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2004/07/12

国産手術ロボット

NIKKEI NET(7/12)の記事。東大・日立など、国産初の汎用手術ロボ

 東京大学、九州大学、大阪大学と日立製作所などの産学チームは国内初の汎用手術ロボットを開発した。心臓や肺、腸など様々な臓器に対応し、出血を少なくするなど患者の負担を抑える設計。切るべき患部の正確な位置を案内するナビゲーション機能も付けた。産学協同でベンチャー企業を設立し、2年内の臨床試験を目指す。

 開発したのは内視鏡を使う手術用のロボット。熟練が必要な内視鏡手術は医師の巧拙の差が大きく、医療事故も相次ぎ発生した。手術の難しい部分をロボットに代行させて正確さを高める狙いだ。

夕刊にはイメージ図も含めてもう少し詳しく載っている。
 ロボットは4本の細長い腕をもち、患者の体に切開した小さな穴から中に差し込む。1本は内視鏡の役目をし、他の3本は特殊な鉗子など手術道具を備える。医師は立体画像を見ながら、手術台のわきで遠隔操作する。ロボットは操縦桿の動きの1/3から1/5に縮小されて動作するため、人間では難しい細かい作業もしやすい。

 また、手術前にCTなどで調べた欠陥や病変の位置情報を、手術中に内視鏡の画像と重ね合わせて表示するナビシステムも開発、安全性を高めた。

 臨床試験はこれからだが、将来は「開腹しなければならないがんなどの手術も、ロボットを使えば続々と内視鏡で手術できるようになる」と橋爪誠・九州大学教授は期待している。

という内容。医者はコンピュータの前に座って「操縦桿」を操作しながら手術が進むということらしい。医者にとってはTVゲームのようで、リアリティがなくなったりしないだろうか? 患者にとっても、機械に命を預けるのは結構勇気がいりそうだ。

「国産初」と書かれていたが、調べてみるとアメリカの企業が開発した「ダビンチ」と「ゼウス」というロボットが既に実用化されていて、2年前の読売新聞にも手術ロボット 外科医も脱帽という記事が載っている。ロボット技術は日本のお家芸かと思ったけど、経産省の資料でも、医学分野は災害対策分野などと合わせて、日本が遅れているロボット応用分野と位置づけられており、アメリカの方が何年も進んでいるらしい。

このダビンチについては、1999年のWIRED NEWSでも紹介されているし、 この記事 によると、既に遠隔手術も行われている。

ということで、手術(支援)ロボットで驚いているようでは相当に遅れているようだ。メリットが沢山あるのはわかるけど、微妙な触覚をフィードバックする技術や、三次元の情報をうまく伝える技術の開発が課題ではなかろうか? それと共に、この装置をうまく扱えるお医者さんの育成(?)もキーとなりそうだ。。

*既にロボット手術センターを持つ病院もある。

今回の国産ロボット開発関連としては、以下のあたりだろうか。
  東京大学 先端治療福祉工学研究室
  九州大学 大学院医学研究院 資料
  大阪大学関連

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