ボトルの内容物の可燃性検査装置
産経新聞のニュース(3/24)から、
テロ防止へ液体検査、成田などに装置設置 国交省ちょっと興味があったので、更に調べていたら、NHKニュースが取り上げていた。いつまでリンクが残っているか不明だが、今の時点では動画ニュースが見られる。ペットボトルを装置に置くと、数秒で、内容物が可燃物か否かを判定してくれるようだ。なかなかの優れもの。
国土交通省は二十三日、テロ防止などのため、航空機に持ち込むペットボトル内の液体が可燃物かどうかを調べる検査装置を羽田、成田、名古屋の三空港に設置すると発表した。十月下旬まで試験運用し、同月末から新千歳や福岡など二十六空港で本格的に導入する。
同省によると、こうした装置を空港に導入するのは世界初という。これまでは、液体の色を目で確認したり、開封してにおいを調べたりしていた。昨年二月の韓国大邱市の地下鉄放火事件や、テロに対する懸念の高まりを受け設置が決まった。ペットボトルを検知部に置くと、センサーから弱い電気が流れ、可燃性を感知。持ち込みが禁じられたガソリンや灯油なら赤ランプ、水や酒なら青ランプが点灯する。
検索してみると、昨年の11月に成田空港のNarita Airport Newsで取り上げられている。このニュースを元にして、開発元の東京ガスのニュースや装置紹介が芋づる式にみつかった。また、共同開発元の(株)テックジャムという会社のホームページはこちら。(製品紹介で載せている情報は東京ガスのものと同一だが、多彩な計測機器や理化学装置を扱っている会社のようだ。)
さて、開発元の紹介を見ても、検知の原理が書かれていない。産経新聞の記事には、「センサーから弱い電気が流れ、可燃物を検知」とあり、NHKのビデオニュースでも「この装置は、液体の電気的な特性を利用してガソリンやシンナーなどの可燃物を判別するもの」と説明している。ところがビデオを見ても、本当にボトルを装置に置くだけ。ボトルに入っている液量も多かったり少なかったりするだろうし、装置の仕様によると、280から2000mlのペットボトルに対応するとある。さて、どうやって判別しているのだろう?
ボトルを斜めに置くのがポイントのように思えるのだが、これはボトル内の残液量が少ないときを想定したものかもしれない。いずれにしても、検知はボトルの底面と側面(下部)のあたりでしていそうだ。ペットボトルはそれぞれ(底面も側面も)形状が異なるし、胴体にはフィルムラベルが巻いてある。表面は結露したりこぼれたりで、水分や汚れが付着していることも前提としなくてはならないだろう。
となると、静電容量で判断することになるのだろうか? 水の比誘電率は20℃で80程度。エタノールは約25、ヘプタンは約2ということで、確かに水溶液系は誘電率が大きいので、区別は可能かもしれない。それにしても、どことどこの間で静電容量を測るのか?ということが問題になる。
他には、固有の赤外線を当てて吸収を見るという方法もありそうだが、ボトルのサイズや温度の影響もあるし、リファレンスとの比較ならともかくも、一発で○×の判定を下せるだろうか?
製品の型番でGoogle検索してみたところ、英文の製品紹介が見つかった。この資料には、センサーの出力のグラフが載っているが、やはりボトルサイズや中の液量で、センサーの出力が変化している。更に、検出に必要な最低液量はボトルサイズの1/3と書いてあるな。またボトルはPETではなく、ガラス瓶でも可能とも書いてある。ますます不思議だ、一体どうなっているんだろう??
こういった実地テスト段階まで来たということは、それなりの性能が発揮できているんだろうし、結構すごい技術かもしれない。装置のデザイン等はまだ改善の余地がありそうだが、そのうち、世界中の空港にこういう装置が置かれるようになりそうな予感。日本の技術はやっぱりすごいな。
*特許庁のホームページで関連特許を探してみたが、見つからなかった。
*3/30追記
東京ガスの研究所のサイトで非接触式の静電容量センサの記事をみつけた。この方式かもしれない。。
| 固定リンク
コメント
4/5のNHKのニュース10で、この装置の紹介がされていたけど、ウィスキーは「可燃物」と判定するそうだ。まあ、アルコール濃度が高いから当然か。
その場合、未開封であれば機内持ち込み可能だとのこと。開封済みだと持ち込むのは難しいことになりそうだ。
投稿: tf2 | 2004/04/05 22:22
7/26の日経新聞にhttp://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20040726AT3K2601K26072004.html">ペットボトル、1秒で検査・関空、混雑緩和へ新兵器という記事が載った。
こちらは、マイクロ波を使うって書いてある。マイクロ波の吸収を見るのだろうか? 何だか内容物の温度が上がってしまいそうだな。。やけに開放的な装置だし。 調べてみるかな。
投稿: tf2 | 2004/07/26 19:06
11/1に東京ガスからhttp://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20041101.html">ニュースリリースが出ており、それによると、プロトタイプのテスト期間も終わり、製品を正式に販売開始するとのこと。いつのまにか、PETボトルだけでなく、最近増えているアルミボトルにも対応できるように改良されていたようだ。お値段は、装置の図体の割りには高いみたいだが、安全には代えられないか。。
投稿: tf2 | 2004/11/02 13:40