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2004/05/31

ヤフーの検索が変わった

ITmediaニュース(5/31)Yahoo! JAPANも独自の検索エンジン採用

 ヤフーは5月31日、Yahoo!JAPANの検索エンジンをGoogleから「Yahoo! Search Technology」に変更した。

 Google採用時よりも、送り仮名の違いなど日本語の表記のゆれに対応しやすくなるという。検索結果の画面構成自体はGoogle採用時と変わらないとしている。

ということで、ちょっと試してみたが、確かに Google とは異なった結果を返すようになっている。検索オプションも Yahoo! 独自のものになったようだ。

日本の検索エンジン事情については、このブログでも 2/11の記事 でも取り上げたが、Google の寡占状態は決して好ましいものではないと思っているので、今回の変更は多様性を重んじる意味から歓迎したい。今までは困った時はキーワードを変えてみるのが常道だったけど、今後はエンジンを変えてみるのがいいかもしれない。

しかし、ある日突然検索エンジンの中身が変わるってのも、何だか不思議といえば不思議な話だ。トヨタの車を買ったら、今日からエンジンがやっとトヨタ製になりました、実は昨日までは日産製だったんです、内緒ですけど、みたいな話じゃないの? 検索サイトにとって、検索の質は提供するサービスの中心部分のはずなのに、その内容の大幅変更についてユーザーに説明がないってのは?? (所詮無料のサービスだけどね。)

ちなみに、このブログを訪れてくれる方のトップは Yahoo!サーチ経由で来られる方々なので、その検索エンジンが変わったことで、今後何らかの影響が出てきそうだ。しばらくは傾向を注目していこう。

今の所、このブログサイトに関しては、検索結果のリンク先がやや不適当なケースが散見されるようだが、改善されるのだろうか?(該当記事に直接リンクせず、カテゴリーやバックナンバーにリンクしているケースなど。)

*6/1追記:本件に関してのヤフーのニュースリリース

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5月は献血をパス

毎月1回の成分献血を続けてきていたが、体調不良につき今月は断念。先週から病院通いで、沢山の薬を飲んでる状態なので、まあやむを得ないか。。成分献血を始めて以来12年あまり、忙しくて半年程休んだことはあるけれど、献血できない体になったのは初めてだ。

ちなみに公式には、献血できない条件として 日本赤十字社 献血条件 に10項目が載っているが、どちらかというと献血者本人の健康状態を考えて決められた条件というよりも、献血された血液の安全性から決められた条件と考えられる。

僕の場合は、「服薬中」という条件に引っかかりそうなので、献血を自粛することにしたけど、毎日病院に通って治療を受けていながら、献血しようかなと考える方が非常識なんだろうか?

おまけに、左目を空けていられない状態なので、眼帯をする羽目になり、これが結構辛い。慣れるまでのことかもしれないが、細かな文字を見たり、視点をあちこち動かすのが特に辛い。ということで、本を読むのもしばらくは控え気味にならざるを得ないし、PCの画面も長時間注視するのはきつそうなので、このブログの更新も滞りがちになるかもしれないけど、そういう事情もあるのでご勘弁を。。

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2004/05/30

テラヘルツ波検査装置

NEWS@nifty(5/29)から。麻薬や爆薬、開封せず検知=「テラヘルツ波」応用、共同開発へ-理研など(時事通信)

電波と光の中間の波長である「テラヘルツ波」を使い、郵便物や荷物に隠された麻薬や爆薬を開封せずに検知する装置の開発に、理化学研究所と大阪大、警察庁科学警察研究所、日立製作所などが共同で取り組むことが29日までに決まった。
 空港で手荷物検査に使われるX線検査装置では中身の形状しか分からないが、テラヘルツ波を当てると、化学物質の種類を特定できる。3年後に検査装置を世界で初めて実用化する計画だ。
テラヘルツ波については、テラヘルツテクノロジーフォーラムというサイトがある。なるほど、テラヘルツ波ってのは波長では300μm程度の電磁波ね。どこかに暗黒の電磁波って書いてあったけど、従来あまり利用されていない領域だったようだ。 (最近では「ギガ」は普通に使われるけれど、「テラ」はまだまだ珍しい単位で 1000ギガのこと。そのうちハードディスク容量なんかもテラバイトの時代が来そうだな。)

そのテラヘルツ波と麻薬・爆薬検知の関係は? というと、記事に出てくる理化学研究所のサイトを探すと、テラヘルツ光が開く新しい画像世界に書かれている話のようだ。この記事、とても専門的で難しいが、その「テラヘルツ光で鞄の中の薬物を分析する」の項を引用すると、

 これを可能にした要因が3つあります。1つはテラヘルツ光領域で、薬物の指紋スペクトルを発見できたことです。つまり、物質にテラヘルツ光を当てたときに、その物質を特定できる吸収スペクトルが存在していました。さまざまな試薬、覚醒剤をはじめとする禁止薬物、農薬、ビタミン類、糖類の指紋スペクトルがテラヘルツ領域にあったのです。

 従来、赤外光領域には多数の指紋スペクトルが存在することが知られ、赤外分光学という学問分野もあります。しかしながら、赤外光は封筒、鞄、服、財布といったものを通 らないので中身を調べることはできません。一方、テラヘルツ光はこれらを透過します。それが2つ目の要因ですね。

 3つ目はテラヘルツ光の数百mmという空間分解能で、微量な化学物質の同定を可能にしたことです。

 測定データの分析に、理研ナノフォトニクス研究室の河田聡主任研究員が開発した主成分分析という手法を用いると、例えば鞄や封筒の中に、覚醒剤とビタミン剤とアスピリンとがゴチャゴチャに混ざって入っていたとしても、その中から覚醒剤の濃度と分布だけを覚醒剤の指紋スペクトルを使って抽出することができます。

ということで、テラヘルツ波が鞄や封筒を透過し、物質毎に特有の吸収スペクトルを示すので、非破壊検査で特定の物質の同定ができるということらしい。確かに従来のX線による検査ではX線を透過しない物体の外形を示すことしか出来なかったのに対して、この方法では予め登録しておいた物質についてはその特定が出来るわけで、感度がどの程度かにもよるが、相当に強力な検査手法になりそうだ。

同じ川瀬さん関連のサイト川瀬独立主幹研究ユニットには、関連リンク等の詳しい情報が載っている。

テラヘルツ波は、他にも医療分野やエレクトロニクス分野等での様々な応用が期待されているようで、今後とも注目のキーワードかもしれない。

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2004/05/29

化学品世界調和システム(GHS)

YOMIURI ON-LINE(5/27)の記事。「どくろ」「炎」…危険・有害物質にマーク義務付けへ

 職場の化学物質管理のあり方を議論してきた厚生労働省の検討会は27日、危険性や有害性に応じて国連が定めた「どくろ」など9種類の絵表示を付けるべき、とする報告書をまとめた。同省は労働安全衛生法などを改正し、2006年末を目標に表示を義務づける。

 絵表示は2003年7月、国によってバラバラだった表示方式を統一し、労働者の健康確保や円滑な国際取引を目指して国連が勧告した。危険性と有害性を発ガン性、腐食性、環境への影響など26項目に分類し、危険度に応じて容器や保管部屋などに絵表示を付け、工場労働者や運送業者、消費者らに注意を促す。

 「どくろ」はアジ化ナトリウムなど急性の毒性、「炎」は引火性や可燃性を示し、ガソリンなどが対象。人の中心がひびわれた形はベンゼンや石綿など発がん性物質を示す。有害の程度に応じて「危険」「警告」などの文字情報も入る。

 同省は「絵表示は見た目に分かりやすい優れた仕組み。関係省庁と協議して早く導入したい」としている。 (後略)

厚生労働省の発表は、職場における労働者の健康確保のための化学物質管理のあり方検討会報告書についてというもので、要するに国連が定めたGHS勧告というものに従った対策を進めましょうということのようだ。

GHS国連勧告については、

 平成15年に、人の健康の確保等を強化すること、化学品の国際取引を促進すること等を目的に、化学物質の危険有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、各々の危険有害性について、一定の基準に基づき、その程度等を区分けし、危険有害性の程度等に応じて、ドクロマーク等の絵表示(ピクトグラム)を付すこと等を内容とする化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)が、国際連合から勧告として公表(以下「GHS国連勧告」という。)され、平成20年までの完全実施、また、APEC域内においては、平成18年末までの実施が求められています。
とあるように、国際的に化学物質の有害性の取り扱いについて統一していこうという動き。この関連で参考になる情報としては、EICネットの化学品の危険有害性情報提供の取り組み"GHS"解説パンフレットを無償配布への記事と関連リンクがある。

GHSは、何も労働安全の場に留まらず、一般家庭にも関係の深い様々な化学品の分類・表示にも深く関わる話であり、身の回りのいろんな化学品(洗剤、塗料、接着剤、殺虫剤、その他薬品類等々)に近々この表示が普通に見られるようになると思われる。

「どくろ」など9種類の絵表示については、環境省のGHSとはのページに、9つの絵表示が載っている。この絵を見ただけで、どういう危険性があるかが直感的に理解できることを期待されているのだろうが、どうだろう? どうも日本人の感覚が国際的なセンスと合致していないのか、今ひとつピンと来ないように思えるのだが。。 まあ、徐々に慣れていくしかないか?

更にGHSでは、統一されたマークが色々な商品に表示されるようになるだけではなく、その元となる各物質の有害性・危険性の分類を世界で統一しようということだ。現在は、国毎に規制が行われているから、物質によっては輸出入の際に問題になったりするし、各国の規制状況を調査をするだけでも大変だったりする。これが、将来的には統一された国際基準で管理されるようになるということが目標となっているようだ。

GHS国連文書の全文(仮訳)については、経済産業省環境省からダウンロードできるが、どうも既存の化学物質を規制する法律類(消防法、毒劇法、化審法、労安法等)との整合性についてはよくわからない。何だか、既存の規制の上に更に国際基準が上乗せされるような気もしないでもないが、例えばGHSでは有毒の分類だけど、日本の法規では特に規制されない、なんてケースも出て来るのだろうか? 

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2004/05/28

変換効率28.5%の化合物フレキシブル太陽電池

asahi.com(5/28)の記事。紙のように薄い太陽電池、シャープが開発

 シャープが、紙のように薄く、曲げたり筒状にしたりできる太陽電池を開発した。年内の量産開始を目指す。太陽光をどのくらい電気に変えるかを示す「変換効率」は28.5%。住宅に取りつける多結晶シリコンの太陽電池が14%程度とされるのに比べ、飛躍的に効率を上げた。携帯電話、衣類、自動車などに付け、移動しながら電化製品に電力を供給することが可能になるといい、太陽電池の普及を加速させそうだ。

 シャープは6月4日、この新技術をパリで開かれる国際会議で発表する。

 同社は変換効率が高いため、人工衛星などに使われる「単結晶化合物」の太陽電池技術を応用した。この「単結晶」だと通常、厚みは約200マイクロメートル(マイクロメートルは1000分の1ミリ)。だがシャープは、半導体の配線部品や土台を組み込まなくても、いったん取りつけてはがすだけで半導体の働きをする基板技術を開発、厚みを1~3マイクロメートルに抑えた。重さも100分の1。「化合物フレキシブル太陽電池」と名づけている。 (後略)

今のところ、他のニュースサイトには掲載されていないし、シャープからのリリースも見当たらないので、詳細は公式な発表を待たなくてはわからないが、このニュース、「紙のように薄い」ことよりも「変換効率が28.5%」であることの方が、よっぽどサプライズだと思える。

シャープのサイトで太陽光電池の説明をしている太陽光発電の基礎知識を見ると、太陽電池として、単結晶・多結晶・アモルファスの各シリコン系と単結晶・多結晶の化合物系に分けられるとあるが、新聞記事の太陽電池は「単結晶化合物」となっており、とすると、GaAs系のような化合物半導体のようだが、「化合物フレキシブル太陽電池」というキーワードでインターネットを検索してもヒットしないので、正に新技術だと思われる。

最近の太陽電池技術動向については、財団法人光産業技術振興協会がまとめた、平成15年度光技術動向調査結果(太陽光エネルギ)(pdf)が非常に良くまとまっている。これを見ると、化合物半導体薄膜系としては、19/44ページ以降に載っているが、最近注目されている系としてCIS(CuInSe2)が紹介されているが、これでも効率は最大18.6%となっているし、開発企業の中にシャープの名前が出てこない。

原子力百科事典の太陽電池の原理も参考になる。ここに掲載されている 各種太陽電池の変換効率 を見ると、確かに化合物系(III-V族化合物系)は効率がずば抜けているようだから、シャープの新技術はこれの応用だろうか?

ちなみに、他の太陽電池の変換効率を見てみると、量産世界最高 18.5%とか、ハイブリッド太陽電池 研究レベル 21.0%、量産レベル 19.5%などとなっており、研究レベルではあっても28.5%は相当なレベルだとわかる。(コストが大問題だろうけど。)

それにしても、「半導体の配線部品や土台を組み込まなくても、いったん取りつけてはがすだけで半導体の働きをする基板技術を開発」って、この朝日の記者さんは理解して書いているのだろうか? 少なくとも、僕はこの表現を読んでも全くこの技術をイメージできないんだけど。。 詳細情報が出てくるのを楽しみに待ってみよう。

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2004/05/27

水力発電トイレ

nikkeibp.jp(5/27)の記事から。TOTO、便器の自動洗浄システムに水力発電タイプを投入

TOTOは便器自動洗浄システム「オートクリーンC」に水力発電タイプを投入する。「オートクリーンC 発電タイプ」として6月1日に発売する。

パブリックトイレでは、衛生意識の高まりから、手をかざすとセンサーが感知して自動排水する「自動洗浄システム」が急速に普及しつつある。TOTOは、2000年から、フラッシュバルブ式の便器からセンサー式に取り替えられる「オートクリーンC」を販売してきた。これまで、乾電池式・AC100V式を品揃えしてきたが、ビルオーナーなどから「電池交換・電源工事に手間がかかる」といった指摘が出ていた。

「オートクリーンC発電タイプ」は使う度に、内蔵の羽根車が回転して発電・蓄電する。蓄電した電力はセンサー感知、電磁弁の制御などに利用する。一定の使用頻度があれば、必要な電力は蓄電した電力でまかなえるため、10年間電池交換が不要になるという。希望小売価格は13万7000円

TOTOさん、おもしろいことを考えたなあ。TOTOのニュースリリースはこちら。給水管の途中に羽根車を付けただけのことだけど、その程度の回転でも乾電池の代わりくらいには電気を作れるんだな。アイデアというか目の付け所が素晴らしい。ニュースリリースの中で、環境影響評価結果を具体的に示して、既存装置との比較をしているところも好感が持てる。(より詳細な評価根拠やデータも提示して欲しい気もするけど。)

それなら、何もトイレに限定しなくても、水の流れる所ならいろいろと応用が効くんではなかろうか? それこそ、台所や風呂場や洗濯等の水を多量に流す所に小型の発電機を付けて蓄電したら、どの程度の電気量がまかなえるものかな? 一般家庭はともかくも、業務などでは水を多量に流すことを、様々な業種・場所で日常的に行っているわけだし、そのエネルギーを使いきらずに捨てているようなケースも結構多そうだ。

ちょっと調べてみると、TOTOからだけでも、それらしい特許が多数出願されているようだ。例えば、特開2002-044922「小型発電装置及び水栓装置」を見ると、少ない水流でいかに効率よく発電するかが課題となっていたようだが、発電機構の構造を工夫することで実現できたようだ。この特許はもちろん、トイレに限定せずに、発電機能付き水栓装置という形で汎用的に適用可能になっているようだ。

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2004/05/26

健康食品制度はややこしい

NIKKEI NET(5/26)の記事。厚労省、「健康食品」の表示基準を緩和へ

 厚生労働省は26日、あいまいな表示による健康被害が問題になっている「健康食品」について、現行の審査基準を満たしていなくても一定の科学的根拠が有れば「条件付き特定保健用食品」として健康機能の表示を認める方針を決めた。一部の基準を緩和する案を同日開いた同省の検討会に提示した。

 同省は2001年度から食品に効果・効能の表示を認める「保健機能食品制度」を導入。保健機能食品は、個別に効能の認可を受けた「特定保健用食品」と、カルシウムなどの栄養成分を表示できる「栄養機能食品」の2つで構成するが、審査基準が厳しく、「認可を得にくいのが現状」(同省)。このため、あいまいな表示の健康食品が増加していた。

 改正案は、現行制度を維持しつつも、それ以外の食品でも、ある程度の科学的根拠があれば「根拠は確立されていない」と表示すれば「条件付き特定保健用食品(仮称)」として効能を表示できるようにする。

この「健康食品」というのは実は非常にややこしい。記事にあるように、法的には「健康食品」という分類は存在せず、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2種類が存在し、これらを合わせて「保健機能食品」と呼ばれている。(保健機能食品制度について

ところが世の中には、栄養補助食品だとか機能性食品だとか、まぎらわしい、いかにもそれらしい名前をつけた商品が沢山存在する。

「栄養補助食品」という用語は、様々な商品を見ると、どうやら「サプリメント」と同義で使われている言葉のようだ。更に調べてみると厚生労働省の2000年の報告書、いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会報告書を読むと、この時点では一般的な総称として「栄養補助食品」という名称を用いる方向で議論していたようだし、黙認というか認められているようにも思える。

一方の「機能性食品」という言葉も、文部科学省傘下の研究所が機能性食品の研究開発の動向なんて資料を公開しているから、これも国のお墨付きの用語のようにも思えるし、わざと混乱させているのか? と思いたくなってくる。

保健機能食品・健康食品ホームページを見ると、「特定保健用食品」「栄養機能食品」のそれぞれが詳しく解説されている。「特定保健用食品」とは、厚生労働省の審査に合格した商品で、これを摂取するとこういう効果が期待できます、という保健効果を食品に表示することができるもの。「栄養機能食品」は、ビタミン類やミネラル類を所定量含有していれば、個別の申請や許可は必要なく「保健機能食品(栄養機能食品)」と表示することが可能となるもの。

『「食べもの神話」の落とし穴』(高橋久仁子 著)(bk1amazon)によると、この制度ができてすぐに、この制度を逆手に取った広告が出現したとのこと。引用すると、

下限値以上・上限値以下のビタミンやミネラルを1種類でも含有させれば、それぞれの商品に「保健機能食品(栄養機能食品)」と表示できるのです。「栄養機能食品」として規格基準を満たしているのは、それが含有するビタミンまたはミネラルであるにもかかわらず、「クロレラ」や「プロポリス」や「アガリクス」や「イチョウ葉エキス」などが厚生労働省の規格基準を満たす「保健機能食品(栄養機能食品)であるかのように見誤らせる合法広告を作成できてしまうのです。
という具合で、現行の制度が単にややこしいだけでなく、混乱の元になるような抜け道を作っているような面もありそうだ。

そこに、今度の制度改正(?)の話。現状の問題点を認識して、何とかしようというのはいいのだけど、方向が間違ってないだろうか? 今でも複雑で、どうみても消費者に正しく理解してもらえてない制度なのに、更に中途半端な「条件付き特定保健用食品(仮称)」なんて分類を増やしてどうするんだか。。。

なお、現時点での「特定保健用食品」は410商品。(一覧表(EXCELファイル)

ちなみに、花王のヘルシア緑茶は「特定保健用食品」で、サントリーのフラバン茶は「保健機能食品(栄養機能食品)」。

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2004/05/25

オゾン層の近況

EICネットの5/24の記事。2003年の地球全体と日本のオゾン層状況報告書まとまる

 2003年は南極オゾンホール内で破壊されたオゾンの総量(オゾン欠損量)が過去最大、面積が観測史上2位となるなど、オゾンホールの規模が過去最大級に達したことが観測上の特徴だった。
 また地球全体の長期観測結果では、低緯度を除いてオゾン全量(ある地点の上空のオゾン総量)の減少傾向が継続して確認され、特に高緯度の春季の減少は依然として顕著だった。
ということで、オゾン層破壊は依然として進行しているようだ。気象庁の資料は、2003年のオゾン層等の状況について(pdf)

オゾン層の保護に関しては、モントリオール議定書という形で世界的な規制の枠組みが出来ており、地球温暖化問題の将来を占う意味でも興味深いものがある。オゾン層問題の概要については、いろいろなサイトで説明されているが、非常にわかりやすいものとして、Webラーニングプラザの教材を紹介する。ここの「分野別教材-環境-環境概論-地球環境にいかにとりくむか」のコースで、現状、メカニズム、対策、予測などについてバランスよく学べる。(音が出るので要注意)

また、環境省の 平成14年度 オゾン層等の監視結果に関する年次報告書 には、かなり詳しい解説やデータが載っているので参考になる。

最近では、紫外線が有害だという認識が広まっており(環境省:紫外線保健指導マニュアルなど)、紫外線予報(バイオウェザーサービス資生堂紫外線情報など) なんてのも普及してきているけど、実は人体だけでなく、様々な生物への広範囲にわたる影響が懸念されるということも意識しておく必要がありそうだ。人間はいろいろと防御する手段を持つけど、他の生物は防ぐ手段がないからなあ。

*オゾン層のオゾン量を表す単位はちょっと変わっていて、濃度ではなく、オゾン全量(m atm-cm ミリアトムセンチメートル)という単位。これは、上空にある大気中のオゾンを全部地表に集めたと仮定して、標準状態(0℃、1気圧)での厚みとして表すもの。ドブソンユニットとも呼ばれるとのこと。1m atm-cm 中に含まれる分子数は、単位面積(1m2)あたり、2.687 × 1020 個となる、と言われてもピンと来ないけど。

超大雑把に、上空30kmまでの平均気圧を0.5気圧と仮定したとすると、上空の空気を地表に集めて0℃、1気圧に換算すると、その厚みは約15000m程度となりそうだから、オゾンの厚みが約3mmというのは、大気全体での平均濃度は約 0.2ppm相当となるか?(ちなみに地表のオゾン濃度は、数十ppbのオーダーなので、意外とオゾン層の寄与が少ない印象だが、計算合ってるか?)

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2004/05/24

金メダル遺伝子?

YOMIURI ON-LINE(5/24)の記事。金メダリストの“卵”発掘へ、一流選手の遺伝子分析

 国立スポーツ科学センター(東京・北区)が、一流スポーツ選手に共通する遺伝子の探索に乗り出す。才能豊かな金メダリストの卵の発掘に生かすのがねらい。文部科学省や日本オリンピック委員会(JOC)にも協力を求める。

 トップ選手の運動能力や筋肉量には、努力のほかに、生まれつき備わった「素質」が関係していると考えられている。この素質の実体を遺伝子レベルで明らかにしようという試みだ。プライバシー侵害や差別につながる懸念もあるため、倫理面での対応も検討しながら進める。

 計画の柱は、〈1〉運動能力とかかわりの深い遺伝子配列(遺伝子多型という)の発見〈2〉日本人金メダリストの遺伝子データベースの構築――の2つ。

 スポーツ選手の能力と関係ありそうな遺伝子多型は、血圧の調節に関係する酵素(ACE)の遺伝子など、世界で100種類以上見つかっている。各国で研究が進められているが、「確実に能力の高低に直結する」との結果が出た遺伝子はまだない。

 センターは、各国の研究を精査するとともに、日本人のトップ・アスリートに特有の遺伝子多型を絞り込む。特に重視しているのが、マラソン選手らの持久力を左右する配列。突き止められた場合、高地環境を再現できる低酸素ルームなどを使って検証する。 (後略)

タイトルを見て、てっきり金メダリストの「卵子」を集めた生殖医療のようなものを想像してしまったが、全然違う話だった。それにしても、金メダルを増やすことがそんなに重要なのか? 新素材のような最新科学技術は、スポーツ分野で最初に実現するけど、遺伝子医療分野も同じなのだろうか? 

国立スポーツ科学研究センターのホームページを見ると、この組織は「我が国のスポーツの国際競争力の向上を目的とした、スポーツ医・科学・情報の中枢機関です。」とあるから、うなずけなくもないが。(でもこの組織の活動そのものは、もっと普通のスポーツ医科学が中心のようだけど。) ここのサイトの中に運動能力と遺伝という記事が載っているが、トーンとしては抑制的で、今度の記事とは印象がやや異なる。

協和発酵の Go!Go! バイオワンダーランド にある、Dr.中原のなぜなに百科にも書かれているように、ハンマー投げの室伏親子とか、相撲の若貴一家、体操の塚原親子、野球の長嶋親子や野村親子、等々確かにスポーツで一流と言われる領域に到達する親子や兄弟が多く見られるのは事実だし、競走馬でも単純な運動能力と血筋はかなり大きな相関があるのかもしれないが、一方で育った環境の影響も相当に大きそうだし、金メダルということになると、答えは科学的な側面に絞ってみても、それほど単純ではなさそうだ。

冒頭の記事には、遺伝子分析を行って、データベースを作り、その先どうするのか? については「金メダルの卵の発掘に活かす」としか書かれていないが、具体的にどうするつもりなのかが一番重要だろう。公開しちゃったら、日本の金メダルを増やすという最終目的(?)には寄与しないから非公開なのかもしれないが、強化候補選手の選別などに使うのだろうか? まさか遺伝子ドーピングの研究をするとも思えないが、いずれにしろ、あまりハッピーな使用方法が思い浮かばないなあ。 見つかった遺伝子が、日本人にはほとんど存在しなくて、アフリカ系の人達に多いことがわかったりすると悲しいかも。

関連した記事としては、HOT WIRED JAPANにもオリンピック選手になるのも遺伝子次第?という記事や筋力回復の遺伝子治療、ドーピングに悪用される懸念なんて記事が載っている。

蛇足だが、遺伝子ドーピングには、スポーツ内科医の日記によれば、遺伝子導入とトランスジェニックの2種類あって、遺伝子導入の場合には効果は一過性らしい。知らなかった。

さて、この話題はどうしても倫理問題に行き着くのは必死だが、参考ページとして、難解ではあるが参考文献も豊富なので、大阪大学の霜田さんが整理してくれている 遺伝子をめぐる言説の社会的文脈 を紹介しておく。

読売新聞がこの記事をどういう意図で載せたのか不明だが、同じ読売のサイトの中に「よみうり 入試必勝講座」というのがあり、よみトク小論文講座 の解答例2に、

 遺伝子はたしかに個人の身体の設計図ではあるが、そこにすべてが書き込まれている訳ではない。環境要因は遺伝要因と同じく人間の形成を大きく左右する。過度に単純化された形で遺伝情報を意味づけ、遺伝子決定論的な考え方に陥ることを避けるには、専門家以外の人々も遺伝についての正確な知識、いわばリテラシーをもつための教育が必要となる。
とあるように、読売さん、せっかくこの話を記事にするなら、遺伝子リテラシー教育もよろしくお願いしますね。

*ここに出てくる映画「ガタカ」については、こちら

*スラッシュドット ジャパンでも金メダル遺伝子を追えという記事が載っている。さすがに、多様な意見が見られて健全かも。

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2004/05/23

「時間の分子生物学」

講談社はブルーバックスと現代新書を理系と文系の書籍で分けているかと思いきや、時々現代新書の方で、佐倉統さんの「進化論という考えかた」のような、良質のサイエンス本に出会える。本書も、読んで楽しく、ためになる、お勧めのサイエンス本だ。

講談社現代新書 1689
 時間の分子生物学 時計と睡眠の遺伝子
 粂 和彦 著 bk1amazon

著者は、数年間臨床医を勤めた後、基礎研究に重心を移しながらも、サイドワークとしては一貫して診療を続けている、第一線の研究者兼お医者さん。睡眠に関する研究をライフワークとしており、睡眠障害相談室というホームページを運営して、多くの方とネットを通したコミュニケーションをしている。

本書は、生物時計と睡眠に関する最新の研究成果をわかりやすく説明してくれる。それだけでなく、過去の研究の流れや、著者本人が研究してきた道筋に沿って、発見のドラマやエピソードを交えながら、次々と新たな知見が出てきて飽きさせない。

生物時計の存在は知っていたけど、この時計が実は予想以上に正確なものであるとか、細菌にも同様な時計があるなんてことや、ハエと人間がほとんど同じ遺伝子を使い、同じメカニズムで時をカウントしているなんてことは知らなかった。そして、その生物時計が時を刻むメカニズムが、遺伝子とたんぱく質の働きを元にした化学反応のサイクルとして解明されたという、ごく最近のトピックがわかりやすく説明される。更に主として周囲の光を感じて、その時計の遅れ進み具合を調整するメカニズムまで明らかとなっており、その仕組みの精巧さに驚かされる。

また、著者が実際に行った、ハエの睡眠の研究を通して、生物時計と睡眠の関係が解き明かされていったり、睡眠の色々な側面を紹介していくところも読み応えがある。著者が見つけた(作りだした)不眠症のハエが、寿命は半分に縮まるけれど、彼の人生(?)の中での総活動量は約2倍になる、というエピソードなどは、なんか身につまされる。

動物は何故眠るのか? という究極の問いには残念ながらまだ答えられないようだけど、それを解き明かそうとする様々な最近の実験についても紹介されており、この本の内容を身に付ければ、睡眠についてはちょっと自慢できる程度の物知りになれそうだ。

現在進行形の分野の最新の内容を、これだけ一般人にわかりやすく、そして飽きさせずに説明してくれる本は、数少ないと思う。睡眠や生物時計の話としてだけでなく、分子生物学の研究の進め方を知るのにもお勧め。本書が昨年の第20回科学出版賞を受賞したというのもうなずける。

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2004/05/22

エアロゾルデポジション法

5/21の日経新聞朝刊に載っていた記事、個人的に興味あるのでメモしておこう。

TOTO、産総研 室温でセラミックス薄膜
産業技術総合研究所とTOTOは20日、室温でセラミックスの薄膜を作る新技術を開発したと発表した。熱に弱いプラスチックの基板上などに絶縁性のセラミックス薄膜を作れ、製造コストも従来の半分以下に抑えられる。携帯電話などの部品を金属の代わりにプラスチックで作れるようになり、小型・軽量化に役立つという。
 産総研の明渡純研究グループ長らの成果に基づき開発した。セラミックスの微粒子をガス中に漂わせ、基板に吹き付けると、微粒子同士が砕けて結びつく。ガスの条件を選ぶと、高温で焼き固めた場合とほぼ同じ強度をもつ薄膜ができた。(後略)
いつの間にやらすごい技術ができてるようだ。学生時代にセラミックスを専攻してたけど、最近の動向にはめっきり弱くなってしまってる。産総研のサイトに載っている、プレスリリースを読むと、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ぶ方法のようだ。産総研が5年前から開発を進めてきた手法で、サブミクロン径のセラミックス微粒子を真空中、常温・高速で基板に衝突させて、溶融を伴わずに、瞬時に緻密な多結晶厚膜が形成されるのだとか。この現象は常温衝撃固化現象と名付けられている。

詳細は、上記ページからのリンク先に書かれているが、300~1000m/sec の速度で衝突させることで、原料粒子径の約半分ぐらいの粒子径の多結晶体膜となるようだ。機械・電気特性共に通常の焼結体と同等レベルを示すようだし、微構造も同等のものができていると考えられる。

メカニズムとしては、局所的なエネルギー開放、メカノケミカル反応、微粒子化による焼結温度の低減等が考えられているようだが、今ひとつピンと来ない。そんなにうまく粒子同士がくっつくのか? 膜の電顕写真も、もっと微構造がよくわかるものを載せて欲しいし、特に粒界がどうなっているのかに興味があるのだが。(それに、基板との接着はどうなっているんだろう?)

この技術、学会・業界では確かに最近注目されているようだけど、インターネットを検索して出てくるのは、何故かこの産総研のグループだけのようだ。何かハードルがあるのだろうか?

調べてみたら、元々1981年から1986年まで行われた「林超微粒子プロジェクト」から生まれた技術のようだ。何だか懐かしい名前だ。当時は「超微粒子」がはやりだったけど、今は「ナノテクロノジー」とか「ナノ粒子」と名前を代えているのも、時の流れを感じさせる。

それにしても、資料を読む限りは、かなり有望な技術だ。熱処理なしに、様々なセラミックスの緻密膜を金属・ガラス・プラスチック基板に形成できるようだし、ものによっては透明膜もできているし、いろんな可能性が開けていると思える。要注目だ(と思うのだけど、あまり話題になってないな。。。)

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2004/05/21

「のぞみ」の失敗原因?

日本の火星探査機「のぞみ」が昨年火星周回軌道への投入に失敗したトラブルは、もうほとんどの人が忘れていたと思うけど、その原因をめぐる、お互いに正反対(?)の報道が今日の朝日と読売のサイトに載った。

asahi.com(5/21)探査機「のぞみ」失敗は「偶発的故障」 原因特定は困難

YOMIURI ON-LINE(5/21)火星探査機「のぞみ」の失敗、米国製バルブが原因

さて、タイトルを見ただけだと、両者は全く異なることを報道しているように見えるのだが。。なんで?? もう少し詳しく見ると、asahi.com では、

 日本初の惑星探査機「のぞみ」が火星探査に失敗する原因となったトラブルについて、宇宙開発委員会・調査部会は21日、電気回路の偶発的な故障によって起きた、とする報告書をまとめた。故障した部品は特定できず、原因究明には限界もあった。一時、故障の引き金となった可能性が指摘された太陽表面の爆発(フレア)による影響については、因果関係を否定した。

 「のぞみ」は02年4月に電気回路が故障、主エンジンが動かなくなった。復旧を試みたが成功せず、昨年12月に火星周回軌道への投入が断念された。

とあるのに対し、もう一方の YOMIURI ON-LINE では、
 昨年12月に任務を断念した火星探査機「のぞみ」について、文部科学省宇宙開発委員会調査部会は21日、燃料供給システムで使われた米国製バルブの設計変更が失敗の根本原因とする報告書をまとめた。
(中略)
1998年7月に打ち上げられた「のぞみ」は、同12月に地球重力圏から脱出を図った際、バルブの故障で推力が足りず、失敗につながった。
とある。同じ委員会の同じ報告書についての記事なのに、この両者の違いが何に由来するものかわかっただろうか? 「のぞみ」の経緯について詳しい人ならば、ピンと来たかもしれない。

この両者の違い、よく記事を比べてみると、朝日が 2002/4 の電気系の故障について触れているのに対し、読売は 1998/12 のバルブ故障について触れている、というのがポイント。要するに、「のぞみ」のプロジェクトでは、大きなトラブルが二つあって、その一つの原因は米国製バルブと特定され、もう一つのトラブルの原因は特定できなかった、というのが真相のようだ。

ということで、どちらの記事にも間違いはないようだが、片方だけしか読まないと、随分と印象が違ってくる。どちらにしても、舌足らずの記事と言わざるを得ないと思うけど。もしかしたら何か意図的なものがあるのかな??

正式には、文部科学省の宇宙開発委員会の報告書を見ないといけないが、今のところ、審議会情報(宇宙開発委員会)には、まだアップされていないようだ。

「のぞみ」プロジェクトの詳細については、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の火星探査機「のぞみ(PLANET-B)」がまとまっているし、詳しい。

実際には1998年のトラブルで当初計画していた軌道を取れなくなり、苦難の末にようやく計画全体を大きく見直して、火星到着も1999/10から2003/12に変更してたのだが、その最後の最後に、もう一つの大きなトラブルが起きてしまったということだ。この辺の事情は火星探査機「のぞみ」の火星周回軌道への投入断念についてに書かれているが、このページの後半のQ&Aは読み応えがある。(というか、やけに饒舌でドラマチックなので楽しいと言うべきかな。)

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2004/05/20

「科学的思考とは何だろうか」

またまた、タイトルと帯の宣伝文句に魅かれて買ったのだが、正直言って、意味不明の本だった。

ちくま新書 461
 科学的思考とは何だろうか -ものつくりの視点から
 瀬戸 一夫 著 bk1amazon

表紙には、

科学的思考とは何か。それは「境界を越えて学ぶ好奇心」に従いながらも、けっして「境界を踏み越えない姿勢」に徹し、あくまでも「境界に立つ立場」から、常識を豊かにする思考である。・・・そのような思考は、ものつくりの伝統のなかでも今もなお生き生きと躍動しているのである。
とある。この本に書かれている内容は、全てこの文章に集約されているようだ。もっとも、読み終えたものの、僕には著者の主張をよく理解できていないのだが。

何と言っても、この本はまず、あとがきから読まねばならない。

本書では、古代ギリシアのタレスとアナクシマンドロス、近世のガリレオ・ガリレイ、現代のアインシュタインを主要に扱った。多くの解説書や専門書が、かれらの業績と理論とについては、すでに詳しく論じている。しかし、本書で紹介した内容は、従来の解釈や通説をくつがえして得た、新たな見解をもとにしている。
どうやら新しい解釈は著者のオリジナルのようだが、それに基づいて、古代ギリシア時代からアインシュタインまでに通じる「科学的思考」という奴を論じてみたということらしい。少なくとも、正統な解釈を身に付けた人以外は、こういう異説(?)から入るのは危険だろう。

ガリレオの地動説の説明の辺りだけは、まあまともだけど、アインシュタインの相対性理論を、針金の上を移動するアリで説明しようとする話は意味不明で、むしろトンデモ本に近い味わいさえある。

ものつくりの視点から、というサブタイトルが付けられているものの、具体的に出てくるのは、たった一つの例だけ。それは、ダンボールの廃物の有効利用を考えていたダンボール工場の経営者が、あるとき自分の好きなラーメンのちぢれた麺を作る技術をヒントにして、クッション材として再利用することを思いついて成功した、という話。これが「境界」を越えたの越えないのという話につながるようだ。

著者は、東大の大学院理学系、科学史・科学基礎論の博士課程単位取得後、成蹊大学法学部の教授という、ちょっと変わった経歴の持ち主だが、ものつくりを語るのは、やや無理があったのではないか? というか、本書はものつくりの視点から書かれているとは思えなかったけどね。

著者独自の科学の捉え方の例として、一箇所引用しておく。神の永遠性とは何か?を考えるという文脈の中で、永遠について具体的に考えてみよう、ということで

たとえば、1リットルのアルコールに、もう1リットルのアルコールを足そうとしている間に、現実の世界では時間が経過して少し蒸発してしまうかもしれない。これに対して、時間経過のない空想世界では、変化ということがまったくないのである。したがって、時間経過のない空想世界では、変化とは無関係に、計算規則がずばりそのまま成り立つことになる。このように不変な性格を「永遠性」と呼ぶならば、永遠性をもつものは時間的に変化する現実世界の中にではなく、現実世界を超えたところにあるのではないかと思える。
とある。他にも amazon のレビューで書かれている指摘も合わせて考えると、著者は科学を素直に受け入れずに、無理やり独自の視点から眺めようとしちゃったのかもしれないなあ? 

毎日新聞の書評で、さすがに中村桂子さんは、本書を好意的に紹介してるが、やっぱりガリレオの所にしか触れていないし。。

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2004/05/19

電動ハイブリッド自転車

nikkeibp.jp(5/19)の記事から、ヤマハ、航続距離を2倍以上にしたハイブリッド電動自転車

ヤマハ発動機は2004年5月18日、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載して航続距離を大幅に延ばしたハイブリッド電動自転車「New PAS リチウム L」を発表した。従来モデルの約2倍の大容量バッテリーを採用し、アシスト感の向上と航続距離64kmを実現した。価格は11万5290円(税込み)、6月15日発売する。
最新式の電動アシスト自転車、結構いい値段がするんだな。今まであまり注目してなかったけど、この機会に少し調べてみるか。

ヤマハのニュースリリースは、こちら関連記事を読んでみると、電動ハイブリッド自転車はヤマハが1993年に世界で初めて発売したとのこと。まだ10年なんだ。シドニーオリンピックでは競輪種目のペーサーにも採用されたとか。いろんなバリエーションがあるようだけど、WEB限定15台なんていうカスタムオーダーモデルもある。

何と言っても、気になったのは「車体には溶接面のないPFTステンレスフレームを採用。ハンドルやリム、スポーク、泥除けなど、各パーツにもステンレス素材を多用した。」というところ。車体重量は何と 24.6kgだって、重すぎる。。。

自転車に少し詳しい人なら、自転車は重量が命というのは常識だ。極端な話としては 1gでも軽くするために、とことん無駄を排し、素材はもちろん、形状などを吟味、検討するのが当然で、ステンレス製のフレームだのリムだのというのは、おいおい本当かい? って話だ。車輪のリムをスチール製からアルミ製に代えただけで、誰もがその走りの違いに驚くほどの大きな効果が得られる。

ということで、他のメーカーを調べてみると、ナショナルも沢山のラインナップが用意されていて、同様にリチウム電池を搭載して60km以上走れるモデルもあるが、軽さはやや軽いものの、それでも 21kg。ブリジストンの同等機種は 24kgだ。

ナショナルのサイトに舘内端のインプレッションという記事があり、その中に、重量20kgを切るというのを目標に開発したとあるんだけどなあ。

確かに、電池やモーターの分だけ重くなるのはわかるけど、わざわざステンレスを使うこともなさそうだし、もっと軽量化できそうに思うのだが。一般向け自転車だと取り扱いも乱暴だろうし、価格の問題も考えて、なかなかオールアルミというわけには行かないのかな?

軽さという点ではWiLLの折りたたみ式の 16.9kgや、宮田のgood LUCKの 16.9kgなんてのがあり、これらが抜群に軽いようだ。7-8kgも重量が違うと、取り回しや走りが随分違ってくると思うけど。やや高価でも、軽くて良く走るタイプが出てきたら、買ってもいいのにな、っていうのはやっぱり少数派だろうな。

*ヤマハは「電動ハイブリッド自転車」と呼んでるけど、ホンダは「電動アシストサイクル」、ブリジストンは「電動アシスト自転車」、ナショナルは「電動自転車」だ。あれ?宮田や三洋電機も「電動ハイブリッド自転車」だな。商標かと思って検索してみたけど、これらの言葉はいずれも商標登録されていないようだ。(「電動アシスト自転車\ASSISTA」はブリジストンの登録商標となっていたが。)

*冒頭の記事にある、PFTステンレスというのは、宮田工業の開発した Pressured Fit Technologyというパイプ接合技術らしい。軽く、強く、美しいというのが特徴とのこと。

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2004/05/18

形状記憶バイオプラスチック

ASCII24ニュース(5/17)から、NEC、リサイクル可能な形状記憶性バイオプラスチックを開発

日本電気(株)は17日、熱と外力で変形したプラスチックを元の形状に戻すことができる形状記憶性と、リサイクル性を持つ植物原料のバイオプラスチックを開発したと発表した。

今回開発したバイオプラスチックは、いったん成形した後、熱と外力で変形しても摂氏60度程度で約30秒間過熱すれば元の形状に戻せるのが特徴。使用済みとなったバイオプラスチックは160度程度の成形温度で過熱すると、分子間の結合部が解離して溶かすことができるため、再利用が可能という。素材に代表的なバイオプラスチック素材のポリ乳酸を採用し、高温での解離と冷却時の最結合を繰り返して行なえる“熱可逆結合”持たせることで、形状記憶性とリサイクル性を両立させたとしている。

というニュース。NECのプレスリリースが読める。形状記憶のバイオプラスチックということで、また新たな材料が出てきたのかと思ったら、ベースとなる樹脂は最近はやりのポリ乳酸(PLA)だ。(1/26の記事2/14の記事

確かにいろいろな使い方の可能性がある材料に思える。使用していて変形しても60℃の温風を当てると元の形に戻るし、使用後は160度まで加熱すると再溶融して別の形状に成形しての再利用もできるという訳だ。5/17の日経新聞朝刊には

薄型化するパソコンや太陽電池、電子ペーパーなど電子機器の部材として幅広い応用が見込めると期待している。5年後をめどに実用化を目指す。(中略)加熱するとネジ山が消えて外れやすくなるネジなどの開発も目指す。将来は自動車の内装材などにも使えるとみている。
とある。このプラスチックは、たまたまポリ乳酸をベースとしたバイオプラスチックだけど、生分解性や植物原料であることを前面に出している訳ではなく、あくまでも樹脂の機能で勝負している印象だ。(というか生分解性については全く触れられていない。)

形状記憶ポリマーは以前から知られていて、例えば「やさしいプラスチックの話」の 形状記憶樹脂 などに詳しい。実用化例としては、三菱重工の形状記憶ネジ形状記憶食器具(手の不自由な人向け)Nikonのメガネフレームなどが見つかった。他にも「形状記憶ポリマーの新しい応用展開」というような本の目次を見ると、いろいろな用途の可能性に想像が膨らむ。

回収したプラスチックの溶融再利用が可能という、リサイクル性がもう一つの売りのようだが、基本的には熱可塑性樹脂であれば同様に再利用可能だろうから、熱可塑性のポリ乳酸としては当然の性質と思える。しかし、社会的にリサイクルシステムが出来上がってきている製品(家電リサイクル対象品目やパソコン、車等)については、部品の再利用(リユースよりはマテリアルリサイクルか?)が今後ますます重要になっていくのは間違いないだろうから、狙いは悪くないと思う。

それにしても、こういった新しい展開の考えられる機能性プラスチックの開発が、NECや三菱重工などの会社によって行われているというのも考えてみると不思議。化学メーカーや樹脂メーカーに、これを開発する技術のシーズがなかったとは思えない。理由は色々と考えられるけど、何だかなあ。。

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2004/05/17

三宅島噴火とプランクトン

Yahoo!ニュースで拾った、共同通信の記事(5/17)。三宅島噴火、海にも影響 プランクトン20-30%増

 噴火で放出された火山ガス中のアンモニアが海に溶け、栄養分となって植物プランクトンが繁殖する-。そんな現象が2000年夏に始まった三宅島の噴火活動で起きたことを、東京大や東海大などの研究チームが17日までに突き止めた。
 噴火で海の生態系にまで影響が及ぶ現象が見つかったのは世界初。プランクトンは噴火前より20-30%多く、チームの植松光夫東大海洋研究所教授(地球環境化学)は「ほかの火山でも同様の現象が起きているかもしれない」と話している。
 植松教授らは01年5月、噴煙の下を横切るように無人観測艇を静岡市から八丈島まで航行させ、二酸化硫黄やアンモニアガス、それらが反応してできた粒子を検出した。
 アンモニアは植物の成長に必要な窒素を含み、粒子となって海に落ちるため、虎谷充浩東海大助教授(衛星海洋学)が米国の観測衛星のデータから、植物プランクトンへの影響を調べた。
日本近海の植物プランクトンの分布の変化を示す、衛星写真が載っている。これを見ると、太平洋ってのはプランクトンの量で見ると随分貧しい環境なんだな、という印象を持つ。

この記事、いつものように裏付けや参考となるような情報のあるサイトを探したが、それらしい記事は見当たらず。この記事で紹介されている写真も、web 上で見つけることができなかった。もう少し大きな写真で見てみたいものだが。。

東大の植松研究室に関連して、海の環境を測るというページはあり、上の記事で出てくる無人観測艇のデータが少し紹介されている。なお、この無人観測艇に関しては、かんちゃんというHPがある。

さて、この記事の疑問点はいくつかある。

まず、人工衛星から海中のプランクトンの量や分布がどうやってわかるのか? についてだが、地球観測利用研究センターの 海洋生物 で解説されていた。ここのサイトには衛星で捉えた様々なデータがデータベースとして公開されていて、画像も多いので、ちょっと眺めてみるのも楽しい。(もっと素人向けの解説があるとうれしいけど。)

次に、写真を見ると、三宅島周辺や下流側(東北方向?)だけでなく、西側も含めてかなり広範囲にわたってプランクトンが増えているように見えるのだけどなあ。そして、これが三宅島の噴火活動の影響であると、どうやって突き止めたのだろうか? という疑問。先の東大の「海の環境を測る」の絵を見ると、確かに噴煙は西側に流れていることから考えると、いろんな方向に拡散しているらしい。同じニュースを扱っている5/17の日経夕刊では、

三宅島付近を通る黒潮の南にあって栄養分が乏しく生物も少ない”海の砂漠”と呼ばれる海域では、01年7-8月にかけて植物プランクトンが噴火前の20-30%も増えていた。チームは三宅島噴火で放出され到達したアンモニアが原因と結論付けた。
とある。この近辺で採集したプランクトンから、三宅島起因と特定できるような何かの証拠が出る(微量元素パターンだとか同位体組成比とか)ならともかく、窒素源は三宅島からのアンモニア以外にも、中国起因の酸性雨だとか、他の海底火山だとか、いろいろありそうにも思える。更に火山ガスには、アンモニア以外にも栄養分となる元素としてリンだって含まれるし、鉄やその他のミネラルも豊富だ。これだけで「アンモニアが原因と突き止めた」ってのは言いすぎだと思うけど。。(せめて海水の分析結果ぐらいあるのだろうか?)

一方、現在の技術を総動員すれば、三宅島から噴出した各成分がどのように拡散して、海にどのように吸収され、海の中でどう拡散するのか、なんてシミュレーションもそこそこ可能なのじゃないだろうか? そういうのと合わせてみると面白いだろうけど。

でも、この結果そのものはありそうな話。自然界はかくも様々に関連しあっているシステムなのだという一例だろうけど、こうやってプランクトンが増えたなら、巡り巡って魚も増えて、我々の食卓にも影響が出てくるのだろうか? 

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2004/05/16

「悪魔に仕える牧師」

ドーキンスの新刊が2冊ほぼ同時期に発売ということで、「盲目の時計職人」と「悪魔に仕える牧師」のどちらを買うか、迷ったのだけど、あまり突っ込んだ進化論の話よりも、一般向けの科学啓蒙書という触れ込みに魅かれて、「悪魔」を選択。

悪魔に仕える牧師 なぜ科学は「神」を必要としないのか
 リチャード・ドーキンス 著、垂水 雄二 訳 bk1amazon

本書は32編のエッセイからなる。内容は、もちろん進化をテーマの中心に据えているけれど、必ずしも進化論を直接的に扱ったものばかりではなく、ドーキンスが生まれたアフリカに関する話や、親しい友人だったダグラス・アダムスへの弔辞なども含まれていて、バラエティに富んでいる。しかし何と言っても、全体を貫き通しているのは、宗教に対する思いだろう。(タイトルとサブタイトルが語る通りだ。)

進化論は特に宗教との折り合いが悪いことも関係あるのかもしれないが、本書を読むと、ドーキンスの宗教に対する考えが、予想以上に非常に激しいものだということが感じられる。平均的な日本人的な感覚からは、少しピンと来ないところもあるが。「娘への祈り」という本書の最終章では、娘の10歳の誕生日に寄せて、人は何故宗教を信じるのか、そして科学的であるということはどういうことかを、自ら考える人になって欲しいという思いがよく表れている。

たまたまみつけたかながわNPOなび 関心空間に転載されている文章は、9.11の直後に書かれたということでやや感情的かもしれないが、やはりドーキンスの宗教への思いが感じられる。

また、「ミーム」という概念を提唱したのがドーキンスだけに、ミームに関するエッセイを集めた章も読み応えがあるし、面白かった。実はここでも、ミームと絡めて宗教を槍玉にあげ、コンピューターウィルスと対比させながら、宗教は心のウィルスであると論じている。

もう一つ、本書に一貫して流れる考え方は、ダブルスタンダードを徹底して排除するという姿勢であろうか。それは特に生命工学と倫理というような難しい問題を例として説明されており、科学的であるという立場を貫くことで見えてくるものが何か、を教えてくれる。

一方、同じダーウィニズムの進化論者でありながら、立場が異なることで有名だったスティーブン・ジェイ・グールドとのやりとりに1章を費やしている。この章を読むことで、グールドとドーキンスの立場の違いがどこにあるのか、共通するのはどこなのか? がほぼわかる。(あくまでもドーキンスの立場から見ての話だが。)また、創造論者との論争への対応に関する二人のメール交換の内容がそのまま紹介されていて、興味深い。

しかしながら、正直言って翻訳が難解で、堅すぎる。原文がどの程度難しいのかは見ていないのでわからないが、明らかに、不必要に難しい用語や言い回しが多く出てくる。一般向けに売り出そうという出版社の意向に反して、原文にできるだけ忠実に訳したいという翻訳者のアカデミックな思いが強かったのだろうか? もっと柔らかい文章にしてくれると(できればグールドの本のように)、多くの人が読んでくれるだろうけど、この本はその意味では、ちょっと一般向けにはオススメしにくい。

更に注文をつけるとすると、本文中にポンポンとたくさん出てくる様々な人や理論等への注釈がもっと欲しいと思う。まあ、そんなものはわからなくとも読み進むうちに、著者が言いたいことは伝わってくるのだが、でも、色々と背景となる事を理解したうえで読んだなら、もっと面白いんだろうな、と思いながら読むのは精神衛生上よろしくないかも。(144もの注釈があり、参考文献は豊富にあげられているんだけど。。)

ということで、難しい本だったけど、読み終えると何かスッキリと理解したような気にさせてくれ、でも、やっぱりもっと勉強してからまた読み直そう、という感じがする本だ。(amazonの、のづちさんのカスタマーレビューの通りだと思う。) 結局、「盲目の時計職人」も読むことになりそうだ。(こっちは翻訳が日高さんだから期待できるかな?)

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2004/05/15

真珠入り豆腐

日刊工業新聞社ビジネスライン(5/14)の記事。アマテラス、真珠パウダー入りの豆腐を発売-美肌効果をアピール

 アマテラス(大阪市西区、中島悠郁社長、06・6225・5055)は、ナノメートルサイズにコロイド化した真珠パウダーを配合した真珠豆腐を17日に販売する。中国では漢方薬として飲用される真珠を豆腐に配合した健康食品。超微粒子化によって体内吸収率を従来の20%から94%に高めたという。価格は真空パック豆腐18個入りで6480円(賞味期限は15日)。

 真珠をナノサイズにコロイド化することで、28種のミネラルや18種のアミノ酸が摂取でき、新陳代謝を促進し、美肌効果があるという。真珠を使った化粧品やヘアケア製品はあるが、同社では真珠入りの豆腐は初めてとしている。

真珠が昔から漢方薬にも使われる成分だとして、何故に豆腐とのコラボレーションになったのかな? (漢方薬の主成分を一般の食品に混ぜてしまっても問題ないのだろうか?)

アマテラスという会社、ホームページは見当たらないが、有限会社アマテラスの宣伝ページが見つかった。真珠のナノコロイドについて検索してみると、他にも「麗宝」という名前の液化真珠飲料が漢方のお店で既に売られているようだ。(ミネラルが34種でアミノ酸が19種となっているから、効果はこっちの方が大きいのかな??)

真珠の構成成分については、真珠の化学成分という資料がみつかった。これは漢方関係のサイトで、中国の分析機関による結果らしいが(分析方法の名称が少し変だし、結果もよく見ると変かも。「リュウ」って元素は聞いたことないし。)、たかだか8種類しかミネラル分は検出されてないし、アミノ酸も有名どころを中心に14種類並んでいるだけだ。(ちなみに表の「ストニオン」は「スレオニン」の間違いかな?)これを見る限り、ミネラルにしても、アミノ酸にしても特に珍しいものが含まれているようには思えないけど。。

普通にバランス良く食事をしていれば、わざわざ真珠から、ありふれたミネラル類や、こんな微量のアミノ酸を(もっと遥かに多く含まれている食品が沢山あるのに)摂らなくても良さそうだが。まあ、この表には載っていないような微量成分や、複数の成分の相乗効果で、何らかのミラクルな効果があるのかもしれないけど。あのね-真珠を見ても、古来真珠は何か神秘的なものと考えられきたようだ。ミラクル効果を信じられない人にとっては、正に「豚に真珠」なのだろうか?

それにしても、この手の真珠を売り込むページはどこも、実際には見たことのないクレオパトラや楊貴妃を実例として出している。なんか納得しにくいよな、と思うのはひねくれているからだろうか? 

で、結局何で豆腐と組み合わせたんだろう? 少なくとも組み合わせることで特別な効果が出ているわけではなさそうだが。。

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2004/05/14

TKさんは強運なのか?

毎年発表になっている宝くじ高額当選者のプロフィールだが、KYODO NEWS(5/12)によると、

男女ともみずがめ座トップ 昨年度の宝くじ高額当せん
 最も金運に恵まれたのはみずがめ座-。みずほ銀行宝くじ部が昨年度に1000万円以上の宝くじを当てた約1500人にアンケートを実施した結果、男女ともみずがめ座が一番多かった。
 同行が12日に発表した「宝くじ長者白書」によると、世代別当せん者は60歳以上が30・6%で最も多く、50代、40代が続いた。
 姓名の頭文字を集計すると、男性はT・Kさん、女性はM・Kさんが最多で、いずれも前年度と同じだった。1回当たりの購入枚数は「10枚」が14・2%で最多。「100枚以上」は5・8%で、枚数が少なくても高額当せんの可能性があるといえそうだ。
 当せん者で最も多かったみずがめ座は、男性の10・7%、女性の11・0%を占めた。逆に最も運に恵まれなかったのは、男性がおうし座(当せん者の6・6%)で、女性はふたご座(同4・8%)だった。
とのこと。今のところ、日本宝くじ協会のサイトでは、平成14年度宝くじ長者白書が見られる。

以前から、イニシャル T.K.さんが宝くじによく当たるという話を聞いていたけど、最近も少なくとも2年連続第1位だ。何故だろう? (1)本当に運が良い、(2)良く当たるという噂を聞きT.K.さんは宝くじを買う傾向が高い、(3)単にT.K.というイニシャルが一番多いだけ、なんて可能性を考えてみると、(2)も捨てがたいが、まずは(3)の仮説を検証するのが妥当だろう。ところが、この疑問に答えてくれているサイトがあるかと思い、色々と調べてみたが、T.K.さんの秘密に迫ったサイトは見つからなかった。

インターネットには、様々なランキングを扱うサイトがあるのだが(たとえば早見表玄関)、残念ながら日本人のイニシャルのランキングは見つからない。

しかし、名字のランキングならば、苗字館奇怪、壮絶、名字博士静岡大学城岡研究室(重いので要注意!)などのサイトがある。

また名前については、比較的有名な、明治安田生命による名前ランキングがあるが、これは毎年のベスト100や過去のベスト10しか載せていないので、日本人の名前のランキングとしては今ひとつ役立たない。一方、上越教育大学で公開している「日本人の名前ランキング」は主として有名人の名前を男女いっしょくたに集めたランキングで、母集団に問題ありそうだが、30万人分ということで、まあまあ使えそう。

というわけで、これらのデータを使って、日本人のイニシャルのランキングを求めてみた。姓については苗字館の全国ランキングの上位2000位までの名字、名については上越教育大のデータの上位8000位までの名前をそれぞれダウンロードして、手元でイニシャル付けをして、カウントしてみた。(細かな点で問題点は多々あると思うが、大雑把な傾向を調べたということでご勘弁を。なお、この程度の件数でベスト10を求めるのには問題ないことは確認済み。)

日本人のイニシャルランキング結果は以下の通り。(もしかして本邦初公開!かも)

(姓)
1位 "K" 13.8%, 2位 "S" 13.1%, 3位 "T" 10.4%, 4位 "M" 10.3%, 5位 "N" 8.3%
6位 "Y" 8.3%, 7位 "I" 7.9%, 8位 "O" 7.6%, 9位 "H" 7.1%, 10位 "A" 3.8%

(名)*男女区別なし
1位 "T" 17.2%, 2位 "K" 16.1%, 3位 "S" 13.2%, 4位 "M" 12.6%, 5位 "Y" 10.4%
6位 "H" 9.9%, 7位 "A" 3.7%, 8位 "N" 3.2%, 9位 "I" 2.7%, 10位 "R" 2.2%

ということで、どうやら無事に T.K.が日本で一番多いイニシャルであると推定できたみたいだ。ちなみに、平成14年度のベスト3のイニシャル、男性の T.K. S.K. K.K. K.M.については K.M.を除いて、ほぼこのランキングで説明可能だ。女性の M.K. M.M. M.S.については、恐らく女性の名前のランキングで "M" がトップに来ると考える(いかにもありそうだ)と説明できそうだ。

この調子で星座別人口も調べてみようと思ったけど、これまたデータが集まらない。総務省のサイトには生まれ月別人口(3ヶ月単位)(xls)しか載っていないし。誰か調べてみませんか?

来週(5/17)から「ドリームジャンボ宝くじ」の売り出しだそうなので、おまけとして、宝くじの当選確率を身をもって体験できる、宝くじシミュレーターを紹介しておく。確かになかなか当たるもんではないと実感できるが、当たるまで買い続けたくなる心理もよくわかるかも。。

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2004/05/13

尿素はお肌にも環境にもやさしい?

NIKKEI NET(5/13)の記事。

日産ディーゼル、排ガス浄化へ尿素供給インフラ整備
 日産ディーゼル工業は三井化学、三井物産、宇佐美グループなど石油小売り大手3社と組み、自社の超低公害ディーゼルトラック普及のためのインフラ整備に乗り出す。排ガス浄化に使う尿素水が供給できる拠点を今秋までに全国400カ所に設ける。尿素を使った排ガス浄化は欧州で標準となる見通しの有力技術だが、供給方法が課題だった。

 尿素は保湿成分として化粧品にも使われている物質。新技術では排ガス中に尿素水を噴霧し、触媒の反応を促進させて窒素酸化物(NOx)排出量をほぼ半減させる。

 日産ディーゼルは同技術を採用した大型トラックを今秋にも発売。世界のディーゼル排ガス規制で最も厳しいとされる2005年からの「新長期規制」を前倒しで達成する計画で、実用化に不可欠な尿素水の供給体制作りを呼び掛けてきた。

尿素水による排ガス浄化という技術は初耳だったので調べてみた。日産ディーゼルのホームページでは、新長期排出ガス規制適合車を2004年秋に発売という関連ニュースしか見当たらず。それでもこの方式のトラックをこの秋に発売するところまで来ていることは確かだ。

EICネットニュースに、ディーゼル車の窒素酸化物対策新技術・尿素SCRシステム技術検討会を設置というニュースが載っている。SCR は Selective Catalytic Reduction(選択的触媒還元反応) の略。ここからリンクしている、国土交通省の 尿素SCRシステム技術検討会の設置について には、この尿素SCRシステムの構成図や課題が載っていてわかりやすい。それにしても、わずか半年前に検討会を設置して、技術面やインフラ整備についての様々な問題に対応できるのだろうか?

各国のディーゼル排ガス規制の状況については、日本自動車工業会のディーゼル重量車の排出ガス規制値の比較がわかりやすい。2005年からPM(粒子状物質)の規制値を大幅に強化し、同時にNOxも世界一厳しい水準に持っていくということのようだ。

さて、窒素酸化物(NOx)を除去する方法であるが、ガソリン自動車の場合には現在では三元触媒で HC、CO、NOx を全て除去する方法を取っている。しかし、ディーゼルの場合には種々の問題があり、なかなか決め手がないのが実情のようだ。この辺は 徳大寺自動車文化研究所にコンパクトにまとまっている。

一方、従来から固定発生源(火力発電所、大型ディーゼル発電設備等)の排ガスからの NOx 除去(脱硝)には尿素が使われるケースもあるようだ。通常は NOx と反応する還元剤としては NH3(アンモニア)を使うのだが、NH3 ガスの取り扱いの問題等があるので、尿素をオンサイトで加水分解する方法が採用されることがあるらしい。(新興プランテックなど。)

大型の脱硝設備でも、NOx 分解率を高くしようとすると、相当に精密な NH3/NOx 比の制御が必要だし、それでも多少は未反応の NH3 が大気中にリークする。それに比べて自動車の場合は、そもそもエンジン排ガスの組成、流量や温度といった条件がめまぐるしく変化することが前提となるので、尿素の吹き込み量の制御などは相当に難しそうだ。それでも、既に実用化段階まで来たということは、未反応 NH3 の洩れ(「アンモニアスリップ」と言う)は技術的にクリアできたのだろうか。(目標のNOx除去率を低く設定してるのかな? 新聞記事では半減と書いてあるし。。)

三井金属の尿素水センサー開発のニュースは、これに関連した技術のようだ。

尿素SCR となると、尿素水を定期的に補給する必要があり、もしも尿素が切れるとNOx垂れ流しになってしまうし、逆に制御がうまくいかないとアンモニアを大気に放出してしまう。運転者が尿素をきちんと補給してくれるのかどうかも含めて、システム全体としてこれらの問題に対応することが要求されるだろう。

それでは、近い将来のディーゼル車はこれで決まりか? というと、最近の自動車技術会の発表テーマを見ると、還元剤に炭化水素を使ったり、ガソリンエンジンで使われている NOx 吸蔵方式だったりと、尿素SCR 以外にも各社様々な方式を検討しているようだ。

少し先を見れば、軽油燃料のディーゼル車以外にも他の選択肢は色々あるので、この尿素SCRも繋ぎの技術という気がするのだが。。

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2004/05/12

ヒートアイランド対策舗装

nikkeibp.jp(5/11)の記事。

鹿島道路など、路面温度の上昇抑制を実現

鹿島道路と日本ペイント、日本ライナーは共同で、従来の道路舗装に遮熱性塗料を塗布した「スーパークールコート」を開発した。近赤外線を効率的に反射して路面温度の上昇を抑え、ヒートアイランド現象を緩和する。散水する必要がないので、維持管理の手間も軽減できる。

鹿島道路のホームページの News によると、「スーパークールコート」は近赤外の反射率を高くした塗料で、通常の舗装道路に塗布することで路面温度を低下させるもののようだ。路面温度が10℃程度低下したという実測値が載っている。

さて、ヒートアイランド現象については、環境省のパンフレット(pdf)報告書(pdf)などに説明があるが、省エネとの絡みから重要な問題の一つとして捉えられているようだ。(ヒートアイランド対策関係府省連絡会議ヒートアイランド対策技術ワーキンググループ会合) ヒートアイランド現象に対する対策は多方面にわたるが、この舗装道路の改善についても、「舗装材の反射率の向上と保水性・透水性の改善」として取り上げられている。

その保水性を改善する舗装については、JFEスチールの製品としてヒートアイランド現象抑制舗装材料が紹介されている。こちらでは、最大18℃も温度が低下している。更に詳しい資料は こちら(pdf) 。保水性は舗装内部に水を長期間保持する性質で、水の蒸発潜熱によって冷却する仕組み。雨が降った後じゃなければ効果がないかと思ったら、4日後でも5℃程度の冷却効果があるということで、意外と頑張る。

国交省九州技術事務所のこの資料によると、舗装路面温度が10℃程度低下しても、気温は1~2℃程度しか低下しないみたいだけど、ビルの上階に行く程気温は低くなるんだな。(考えてみると当たり前。でも建物内部の温度分布はまた別と思うが、調べてもわかりやすい情報はみつからず。)

反射率を上げるのと、保水性を持たせるのはどちらが有効なのか? の辺りは、独立行政法人土木研究所による「都市空間におけるヒートアイランド軽減技術の評価手法に関する研究」として検討されており、検討内容についてはH13報告H14報告が読める。

冒頭の記事の高反射率塗装の場合は、既存の舗装道路に後から施工できるし、雨が降らなくても効果があるというのが売りだろうな。でも、結構照り返しが激しそうだし、相当にまぶしいのじゃないだろうか? 大きな効果を狙うなら、保水性を持たせた上に反射率の高い塗装をすればよさそうだが。

*最近はインターネットでほぼリアルタイムに気象状況や環境汚染状況をモニターできるサイトも増えている。たとえば、HIR-NETのお天気リンク集には役立つリンクが沢山あるので、色々見てみると面白いのが見つかるかも。

例えば Weather Underground は世界中の温度や天候が見られて楽しい。東京都に関しては、東京都環境局の大気汚染地図情報(速報値)で、リアルタイムの温度や汚染状況のマップやトレンドデータが手に入る。

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2004/05/11

日本は不安全な国?

YOMIURI ON-LINE(5/11)の社説。[安全・安心]「科学技術はどう貢献できるか」

「自分の国は十年前より、安心な場所ではなくなった」

 日本人の十人に九人が、そう感じているというデータを、今春、スイスの民間財団「世界経済フォーラム」が発表した。

 調査した五十一か国の平均は、十人に六人だ。日本は突出している。

 災害や事故の多発、新たな感染症、テロの脅威、治安悪化など、不安材料が急増した。安全神話が崩壊して久しい。

 安心と、そのおおもとになる安全を取り戻すために、科学技術はどう貢献できるのか。災害や治安の専門家たちからなる文部科学省の懇談会が、そのための政策を網羅した報告書をまとめた。

 安全・安心を確保するには、行政や法律などの制度も重要だが、今回、科学技術の活用に光を当てた意義は大きい。

 科学技術は、これまで、安全・安心を脅かす事態に後追いで対処してきた。問題が起きると、国が専門家を探し、相談しながら調査する。その後の研究や対策も、省庁間の壁が厚かった。

(後略)

安全と安心が確保された国を目指し、科学技術の側からの取り組みについて国が検討を進めていることの紹介。頑張ってやってくれ、というだけで、あまり社説らしい主張はされていない。

それはともかく、これを読んでまさか「日本は世界で最も不安全な国だ」と思う人はいないと思う。どんな調査なんだ?ということで探してみると、「世界経済フォーラム」の調査結果は、Global Survey Finds Ordinary People Feel “Unsafe, Powerless and Gloomy” About the Future Security and Prosperity of the World(詳細データへのリンクが切れている)で、文部科学省の報告は「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」報告書

*世界経済フォーラムの調査結果の詳細は、こちら

「次の世代は今より安全でない世界で暮らすと思う」にイエスと答えた割合も、日本が68%でトップ。でも、この数値が低い順に並べると、西アジア・東欧・アフリカ・中東・南北アメリカ・太平洋・西欧・日本となる。他の設問の答えも似たような順番に並んでいる。つまり、現時点で豊かでそれなりのレベルに到達している国の方が、将来を不安視する傾向が高く、現状も厳しく見ているのではないか?

現在、紛争の真っ只中の国や、蔓延するAIDSに苦しんでいる国の人々が、10年後に希望を持つのはある意味当然だし、日本や西欧諸国のような国では、ある種の到達感と共に将来不安があるのも理解しやすい。わからないのは、アメリカがなんで現状についても、将来に対しても比較的楽観的なのかだ? やっぱり国民性かなあ?

マズローの欲求段階説(1. 生存欲求、2.安全欲求、3.所属・愛欲求、4.承認欲求、5.自己実現欲求)というのがあったが、日本などの状況を見ると、自己実現の先に更なる「欲」(長生き・健康等)がありそうに思う。(人間の欲にはきりがない。) ということで、もしかしたら、実は日本は世界一安全な国ということなのかもしれない。

読売の社説で「科学技術は、これまで、安全・安心を脅かす事態に後追いで対処してきた。問題が起きると、国が専門家を探し、相談しながら調査する。」とあるが、ここも実は少し認識が違っていて、従来から科学技術は種々の安全・安心対策を構築してきているけれど、その網の目をくぐり抜けた事故、事件や災害が大きな問題となっているのではないだろうか?

現状が十分だとは思わないが、自分たちを必要以上に卑下することもない。我々が世界的に見て、どういうレベルにいて、何ができていないのか、といった客観的な現状認識が文部科学省の懇談会でも抜けているように思う。

この話をまともに議論すると相当に大変なので、この話はこれくらいにしておく。機会があれば、科学技術と安全・安心の話はまた考えてみたい。

なお、懇談会資料の中に、安全と安心の定義があったので、引用しておく。

安全とは、人とその共同体への損傷、ならびに人、組織、公共の所有物に損害がないと客観的に判断されることである。ここでいう所有物には無形のものも含む。

安心については、個人の主観的な判断に大きく依存するものである。当懇談会では安心について、人が知識・経験を通じて予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じていること、自分が予想していないことは起きないと信じ何かあったとしても受容できると信じていること、といった見方が挙げられた。

安心については以下のような、わかったようで良くわからない、ただし書きがついていて笑えた。

完全に安心した状態は逆に油断を招き、いざというときの危険性が高いと考えられる。よって、人々が完全に安心する状態ではなく、安全についてよく理解し、いざというときの心構えを忘れず、それが保たれている状態こそ、安心が実現しているといえる。

この懇談会で議論している科学技術には、自然科学に加えて社会科学も当然含まれていて、内容としては 5/3のブログ で紹介した『問題解決のための「社会技術」』で扱っている分野とかなり重なっている印象だ。

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2004/05/10

岩盤浴と岩盤ベッド

NIKKEI NET(5/8)(甲信越)の記事。

長野セラミックス、人工の岩盤ベッドを発売
 セラミックス製品開発の長野セラミックス(長野県千曲市、佐藤義雄社長)は、ラドンガスを放射する天然鉱石を含有するセラミックスの板を敷いた人工の岩盤ベッドを開発、販売を始める。病院や宿泊施設、スーパー銭湯などに売り込み、来年3月末までに3億円程度の売り上げを目指す。

 ベッドの大きさは標準タイプで縦180センチ、横90センチ。電気毛布のような方式で温浴効果を出せる。ベッド上には縦4.5センチ、横3センチのセラミックスの板を108枚敷く。板には岩盤浴で有名なオーストリア・バドガスタインから輸入した天然鉱石を細かくした粉末を混ぜ、ラドンガスを放射する。周りには好みに応じて天然鉱石、マイナスイオンや遠赤外線を放出するセラミックスの玉を組み合わせて置く。

 1台150万円で、すでに千葉県内の診療所から2台を受注した。今週末に横浜市で開く「国際的なスパに関する会議と展示会」など各地の展示会でPRして浸透を図る。

かなり怪しげな雰囲気の商品だが、少し調べてみることに。

長野セラミックスという会社のホームページを見ると、環境と健康をテーマにセラミックス製品を作って売っている会社とのこと。製品を見ると、マイナスイオンや遠赤外線といった、ありがちな効果(?)満載の浄水器などの他に、水道水をラドン温泉やラジウム温泉に近づけることのできる(!)人口温泉装置なんてものも売っている。今回の新聞記事の「岩盤ベッド」は残念ながら載っていない。「岩盤ベッド」って、それにしてもすごいネーミングだ、寝心地悪そうだけど。。(良く見ると顧問として医学博士もついているようだけど、大丈夫かな?)

さて、ラドン温泉とラジウム温泉、どちらも聞いたことがあるけど、どこが違うの?ってことで調べてみたら、「関東周辺 立ち寄り 温泉みしゅらん」の「温泉の科学」というコンテンツで、放射能泉についてという詳しい説明をみつけた。この内容はそれなりに信用できそうだし、蘊蓄も多く楽しめる。ラドン(222Rn)はラジウム(226Ra 半減期 1622年)の放射性壊変で生成する半減期が3.8日と短い希ガス。ラジウム自身がウランの崩壊系列で生成するもので、温泉・鉱泉中にラジウムそのものが含まれたり、そこから発生するラドンガスが含まれているものが放射能泉ということになるようだ。つまりラジウム温泉とラドン温泉は親子の関係ということか。(ついでだけど、この世界ではトロンと呼ばれる希ガスもあるようで、何だと思ったら、トリウムの崩壊で生成する220Rnのことをトロンと呼ぶらしい。)

この手の天然の放射線をありがたがる話の根拠として、微量の放射線が健康に良いという概念(放射線ホルミシス(原子力百科事典 ATOMICA)があるが、例の日本は診断X線での発がん3%のような研究と正反対の話になるわけで、まだまだ確立された概念とは呼べないようだ。

何故か、核燃料サイクル開発機構のホームページに、「ホルミシス」というQ&Aが載っていて、ラドン温泉の効果などについても書かれている。こちらはさすがに、放射線の影響に対して好意的な立場からの記述が目立つが、データも豊富だ。

一方、岐阜大学のサイトから、ラドンに関連した質問で見ると、ラドンの半減期は短いが、その娘核種の放射線ががんの原因となるという研究も紹介されている。ラドン療法のサイト等では、「ラドンは半減期が短いので、なんら生体に対して有害となりません。」と説明されたりしているが、そのまま信じるわけにはいかなそうだ。

まあ、現時点では日本アイソトープ協会学術部長の話のようなスタンスが一番良いのかな?

さて、「岩盤浴」についてだが、オーストリアのバドガスタインでは、坑道内のラドン濃度が非常に高く、これを利用した治療(日本で言う湯治のような感じか?)を行っているようだ。やさしい放射線の話に詳しい。それはそれとして、確かに「岩盤浴」はそれなりにはやっているようで、調べてみると、怪しい雰囲気満点だ。コメントの付けようもないので、サイトへのリンクのみ。
岩盤浴の開業
岩盤浴 天照石
シリカブラック 岩盤浴

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2004/05/09

鰹だしの疲労回復効果

日本化学会の雑誌「化学と工業」の最新(5月)号に、面白い記事が載っていた。「鰹だしの疲労回復効果」村上仁志(味の素) 化学と工業, Vol.57,(5),p522-524 (2004)

鰹は海中を時速30~100km/hといったハイスピードで長時間遊泳し続けることから、遊泳すなわち運動により蓄積した疲労を消失させる何らかの能力があると考えられている。この疲労回復能力には鰹の身に多く含まれるアンセリン、カルノシンといったジペプチドが関係していると考えられている。我々はこれらジペプチドのほかにアミノ酸などを多く含んだ鰹の抽出物(鰹だし)がアンセリン、カルノシンより強い疲労回復効果を持つことを明らかにした。
とある。カツオが長時間高速で泳げるから鰹だしで疲労回復ってのも、随分短絡的な発想に思えるが、中身は結構しっかりした研究みたいだ。

調べてみると、カツオのスタミナパワーの話は既に「業界」では半ば事実として宣伝に使われているようで、築地の乾物屋さん「伏高」さんのかつお節の健康パワーによると、例の「あるある大事典」で2003/3/20に紹介されたとして色んな効果が書かれている。最後に 2003/8/2 の日経新聞の記事が引用されているが、これも同じ味の素の研究成果だ。この記事では、アンセリンとカルノシンに疲労回復効果があることが証明された、と書かれている。(同じあるある大事典へのコメントでも、発掘?あるあるトンデモ大実験 はいつものように極めて批判的。)(NHKの「ためしてガッテン」でもかつおだしの疲労回復パワーが2003/6/25の放送で紹介されたようだ。)

味の素のニュースを探してみると、2003/5/7のニュースリリースでかつおだしに新しい疲労回復効果という発表がみつかった。先の日経の記事と同じ2003年5月の日本栄養食糧学会での発表内容らしいが、こちらは、アンセリン、カルノシンを単体で与えたグループよりも、かつおだしそのものを与えたグループの疲労回復効果が大きいことがわかった、となっており、何故か先の新聞記事と結論が異なっている。

それにしても、かつおのスタミナ物質(?)をマウスに経口投与することで、マウスのスタミナに効果を発揮するってのもすごい事だが、じゃあ人間でも一緒か? というと、今回の研究では動物のエネルギーの源、ATPの合成に鰹だし成分が効いていることが示されているので、人間にも効くと考えてもおかしくない。(もっとも、与えた鰹だしの量がどの程度なのかがよくわからないので、非現実的な話なのかもしれないが。)

冒頭の報告の最後に、著者は

古来より日本人が食してきた和食はみそ汁に代表されるように鰹だしを基本としているものが多い。そのだしに疲労回復効果があることは大変興味深い。エネルギーを必要とする朝や1日の疲れがたまる夜の食事に一杯のみそ汁を飲むことは日々の生活の活力を得る上で非常に重要なことかもしれない。
と書かれているが、だからといって鰹だしをあまりとらない欧米人と比べて日本人がスタミナ豊富ということでもなさそうだから、あまり当てにしない方が良さそうだ。 (他の食品にも同様の効果を示す物質が、多少なりとも含まれている可能性が高いということかな。)

研究テーマとしては面白いと思うし、科学的にも有益な知見が得られたと思うんだけど、成果が「業界」の思惑で一人歩きしちゃうのが悲しい。

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2004/05/08

無毒のトラフグを養殖

MSN-Mainichi INTERACTIVE(5/7)の記事。

トラフグ:養殖を工夫すると肝も食用に 長崎大研究者
 猛毒を持つトラフグが養殖方法の工夫で無毒化できることを、長崎大の野口玉雄客員教授(食品衛生学)と同大水産学部が実証した。フグ毒が餌を通して内臓などに蓄積されるという仮説を科学的に裏付けた初の成果で、12日から東京で開かれる日本食品衛生学会で発表する。

 フグ毒のテトロドトキシン(TTX)は1グラムで約500人を死なせるほどの猛毒で、肝臓や卵巣に多い。

 研究グループは01~03年、熊本県天草町や長崎県鷹島町、愛媛県宇和島市など7カ所の主要生産地で養殖された1~3年もののトラフグ計4833匹の肝臓を調べた。マウスを使った試験法で、すべてが人間に無毒だと判定された。

 この7カ所では、TTXを持つボウシュウボラなどの貝類を餌に混ぜないほか、4~10ミリの細かい網を使ったり、いけすの底が海底から10~20メートル離れているか陸上に設置されているなど、自然界のTTXを取り込まないよう工夫されていた。

 フグの食用について、厚生省(当時)は83年、食べられるフグの種類や部位(筋肉、精巣など)を明示した局長通知を出した。肝臓は有害部位とされたが、食用を規制するかどうかは自治体によって異なっている。

 野口さんは「市場のトラフグの8割が養殖ものだ。無毒化の技術が確立できれば、こわごわ食べて命を落とす心配がなくなる」と、無毒養殖法の普及に期待を寄せる。

 養殖業者でつくる全国かん水養魚協会の稲垣光雄専務は「フグの消費拡大につながる成果だが、網目に付いた有毒な貝をフグが食べるなどの心配は捨てきれない。100%の安全を確保できるのか、今後の研究に注目したい」と話している。

フグの毒(テトロドトキシン)が、フグ自体が作り出したものではなく、バクテリア起因だって話は以前どこかで読んだと思うのだけど、この話はどこが新しいのだろう?

調べてみると、正にこの長崎大学の研究グループと共同研究(?)したふぐ料理屋さんが既に応用(?)していて、特許出願中とのこと。そもそも、この新聞に出てくる野口玉雄さんが既に本に書いているようだし。。(「フグはなぜ毒をもつのか」amazon

さて、フグ毒の正体については、crystalaqua.com というサイトの海洋有毒生物を知るや、「有機って面白いよね!!」というサイトで見つけた、河豚の説明を読むと、やはりバクテリア起因と考えられており、そのバクテリアも特定されているようだ。(後者のサイトでは、テトロドトキシンの化学構造や合成法も載っている。)結局、この研究は多くの実証例を積み重ねました、ということに意義があるのかな?

一方、フグ毒についてを読むと、無毒のトラフグは共食いをする習性があるとのことで、無毒のフグの養殖は大変なのかもしれない。そもそも、毒のない(養殖)フグがおいしいのかどうかという問題もあるし、無毒であることをどうやって保証するのか、という問題もある。中途半端に無毒のフグと有毒のフグが混じってしまうと却って混乱するわけだし。(毎年何人かがフグ中毒で死亡している現状を前にして、「100%の安全を確保できるのか、今後の研究に注目したい」なんてコメントは、変なゼロリスク症候群だけど。)

そう言えば、トラフグの養殖でホルマリンを使う問題もあったな。これはエラへの寄生虫を駆除する目的で使用したらしい。毎日新聞の記事はこちら。中西さんの2003/9/16の雑感によると、ホルマリンを経口摂取する場合には発がん性はないとのことだが。

それでもやっぱり、フグの肝は何だか食べてみたい気にさせられる。

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2004/05/07

ココログ始めて4か月

カウンターは予想以上に順調に伸びて、まもなく19000に到達。
 1か月目:900
 2か月目:4500
 3か月目:11700
 4か月目:19000

3月以降は、ほぼ一定のペースでお客様に来ていただいているようだけど、その多くは検索エンジン経由なので、何故一定のペースになるのか不思議な感じもする。コンテンツが増えれば検索に引っかかる確率も単純に高くなるように思えるし、逆にタイムリーな記事の有無でもっと派手に増減しても良いようにも思えるし。

さて、この1ヶ月のアクセス解析結果の一部を紹介すると、

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp (ご存知ヤフーサーチ) 全体の18%(前回1位)
 2位 bookmark (お気に入りに入れてくれた方) 全体の9%(前回2位)
 3位 http://www.google.co.jp(ご存知グーグル日本版) 全体の5%(前回3位)
 4位 http://www.google.com(グーグルの本家アメリカ版) 全体の1%(前回4位)
 5位 http://www.search.msn.co.jp(MSNサーチ) 全体の1%(前回7位)
 6位 http://www.cocolog-nifty.com(ココログの新着情報) 全体の1%(前回5位)

(2)検索キーワード
 1位 世界人口 (前回15位)
 2位 有機ラジカル電池 (前回11位)
 3位 アメリカ (前回10位)
 4位 肥満 (前回7位)
 5位 屋久島 (初登場)
 6位 背が伸びる方法 (前回8位)
 7位 伸長法 (前回5位)
 8位 ペットボトル (前回53位)
 9位 ボスプレッソ (前回4位)
10位 回転ドア (前回2位)

という結果。「世界人口」というキーワードは人気が高く、2位を大きく引き離してダントツのトップ。3/26の世界人口増加が減速?のアップ以来コンスタントに訪れてもらっているみたいだ。

もっとも、このランキングが上だからといって、その記事の内容が満足のいくものだったかどうかとは無関係だ。個々の記事に対する顧客満足度はどうやって測ればよいのだろうか? アマゾンのレビューのように各記事に投票ボタンを付けるのはどうだろうか? コメント書くのは面倒だけど「この記事は参考になりましたか?」という質問に対して、ボタンを押すぐらいは OK かもしれない。そんなことができるといいのにな。

まあともかくも、ここに来られた方(初めての方も、常連さんも)、ようこそありがとう、です。これも何かの縁かもしれません。もし気に入られたら、またお越しください。そして、是非遠慮なくコメントつけていってください、励みになります。

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2004/05/06

超臨界CO2クリーニング

河北新報(5/4)の記事。CO2超臨界流体で洗濯 東北大と仙台・タカノ商用化へ

 二酸化炭素(CO2)の超臨界流体を活用したクリーニング法の研究を重ねてきた東北大超臨界溶媒工学研究センターと、クリーニング業の「オートランドリータカノ」(仙台市)は世界初の「超臨界流体炭酸ガスドライクリーニング法」を導入した商用機の開発に着手する。環境や人に優しく、世界的な需要が見込めるとして、確立した新技術については年内に米国やドイツでも特許を出願する方針。

 新方式のクリーニング法は、31度、74気圧で超臨界状態となる二酸化炭素(CO2)の超臨界流体を循環させ、その中で衣類の汚れを溶解させる仕組み。二酸化炭素は有機物の溶解力が高く、従来のように石油系の有機溶剤や水は使用せずに済む。

 東北大とタカノは2002年度から経済産業省の補助を受け研究開発を始めた。昨年3月、タカノの本社工場敷地に研究室を建設し、実験機を設置。洗浄能力のさまざまな実験を重ねてきた。

 従来の洗剤よりも洗浄能力は高い上に(1)衣類を傷めにくい(2)脱石油によって環境負荷低減に貢献できる(3)溶剤などを送る駆動ポンプが不用になり、機器の耐久性能が高まる―などの効果も確認した。(後略)

この技術開発は、オートランドリータカノと東北大学超臨界溶媒工学研究センターに加え、産総研東北センター超臨界流体センターアイテック、日本建鉄、東京洗染機械製作所、日華化学、昭和炭酸の8者で共同開発を進めている。参加している企業は、ドライクリーニング装置メーカー、洗剤メーカー、或いは二酸化炭素メーカーなど。

この技術の詳細については、東北経済産業局の地域新生コンソーシアム研究開発事業成果概要で読める。地方の企業が、産官学の連携で新たな技術開発を積極的に行っているモデルケースとしての注目度も高いようだ。七十七ビジネス大賞など。

二酸化炭素を使った超臨界流体による洗浄技術は、結構古くから注目されており、特許庁の技術資料特許出願状況を参考にすると、食品や半導体関係或いは機械部品等の洗浄への応用が主用途のようで、衣類クリーニング用というのは新しい発想なのかもしれない。「超臨界流体(SCF)のすべて」という本の目次を見ても、非常に広範囲な応用が考えられているようだが、衣類クリーニング用途は載っていない。

なお、クリーニングの基礎知識は、大阪府クリーニング生活衛生同業組合のクリーニングを知るためにが充実している。ドライクリーニングといえども、特に水溶性の汚れを落とすために洗剤を使うというのも初めて知った。なお、ドライクリーニングの溶剤については、新潟女子短期大学の本間研究室の生活環境科学の部屋から、ドライクリーニング溶剤

最近はドライクリーニングの溶剤は環境面で厳しい目にさらされている。(土壌汚染、臭気、オゾン層破壊、地球温暖化等) 従来からのドライクリーニング技術を更に磨いて、徹底的に溶剤の回収・再使用を進めるという方法と、有機溶剤を一切使わない新たな超臨界洗浄技術とどちらが総合的に見て良いのか? グリーンケミストリー的発想からすると、二酸化炭素の超臨界洗浄が良さそうに思えるが。。

課題はコストの削減(テスト機のコストが7,000万円、目標コストが3,000万円に対して、従来法の大型機が1,700万円)とのこと。環境にやさしいとか、溶剤が残留しないというメリットが、果たして既存の装置の約2倍の価格でも売れるだけの付加価値となるのだろうか? そもそも、どの程度きれいに洗浄できるのだろうか? 逆に染料によっては色落ちが激しいなんてことはないのだろうか?

衣類の洗浄と言っても、通常の水による洗浄も含めて、非洗浄物や汚れの種類に応じてそれぞれ異なる方法がありうるわけで、この方法も万能とはなりそうもない。それでも、地方発の新技術として、うまくいけば世界的な技術になるかもしれない、という期待を込めて応援してみたい気にさせてくれる。

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2004/05/05

社説検証という企画

Sankei Webで、5/4、5/5の二日間にわたり、一連の【社説検証】という記事が掲載された。

【社説検証】イラク人質事件
【社説検証】週刊文春問題
【社説検証】首相の靖国参拝
【社説検証】国旗・国歌

調べてみると、産経新聞は以前からこうして各社の社説を比較分析する記事を度々掲載してきているらしい。それらの記事をまとめて本にしたのが「社説の大研究」(bk1amazon)で、 BOOKSルーエ の紹介記事を見ると、産経新聞のこの企画は、10年以上前の湾岸戦争がきっかけで始まり、今も続けているとのこと。

新聞紙上でどのように書かれているのかは見ていないが、web上では各社の社説へのリンクなども載せると親切でいいのに、と思ったが、各社の社説の多くは既にリンク切れになっているようだ。

各社の社説が簡単に読み比べできるポータルサイトがあるといいなということがonoさんのブログ(4/1)で議論されているが、前提として各社が社説をweb上に残してくれないと難しそうだ。当日の社説を読み比べるには、ニュース検索(検索デスク)がニュースポータルとしても充実していて便利。 (何故か毎日の社説は前日までのものしか読めない。)

社説の場合には各社のスタンスや考え方が書かれていることが自明なので、読む方も、各紙の主張が違っていて当たり前という受け止め方ができると思う。ところが、普通の新聞記事の場合でも、意図したものかしていないものかはともかく、必ずしも事実がきちんと書かれていない場合もあるので要注意、というのがこのblogの姿勢の一つでもある。その対策として情報の入手は複数のソースから、或いはできるだけオリジナルなソースから、というのが重要だと考えて実践するように努めている。

こういった「メディアリテラシー」というのは、既に義務教育の中でも扱われるようになっているようで、ここなどでは、中学校1年生から「メディアを批判的に読み解く」という訓練を取り入れているようだ。これからはそういう能力を身につけていることが普通になっていくのかもしれない。

ちょっとエキセントリックだけど、朝日新聞を購読しましょう では、朝日新聞の記事の問題点への突っ込みや、読売新聞との世論調査対比をしていたり面白い切り口もある。紙面をスキャナで読み込んで掲載されているので、資料としても使えるかも。 

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2004/05/04

タバコをやめて1年

1年前のゴールデンウィークに、インターネットをいつものように見ていて、たまたま、この喫煙者を救え!というページを目にしなければ、今もタバコをくわえながらこのブログを書いていたんじゃないかと思う。正に偶然だけど、たまたま僕のツボにハマってしまった、運命の出会いだったかも。(改めて読み返してみると、必ずしもこのページの主張は同意できる部分ばかりではないのだけど、きっかけであったのは間違いない。)

このページの作者、岩城さんがここで語っていることの多くは、アレン・カーの「禁煙セラピー」(bk1amazon)というベストセラーと同じ趣旨だ。でも、とても要領よくそのポイントをまとめてくれているし、岩城さん独自の主張や説明も豊富に含まれている。他の禁煙法は知らないけれど、ともかく論理的に、まず頭で理解することから始めようというコンセプトは、少なくとも僕に対しては実に説得力があった。

何しろ、それまで毎日40~50本を吸っていた自他共に認めるヘビースモーカーだったのに、ほとんど何の苦労もなく、パッタリとやめられてしまったのだから、威力は絶大だ。周りでタバコをやめた人達は、ニコチンパッチを使ったり、少しずつ本数を減らしたり、何度も失敗したり、なんだかんだと苦労しているのを見てきた。それに対してこの方法は、何の小道具も段取りもなしに、あるとき単に「タバコを吸うのをやめよう」と決意するだけ。最初は、何も失うものもないんだし、まあ騙されたと思ってやってみるか、という程度のものだった。

実際には、「禁煙セラピー」の本を買うことで、自分の決意を確かめることから始めた。そして、タバコを吸いながら本を読み始め、数時間後に読み終わる頃には、タバコを吸うのが何となく気持ち悪くなり、部屋の中にあったタバコ(まだ封を切っていない箱が何箱もあったけど)を全部捨ててしまっていた。(何と暗示に掛かりやすい奴なんだろう!) それ以来1年が経過。この間、飲み会等の成り行きで数本吸ったことはあるけれど、完全に「禁煙」に成功したと言ってよいだろう。

その経験から言うと、タバコをやめるのは本当に簡単だということ。禁断症状が苦しいとか、間が持てないとか、我慢できない、なんていうのは、全部誰かの陰謀なんじゃないか、と思えてくる。だって今の時代、タバコを吸い続けるには、吸うのを我慢しなければならない場所や時間が多すぎる。タバコをやめるということは、タバコを吸うのを我慢するのもやめるってことだから、トータルでは絶対にやめちゃう方が楽だ。

実際、禁断症状なんてものには全く苦しめられなかったし。(というか、辛かったという記憶が残っていないから、多分大したことはなかったんだと思う。)少なくとも、TVなんかでの麻薬の禁断症状みたいに、「タバコをくれー」って言いながら、よだれ垂らしたり、震えが来たり、七転八倒するなんてことはなかった。今に禁断症状が来るぞ来るぞ、と少し楽しみ(?)にしていたけど、結局来ないまま1年経ってしまった、という感じ。

結局、「わかっちゃいるけどやめれらない」ではなく、「わかってしまえばやめられる」ってことだろうか。

*この方法の特徴は、タバコを吸うのは何故か、やめるっていうのはどういうことか、ということをまず頭で論理的に理解・納得することから始める点だと思う。禁断症状が苦しいという先入観で始めると身体がそのように反応する恐れがあるが、禁断症状は苦しくないという先入観で始めたことが功を奏したと思う。

*やっぱり「禁煙」って言葉は変だ。喫煙が禁じられた時間や空間に対して「禁煙」と言うべきであって、タバコをやめることを「禁煙」と言うべきではない。「断煙」という言葉もあるようだけど、何だか大げさだし。強いて言えば、non-smoking というのがスッキリしているんだけど、うまい日本語がないみたい。(レストランで、喫煙ですか、禁煙ですか?って聴かれるのも、考えてみるとちょっと変だし。)

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2004/05/03

『問題解決のための「社会技術」』

帯には

問題を解決するには、まず問題を把握しなくてはならない。だが現代社会において、問題の全体像はきわめて見えにくい。狂牛病やSARSをめぐる騒動、原発トラブルや医療ミスの隠蔽疑惑などを見ても、特定分野の専門家だけでは十分に対処できないことが明らかである。本書は、複雑化する社会問題を解決し、社会を円滑に運営する「社会技術」の概念を提唱。学問分野の枠を超えた、新たな取り組みを紹介する。
とあり、なかなか魅力的に感ずる。ということで読んでみた。

中公新書 1740
 問題解決のための「社会技術」 分野を超えた知の協働
 堀井 秀之 著 bk1amazon

社会技術とは何か? については、

社会技術とは、社会問題を解決し、社会を円滑に運営するための「技術」である。ここで「技術」とは、広い意味での技術であり、工学的技術だけではなく、法制度や経済制度、教育、社会規範などを含んでいる。
と説明されているが、わかったようなわからないような。印象としては何でもありみたいだ。

読んでみると、決して目新しい画期的な「技術」が紹介されているわけではなく、一つ一つのアプローチは言ってみれば当たり前のことに見える。だけど、非常に複雑な問題にどう対処するのか?という観点で、システマティックに整理された方法論や学問てのが従来なかなか見当たらなかったので、著者らは、それを新たな学問領域として取り組んだということらしい。

昔から問題解決や新たな発想のための様々な技術、方法論が紹介されてきたし、実践されてきている。(各種のQC手法やKJ法だとか、その他いろいろ。) けれども、この本で紹介されているのは、もっと大掛かりな、組織や集団や社会全体の問題に対して、既存の様々な技術をうまく組み合わせたり、新たな手法を開発したり、という方法で解決しようとするもののようだ。(個人や小さな集団の問題を解決するのにも使えるのだろうけど。)

本書で書かれている内容は、実はristex 社会技術研究システムという所で取り組んでいる内容の紹介ということらしい。著者は元々の専門が土木工学のようで、civil engineering というくらいだから社会問題へのつながりも深いのかもしれないが、やや土木分野に重心が置かれているのは仕方ないのかもしれない。本書で実際に取り扱っている例としては、東京都で直下型大地震が起きる事を想定した防災技術、診療ナビゲーションシステム、交通安全性向上システム、企業のコンプライアンス経営などである。

本書を読んで一番面白そうに思ったのは、ヘルシンキ工科大学のT.コホネン教授が提唱したという、自己組織化マップという、情報解析・可視化ツール。本書ではそのマップの作り方やその解析方法については触れられていないので、ちょっと探してみた。ニューラルネットの応用の一つとして紹介されている。例えば、金沢工業大学のサイトや、鳥取大学自己組織化研究所のサイトなど。Mindwaveという会社では自己組織化マップ作成ソフトを販売しているようだ。

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2004/05/02

コレステロール値の季節変動

CNN.co.jp(5/2)の記事。コレステロール値、夏に測ると低めの数字に 米研究

シカゴ(ロイター) 血管壁に蓄積し、動脈硬化の原因となるコレステロール。その血中濃度は秋から冬にかけて最も高くなり、春から夏にかけては低くなるとの報告を、米研究チームが発表した。健康診断の結果を見る時の参考になりそうだ。

米マサチューセッツ大医療センターでは、517人の健康な男女を対象に1年間の追跡調査を実施。食生活や運動量、日光を浴びた時間、行動パターンなどと、血中コレステロール値との関連を調べた。研究の成果は、医学誌「アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン」の最新号に発表された。

それによると、被験者の平均総コレステロール値は男性で222mg/dl、女性で213mg/dlだった。日米の診断基準では、コレステロール値は220mg/dl未満なら正常、240mg/dlを超えると危険な領域とされる。

今回の研究では、このコレステロール値が季節によってかなり変動することが明らかになった。男性では平均3.9mg/dlの幅で変動し、12月がピークに。女性の変動幅は平均5.4mg/dlとさらに大きく、1月がピークだった。もともとコレステロール値が高めの人は特に変動が激しく、全体の約4分の1が冬になると240mg/dl以上の「危険域」に達したという。

夏になると気温が上がり、運動量が増えるために体内を循環する血液の量が増え、その結果コレステロールの濃度が下がるのでは、というのが、研究チームの推論だ。冬はその逆の現象が起きるため、コレステロールの絶対量は同じでも濃度が上がるというわけだ。測定する季節によって、診断結果が変わる可能性も出てくる。チームは報告の中で、「動脈硬化や心臓病の予防に向け、気温や運動量による影響をより詳しく調べる必要がある」と強調している。

なんだかなあ。こんなこと、今まで誰も調べていなかったのだろうか? 季節変動に限らず、日間変動だのなんのと色んな変動があることは常識だと思うのだが。調べてみると、スポーツ内科医の日記でも、冬場にコレステロールが高くなる結果が得られた、と書かれていることを見ると、季節変動についても必ずしも確立した解釈はないのかもしれない。

こういう時は、もう何年も毎月のように献血を続けていると、自分のデータが豊富にあるので便利かも、ということで、自分の献血時の検査結果をプロットしてみた。
コレステロールトレンド
このグラフは、定期的に成分献血を行ってきたこの12年間の総コレステロール値を月ごとにプロットしたもの。紺色が生データで、ピンク色が平均値。データのばらつきが、CNNの記事の値よりもはるかに大きく、同じ月でも数十mg/dl程度の変動があり、季節変動があるとしても、通常のばらつきの中に埋もれてしまっている。(平均値のプロットから、無理に傾向を読み取ると、確かに夏場に低くなっているけど。。)

ということで、よっぽど注意深く測定条件をコントロールしなければ、季節変動がどうだこうだなんて議論するだけ無駄のような気がするのだけど。。(というか、そもそも1回の測定値だけで判断することに無理があると言えそうだ。。)

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2004/05/01

「青色発光ダイオード」

カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の中村修二教授と日亜化学が争った、特許の価値を巡る裁判の一審判決は、その200億円という巨額故に多くのマスコミのトップニュースとなって大騒ぎになった。この判決以前から、両者の間にはいろいろな対立があり、幾つかの訴訟が起こっていた。その間、当事者である中村氏は、マスコミに露出したり、多くの本を出したりと、企業出身の技術者としては異例の知名度を獲得することになった。(ノーベル賞をもらった田中耕一さんとの対比という点も興味深い。)

その中村氏の本に関しては、「怒りのブレークスルー」(bk1amazon)を丁度2年前に読んだのだが、良くも悪くもアクの強い個性的な人だな、という印象がある。僕自身が企業の研究部門にいた経験から見ても、なかなかここまで自己主張が強い(わがままとも言う)タイプは珍しいし、正直言って同じ会社で一緒に仕事はしたくないタイプだ。それでも、中村氏が結果として成功したのは間違いないし、技術者として必要な才能や運にも恵まれていたと言えるのだろうな。

冒頭の訴訟については、現在、東京高等裁判所において第2審が行われている最中である。そんなタイミングで、アンチ中村の立場で出されたのが本書。

青色発光ダイオード 日亜化学と若い技術者たちが創った
 テーミス編集部 bk1amazon

帯には「開発の真相を初めて日亜化学が語り尽くす」と書かれている。確かに、社長を始めとして多くの日亜化学関係者に取材をして書かれたようだ。今まで中村氏側の主張ばかりが本やマスコミで取り上げられていたことを考えると、バランスという意味からは確かに本書の存在意義は認められる。

でも正直に言って、この本の読後感はあまり爽やかではない。超簡単にまとめると、中村氏の従来の主張は相当に誇張されたもので、実は青色LED(発光ダイオード)や青色LD(レーザーダイオード)を真に開発したのは、彼以外の若い技術者たちだった、彼はきれい事を主張しているが実は守銭奴なのだ、というような相当に批判的な内容となっている。

本書を読んで気になったことの一つは、「著者は~」という記載が目立つのに、本書の著者は「テーミス編集部」であり、ある意味で匿名だってこと。中村氏は少なくとも一個人として実名を出して主張しているのに、こちらは編集部という形で中村氏を批判する内容を書いているわけだ。しかも、本当に日亜化学の関係者から取材していたとしても、「著者」が主張する「真実」については、その根拠(誰の主張か、どこに書いてあるのか、等)が書かれていないものが多く、本当に信用してよいかどうかは闇の中ってことも気になる。

途中何箇所も、「~と感じるのは著者だけだろうか?」というようなレトリックを使って、特定の印象を読者に与えようとするのも目立つ。でも、そう感じるのはあんただけだろう、と突っ込みたくなったから、逆効果だったかもしれない。認めるところは認め、指摘すべきところは指摘する、というスタンスで書かれているならともかく、全てを批判の対象としてしまったために、逆に信用できない印象を持たせてしまったのかな?

また、「著者」が技術開発や特許についての基本的知識に乏しいことも、随所から感じ取れる。問題の404特許は公知技術で特許性がない、なんて主張を今更したって、とっくの昔にさんざん議論して結論が出ている問題だし、たとえ日亜化学の現在の技術が404特許を使ってなかったとしても、404特許の価値がゼロになる訳ではないことは、今回の判決文にも書かれていることだ。

徳島県ローカルから急激に全国区になった日亜化学の発展に中村氏の貢献がなかったとは言えないだろうし、中村氏だけの力で大きくなったのでないこともまた明らかだ。本来ならば、会社の発展を関係者みんなが喜び合えればいいのに、何が悲しくてこんな訴訟で延々と争っているのだろう? その争いが起こった原点がこの本からは見えてこない。少なくとも中村氏側の本からは何となく見えてくるものがあるのだが。。

いずれにしても、日亜化学が中村氏をそれなりに厚く処遇していた(給料面、学会参加を始めとする多くの出張、自由な仕事環境など)のが事実であるならば、日亜化学は彼の貢献を高く評価していたと言えるだろう。なのに、何故か(本書では書かれていないが、何らかのもつれがあって)、今回の訴訟では中村氏に一銭も支払いたくないという法廷戦略で臨んだがために、中村氏の発明の貢献はむしろ赤字だった、なんて苦しい主張をせざるを得なくなり、自らの首を絞めてしまったと言えるのだろう。

むしろ本書にたくさん書かれているような、多くの技術者たちの貢献を法廷できちんと主張し、その上でこの事業に関する中村氏の貢献度について具体的に議論することが、今後の他の職務発明訴訟にも有意義な結果を残すことになるのだろうと思う。(本書で多くの技術者のストーリーが公になったことが何らかの影響を与えることになるのかもしれないが。)

#相当の対価を算出する上で、発明が生み出す利益の総額の算定法の問題と、発明者の貢献度の算定法の二つが共に不明確であることが大問題なのだが、特に、今回の一審判決の貢献度50%は、いくら何でもやっぱりおかしいだろうと思う。(判決文からすると、裁判官の心証を悪くしたのが相当に影響していると思える。)

まあ、この本の内容をどの程度信用するべきかは疑問なのだが、中村氏の主張だってどこまで信じられるのかわからない。真実は法廷で明らかになる?

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