防刃防護服
YOMIURI ON-LINE(7/13)の記事。わが子守る「一着」登場、刃物防ぐ素材で4万円
刃物を使った犯罪から子供を守ろうと、カッターやハサミで切れにくい生地を使った子供向けの防護服が発売された。こんな製品が話題になって、シャレじゃなくて売れるような物騒な世の中になってしまったのだろうけど、一体どの程度の効果があるのだろうか? ケブラー繊維製の軍手(保護手袋)を使っていたけど、カッターナイフで手を切ったという話を聞いたことがあるし。。生地は米国製の特殊繊維で、米国の警察官が使用している携帯用の防弾パネルに使われているものと同じ材質。子供専門の警護会社「マードレ」(福岡市)が、「子供の体を直接守れる服は出来ないか」との顧客の要望を受け開発。受注生産で価格は4万950円から。
記事で紹介されているのは、切創防護服メーカー マードレセキュリティ社。もともとはプロ用の製品を扱ってきたようで、防刃手袋から、防刃ベスト、切創防護服等に加えて、新たに児童用をラインナップに加えたようだ。
材質はアメリカのハネウェル社製の「スペクトラ」という繊維を採用していて、これはケブラーよりも強靭で、国際防刃規格NIJの切創性能で最高水準を示したとある。(ケブラー繊維は防弾チョッキ等に使われたことで有名だ。銃弾とか防弾素材の基礎知識は、日本防弾工学研究所など。)
さて、ケブラーやスペクトラについての化学的な知識については、日本の石油化学の現状という素晴らしい個人サイトから、防弾素材(アラミド繊維、高強度ポリエチレン、PBO)に必要十分な情報が載っている。
「ケブラー(KEVLAR)」はデュポンの商標で、一般にはアラミド繊維と言われる芳香族系のポリアミド。一方の「スペクトラ(Spectra)」はハネウェルの商品名(旧アライドシグナル)でDSM社の「ダイニーマ(Dyneema)」と同一物質で、超高分子量のポリエチレン繊維。
東洋紡のダイニーマについての 技術資料(pdf) に、この繊維の特徴や他の素材との比較が書かれている。銘柄にもよるが確かにアラミド繊維よりも強そうだ。
ちょっと検索してみると、防弾チョッキはインターネットでも簡単に購入できるようだけど、例えばここなどを見ると、防弾・防刃チョッキ等は結構高価だ。日本ではさすがに銃で撃たれる日常は考えにくいし、冒頭で紹介された防刃機能だけの防護服はリーズナブルなのかも。もっとも、値段はリーズナブルでも、子どもにこんな防護服を普通に着せるかというと疑問だが。。
それにしても、インターネットのショップで防弾チョッキが多数扱われているのには驚いた。一体どういう人がどういう用途で購入するんだろう??
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