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2004/05/12

ヒートアイランド対策舗装

nikkeibp.jp(5/11)の記事。

鹿島道路など、路面温度の上昇抑制を実現

鹿島道路と日本ペイント、日本ライナーは共同で、従来の道路舗装に遮熱性塗料を塗布した「スーパークールコート」を開発した。近赤外線を効率的に反射して路面温度の上昇を抑え、ヒートアイランド現象を緩和する。散水する必要がないので、維持管理の手間も軽減できる。

鹿島道路のホームページの News によると、「スーパークールコート」は近赤外の反射率を高くした塗料で、通常の舗装道路に塗布することで路面温度を低下させるもののようだ。路面温度が10℃程度低下したという実測値が載っている。

さて、ヒートアイランド現象については、環境省のパンフレット(pdf)報告書(pdf)などに説明があるが、省エネとの絡みから重要な問題の一つとして捉えられているようだ。(ヒートアイランド対策関係府省連絡会議ヒートアイランド対策技術ワーキンググループ会合) ヒートアイランド現象に対する対策は多方面にわたるが、この舗装道路の改善についても、「舗装材の反射率の向上と保水性・透水性の改善」として取り上げられている。

その保水性を改善する舗装については、JFEスチールの製品としてヒートアイランド現象抑制舗装材料が紹介されている。こちらでは、最大18℃も温度が低下している。更に詳しい資料は こちら(pdf) 。保水性は舗装内部に水を長期間保持する性質で、水の蒸発潜熱によって冷却する仕組み。雨が降った後じゃなければ効果がないかと思ったら、4日後でも5℃程度の冷却効果があるということで、意外と頑張る。

国交省九州技術事務所のこの資料によると、舗装路面温度が10℃程度低下しても、気温は1~2℃程度しか低下しないみたいだけど、ビルの上階に行く程気温は低くなるんだな。(考えてみると当たり前。でも建物内部の温度分布はまた別と思うが、調べてもわかりやすい情報はみつからず。)

反射率を上げるのと、保水性を持たせるのはどちらが有効なのか? の辺りは、独立行政法人土木研究所による「都市空間におけるヒートアイランド軽減技術の評価手法に関する研究」として検討されており、検討内容についてはH13報告H14報告が読める。

冒頭の記事の高反射率塗装の場合は、既存の舗装道路に後から施工できるし、雨が降らなくても効果があるというのが売りだろうな。でも、結構照り返しが激しそうだし、相当にまぶしいのじゃないだろうか? 大きな効果を狙うなら、保水性を持たせた上に反射率の高い塗装をすればよさそうだが。

*最近はインターネットでほぼリアルタイムに気象状況や環境汚染状況をモニターできるサイトも増えている。たとえば、HIR-NETのお天気リンク集には役立つリンクが沢山あるので、色々見てみると面白いのが見つかるかも。

例えば Weather Underground は世界中の温度や天候が見られて楽しい。東京都に関しては、東京都環境局の大気汚染地図情報(速報値)で、リアルタイムの温度や汚染状況のマップやトレンドデータが手に入る。

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コメント

仙台的な緑化(道路を木が覆う)はどうなんでしょうか。メンテにコストがかかるのでしょうか。いいと思うんですが。

投稿: A(c | 2004/05/15 12:21

A(cさん、コメントありがとうございます。

緑化は、舗装路面改良よりも遥かに効果が大きいはず。何と言っても、植物は地下から水汲んで放散してくれますし。でも、既存の舗装路面に塗装するだけで10℃も路面温度が下がるのは、費用対効果では結構いい線いくんじゃないか、と思いますよ。

で、仙台的ってのは知らないんですが、道路わきに植えた木が道路全体を覆う状態ですかね? 確かに涼しげで良さそうに思えますが、メンテやコストは大変そうですね。そもそも道路まわりのスペースに余裕のある街づくりをするのが先決のような。。

投稿: tf2 | 2004/05/15 19:17

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