満腹での献血は危険?
たまには献血ネタ。NIKKEI NET(6/25)の記事。満腹時の献血、リスク7倍・めまいや意識喪失
満腹時の献血は食後5―6時間と比べ、めまいや意識消失などの副作用「血管迷走神経反射(VVR)」を起こすリスクが約7倍も高いことが、献血者約32万9000人を対象にした大阪府赤十字血液センターの調査で25日分かった。献血者の大規模な調査で食事時間とVVRの関係を明らかにしたのは初めて。夕刊紙面にはもう少し詳しく載っているので、補足するとVVRを起こす献血者は全国で毎年数万人に上り、転倒してけがをするなどのケースが少なくない。同センターは年齢や献血回数などほかの要因も合わせてデータベース化し、事故防止のため危険度を判定するシステム開発を目指している。
調査は昨年6月から今年2月にかけ、同センターで献血した32万9005人に食事時間や睡眠時間などを尋ねた。VVRを起こしたのは1055人だった。
食事時間別にVVR発生率をみると、食後2時間未満のグループが0・85%と最も高く、続いて2―3時間が0.36%、3―4時間が0.35%。最も低かった5―6時間の0.12%と比べ、食後2時間未満の発生率は7.08倍と高かった。〔共同〕
食事6時間以上になると発生率は上昇に転じて、8時間以上のグループでは0.27%となった。ということ。血管迷走神経反射というのは知らなかったので調べてみると、ここやここなどが参考になる。どうやら、一般的に貧血と呼んでいる症状のようだ。(VVRは、Vaso Vagal Reflexの略:英和辞典を見ると、血管・迷走神経・反射という意味そのもの)睡眠時間はVVRの発生率に影響せず、ほかに (1)年齢が若い (2)血液の体内循環量が少ない (3)献血回数が少なく慣れていない--などの要因が発生率を高めていた。
血管迷走神経反射(VVR) 血液の体内循環動態の変化や心理的緊張が原因で起こる採血副作用の一つ。症状はめまいや嘔吐、意識消失、けいれんなど。(中略)2002年度は全献血者約5765000人のうち、約43500人に発生。献血時の採血副作用の72%を占めている。
さて、赤十字のページでは、VVRの発生率は0.7%となっている。一方、富山県の例では、0.42%から1.22%となっており、意外なことに成分献血の方が発生率が高いことがわかる。夕刊の数値から計算すると、2002年度の全国でのVVR発生率は0.75%となるから、これらを比べると、どうも今回の大阪の統計は全体的に発生率が小さすぎるような気がするなあ。大丈夫かな、この統計。。
もう一つ気になるのは、献血する際に食後5~6時間てのは結構レアケースのように思えること。献血の受付時間を考えると、大抵の人は食後数時間以内じゃないだろうか? 献血しようとする人が、昼食を抜いて夕方に献血するとはあまり思えないし(ダイエット狙いの人は別か?)。
それにしても、現状はここにあるように、むしろ問診時に「食事は済まされましたか?」と聞かれ、空腹時には献血を差し控えてくれという傾向があるように思えるのだが、ということは今回のデータは、従来の常識に反する結果ということか?
夕刊には大阪府赤十字血液センターの谷慶彦副所長のコメントとして「満腹時は消化活動のため血液が腹部に集まり、脳の血流が減少してVVRを起こしやすくなると考えられる。食後すぐを避け、ある程度時間がたってから献血するのが望ましい。」と載っている。
今度献血に行くときは、わざと食後6時間ぐらいしてから行ってみようか?
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MSN-Mainichi INTERACTIVE(9/22)に関連記事が載った。http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20040922k0000e040038000c.html">献血者:1%にめまいなど健康被害、5年間で28万人
日本全国の5年間での献血での健康被害発生率が0.97%、VVRの発生率が0.68%となっている。投稿: tf2 | 2004/09/22 20:28