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2004/04/18

ボトルtoボトルリサイクルする?

3/26のブログの続き。

さて、帝人やペットリバースの技術(「ボトルtoボトル」とか「ケミカルリサイクル」とか呼ばれている)によって、ついにペットボトルは、化学的な処理をされた後に、再びペットボトルにリサイクルされて、何度でも循環使用されるようになる。確かにとても良い印象を与える技術かもしれない。

しかしながら、ペットボトルリサイクルを巡っては、色々と問題もあるようだ。例えば、asahi.com be on Saturday(2004/01/24)の特集記事、仕組み充実。でも「原料不足」に業者悲鳴 ペットボトル再生の謎、はペットボトルのリサイクルに関連して、主としてペットボトルを回収する際の問題点に焦点を当てている。そもそもの法律が抱える問題点が、様々な歪を生み出していると言えそうだ。

自分の身の回りを見渡してみてもすぐに気付くが、ここ数年のペットボトルの増え方は驚くべきペースだ。PETボトルリサイクル推進協議会のホームページには、種々の統計データが載っているが、これを見ても、ペットボトルのリサイクル率は上昇しているものの、生産量もどんどん増えており、廃棄される量は、ほとんど減っていないと考えられる。

それとは別次元の、より本質的な問題点として、回収したペットボトルを化学的に分解して元々の原料化合物まで戻し、それを再びボトルにするのは、如何にも手間が掛かるし、効率が悪そうだ。石油原料から作るよりは、省資源、省エネルギーでCO2排出も少ない、と言うけれど本当のところはどうなんだ?

帝人がLCAに関するニュースリリースで公表したデータによると、石油資源から作るのに比べて、エネルギー消費が84%減、CO2排出が77%削減とあり、大幅に環境負荷が削減されるように書かれている。しかし(恐らく同じ技術について)NEDOが行った評価では、エネルギー消費は3割減となっており、数値は大きく異なっているけど、どうしてだろう?

一方、ペットリバースが採用したアイエス法の消費エネルギーについては、約半分という日経BPの記事が出ているが、あくまでもこれはメーカー側の言い値だ。

この辺の事情について、飲料容器のLCAにも詳しい国連大学の安井さんは、環境問題の変質2の中で、帝人のLCA評価を「余りにも自分たちに有利なシナリオになっている」と指摘している。ただし、具体的なデータをまな板に載せて議論しているわけではないので、我々は判断のしようがない。。

まあ、メーカーの数値は話半分程度と受け止めるとしても、石油資源から製造するよりはケミカルリサイクルの方が、多少とも省資源・省エネルギーだと言えるのだろう。しかし、他の選択肢はないのか? ということは考えるべきだろう。

環境文明研究所の加藤さんは、プレジデント誌の特集で、リサイクルも良いが、リターナブル瓶の採用やデポジット制の導入を考えることを勧めている。

安井さんのサイトでペットボトルに関係する記事は結構多く、
 PETのリターナブル化と飲料容器LCA 1999/05/01
 飲料容器環境負荷比較その1 1999/12/19
 飲料容器環境負荷比較その2 1999/12/26
 ペットボトルはやはりやめよう 2000/02/20
 ペットボトルのリサイクル 2002/10/27
 リサイクル直感教材2 2003/02/01
 容器包装リサイクルの政策評価 2003/02/16
といったものが見つかる。基本的には、リサイクルのループはできるだけ短く、直前に戻すのが有利ということで、化学原料まで戻してしまうリサイクルは、やらないよりマシかもしれないが、最も効率の悪いリサイクルと言えそうだ。

もっとも、メーカー側としても、ペットボトルのリユースが増えると、当然ボトル用のペット樹脂や新たなペットボトルの生産量は減ってしまうことになり、それはそれで困ることになるわけだ。生き残りのための次善策としてケミカルリサイクルに目を付けて、技術開発に成功したことには素直に感心するが、この技術が環境にやさしい決定的なものであるかのように主張することは控えた方が良いのではないだろうか? これを免罪符にして、大量生産・大量消費に拍車が掛かるのでは、どう見たって本末転倒だ。

*ペットボトルのLCAについては、LCAお役立ち情報 CRESTにも、関連情報へのリンクがある。ただし、ケミカルリサイクルによるボトルtoボトルについては触れられていないようだ。

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コメント

いつも楽しく拝読しております。
ペットボトルのリサイクル?には常々疑問を感じておりました。リユースするならともかく、現状の回収システムで無理矢理劣化した製品に再生したりするくらいなら、燃料として焼却炉に放り込んだ方がマシな気もします。プラスチックにしても燃焼カロリーは大して変わらない、という話を聞いたことがあるような気もします。シロウトなので、本当に効率良いのがどれなのかは全然わからないのですが。
以前某政令指定都市のゴミ回収最前線で労働していたことがあったのですが、そこでは実にビン・カン・ペットボトルをまとめて回収していました。このうちなんとか採算的に回っているのはカンだけだったらしいです。とはいえ、分別を細かくし過ぎても、一定ラインを越えるとかえって化石燃料が消費されていくことは、現場にいれば容易に実感できます。
つくづくリサイクルというのが妄想じみたもので、本当は「サイクル」の速度をなるべくゆったりさせるしかないとは思うのですが、それも難しいのでしょうねぇ。「ゆっくり回す」こと自体に快楽を感じられるように気持ち良さのツボを移動させていくと、それなりに楽しく暮らせるものだと思うのですが。
賢いヒトがちゃんと自然科学的に考えてくれるのを読むのは楽しいものです。

投稿: 石倉由 | 2004/04/21 01:33

石倉さん、丁寧なコメントありがとうございます。

何でも、リサイクルすればそれで環境にいいことしてます、ってのは思考停止ですからねぇ。簡単に騙されないようにしないといけないですね。

>以前某政令指定都市のゴミ回収最前線で労働していたことがあったのですが、そこでは実にビン・カン・ペットボトルをまとめて回収していました。このうちなんとか採算的に回っているのはカンだけだったらしいです。

うちは横浜市なんですが、正に現在この状態です。これでも以前よりは良くなったような。近々、もっと分別する方向に変わるようですけど。

>「ゆっくり回す」こと自体に快楽を感じられるように気持ち良さのツボを移動させていくと、それなりに楽しく暮らせるものだと思うのですが。

何だか、スローライフがはやりの今にマッチしそうな素敵なキャッチフレーズですね。何となくわかるような気がします。でも「わかっちゃいるけどやめられない」ってのも本音だと思うし、悲しいけど。。

#石倉さんのブログを少しだけ覗かせていただきましたが、妙に落ち着く不思議なフィーリングですね。ちょっとお気に入りです。

投稿: tf2 | 2004/04/21 02:26

2004/5/10のMSN-Mainichi INTERACTIVEに関連記事が載った。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040510ddm016040105000c.html">省エネ:ペットボトルを完全再生 大型施設が稼働--達成、新たに課題も

冒頭の朝日の記事と似た切り口。ボトルの回収競争が激しくなったと言う話と、誰が費用を負担すべきなのか?という問題。

投稿: tf2 | 2004/05/10 20:33

rycycling is good!

投稿: Mn | 2008/01/16 13:45

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