オゾン層の近況
EICネットの5/24の記事。2003年の地球全体と日本のオゾン層状況報告書まとまる 。
2003年は南極オゾンホール内で破壊されたオゾンの総量(オゾン欠損量)が過去最大、面積が観測史上2位となるなど、オゾンホールの規模が過去最大級に達したことが観測上の特徴だった。ということで、オゾン層破壊は依然として進行しているようだ。気象庁の資料は、2003年のオゾン層等の状況について(pdf)。
また地球全体の長期観測結果では、低緯度を除いてオゾン全量(ある地点の上空のオゾン総量)の減少傾向が継続して確認され、特に高緯度の春季の減少は依然として顕著だった。
オゾン層の保護に関しては、モントリオール議定書という形で世界的な規制の枠組みが出来ており、地球温暖化問題の将来を占う意味でも興味深いものがある。オゾン層問題の概要については、いろいろなサイトで説明されているが、非常にわかりやすいものとして、Webラーニングプラザの教材を紹介する。ここの「分野別教材-環境-環境概論-地球環境にいかにとりくむか」のコースで、現状、メカニズム、対策、予測などについてバランスよく学べる。(音が出るので要注意)
また、環境省の 平成14年度 オゾン層等の監視結果に関する年次報告書 には、かなり詳しい解説やデータが載っているので参考になる。
最近では、紫外線が有害だという認識が広まっており(環境省:紫外線保健指導マニュアルなど)、紫外線予報(バイオウェザーサービス、資生堂紫外線情報など) なんてのも普及してきているけど、実は人体だけでなく、様々な生物への広範囲にわたる影響が懸念されるということも意識しておく必要がありそうだ。人間はいろいろと防御する手段を持つけど、他の生物は防ぐ手段がないからなあ。
*オゾン層のオゾン量を表す単位はちょっと変わっていて、濃度ではなく、オゾン全量(m atm-cm ミリアトムセンチメートル)という単位。これは、上空にある大気中のオゾンを全部地表に集めたと仮定して、標準状態(0℃、1気圧)での厚みとして表すもの。ドブソンユニットとも呼ばれるとのこと。1m atm-cm 中に含まれる分子数は、単位面積(1m2)あたり、2.687 × 1020 個となる、と言われてもピンと来ないけど。
超大雑把に、上空30kmまでの平均気圧を0.5気圧と仮定したとすると、上空の空気を地表に集めて0℃、1気圧に換算すると、その厚みは約15000m程度となりそうだから、オゾンの厚みが約3mmというのは、大気全体での平均濃度は約 0.2ppm相当となるか?(ちなみに地表のオゾン濃度は、数十ppbのオーダーなので、意外とオゾン層の寄与が少ない印象だが、計算合ってるか?)
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