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2004/06/30

サントリーの青いバラ

ITmediaニュース(6/30)「青いバラ」の開発に成功 サントリー

 サントリーは6月30日、世界で初めて青いバラの開発に成功した、と発表した。不可能の代名詞とされてきたBlue Rose。“青っぽい”バラはあったが、これはバイオテクノロジーでバラ自身が青色色素を作り出すことに成功。不可能を可能にした。

 青いバラを夢見て古くから交配が繰り返されてきたが、そもそもバラには青色色素「デルフィニジン」を作るために必要な酵素を生む遺伝子が機能していないことが分かっている。

 サントリーはオーストラリアのバイオベンチャー・カルジーンパシフィックと共同研究を進め、1995年には青いカーネーションの開発に成功。1997年から「ムーンダスト」として日本で販売している。

 青いバラは、パンジーから青色色素に関わる遺伝子を取り出し、バラに組み込むことで開発した。従来も、色素はないながら青味がかかって見える「青系統」のバラはあったが、新開発のバラは花びらにデルフィニジンをほぼ100%含んでいるため、今までにない青さのバラになっているという。さらに赤いバラなどと交配させることで、多彩な色も可能になるという。

 商品化は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく評価と承認を受けた上で検討するとしている。

ということで、確かに辞書を見ると、"blue rose" は、「ありえないもの」という意味がある。サントリーのニュースリリースは、こちら。この写真を見てもあまり青くみえないけど。。 サントリーが同じ手法で既に商品化ている、青いカーネーション、ムーンダストも、青というより紫だな。

従来から「青いバラ」は非常に多くの人の興味をひいてきたようで、今開催中の浜名湖花博でも「ブルーヘブン」や「青龍」という品種が展示されているし、個人サイトでも青薔薇の部屋や、Blue Gardenのように種々の品種の写真が紹介されているが、確かに「青」というのは無理があるような気がする。本当の青ってのは相当に難しいらしい。

一方、青いバラをインターネットで探してみると、楽天のサンフラワー青い花束や、花の店ガレージの blue rose 等で売っているのがみつかるが、不思議なことに、これらはまた怪しい程に青い。 (どうなっているんだか?)

ちなみに、バラではないが、見た目はバラにそっくりということで、サカタのタネが青いトルコギキョウなんてものを発売したりしている。

今回のサントリーの遺伝子組み換え技術に関する基礎知識、特にデルフィニジンやアントシアニンの働きについては、中国新聞のブルーの遺伝子という記事や、先に紹介したBlue Gardenというサイトの青い薔薇についてが参考になる。

サントリーはこの青いバラの開発に十数年を費やしたようだが、より詳しく知りたい時は、この技術を取材した「青いバラ」(最相葉月 著 bk1(単行本)bk1(文庫)amazon(単行本)amazon(文庫))という本もあるようだ。

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