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2004/03/14

「新聞と現代日本語」

最近本を読んでいて、時々とても気になる表記に出会うことがある。漢字とひらがなの使い分けだとか、違和感の残る言い回し等々。もちろん、こちらも自信があるわけではないのだけど。まして、こうやって他人様の目の届く場所に自分の文章を載せるとなると、結構細かなことでも気になるけど、厳密な基準で採点したら、ボロボロの点数になってしまうことは間違いないだろう。

ということで、最近は日本語ブームとかで日本語関連書が多く出ているけど、今回のものは、日本語の書き方に的を絞った解説書というか蘊蓄書というか。

文春新書 366
 新聞と現代日本語
 金武 伸弥 著 bk1amazon

非常に細かなルールが沢山出てくるので、到底覚えきれないんだけど、読んでいる最中は、目から鱗、へぇ~の連発。今まで中途半端に覚えてたけど、こういうルールがあったのか! というスッキリ感がある。大昔に学校で習ったルールと結構違っているような気もするけど、時と共にルールは変わるし、記憶はあいまいだし。改めて覚え直すしかないかな。

あくまでも新聞の表記法を解説するような位置づけで書かれているようだけど、実際には日本語で文章を書くことが多い人には、とても有用な解説書だと思う。

目次だけでも、すごい分量になってしまうが、一部を抜き出すと、

序章 新聞と戦後の国語改革

第一章 漢字の使い方
 「高根の花」か「高嶺の花」か
 「委縮」「貫録」「風光明美」は誤りか
 「醵出」か「拠出」か
 「ら致」から「拉致」へ
 電車が「込む」?「混む」?
 新聞は「順守」し、教科書は「遵守」する
 「箇所」か「個所」か
 「偏頭痛」か「片頭痛」か

第二章 字体の扱い方
 櫻井さんは桜井さん
 長「嶋」茂雄は不滅か
 朝日、産経は「龍太郎」、他紙は「竜太郎」だった

第三章 漢字の使い分け
 「拘置」「拘留」「勾留」
 「怪気炎」と「快気炎」
 「召集」と「招集」
 「引き際」と「引け際」

第四章 漢字の読み方
 「他人事」の読み方は?
 「御用達」-タツかタシか
 「初体験」-ハツタイケンかショタイケンか

第五章 慣用句などの誤り
 「感動して鳥肌が立つ」は正しいか
 「交渉が煮詰まった」の意味は?
 「耳ざわりがいい」は誤りか
 「とんでもございません」は誤りか

第六章 文法的な誤り
 「ら抜き言葉」は誤りか
 「さ入れ言葉」
 「れ足す言葉」
 「打てなすぎる」か「打てなさすぎる」か
 「完成しだい」か「完成ししだい」か

第七章 外国語の表記
 「バイオリン」か「ヴァイオリン」か
 「トルーマン」か「トゥルーマン」か
 「コンピューター」か「コンピュータ」か
 誤用しやすい外国語

第八章 辞書でもわからない書き方など
 「槍ヶ岳」「茅ヶ崎」の「ケ」は大きいか小さいか
 「一カ月」か「一か月」か「一ヶ月」か
 深夜と未明
 「三年ぶり」と「三年目」の違いは
 「角から三軒目」と「角の家から三軒目」の違い

付録 現代表記の基準

これを見ると、正解を知りたくなるのが人情というもの。でもインターネットで調べても、正解にはたどり着かないかもしれない。結局、この本を見るのが一番早いんじゃないだろうか。何しろ、国語辞典によって結構違うことが書いてあったりするみたいだから。(結局、正解はないって場合もあるし。。)本書中には、この何倍もの豊富な例が載っているので、かなり楽しめると思う。

しかも、単に実例を載せているだけでなく、表記の基準が、歴史的な経緯も含めて明確にされているので、これをきちんと覚えられれば(多分)完璧だ。ただし、言葉は生き物で、時代と共に変化し続けているので、あくまでも今の時点ではこう表記するのが好ましい、という取り決めごとに過ぎないのだが。

それにしても、こうやって多くの事例を見せられると、新聞社によって表記が違うこと、教科書と新聞では表記ルールが異なること、更には辞書によっても解釈や説明が違っていることに驚きを覚える。所詮、正しい日本語なんてものを、そんなに簡単に定義できないってことだ。

新聞というのはこんなに厳密なルールでもって書かれていたとは、恐るべしですねえ。(内容はともかく、表記についてのルールとチェックはすごい。)そう言われると、確かに新聞で文法や表記で違和感を覚えることはほとんどないし、プロの技ということか。

自分がこういう場所に書く文章も、少なくとも、表記や文法の間違いは避けたいと思うけど、この本を読んでしまうと、かえって道が遠いなあ、と思ってしまう。せめて文章内の表記の統一ぐらいはしたいけど、それには、プログラムとかマクロでの表記チェックが有効だろうと思う。(Wordには文書校正機能があるけれど、個人的には使いづらいと思うし。)ということで、ちょっと探してみたけど、これだ!というものは、ありそうでなさそうだ。

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