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2004/05/30

テラヘルツ波検査装置

NEWS@nifty(5/29)から。麻薬や爆薬、開封せず検知=「テラヘルツ波」応用、共同開発へ-理研など(時事通信)

電波と光の中間の波長である「テラヘルツ波」を使い、郵便物や荷物に隠された麻薬や爆薬を開封せずに検知する装置の開発に、理化学研究所と大阪大、警察庁科学警察研究所、日立製作所などが共同で取り組むことが29日までに決まった。
 空港で手荷物検査に使われるX線検査装置では中身の形状しか分からないが、テラヘルツ波を当てると、化学物質の種類を特定できる。3年後に検査装置を世界で初めて実用化する計画だ。
テラヘルツ波については、テラヘルツテクノロジーフォーラムというサイトがある。なるほど、テラヘルツ波ってのは波長では300μm程度の電磁波ね。どこかに暗黒の電磁波って書いてあったけど、従来あまり利用されていない領域だったようだ。 (最近では「ギガ」は普通に使われるけれど、「テラ」はまだまだ珍しい単位で 1000ギガのこと。そのうちハードディスク容量なんかもテラバイトの時代が来そうだな。)

そのテラヘルツ波と麻薬・爆薬検知の関係は? というと、記事に出てくる理化学研究所のサイトを探すと、テラヘルツ光が開く新しい画像世界に書かれている話のようだ。この記事、とても専門的で難しいが、その「テラヘルツ光で鞄の中の薬物を分析する」の項を引用すると、

 これを可能にした要因が3つあります。1つはテラヘルツ光領域で、薬物の指紋スペクトルを発見できたことです。つまり、物質にテラヘルツ光を当てたときに、その物質を特定できる吸収スペクトルが存在していました。さまざまな試薬、覚醒剤をはじめとする禁止薬物、農薬、ビタミン類、糖類の指紋スペクトルがテラヘルツ領域にあったのです。

 従来、赤外光領域には多数の指紋スペクトルが存在することが知られ、赤外分光学という学問分野もあります。しかしながら、赤外光は封筒、鞄、服、財布といったものを通 らないので中身を調べることはできません。一方、テラヘルツ光はこれらを透過します。それが2つ目の要因ですね。

 3つ目はテラヘルツ光の数百mmという空間分解能で、微量な化学物質の同定を可能にしたことです。

 測定データの分析に、理研ナノフォトニクス研究室の河田聡主任研究員が開発した主成分分析という手法を用いると、例えば鞄や封筒の中に、覚醒剤とビタミン剤とアスピリンとがゴチャゴチャに混ざって入っていたとしても、その中から覚醒剤の濃度と分布だけを覚醒剤の指紋スペクトルを使って抽出することができます。

ということで、テラヘルツ波が鞄や封筒を透過し、物質毎に特有の吸収スペクトルを示すので、非破壊検査で特定の物質の同定ができるということらしい。確かに従来のX線による検査ではX線を透過しない物体の外形を示すことしか出来なかったのに対して、この方法では予め登録しておいた物質についてはその特定が出来るわけで、感度がどの程度かにもよるが、相当に強力な検査手法になりそうだ。

同じ川瀬さん関連のサイト川瀬独立主幹研究ユニットには、関連リンク等の詳しい情報が載っている。

テラヘルツ波は、他にも医療分野やエレクトロニクス分野等での様々な応用が期待されているようで、今後とも注目のキーワードかもしれない。

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