にんにく注射がオリンピックに
日経新聞の7/7夕刊の「からだのお話」という連載コラムに載っていた話、「にんにく注射 知られざる中身 ビタミン補給で競技力向上」とある。
6月に通産2000本安打を達成した巨人・清原和博のパワーの源として、一躍クローズアップされたのが「にんにく注射」だ。有名人がこぞって愛用し、その名前は世間に浸透しつつあるが、中身は意外と知られていない。という内容。何だか、平石クリニックの受け売りそのものの、まるっきり宣伝のようなコラムだな。寡聞にして、にんにく注射というのは初めて聞いた言葉なので、少しだけ調べてみた。
「実は、にんにく注射にはニンニク自体が入っているわけではありません」と開発者である平石クリニックの平石貴久院長。主成分はビタミンB群(B1やB2など)とグリコーゲン。ビタミンB1の構成成分の中には硫黄が含まれ、注射するとニンニクの香りが漂うためこの名が付けられた。使用する選手らが呼びやすく、元気が出るイメージとも合う。
開発は12年前にさかのぼる。当時、中田英寿らの在籍したJリーグ、ベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)のチームドクターだった平石先生が「選手の力を存分に発揮させる手段はないか」と頭をひねり、このビタミン注射を編み出した。試合前日や直前に試すと、パフォーマンスが著しく向上。ケガの予防にも効果があり、その年の天皇杯でチームは見事に優勝を飾った。
昨年末の紅白歌合戦に出場した歌手62人中、48人が平石クリニックの患者で、NHK内には特設クリニックができたほど。(中略)今や多くの病院がにんにく注射の類似品を競う。もちろん、商標登録を済ませているが「まねされるのはありがたいこと」。
(中略)
8月には五輪の野球日本代表に帯同し、500人分のにんにく注射を持参する予定の平石先生。(後略)
ビタミンB1については、食育大事典や、ウィキペディアからチアミン(ビタミンB1)でお勉強できる。確かに硫黄(S)を含んでいる。日本人は穀物から半分以上を摂取しているとのことだが、不足すると疲れやすくなるようだし、にんにく以外にもウナギやレバーなどに多く含まれているということで、確かにパワーの源という印象の成分だ。だけど、多ければ多いほど良いってものでもないだろうし、過剰摂取分は排泄されるようだから、これでそんなに顕著な効果が出るのだろうか? スポーツ選手はともかくも、紅白に出場した歌手が愛用しているからっていってもなあ。。
それにしても、インターネットで「にんにく注射」で検索すると、何故か美容関係のクリニックばかりが沢山出てきて、一般の病院は出てこない。検索して引っかかるサイトを見る限りは、その効果を科学的・医学的に検証したデータは全く見つからないし、その意味ではきちんとした療法とは思えない。(エステ関連の怪しい療法だって、何kgやせましたとか、前後の写真を使って、定量的(?)に効果を唄っているのに。。) 「非常に効く」という体験的な話が色々と見つかる一方で、まともなお医者さんが批判している内容もみつかる。そんなに効果があってドーピングにもならないなら、みんなが使うはずだし、オリンピック会場はさぞかしニンニク臭くなることだろうな。
ところで、にんにく注射をしてくれるクリニックのページ内には、平石クリニックのことは何も書かれていないし、何のための商標登録なんだろうか? と思って、特許庁の商標DBで検索してみた。「にんにく」で検索すると29件、「ニンニク」で検索すると7件、合計36件の登録および出願中の商標が見つかったが、その中にはそれらしいものは見当たらなかった。。。
で、この平石先生、こちらによると随分幅広くご活躍のようだ。(それにしても、お医者さんの場合は、自分で「発明」した注射を勝手に(?)患者に打ってもいいのか? 薬だったらきちんとした手続きを踏んで認可される必要あるだろうし、逆に毒でも薬でもないから良いってことだろうか? たぶん既に認可された成分ばかりだったら、その組み合わせは自由なのだろうな。。)
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コメント
自分はにんにく注射を打っています。オリンピック選手もアテネに持って行きました。効能は確かです。あまり批判しないほうが良いのではないでしょうか?皮肉な言い方不快です。このようなことはやめていただきたい
投稿: 体験者 | 2004/11/15 13:44