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2004/04/02

有機ラジカル電池

今朝(4/2)の日経新聞のテクノロジー面で大きく扱われているが、Webニュースでは今のところ見当たらない。

新電池30秒で充電、NECが開発
NECは短時間に充電できる新型の充電池を開発した。デジタルカメラや携帯型MDプレーヤーなどに使われているニッケル水素電池と同程度の電気を蓄えられるうえ、一時間前後かかっている充電時間を約30秒に短縮できる。家庭で使える充電器の開発を進め、早期の実用化を目指す。

開発した電池は「有機ラジカル電池」と呼ばれている。特殊な樹脂に電気を蓄積する。約2センチ角で厚さ4ミリのタイプや名刺サイズで厚さ5ミリのタイプを試作した。30秒の充電で、MDプレーヤーなら80時間の連続使用が可能な電気量をためることができた。

同じサイズなら、ニッケル水素電池とほぼ同等の性能になる。充電の待ち時間がほとんど不要で、ラジコンカーなどの玩具や電気ひげそり機など携帯用の電気製品も使いやすくなる。
 (中略)
新電池の原理は知られているが、実用化した例はない。NECの成果は研究段階だが、製造工程などを工夫して既存の電池生産設備を転用できるメドも付けている。高価な材料を使わないため、量産段階の価格もニッケル水素電池と同程度にできる見通し。

とある。なんだかすごい技術のようだ。少し調べてみると、NEC研究所が2001年の11月に有機ラジカル電池の動作確認の発表をしており、この際に一部では報道されてたようだが、僕は全く記憶にない。

この時の特徴を見ると「充電時間を6分間にできる」とあるので、それよりもまた格段に進歩したようだ。

さて、この有機ラジカル電池、もう少し調べてみたら、2003/11の電池討論会で発表された内容について、NE ONLINEで見ることができる。(無料・登録要) 構造については、

 正極活物質に用いる導電性プラスチックとして,安定ラジカル化合物の「PTMA(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノキシル-4-イルメタクリレート)」を合成した。電極は,PTMAにアセチレンブラックとフッ素系樹脂を混合して,52mm×70mm×0.6mmの板状に成型した。この電極を6枚積層し,Li金属箔と対向させて厚さ5.7mmの電池セルとした。電解質液は,エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒を用いた。
と紹介されている。また、この記事では、充放電サイクル特性に課題があるように書かれている。一方で急速充放電特性については特に触れられていない。ということは、この数ヶ月で大きなブレークスルーがあったのかもしれない? 

電池の世界の進歩は、今日の我々の日常生活に非常に大きな影響を与えるのは間違いない。当面は燃料電池とLi電池の争いかと思っていたのに、意外な伏兵が現れたってことだろうか? この電池は要注目だ。

日経の記事の最後には、

今後は充電器や過剰な放電を防ぐ利用技術を開発する。NECはまず、コンピューターの非常用電源となる無停電電源装置の実用化を検討する考え。
とあるが、記事の流れからすると、ちょっと違和感のある実用化第1号案件のような気がしないでもない。まだ色々と解決すべき課題があるってことだろうか??

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» NEC有機ラジカル電池 [ ECaSS]
日本経済新聞で4/2に掲載された NECの有機ラジカル電池に関する情報 http://tftf-sawaki.cocolog-nifty.com/blog/20... [続きを読む]

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