羊のげっぷ対策
cnn.co.jp(6/22)の記事。羊の「げっぷ」、温室効果ガス減らす血清開発と
- CNN/REUTERS本件の元ネタはREUTERSだが、CNNの記事がほぼ全文を翻訳しているので、あまり読む価値なし。ベルリン――羊や牛などの反芻(はんすう)動物のげっぷやおならに含まれるメタンガスが、強力な温室効果を持つことが指摘されている問題で、オーストラリアの専門家が、げっぷに含まれるガス排出量を減少させる血清を開発した、と述べた。ドイツを拠点とする科学誌「テクノロジー・レビュー」が21日明らかにした。
豪州の連邦科学産業研究機構(CSIRO)の分子生物学者アンドレ・デニス・ライト氏が、羊のげっぷなどに含まれるメタンガスを8%減らすことが可能なワクチンを開発したと主張しているもので、同誌7月号に論文を発表する。
同誌によると、専門家らはその数値をさらに上げることが可能として、実験を重ねる予定だという。
メタンガスは、二酸化炭素より約21倍の温室効果を持ち、その大部分が家畜の排泄(はいせつ)物やげっぷなどから出る。羊は1日当たり20グラム弱、1年では計7キログラム、牛は1年で113.4キログラムのメタンガスを排出するとして、以前より温暖化への影響が懸念されていた。
そのため、畜産大国のニュージーランドなどでは、家畜の消化器内でメタンを生成するバクテリアを抑制したり、消化される時にメタン生成の少ない牧草を開発したりする研究が進められていた。
羊や牛から排出されるメタンが問題になっている話は以前に聞いたような気がする。調べてみると、昨年9月にニュージーランドが「げっぷ税」について検討しているという朝日新聞の記事がみつかった。これに関する解説としては、北海道経済産業局の番組記事など。
さて、今回のオーストラリアの研究だが、CSIROのサイトで関連記事を見つけた。牛や羊の胃の中に住んでいるメタン細菌に働くワクチンを注射するということらしい。これとは別に、飼料への添加物によって細菌を殺してしまう方法も検討されているようだ。FAQ も充実しているし、かなり本気でやっているように見える。
少し古いが、2004年の HOT WIRED JAPAN WIRED NEWS に温室効果ガス「羊のげっぷ」を減らすにはという記事が載っている。フランスの研究によると、メタン細菌が全くいない羊を育てた結果、何も問題もないらしいことが確認されている。むしろ細菌が消費するエネルギー分だけムダに飼料を食べているのが現状で、いなくなるとそれだけ効率アップの効果もあるようだ。
ふーむ、牛や羊とメタン細菌の関係は共生かと思いきや、単なる寄生だったのだろうか? でも、九州沖縄農業研究センターニュースには、「牛の反すう胃の中で餌の繊維を消化する微生物は、同時に水素も作り出します。水素は微生物自身にとって有害なため、この水素を材料にしてメタンガスに変えてくれるメタン菌と共生しています。この微生物とメタン菌の共同作用によってメタンが発生します。」と書かれているな。。 わからない。
今回のワクチンの効果はメタンの生成量を8%程度削減するらしいが、全世界の羊や牛の量を考えるとバカにできない効果だろう。もっとも、メタン細菌は人類なんかよりも何億年も前から地球に存在しているようだし、地球環境のためと称して彼らの生活の場を奪うのも、結局人間本位なのだ、という意味でシンボリックかもしれない。。
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