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2004/07/29

地球温暖化実験装置?

Yahoo! News(7/29)地球温暖化、見て感じて 仙台測器社が教材模型製作

 地球温暖化のメカニズムを子どもたちに分かりやすく伝えようと、仙台市若林区卸町にある計測器販売「仙台測器社」が、「地球温暖化模型」を作った。環境問題の啓発に取り組む財団法人省エネルギーセンターを通じて、全国の教育現場への普及を目指している。

 模型は、大気圏に見立てた透明なアクリルボール(直径約30センチ)の中に地球儀を入れたものが、二つ一組からなる。
 一方には空気、一方には温室効果ガスの一つの二酸化炭素(CO2)を入れ、太陽の代わりとなる付属のライトを当てると、二酸化炭素が多く入った方が温度が高くなる仕組み。同社の実験では5分ほどで温度上昇に違いが出始め、30分ほどで約4度の違いが出たという。

 学んだ成果を日々の実践につなげることが大切な環境教育では、行動と環境に与える影響との因果関係を、よりリアルに感じることが重要。同様の模型は一時、大手事務機器メーカーが作っていたが、十数万円と高価だった上に、現在は販売中止。学校現場からは、温暖化の仕組みを分かりやすく伝える教材が求められていた。

 そうした声を受け、経済産業省の外郭団体として環境教育にも取り組む省エネルギーセンター東北支部(仙台市)が仙台測器社に模型製作を依頼。完成品は既に「省エネモデル校」になっている葛巻中(岩手県葛巻町)や喜多方二中(喜多方市)など3校で活用されている。

 仙台測器社の高橋栄一社長は「言葉で説明するよりも、見て感じた方がよく分かる。模型が少しでも環境教育に役立てばうれしい」。省エネセンター東北支部の佐々木正行さんは「二酸化炭素の排出を抑えることがどれだけ大切か、イメージしやすい模型になった。今後は全国の出先機関を通じて、より多くの子どもたちが学べるようにしたい」と、“仙台発”の教材普及に力を入れる。模型は受注生産で、価格は一式6万5000円。

何となく、こんな実験で温室効果が実証できるんだろうか?という疑問が。。 調べてみると、東北電力新潟支店(財)省エネルギーセンターなどがみつかるが、恐らく冒頭の記事の装置も似たようなものと思われる。

装置を見ての第一印象は、二酸化炭素と空気だと比熱が明らかに異なる(低圧モル比熱:空気 29.2 J/K・mol、二酸化炭素 37.5 J/K・mol)から、その影響を受けてしまいそう、というか、むしろ、この実験で測定しているのは比熱の違いなのではないか? という点と、容器としては共にアクリル樹脂を使っているようだけど、これの赤外吸収(問題となる波長は 10μm以上か)はどの程度なのか? という点。

調べてみたら理科教育メーリングリストに、同様の実験をした結果が upされていた。確かに温度差が確認できるようだ。これについての様々なコメントは、考慮すべき要素容器の影響等々。実際の地球温暖化の計算も、非常に複雑な多数の要素を組み込んだモデルで計算しているようだし、予想通り、この実験でも色々と考慮すべき要素がありそうだ。

アクリル樹脂の赤外吸収データはChemExperデータベースでも見られるが、化学工業材料トピックスによると、3μm以上の遠赤外線は通さないので保温性に優れた材料だ、と書かれている。これだと、中のガスの微妙な温室効果の違いをアクリル樹脂がすべて消してしまいかねないけど、どうなんだろう?

それと、地球模型の置かれた環境が、現実の地球の置かれている環境とあまりにも違うのが気になる。(地球と周囲の温度差が、モデルは数十℃、現実は300℃程度) これで、本当にガス組成の影響が放射熱量の差として表れるのだろうか? 先に示した実験方法を説明したサイトには、こういった理論的な解説が何も書かれていないけど。。

いずれにしても、うまく実験すれば温度差が生じるようだし、子どもたちへ直感的に理解しやすい形で見せてあげるのはいいけれど、本当に二酸化炭素による地球温暖化のモデル実験になっているのかは疑問が残るなあ。。

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