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2004/06/03

ウンカ予報

YOMIURI ON-LINE(6/3)の記事。梅雨に多いイネの害虫ウンカ、今月からHPで飛来予報

 原発事故などで放出される放射性物質の大気への拡散予測技術を応用し、イネの害虫であるウンカの海外からの飛来を予測するシステムを、農業・生物系特定産業技術研究機構(茨城県つくば市)と日本原子力研究所(同県東海村)が開発し、今月からホームページ上で予報を始めた。

 ウンカは植物の汁を吸う昆虫で種類は多いが、中国南部から飛来するウンカはイネだけにつき、大きな被害をもたらすこともある。梅雨の時期、1000キロ以上も風に乗って1日半程度で主に西日本に飛来するが、いつ、どこから来るか正確には予測できなかった。

 研究チームは、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故などを契機に原研が90年代に完成させた地球規模の放射性物質拡散予測モデルに、ウンカが飛び立つ朝夕の時刻や、羽ばたきの活発さと気温の関係などの要素を組み込んだ。

 これに、気象庁の天気予報で使う風向などのデータを加えた。昨年の予測テストでは、的中率は74%。

ということで、黄砂や大気汚染物質ばかりではなく、昆虫までが大陸から多量に飛散してくるようだ。

日本原子力研究所のニュースリリースは、ウンカの海外からの飛来を高精度に予測するシステムを開発。放射性物質の広域拡散シミュレーションモデルの有効利用らしいが、ウンカと単なる分子とでは大きさも重さも桁がまるで違うけど、簡単に適用できたのかな?

紹介されているホームページは、リアルタイムウンカ飛来予測。ここの解説によると、中国や台湾の水田で羽化したウンカは秒速10m以上の南西風に乗って、1~1.5日で西南日本に到着するらしい。この間ひたすら風まかせの旅をして、無事に餌のある陸地に到着できるのはごく一部なんだろうけどな。

ウンカによる被害については、島根県農業試験場のホームページにセジロウンカトビイロウンカの被害についての記載がある。

虫の世界もマニアが多いので、予想通り日本のウンカ・ヨコバイ・アワフキ・ツノゼミ類画像集のようなページが見つかった。リンク先を探すと世界中のウンカが見られる。

蘊蓄としては、ウンカは稲作には害虫だが、お茶の栽培には役立つこともあるようで、Wikipediaによると東方美人という台湾烏龍茶はウンカに茶葉を噛ませて作るらしい。でも日本茶ではうまくいかないようで、ウンカがもたらすものなんて記事がある。

*この記事で「雲霞の如し」という表現を思い浮かべたんだけど、実は「雲霞の如し」は文字通り、雲や霞が沸き起こるように人々が群がり集まる様のことらしい。そもそも虫のウンカは、漢字では「浮塵子」と書くなんて知らなかった。(goo辞書によるとウンカの語源が雲霞の如くから来ているということなのか? でも、ここによると、もっとややこしい話になってるし。。)

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コメント

Kazeと申します。はじめまして。
ウンカの文字に誘われてお邪魔しました。6月に入りウンカ類が飛来する季節になったんですね。
セジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、成虫は小さなセミみたいで可愛らしいけれど、イネの代表的な害虫です。おまけにヒメトビウンカは、縞葉枯病の原因ウイルスを媒介したりします。
飛来の予測により、日本で増殖し大量発生する前に対応ができる可能性が高くなると思います。

投稿: Kaze | 2004/06/03 22:39

Kazeさん、いらっしゃいませ。ウンカについての情報ありがとうございました。

実は、この記事を書くまでは、ウンカというと黄緑色の小さな昆虫、という程度の認識しかなかったのですが、こうして調べてみると確かにセミに似ているんだな、という事とイネの主要害虫であること等、新たな発見でした。

遠路はるばる日本までやって来るウンカにとっては、折角たどり着いた大地で生きていけないというのもかわいそうではあるんですが、日本の稲作のためには仕方ない。この飛来予報が効果を上げるといいですね。

投稿: tf2 | 2004/06/04 19:49

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