化学品世界調和システム(GHS)
YOMIURI ON-LINE(5/27)の記事。「どくろ」「炎」…危険・有害物質にマーク義務付けへ
職場の化学物質管理のあり方を議論してきた厚生労働省の検討会は27日、危険性や有害性に応じて国連が定めた「どくろ」など9種類の絵表示を付けるべき、とする報告書をまとめた。同省は労働安全衛生法などを改正し、2006年末を目標に表示を義務づける。厚生労働省の発表は、職場における労働者の健康確保のための化学物質管理のあり方検討会報告書についてというもので、要するに国連が定めたGHS勧告というものに従った対策を進めましょうということのようだ。絵表示は2003年7月、国によってバラバラだった表示方式を統一し、労働者の健康確保や円滑な国際取引を目指して国連が勧告した。危険性と有害性を発ガン性、腐食性、環境への影響など26項目に分類し、危険度に応じて容器や保管部屋などに絵表示を付け、工場労働者や運送業者、消費者らに注意を促す。
「どくろ」はアジ化ナトリウムなど急性の毒性、「炎」は引火性や可燃性を示し、ガソリンなどが対象。人の中心がひびわれた形はベンゼンや石綿など発がん性物質を示す。有害の程度に応じて「危険」「警告」などの文字情報も入る。
同省は「絵表示は見た目に分かりやすい優れた仕組み。関係省庁と協議して早く導入したい」としている。 (後略)
GHS国連勧告については、
平成15年に、人の健康の確保等を強化すること、化学品の国際取引を促進すること等を目的に、化学物質の危険有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、各々の危険有害性について、一定の基準に基づき、その程度等を区分けし、危険有害性の程度等に応じて、ドクロマーク等の絵表示(ピクトグラム)を付すこと等を内容とする化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)が、国際連合から勧告として公表(以下「GHS国連勧告」という。)され、平成20年までの完全実施、また、APEC域内においては、平成18年末までの実施が求められています。とあるように、国際的に化学物質の有害性の取り扱いについて統一していこうという動き。この関連で参考になる情報としては、EICネットの化学品の危険有害性情報提供の取り組み"GHS"解説パンフレットを無償配布への記事と関連リンクがある。
GHSは、何も労働安全の場に留まらず、一般家庭にも関係の深い様々な化学品の分類・表示にも深く関わる話であり、身の回りのいろんな化学品(洗剤、塗料、接着剤、殺虫剤、その他薬品類等々)に近々この表示が普通に見られるようになると思われる。
「どくろ」など9種類の絵表示については、環境省のGHSとはのページに、9つの絵表示が載っている。この絵を見ただけで、どういう危険性があるかが直感的に理解できることを期待されているのだろうが、どうだろう? どうも日本人の感覚が国際的なセンスと合致していないのか、今ひとつピンと来ないように思えるのだが。。 まあ、徐々に慣れていくしかないか?
更にGHSでは、統一されたマークが色々な商品に表示されるようになるだけではなく、その元となる各物質の有害性・危険性の分類を世界で統一しようということだ。現在は、国毎に規制が行われているから、物質によっては輸出入の際に問題になったりするし、各国の規制状況を調査をするだけでも大変だったりする。これが、将来的には統一された国際基準で管理されるようになるということが目標となっているようだ。
GHS国連文書の全文(仮訳)については、経済産業省や環境省からダウンロードできるが、どうも既存の化学物質を規制する法律類(消防法、毒劇法、化審法、労安法等)との整合性についてはよくわからない。何だか、既存の規制の上に更に国際基準が上乗せされるような気もしないでもないが、例えばGHSでは有毒の分類だけど、日本の法規では特に規制されない、なんてケースも出て来るのだろうか?
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