人工筋肉製冷却ポンプ
asahi.com(7/16)人工筋肉をPC冷却用のポンプに 産総研ベンチャー開発
産業技術総合研究所の研究者らによるベンチャー企業・イーメックス(大阪府吹田市)は15日、人工筋肉に使われる、電気を通すプラスチックを利用して、ノートパソコンの冷却用ポンプを開発したと発表した。面白そうな話だ。イーメックスのホームページを見ると、今回のパソコンの冷却装置開発についてのリリースも載っていて、動画まで掲載されているのだが(あまりおもしろい動画ではないけど)、それよりも、この原理に興味がある。このページの一番上から読んでみると、導電性高分子のポリピロールをダイアフラムに使ったポンプが基本となっているようだ。通常のダイアフラムポンプはダイアフラムが直接・間接にモーターで駆動されるのだが、こいつはダイアフラム自身が収縮することで駆動するという優れものだ。ポリピロールがアクチュエータとして動く原理や、その他の応用については、ここにも簡単に書かれている。ポンプは人工筋肉と同様の原理で、導電性の高分子の膜が電気で伸縮し、パソコン内に組み込んだ細い管に液体を循環させて中央演算処理装置(CPU)の発熱を効率よく逃がす。既存のパソコンと比べ、熱の伝達量が3倍で、コストも低いという。部品メーカーと共同で数年以内の実用化をめざす。
イーメックスは、導電性高分子タイプのアクチュエータとイオン伝導アクチュエータの2種類を開発している。後者は人工観賞魚として話題になったようで、人工筋魚で動画も見られるが、こちら では内部構造が見られる。
イーメックスは、産総研から出たベンチャーで、2001年8月設立だからまだ3年だが、このラインナップと応用分野の広さは相当にすごい。いわゆる人工筋肉という用途はもちろんだが、生体の動きを模した様々な機械・装置への応用は確かに夢が広がる。
よくわからないのが耐久性(寿命)。おもちゃの魚ぐらいだったら「死んじゃった」で済むけど、工業用途や民生用途に対してはどうなのだろう? 化学構造を電場で無理やり伸縮させているのだから、いずれ壊れてしまいそうな気もするが。1Hz程度で駆動するということは、結構なサイクル数になってしまうし。。
人工筋肉に関しては、個人ページだが Harry's Webhub for Artifical Muscles in Japan が非常に充実した情報を整理してあり勉強になる。動作原理や基本素材として非常にバラエティに富んでいるが、ここに載っていないものとして金属系のアクチュエータ、バイオメタルというのもあるようだ。
| 固定リンク
コメント