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2004/03/16

風力発電とオジロワシ

Mainichi INTERACTIVE(3/16)の記事。

<オジロワシ死因>風力発電風車への衝突 北海道苫前
 環境省は16日までに、北海道苫前町の風力発電施設近くで死がいで見つかった国の天然記念物のオジロワシの死因について、「風力発電施設の風車への衝突の可能性が高いと考えられる」と発表した。風車のブレード(羽根)衝突によるオジロワシの死が確認されたのは初めて。

 オジロワシの死がいは先月5日、同町の国道沿いで、腰のあたりで切断された状態で見つかった。死がい発見場所から約50メートルのところでは、風力発電用の風車を運転していた。死がい発見当時は吹雪で視界が悪かったという。

 解剖を担当した浅川満彦・酪農学園大助教授(野生動物学)は、「感染症や有害物質中毒の症状、銃創はなく、急激かつ強力な力で体を切断され、急死したとみられる。切断した物体は刃物のように鋭利なものではない」と分析している。

もともとのオジロワシの事故の記事は、毎日新聞の記事に、その他の関連記事については、Yahoo!ニュースの野生生物保護にリンクしておく。

風力発電は言うまでもなく、地球温暖化対策として期待されている新エネルギーの一つであり、最近は日本でも積極的に建設が進んでいる。最近は環境省にて国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会というのが行われている。

この検討会の位置づけは次のようなものだ。自然エネルギーの導入は、地球温暖化防止対策の一環として積極的に推進したい、しかし一方で生物多様性を確保すると同時に自然景観の保護も重要。この板ばさみの中で、国立・国定公園内における風力発電施設の設置に係る審査基準を具体的に決めるということ。(自然環境保護も地球温暖化防止も共に環境省の管轄だから、省内の調整も難航してるんじゃないだろうか?)

現時点の考え方は、まずは国立・国定公園以外の場所での可能性を十分検討した上で、必然性と公益性がなくては駄目、更に発電施設を設置した場合の影響評価を多面的にきちんとやりなさいということらしい。具体的には、特別に保護が必要な地域以外であって、計画性や外観、工事方法、或いは環境影響等について問題がないものについてのみ許可する、ということのようだ。

まあ、わざわざ手付かずの自然環境が残る貴重な土地に、敢えて風力発電施設を作る必然性があるのかどうか、何だか色々な思惑がありそうだが。。そこに今回のオジロワシの事故があり、丁度良いタイミングで取り上げられたようだ。第6回の検討会議事録の中で、

2月7日の毎日新聞で、風車への衝突死の可能性を指摘する、北海道苫前町におけるオジロワシの幼鳥の死亡記事が報道された。希少な野生生物への評価を考える際、たとえ一個体でも悪影響があれば、その地域個体群にとって重大なダメージとなる可能性に留意すべき。
という意見が述べられている。本当にたった1羽の鳥の死亡が、仮にも公共の利益に関わる発電所の設置可否を左右しても良いのだろうか? 少し大げさ過ぎるのではないかと思うのだが。

この手の問題に関して、産総研の中西準子さんは、最新の本「演習 環境リスクを計算する」bk1amazonの第0章の中で、

生態リスクと言ったとき、我々はどの階層のリスクを評価すればいいのだろうか? それは、どのように自然とつきあいたいかによる。特別な貴重種とか、絶滅危惧種、人間に近い種などの場合は、個体レベルのリスク管理(生物個体を一つも殺さないこと)が目標になるだろう。しかし、一般の生物種に対しては、個体レベルのリスク管理は目標にならない。
と書かれている。この立場からは、今回のオジロワシの死亡事故は十分に考慮に値することになる。もっとも、オジロワシに対する保護という意味では、何も風力発電施設を建設しないという選択肢以外にも、扇風機のようにブレード全体をネットで覆うという対策だって検討されてもいいような気もするが。。(非現実的かな?)

ちなみに、現在の風力発電設備、近くで見ると結構迫力がある。でも鳥がブレードに切断されちゃうってのもすごい話で、一体どの程度のスピードでブレードが回っているのか調べてみた。一例として三菱重工の風力発電プラント:仕様を見ると、1000kW型でブレードの直径61.4mで19.8rpmとある。これだと、ブレードの先端の線速度は何と64m/sになる! 600kW型だと、直径45mで最高34rpmだから80m/sにも達する。時速220~290kmだ! うーむ、確かにこれだけ速いとさすがのワシも逃げ切れないかもしれない。。

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