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2004/08/04

麻薬探知犬が薬物中毒死

CNN.co.jp(8/4)の記事。麻薬探知犬が中毒死 英国

ロンドン──英国中部の都市プレストンで麻薬の捜査をしていた麻薬探知犬トッド(スプリンガー・スパニエルのオス、7歳)が薬物中毒で死亡した。英警察が2日、明らかにした。

警察によると、トッドの飼育担当者(ハンドラー)のムーア巡査が7月24日、トッドと一緒に薬物捜査を終えた後、トッドの様子がおかしいことに気づいた。すぐ獣医に見せたところ、ただちにリバプール大学の動物集中治療室へ運ばれたが、アンフェタミン中毒の症状でまもなく死亡した。アンフェタミンは覚せい剤の成分のひとつ。

ムーア巡査は、妻と子供2人の家族全員でトッドの世話をしていたため、トッドの突然の死に、とても落ち込んでいるという。

プレストンの警察犬部門を担当するクレイン巡査部長は英紙デイリー・ミラーに対し、「トッドに代わる犬を見つけるのは、非常に難しい。警察犬の仕事は危険で、不幸なことに、トッドはその犠牲になってしまった」と語った。

BBC NEWSには写真ものっている。これがスプリンガー・スパニエルか、ごく普通のペットみたいで、捜査に携わっている職業犬には見えないなあ。合掌。。 

それにしても、麻薬探知犬が中毒死というのも不思議な話だ。日本の麻薬探知犬については、東京税関のボク達麻薬探知犬コーナーが詳しいが、Q&Aにも

Q:麻薬中毒にはならないんですか?
A:麻薬の臭いは覚えますが、麻薬中毒になったりはしません。
と書かれており、当然だけど、普通は中毒にはならないように訓練されていると思われる。

覚せい剤を含めて、ドラッグ一般については、薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの薬物データベースが詳しい。なるほど、覚せい剤には、その主成分がアンフェタミン、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミンの3種類があるようだ。kis-netで検索すると、アンフェタミン (C6H5)CH2CH(NH2)CH3 (CAS No. 300-62-9)は沸点が 200℃の液体だ。てっきり白色結晶という先入観があったけど、液体だったのね。。(メタンフェタミン (C6H5)CH2CH(NHCH3)CH3 (CAS No. 7632-10-2)は詳しいデータ見つからず。)

アンフェタミンは、人の経口半数致死量 LD50が 135mg/kgで、純品はかなり強い毒性だ。実際にはどの程度希釈されているのか不明だが、犬にとっては、間違って飲み込んだら死んじゃう程度の毒性かもしれない。

BBCのニュースには、直前の捜査では何も薬物を見つけなかった、と書かれている。麻薬探知犬がハンドラーに知らせずに飲み込むというのも考えにくいし、まさか慢性中毒じゃないと思うけど、何だか良くわからない話だ。死因は検視して調べるとあるが、続報は今のところ見つからない。

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コメント

 こんにちは。
 違法に売買される覚せい剤はたいてい「白い粉」です。液体(フリーの塩基)ではありません。日本などアジア地域ではメタンフェタミンの塩酸塩が、欧米ではアンフェタミンの塩酸塩が多く出回っています。

投稿: つむらゆかり | 2004/08/05 05:10

 すみません。アンフェタミンは硫酸塩でした。

投稿: つむらゆかり | 2004/08/05 08:27

つむらゆかりさん、コメントありがとうございます。無知をさらけ出しちゃいましたけど、ご指摘のおかげで間違って覚えないで済みました。(臭いで探知というのと、アンフェタミンは液体というのが結びついちゃったみたいです。)

http://www.chemlaw.co.jp/Result_Eng_A/Amphetamine.htm#60-13-9">アンフェタミン硫酸塩もhttp://www.chemlaw.co.jp/Result_Eng_M/d-Methamphetamine_HCl.htm">メタンフェタミン塩酸塩も確かに結晶ですね。

青朱白玄というサイトのhttp://home.r02.itscom.net/ktym/amylose/box17/column-176.html">からむこらむには歴史的経緯を含めて詳しく説明されていました。
*ここのサイトの化学的内容はとても充実してますね。ゆっくり読んでみます。

投稿: tf2 | 2004/08/05 20:23

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