エアロゾルデポジション法
5/21の日経新聞朝刊に載っていた記事、個人的に興味あるのでメモしておこう。
TOTO、産総研 室温でセラミックス薄膜いつの間にやらすごい技術ができてるようだ。学生時代にセラミックスを専攻してたけど、最近の動向にはめっきり弱くなってしまってる。産総研のサイトに載っている、プレスリリースを読むと、エアロゾルデポジション法(AD法)と呼ぶ方法のようだ。産総研が5年前から開発を進めてきた手法で、サブミクロン径のセラミックス微粒子を真空中、常温・高速で基板に衝突させて、溶融を伴わずに、瞬時に緻密な多結晶厚膜が形成されるのだとか。この現象は常温衝撃固化現象と名付けられている。
産業技術総合研究所とTOTOは20日、室温でセラミックスの薄膜を作る新技術を開発したと発表した。熱に弱いプラスチックの基板上などに絶縁性のセラミックス薄膜を作れ、製造コストも従来の半分以下に抑えられる。携帯電話などの部品を金属の代わりにプラスチックで作れるようになり、小型・軽量化に役立つという。
産総研の明渡純研究グループ長らの成果に基づき開発した。セラミックスの微粒子をガス中に漂わせ、基板に吹き付けると、微粒子同士が砕けて結びつく。ガスの条件を選ぶと、高温で焼き固めた場合とほぼ同じ強度をもつ薄膜ができた。(後略)
詳細は、上記ページからのリンク先に書かれているが、300~1000m/sec の速度で衝突させることで、原料粒子径の約半分ぐらいの粒子径の多結晶体膜となるようだ。機械・電気特性共に通常の焼結体と同等レベルを示すようだし、微構造も同等のものができていると考えられる。
メカニズムとしては、局所的なエネルギー開放、メカノケミカル反応、微粒子化による焼結温度の低減等が考えられているようだが、今ひとつピンと来ない。そんなにうまく粒子同士がくっつくのか? 膜の電顕写真も、もっと微構造がよくわかるものを載せて欲しいし、特に粒界がどうなっているのかに興味があるのだが。(それに、基板との接着はどうなっているんだろう?)
この技術、学会・業界では確かに最近注目されているようだけど、インターネットを検索して出てくるのは、何故かこの産総研のグループだけのようだ。何かハードルがあるのだろうか?
調べてみたら、元々1981年から1986年まで行われた「林超微粒子プロジェクト」から生まれた技術のようだ。何だか懐かしい名前だ。当時は「超微粒子」がはやりだったけど、今は「ナノテクロノジー」とか「ナノ粒子」と名前を代えているのも、時の流れを感じさせる。
それにしても、資料を読む限りは、かなり有望な技術だ。熱処理なしに、様々なセラミックスの緻密膜を金属・ガラス・プラスチック基板に形成できるようだし、ものによっては透明膜もできているし、いろんな可能性が開けていると思える。要注目だ(と思うのだけど、あまり話題になってないな。。。)
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