« JDream Petit & Daily | トップページ | 麻薬探知犬が薬物中毒死 »

2004/08/03

セラミックス製高屈折率レンズ

PCウォッチ(8/2)の記事。カシオ、世界初の透過性セラミックスレンズを開発

 カシオ計算機株式会社は2日、世界初の透過性セラミックスを用いたレンズを開発したと発表した。

 村田製作所が開発した透過性セラミックス「ルミセラ」を用いたレンズ。ルミセラは、光学ガラスと同等の透過率を持ちつつ、光学ガラス(nD=1.5~1.85)より高い屈折率(nD=2.08)を実現。また、強度も優れているという。

 カシオは、短波長の光の透過率向上、気泡の除去など、デジタルカメラ用光学レンズに適した素材改善の提案を行なうとともに、研磨方法の確立、高屈折率に対応したコーティングなどにより精度の高いセラミックスレンズを開発した。

 同社では、同レンズを組み込むことで、ズームレンズを約20%薄型でき、スリムコンパクトデジタルカメラの一層の薄型化が実現できるとしている。

カシオのニュースリリースは こちら。興味があるのは、村田製作所が開発したという透光性セラミックス「ルミセラ」についてだが、
2001年2月に村田製作所が開発に成功した透光性多結晶セラミックス。マイクロ波・ミリ波用に用いられている誘電体共振器材料の一種で、優れた電気的特性と、高い透過率、屈折率を有しつつ、複屈折のない良好な光学特性を合わせ持った多結晶セラミックス。
とあり、調べてみると2002/4/4の日刊工業新聞などで記事になったようだが、詳細情報はWeb上では入手できなかった。村田製作所の平成14年の半期報告書の 14/57ページに、
(6)高屈折率透光性セラミックス
電子部品の軽薄短小化にともない、薄膜や微細加工プロセスに対応できる均質かつ緻密なセラミックスの必要性が高まっている。これに応えるため、マイクロ波・ミリ波向けの当社独自の誘電体共振器材料を用いて、透光性を有する多結晶セラミックスを開発した。

当セラミックスは、共振器材料としての優れた電気的特性と、高い透過率と屈折率を有しつつ、複屈折(入射した光波が2つに分かれて伝搬する現象)のみられない良好な光学的特性をあわせもつ多結晶セラミックスとなっている。

原料から混合粉砕、成形、焼成における各技術を結集し、高屈折率誘電体基板を作製して基板中の気孔(ポア)を大幅に低減させることで、可視光から赤外(λ=400~6,000nm)までの広い帯域でほぼ理論通りの透過率を実現した。更に、市販の光学ガラスでは高屈折率を得るため鉛を添加しているが、本材料は鉛を一切含まず、しかも市販光学ガラス以上の高屈折率2.074(波長632.8nm He-Neレーザーでの測定)を実現している。

という記載があった。誘電率と屈折率は密接に関連しているから、誘電材料の開発から高屈折材料が出てくるのも、考えてれば理解できなくはない。PLZTの透明セラミックスなんかは良く知られているし、今回の素材も似たようなペロブスカイト系の素材だろうか? それにしてもレンズに使えるためには、可視領域の透明性その他の光学特性が非常にシビアに要求されるだろうし、すごいレベルだ。

ちなみに、携帯電話内蔵カメラのレンズは今はプラスチック製が主流らしいが、高屈折率ということでメガネ用レンズで探してみると、確かにガラス製の最高屈折率は1.84だし、プラスチックは1.74が最高レベル。ということで、2.08という屈折率はやっぱりすごいし、コスト次第では携帯向けにもセラミックスが使われる可能性もあるな。。

|

« JDream Petit & Daily | トップページ | 麻薬探知犬が薬物中毒死 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: セラミックス製高屈折率レンズ:

« JDream Petit & Daily | トップページ | 麻薬探知犬が薬物中毒死 »