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2004/03/01

陳水扁台湾総統グッズのコピー

よく見ていた日刊工業新聞のサイトが FujiSankei Business i に模様替えしていた。そこで見かけた、ちょっと気になるニュース。台湾で陳総統グッズのコピーを押収

 台湾の台中関税局は29日までに、中国の上海周辺から密輸されたとみられる「陳水扁総統ぬいぐるみ」のコピー商品2万4000個を著作権法違反の疑いで押収した。市場価格は約600万台湾元(約2000万円)にのぼるという。台湾紙「中国時報」によると、3月20日の台湾総統選投票日を控え、急増している総統候補のキャラクターグッズの売行きに目をつけた中台密輸グループが背後にいた。キャラクターグッズの中では、野球のユニホームを着た陳総統のぬいぐるみ(1個約800円)が陳総統ファンの間で人気を集め、品切れの状態。中国のおもちゃメーカーがそうした人気にあやかり、台湾の業者と組んでコピー商品の密輸を計画したという。
この1月に台湾に旅行に行ってたこともあるし、1/27のブログで「著作権の考え方」という本を紹介したこともあるが、実は現在、知的財産権について少し勉強中でもある。

さて、この記事を読んでみて気になったのは、本当に著作権の問題なのか? という点である。そもそも「陳水扁総統ぬいぐるみ」とはどんなものなのだろうか? このニュースの元ネタを探したが、中国語サイトは言語の壁があって、うまく探せなかった。

台湾の選挙運動についてというページによれば、

 選挙グッズ量産も特色の一つである。キャラクターグッズで候補者をアピールする作戦も盛んだ。特に若いスタッフが多い民進党の陳水扁の陣営は力を入れている。最近も「へんぼう(扁帽)」と名付けた冬物の帽子や陳氏の人形などの新商品の発表会をひらいた。陳氏のキャラクターグッズは帽子やTシャツ、ネクタイなどの衣服から人形、貯金箱、バッグ、傘までざっと80種類以上ある。支持者だけでなく、あまり政治に関心がないひ人もファッションとして愛用している。グッズを通して、支持者と陳氏の間に一体感が生まれる。陳氏が若者に絶大な人気があるのは、グッズの効果が大きい。各陣営以外からも、候補者を登場人物にしたゲームソフトや、各候補のイラストいりの腕時計が売り出されるなど。選挙は商売のタネにもなっている。色々な選挙グッズはあまりにもかわいいので、私も買ってしまった。
とあるように、台湾の選挙運動ではキャラクターグッズが大人気になるようだ。日本の標準的な感覚とはずれがありそうだが、小泉さんが最初に首相になった時には、小泉グッズが売られて大人気という話を聞いたような気もするから、どこも一緒なのか? 調べてみたら、まだ色々と売ってるぞ。

その他、少し頑張って探してみたが、残念ながら陳総統のぬいぐるみの写真等は、過去のものについても、みつけることができなかった。従って、ぬいぐるみが写実的なものなのか、それとも芸術性に富んだものなのか、が不明。

さて、台湾の話なので日本の法律とは状況も異なるだろうが、もしも日本で同じことをした時に、著作権侵害となるのだろうか? 例えば、著作権ビジネスQ&Aというページでは

Q:ぬいぐるみは著作権の対象にならないのですか?
ぬいぐるみでキャラクターを創りましたが、それだと著作権法は適用されないと言われました。

A:残念ながら、現在の日本では「ぬいぐるみ」には著作権が認められていません。
 絵や彫刻で表現されたものには、著作権は認められるのに、ぬいぐるみで表現されたものは認めないと言うのは、創造という行為を国が理解していないということを示しています。
 絵で著作権が認められたキャラクター等を、ぬいぐるみで作った場合、キャラクターの著作権はみとめられて保護されるのですが、ぬいぐるみで新しいキャラクター等を作った場合、それは著作物として認められないのです。
そのぬいぐるみを「絵」にすると、その絵に対して著作権が認められるので、創作されたイメージが表現方法によって除外されると言うおかしなことになっています。
 これはぬいぐるみの業界が、売れたものを次々に真似して販売してきたことと関係しているようです。「ティディベア」は商標ですが、おなじようなぬいぐるみは、いくら作っても著作権法上の問題になっていないようです。
ぬいぐるみは工業製品と言う判断が根拠になっているようですが、最初のパターンを創ると言うことは創造的行為であり、著作権が適応されるべきだと思いますが、ぬいぐるみ業界は過去のいきさつから国に働きかけようとしていないのです。

という説明がある。日本の著作権法では、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」となっている。具体的には、言語、音楽、振付、美術、建築、図形、映画、写真、プログラムの各著作物が例示されている。

他の本も見てみたが、今回のケースでは、陳総統のぬいぐるみ自体が美術品と認められるようなもの(ex.博多人形は著作物として認められたケースあり)であれば、たとえ量産品であっても、美術の著作物と認められる可能性がありうるか。或いは、別にイラストや漫画等の原作(美術品としての著作物)があり、そのキャラクターをぬいぐるみにしたようなケースであれば著作物として認められる可能性がある。(上のQ&Aにあるとおり。キティちゃん人形のような場合が該当。ただし実在の人物をモデルにしたキャラクターのケースではどうだろう?)

著作権が認められない場合には、名称や形状については商標権(立体商標というのもある)、デザインについては意匠権で保護するということになるだろうか? 著作権は、特に出願や登録といった手続きが不要なのに対して、商標権も意匠権も出願・審査・登録という手続きを必要とする権利なので、陳総統のぬいぐるみも、業者が手続きを行って、登録されていれば、権利を主張できるということになるわけだ。

なお、自民党のキャラクタグッズのページにも著作権や商標権の表記は特にされていなかった。(シシローのTシャツやマグカップは著作権主張できそうだが、キーホルダーは駄目だろうというのが、僕の見解なのだが。確かに微妙だな。。)

以上、勉強中の身でもあり、自信がないままに考え方を書いたものなので、法の解釈には責任持てません(^_^;)

間違っていたら是非指摘してください。

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コメント

はじめまして。
陳総統のぬいぐるみでしたら「阿扁娃娃」と検索すると色々出てきます。例えば台湾ヤフーオークションで検索すると画像もたくさん見られますので、ご参考に。

投稿: 北野螢 | 2004/03/02 00:52

北野さん、はじめまして。貴重な情報ありがとうございます。台湾のヤフーオークションとはまた、マニアックですね(^^)。

トラックバック先の北野さんのブログにお邪魔して、リンク先の写真見てきました。えらく、可愛いんですね。阿扁娃娃ってどういう意味なんですか?これ、陳総統なんですか?台湾のヤフーで探すとエッチ系のサイトも引っかかるんですけど。。

投稿: tf2 | 2004/03/02 01:39

自己レスですが、こういうケースは不正競争防止法において、商品形態模倣行為として規定されており、この法律が適用される可能性もあります。もちろん、商標権や意匠権が登録されていれば、そちらに該当する可能性もあるので、多面的にチェックするということになりそうです。(が、やっぱり著作権ではなさそう。。)

投稿: tf2 | 2004/03/02 20:38

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