健康食品制度はややこしい
NIKKEI NET(5/26)の記事。厚労省、「健康食品」の表示基準を緩和へ。
厚生労働省は26日、あいまいな表示による健康被害が問題になっている「健康食品」について、現行の審査基準を満たしていなくても一定の科学的根拠が有れば「条件付き特定保健用食品」として健康機能の表示を認める方針を決めた。一部の基準を緩和する案を同日開いた同省の検討会に提示した。この「健康食品」というのは実は非常にややこしい。記事にあるように、法的には「健康食品」という分類は存在せず、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2種類が存在し、これらを合わせて「保健機能食品」と呼ばれている。(保健機能食品制度について)同省は2001年度から食品に効果・効能の表示を認める「保健機能食品制度」を導入。保健機能食品は、個別に効能の認可を受けた「特定保健用食品」と、カルシウムなどの栄養成分を表示できる「栄養機能食品」の2つで構成するが、審査基準が厳しく、「認可を得にくいのが現状」(同省)。このため、あいまいな表示の健康食品が増加していた。
改正案は、現行制度を維持しつつも、それ以外の食品でも、ある程度の科学的根拠があれば「根拠は確立されていない」と表示すれば「条件付き特定保健用食品(仮称)」として効能を表示できるようにする。
ところが世の中には、栄養補助食品だとか機能性食品だとか、まぎらわしい、いかにもそれらしい名前をつけた商品が沢山存在する。
「栄養補助食品」という用語は、様々な商品を見ると、どうやら「サプリメント」と同義で使われている言葉のようだ。更に調べてみると厚生労働省の2000年の報告書、いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会報告書を読むと、この時点では一般的な総称として「栄養補助食品」という名称を用いる方向で議論していたようだし、黙認というか認められているようにも思える。
一方の「機能性食品」という言葉も、文部科学省傘下の研究所が機能性食品の研究開発の動向なんて資料を公開しているから、これも国のお墨付きの用語のようにも思えるし、わざと混乱させているのか? と思いたくなってくる。
保健機能食品・健康食品ホームページを見ると、「特定保健用食品」「栄養機能食品」のそれぞれが詳しく解説されている。「特定保健用食品」とは、厚生労働省の審査に合格した商品で、これを摂取するとこういう効果が期待できます、という保健効果を食品に表示することができるもの。「栄養機能食品」は、ビタミン類やミネラル類を所定量含有していれば、個別の申請や許可は必要なく「保健機能食品(栄養機能食品)」と表示することが可能となるもの。
『「食べもの神話」の落とし穴』(高橋久仁子 著)(bk1、amazon)によると、この制度ができてすぐに、この制度を逆手に取った広告が出現したとのこと。引用すると、
下限値以上・上限値以下のビタミンやミネラルを1種類でも含有させれば、それぞれの商品に「保健機能食品(栄養機能食品)」と表示できるのです。「栄養機能食品」として規格基準を満たしているのは、それが含有するビタミンまたはミネラルであるにもかかわらず、「クロレラ」や「プロポリス」や「アガリクス」や「イチョウ葉エキス」などが厚生労働省の規格基準を満たす「保健機能食品(栄養機能食品)であるかのように見誤らせる合法広告を作成できてしまうのです。という具合で、現行の制度が単にややこしいだけでなく、混乱の元になるような抜け道を作っているような面もありそうだ。
そこに、今度の制度改正(?)の話。現状の問題点を認識して、何とかしようというのはいいのだけど、方向が間違ってないだろうか? 今でも複雑で、どうみても消費者に正しく理解してもらえてない制度なのに、更に中途半端な「条件付き特定保健用食品(仮称)」なんて分類を増やしてどうするんだか。。。
なお、現時点での「特定保健用食品」は410商品。(一覧表(EXCELファイル))
ちなみに、花王のヘルシア緑茶は「特定保健用食品」で、サントリーのフラバン茶は「保健機能食品(栄養機能食品)」。
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