硫黄固化体
FujiSankei Business i(4/30)の記事。硫黄を漁礁の材料に 新日本石油が9月から実証実験
新日本石油は、原油の精製工程で出る硫黄を石炭灰などと一緒に混ぜて固めた「改質硫黄固化体」を、魚のすみかとなる漁礁などの材料に活用する実証実験に乗り出す。約4億円を投じ、北海道室蘭市に試験製造プラントを建設、9月から生産を始める。硫黄のかたまりを海に沈めちゃうの? 硫黄ってそんなに安定した物質だったかな? 結構派手に燃えるんじゃなかったか? 消防法の危険物だし。ということで、硫黄についての基礎知識は、Wikipedia、安全性については、国際化学物質安全性カードなど。やっぱり酸化されやすそうだけど、水への溶解度は低そうだし水中では安定なのかな?試験プラントは、精製子会社の新日本石油精製の室蘭製油所(北海道室蘭市)に隣接する倉庫(総面積3626平方メートル)に建設。1時間あたり15トンの製造能力を持つ。
改質硫黄固化体は、硫黄を約120~160度の高温でいったん溶かし、冷やすと固くなる性質を利用。石炭灰や製鉄くず(スラグ)などの産業廃棄物や帆立て貝、カキの貝殻などの水産廃棄物と一緒に混ぜ、漁礁や海藻が生息する藻礁などの海洋構造物の原料に加工して再利用を目指す。
実証プラントでは、硫黄と細かい粒状の石炭灰などの一部を混合した中間資材をあらかじめ製造しておき、加工時に残りのスラグなどと混ぜる独自製法を採用。硫黄と他の原料を一度にまとめて長時間加工する従来法に比べ、時間短縮や品質向上にも役立つ。中間資材は消防法上の危険物に該当しないため、運搬や保管の取り扱いも容易。
石油元売り各社は、排ガスの発生につながるガソリンや軽油の硫黄分の低減を進めており、精製工程で出る硫黄の量も年々増えている。一方で需要は肥料などの一部に限られているため、新たな受け皿となる用途開発を狙って実証実験に取り組む。今後は加工品の製造や耐久試験などを通じて採算性を検討する。
調べてみると、この新日本石油の硫黄固化体利用は昨年の新聞記事になっていた。 JIJweb (2003/12/11) 、 JIJweb (2003/12/12)。こちらの記事だと、
そんな硫黄には、いくつかの特徴がある。特に注目されるのは「強度が高いこと」「遮水性が高いこと」「耐塩性があること」「中性で生物との親和性が良いこと」など。新日本石油の開発部開発2グループでは、こうした硫黄の特徴を生かした新事業の創出を目指している。中でも現実的で、相次ぎ実証試験に着手しているのが「硫黄固化体」だ。とある。硫黄ってのはそんな性質があったとは知らなかった。新日本石油のプレスリリースを探すと、2003/9/12、2003/11/27などが見つかるが、やはり耐酸性が特徴ということらしい。ただし探してみた範囲では、具体的な強度や耐酸性のデータは見当たらなかったので、既存材料に対してどの程度優れているのかはわからない。何故か他に同じような検討をしているところもなさそうだ。
水産廃材と石油精製副産物の組み合わせってのが、なかなかキーワードとしても心地よいし、硫黄のそんな性質に目を付けて開発を進めたことにも感心するけど、そんなに大量の需要があるのかというと疑問かも。
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