岩盤浴と岩盤ベッド
NIKKEI NET(5/8)(甲信越)の記事。
長野セラミックス、人工の岩盤ベッドを発売かなり怪しげな雰囲気の商品だが、少し調べてみることに。
セラミックス製品開発の長野セラミックス(長野県千曲市、佐藤義雄社長)は、ラドンガスを放射する天然鉱石を含有するセラミックスの板を敷いた人工の岩盤ベッドを開発、販売を始める。病院や宿泊施設、スーパー銭湯などに売り込み、来年3月末までに3億円程度の売り上げを目指す。ベッドの大きさは標準タイプで縦180センチ、横90センチ。電気毛布のような方式で温浴効果を出せる。ベッド上には縦4.5センチ、横3センチのセラミックスの板を108枚敷く。板には岩盤浴で有名なオーストリア・バドガスタインから輸入した天然鉱石を細かくした粉末を混ぜ、ラドンガスを放射する。周りには好みに応じて天然鉱石、マイナスイオンや遠赤外線を放出するセラミックスの玉を組み合わせて置く。
1台150万円で、すでに千葉県内の診療所から2台を受注した。今週末に横浜市で開く「国際的なスパに関する会議と展示会」など各地の展示会でPRして浸透を図る。
長野セラミックスという会社のホームページを見ると、環境と健康をテーマにセラミックス製品を作って売っている会社とのこと。製品を見ると、マイナスイオンや遠赤外線といった、ありがちな効果(?)満載の浄水器などの他に、水道水をラドン温泉やラジウム温泉に近づけることのできる(!)人口温泉装置なんてものも売っている。今回の新聞記事の「岩盤ベッド」は残念ながら載っていない。「岩盤ベッド」って、それにしてもすごいネーミングだ、寝心地悪そうだけど。。(良く見ると顧問として医学博士もついているようだけど、大丈夫かな?)
さて、ラドン温泉とラジウム温泉、どちらも聞いたことがあるけど、どこが違うの?ってことで調べてみたら、「関東周辺 立ち寄り 温泉みしゅらん」の「温泉の科学」というコンテンツで、放射能泉についてという詳しい説明をみつけた。この内容はそれなりに信用できそうだし、蘊蓄も多く楽しめる。ラドン(222Rn)はラジウム(226Ra 半減期 1622年)の放射性壊変で生成する半減期が3.8日と短い希ガス。ラジウム自身がウランの崩壊系列で生成するもので、温泉・鉱泉中にラジウムそのものが含まれたり、そこから発生するラドンガスが含まれているものが放射能泉ということになるようだ。つまりラジウム温泉とラドン温泉は親子の関係ということか。(ついでだけど、この世界ではトロンと呼ばれる希ガスもあるようで、何だと思ったら、トリウムの崩壊で生成する220Rnのことをトロンと呼ぶらしい。)
この手の天然の放射線をありがたがる話の根拠として、微量の放射線が健康に良いという概念(放射線ホルミシス(原子力百科事典 ATOMICA)があるが、例の日本は診断X線での発がん3%のような研究と正反対の話になるわけで、まだまだ確立された概念とは呼べないようだ。
何故か、核燃料サイクル開発機構のホームページに、「ホルミシス」というQ&Aが載っていて、ラドン温泉の効果などについても書かれている。こちらはさすがに、放射線の影響に対して好意的な立場からの記述が目立つが、データも豊富だ。
一方、岐阜大学のサイトから、ラドンに関連した質問で見ると、ラドンの半減期は短いが、その娘核種の放射線ががんの原因となるという研究も紹介されている。ラドン療法のサイト等では、「ラドンは半減期が短いので、なんら生体に対して有害となりません。」と説明されたりしているが、そのまま信じるわけにはいかなそうだ。
まあ、現時点では日本アイソトープ協会学術部長の話のようなスタンスが一番良いのかな?
さて、「岩盤浴」についてだが、オーストリアのバドガスタインでは、坑道内のラドン濃度が非常に高く、これを利用した治療(日本で言う湯治のような感じか?)を行っているようだ。やさしい放射線の話に詳しい。それはそれとして、確かに「岩盤浴」はそれなりにはやっているようで、調べてみると、怪しい雰囲気満点だ。コメントの付けようもないので、サイトへのリンクのみ。
岩盤浴の開業
岩盤浴 天照石
シリカブラック 岩盤浴
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コメント
・・・「人体を健康に向かわせる」んですか。昨日のタクシーの運ちゃんも「どちらに向かいましょうか」って聞いてたしな。(漠)
投稿: A(c | 2004/05/15 12:32
A(cさん、コメントありがとうございます。
天照石の説明文、
ですね。確かに、何のことやら、です。単なる遠赤外線が「超電磁波」だし。。 この「超電磁波」を浴びないと人体は不健康に向かってしまうのでしょうね、きっと。投稿: tf2 | 2004/05/15 19:22