新鮮味があって目からウロコの快感も得られるから、それなりにヒットすると思うのだが。「対決! 発掘あるある大事典 vs. 食べもの神話の落とし穴」なんて番組、いかがですかねぇ。

また、近頃よく聞く「特定保健食品」とか「保健機能食品」や「栄養機能食品」といった言葉の意味やその違い、食品の表示の読み方といった、知ってるのと知らないのとでは大違いの内容にも触れられている。極端なケースでは、消費者の無知をいいことに、法律の隙間を突いたようなきわどい商売も成り立つ業界のようだし、勉強しておくに越したことはない。

本書の最後では、非常に質素だけどやたらと品数の多い三食分の「理想的な献立」を紹介してくれている。質素といいながら、こんなに多くの食材を少しずつ使った食事をしようと思うと、今の世の中、かえって贅沢と言えるかもしれない。

まあともかくも、健康を維持するには、バランス良く、好き嫌いせずに、数多くの食品を、栄養オーバーにならないように食べることが重要らしい。ついでに言えば、色んな情報に振り回されて、健康に気を使いすぎるのも良くないようだ。難しいよな。。

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