アレルギー成分ゼロ?の機内食
YOMIURI ON-LINE(3/2)の記事。
アレルギー成分ゼロの機内食、全日空が提供開始何と言っても、タイトルが気になる。本当にアレルギー成分ゼロなのか? 記事の中では、5大アレルギー成分ゼロとなっているし。全日空のホームページで見つけたのが、5大アレルギー成分除去ミール。(世界初とはどこにも書いていないけどね。)よく見ると、1/17搭乗分から開始、となっていて、何でまた今頃になって新聞記事になるのだろう?(asahi.comを検索すると、1/18に記事になっていた。YOMIURIさんはどうして今頃記事にしたのだろう? 結構不思議。)
全日空は、5大アレルギー成分(小麦、そば、乳製品、卵、落花生)を一切使わない世界初の特別機内食を国際線全線で提供し始めた。子ども向けで、重度の食物アレルギーでも安心して空の旅を楽しんでもらうのが狙い。出発4日前までに予約してもらう。通常、小麦粉を使うパンは米粉製、ハンバーグはつなぎに卵を使わず、豚ももの赤身に食塩やでんぷんなどで仕上げている。デザートはケーキなど生クリームを使うものは避けた。食品衛生法上の表示義務がない原材料表示も自社のホームページで公開している。
それにしても、疑問は色々あって、大人はアレルギー成分を含まない食事の必要ないのか?とか、5大アレルギー成分に限定していいのか?とか、他社はどうしているのか?とか。
全日空の国際線の機内特別食のメニューはこちら。宗教関係やベジタリアン向け、糖尿病向け、低塩、低コレステロール、低カロリーと色々と用意されているが、大人向けのアレルギー成分除去ミールはないみたいだ。もっとも事前に相談すれば何とかなるのかもしれないが。
対する日本航空の機内特別食のメニューはこちら。確かに、アレルギー成分除去という食事はないが、宗教関係や特定の病気関係のメニューの種類はこちらの方が豊富だ。こちらも可能な限り、要望に応えるようなので、事前に相談すれば何とかなるかもしれない。
それにしても、「5大アレルギー成分」をキーワードにしてGoogleで検索すると、なんと、ヒットするのは全部このニュースを取り上げた記事ばかり。つまり「5大アレルギー成分」という用語は全日空が発明したものではないか?と推定される。(これらは成分というよりも食品とか食材というべきものだし。)
そこで「5大アレルギー食品」で検索してみると、いくつかのページで「米・小麦・卵・牛乳・大豆」がリストアップされている。(例:タケヤみそのページ、M&Tきょうと)これだと、全日空のメニューは小麦に変えて米を使ったパン等を用意しているので、ちょっとどうかなということになる。
一方、厚生労働省で探してみるとアレルギー物質を含む食品に関する表示についてという資料がみつかった。これによると
アレルギー物質を含む食品については、特定のアレルギー体質を持つ方の健康危害の発生を防止する観点から、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高い小麦、そば、卵、乳及び落花生の5品目(以下「特定原材料」という。)を食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「規則」という。)別表第5の2に掲げ、これらを含む加工食品については、規則第5条に定めるところにより当該特定原材料を含む旨を記載しなければならないとしたこと。となっており、全日空のメニューは「特定原材料」を使用しないようにした、ということになるが、その他にも19種類もの食品が、それに準ずるとしてリストアップされている。アレルギー物質を含む食品として、規則では5品目が列挙されているところであるが、食物アレルギーの実態及びアレルギー誘発物質の解明に関する研究から、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの19品目についても、特定のアレルギー体質を持つ方に、過去に一定の頻度で重篤な健康危害が見られていることから、これらを原材料として含む加工食品については、当該食品を原材料として含む旨を可能な限り表示するよう努めるよう推奨していること。
最大公約数的な意味で、これらの特定原材料を含まないメニューを用意することには、確かに意味があるのだろう。しかし、読売新聞のタイトルだけを真に受けて、アレルギー成分がゼロの食事があるんだ、とあいまいに思い込んでしまったら危険だね。特定原材料以外にもアレルギーとなる食材は多数あるわけだし、「5大」にも諸説ありそうだ。もう少し誤解を招かないような注意が必要じゃないのか。もっとも、自覚症状のある人は、きちんとチェックするから大丈夫だと思うけど。。
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