一部河川でダイオキシン濃度が増加?
EICネットニュース(7/29)の記事。4地点で水質環境基準超過 全国一級河川15年度ダイオキシン類調査結果
国土交通省は平成16年7月29日までに、全国一級河川の同省直轄管理区間などでの15年度ダイオキシン類調査結果をまとめ、公表した。という内容だが、実は平成14年度の同調査では、環境基準を超える地点は全く無かったようで、素直に受け取ると、1年前よりも悪化したということになる。
15年度は(1)全国一級河川109水系で水質(調査地点:238地点)、底質(調査地点:236地点)のダイオキシン類濃度の実態調査を秋期に実施するとともに、(2)過去の調査で高濃度のダイオキシン類が検出された重点監視地点(水質35地点、底質1地点)付近では秋期調査のほかに春期、夏期、冬期にも調査を実施した。
その結果では、水質観測地点計4地点で環境基準(注1)を超えるダイオキシン類が検出され、このうち2地点は重点監視地点(注2)。底質の観測地点でダイオキシン類の環境基準を超えた地点はなかった。(後略)
この調査は環境省ではなくて国土交通省が行っているというのも、何だかややこしいのだが、国土交通省の発表資料はこちら。細かな数値がpdfで並んでいるのだが、良く見ると結構面白いというか、とんでもなくバラツキが大きいことが分かる。
例えば年度毎の推移を見ると、今回環境基準を超えた、愛媛県の重信川は、平成13年度までは 0.07~0.09pg-TEQ/Lだったのが今回急に 1.2に跳ね上がっているし、香川県の土器川でも、平成14年度まで 0.2~0.5pg-TEQ/Lで推移していたのが平成15年度は 1.1に急増している。
また、平成15年度の重点監視地点の分析値の季節変動を見ても、新潟県の信濃川では、春に 0.34pg-TEQ/Lだったのが夏には1.9と急増しているし、香川県の土器川でも、秋に 2.1pg-TEQ/Lだったのが冬には 0.12と急減している。代表値として、単純に平均値を採用しているけど、いくらなんでもバラツキが大きすぎるように思える。おまけに、信濃川の数値では PCDD+PCDF と Co-PCB の比率が他の地点に比べてやけに大きいように見えるけど、原因は何なのだろう?
この測定を、誰がどのように実施しているかについては、河川・湖沼 ダイオキシン類常時監視マニュアルがそうかと思ったが、これは今後の取り進め案で、現状は不明。しかし、公表された数値は、ダイオキシン類精度管理委員会がきちんとチェックしているとのことだから、この数値は自信を持って出したものらしいのだが、本当か?
地図で見ると、新潟県の信濃川と関川、埼玉県の綾瀬川、奈良県の大和川あたりに高濃度の地点が集中しているようで、何か特定の汚染源があるのか、それとも分析側の問題なのか、気にならなくもない。少なくとも基準を上回った地点については、何らかのコメントがあってもよさそうだけど、何もないし。。
幸か不幸か、今やダイオキシンはニュースにはならないようで、少なくともネット上のニュースサイトでは、調べた範囲で(地元も含めて)どこも取り上げている所はないようだ。
*ダイオキシンの毒性については、K.SATOH's official website の中の ダイオキシンは猛毒なのか が、バランスの良い説明で、とてもお勧め。
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