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2004/06/14

中国の人工降雨

新聞休刊日の影響なのか、何だか興味をそそるネタが少ない気がする。この土日は更新をお休みしちゃったけど、当面はこんなペースで進みそう。

asahi.com(6/13)の記事。夏の猛暑、人工降雨で冷やせ 電力不足緩和で上海市計画

 夏は連日猛暑が続く中国・上海市は、エアコン使用などによる電力不足を緩和するため、人工的に雨を降らせて気温を下げる計画を立てている。商業や工業施設が集中する同市では、電力不足が社会問題化している。水不足対策などの人工降雨は例があるが、電力不足解消を目的にしたのは初めてという。今月中にも試験的に実施する予定だ。

 市当局によると、飛行機から冷却剤などを雲の中に散布することで温度を大きく下げ、水滴や氷の量を増やして人工的に雨を降らせる方法などが検討されている。天候条件に左右されるうえコストも高いが、電力を買うコストに比べれば採算が合うという。

 同市は夏場の電力消費量の約半分をエアコン使用が占める。ある地区では昨夏、突然大雨が降った時の電力需要が150万キロワット減少したといい、雨による気温低下でエアコン使用を抑える効果があるとみている。

 上海市経済委員会によると、今夏の最大電力需要は1670万キロワットにのぼり、これに対し供給は240万キロワット程度不足するとみられていた。

という記事だが、中国の電力事情が厳しいのは最近あちこちで聞く話で、最近も原発を多数作るというニュースもあった。(参考:原子力を問う

雨を降らすことで電力需要を引き下げようというアイデアは、日本では聞いたことがないが、上海の夏って蒸し暑そうだけど、それでも多少とも気温が低下する効果ってでかいのかな。

2001年の夏には東京でも人工降雨実験をしたようで、こんな資料が、東京都議会議員さんのページでみつかった。八つ場ダム

沃化銀、アセトン溶液を燃焼させまして、それを煙にして上昇気流に乗せて、そして待つ。その人工降雨というのは五年ぶりに降ったわけなんですけれども、そのときの人工降雨作戦の際、小河内貯水池周辺で最高四二・五ミリの大雨が降ったんです。石原慎太郎知事は、洪水になるかも、画期的だと賞賛されたそうでございます。そのときに大雨洪水警報も出たんです。
単に種をまけば良いというものではなく、事前の調査が重要のようだが。(国土環境株式会社人工降雨・降雪など。)

この技術、日本ではあまり知られていないけど、中国では相当に力を入れているようで、中国情報局ニュースによると、北京:水不足で人工降雨実施、五輪影響を懸念 なんて感じで日常的に人工降雨を実施しているようだ。他にも首都北京、人工増雪により潤うでは「増雪弾」を使っているし、【北京】ヨウ化銀を散布 「人工増雨」効果を期待では「ロケット弾」を使っているようで、なんだか物騒だな。

この辺の事情は、sankei ECONETの「現代版雨ごい」が経済救う 年490億円の効果 環境影響の懸念もにも、

中国では九五年ごろから本格的な研究と実践がはじまり、現在、全国で三十省・自治区・直轄市の千八百六十二県三百万平方キロの土地を対象に人工増雨計画が展開され、専門のヨウ化銀剤打ち上げ砲六千九百門、ロケット発射台三千八百台を備える。
とある。なるほど、日本とは違って、大砲やロケット弾のような飛び道具を使うようだ。

もう少し科学的な記事を探してみたら、気象研究所の村上さんの第8回WMO気象改変に関する科学会議出席報告(pdf)というレポートがみつかった。世界各国で人工降雨に代表される気象改変技術へのニーズが高いが、ともかく種を撒いて雨を降らせたというような報告ばかりで、全体として科学的なアプローチに欠けている、と手厳しい。

さてさて中国は大々的な予算を投入して、国家的に人工雨で水問題とエネルギー問題の両方への効果を狙っているようだけど、定量的な評価が極めて難しそうな現状で、どうその効果を評価するんだろうか?

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