冷蔵庫内で光合成
FujiSankei Business i(8/25)の記事。世界初、ビタミンC増やす冷蔵庫 三菱電機が来月発売
三菱電機(東京都千代田区)は24日、収納するだけで野菜のビタミンCが増える野菜室を組み入れた世界初の家庭用冷蔵庫を9月25日から順次発売すると発表した。ということで、冷蔵庫内で野菜に光合成をさせるらしい。最近の家電製品は色んな機能をつけてくるけど、これまたすごいな。
作物をハウス内で栽培する際にLED(発光ダイオード)の光を活用する点に着目し、野菜室内をLEDの光で照らし、野菜の光合成を促し含有するビタミンCを増量させる。
ブロッコリーを用いた実験で、3日間に含有量が約10%増量したことを確認した。これまでの冷蔵庫が食品鮮度を保つ点にとどまっていたのに対し、これを一歩進め、栄養素増という既成概念を変えた商品となる。
従来型は収納した野菜の含有ビタミンCは日を追って減少し、ブロッコリーを例に取ると、3日間で約25%減少する。新型は逆に約10%増え、3日を過ぎた時点でビタミンCの量は新型が約1.5倍になる。
このほか、製氷室に用いる水の含有鉛の量を低減する浄水機能、抗酸化性能を持つビタミンCを配合したフィルターを庫内に配置し、食品の酸化を従来型から約40%抑制する酸化防止機能などを備えた。
三菱電機のニュースリリースには、あまり詳しい話が載っていないが、付属のpdf版リリースを見ると、その他の機能についても解説が読める。うーむ。この冷蔵庫に搭載されている機能を見ると、もはや「おまけ機能」というよりもこれを売りにしているらしい、ということがわかる。
「うまさビタミン増量 光パワー野菜室」
世界初の光合成LEDを搭載しているということで、ブロッコリーのビタミンCが増えたというデータとキャベツの見た目が青々としている写真が載っている。確かに、冷蔵庫内でも野菜が成長することは経験するけど、光を当てると光合成するのは知らなかった。それなら、既に業務用に同様の技術の実績があるのかと思って探してみたが、収穫した野菜に光合成をさせるという話は見つからなかった。
普通は冷暗所に保存するというのが常識のように思うが、逆転の発想なのかな? 関連情報が見当たらないのでよくわからないけど、ビタミンが増える代わりに味が落ちるというような副作用はないのだろうか?
「うまさ透明 鉛クリーン光清氷」
自動製氷機に供給する水道水中に微量含まれる鉛イオンを、イオン交換繊維によってカルシウムイオンと交換するらしい。三菱電機の冷蔵庫の他の製品の機能を見ると、光清氷システムというのは、光触媒を使った除菌機能で、カルキカットや除菌までしてくれるらしい。
何とも至れり尽くせりだが、ほとんどの家庭では水道水中の鉛が健康に悪影響を及ぼすレベルとは思えない。これって消費者に間違った知識を普及させることになりはしないのか? しかも下手なフィルターは却って雑菌を増やすだけのような気もするが、これは光触媒で除菌するから大丈夫なのだろうか?
「うまさ新鮮 新・前から冷やそ」
冷気の通り道に、除菌・脱臭・抗酸化処理をするフィルターを設置したもの。このフィルターはビタミンCを配合したもので、冷気がこのフィルターを通過すると、抗酸化処理されて、食品の鮮度を保持するとあるが、本当か?? 実験データとして、保存期間9日後の過酸化物価値比較、従来品 1.0meq/kg に対して、0.6meq/kg という結果が載っているが、こんな1点データだけではよくわからない。
そもそも、ビタミンCを通過させた空気で食品の酸化が抑えられるってのはどういう理屈なんだか? もしも庫内の空気中に酸化を加速する成分が含まれるのが問題で、ビタミンCがその成分をつぶしてくれるのだとすると、当然ビタミンCはどんどん酸化されるから、交換が必要そうだし。
しかし、食品が酸化するのは、ほとんどが空気中の酸素によるのではないかと思うのだが? (これに関する分析結果等は見当たらない)というより、冷蔵庫内での食品の劣化って酸化劣化なのだろうか?(参考)
そういえば、ビタミンCを放出する空気清浄機なんてのもあった。ここでも空気中の活性酸素の正体が何者なのかが不明なのだが。
家電製品の高機能化(グリコのおまけ現象?)は、エアコンがマイナスイオンや除菌だので先行していたかと思うと、冷蔵庫も中々あなどれない。エアコンに比べると冷蔵庫は、庫内の食品の鮮度を保つという究極の目的(?)があるので、冷却以外の様々な機能が入り込みやすいわけだ。しかし、現時点ではどれも微妙にポイントをはずしているというか、いらんおせっかい機能に見えるのだが。
やっぱり、「冷やし系」恐るべしだな。。
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コメント
この記事、わたしも気になっていて、きっとココで取り上げあっれるだろうと思っていたら案の定です(笑)。なんか嬉しいです。
でも冷蔵庫って、仮死状態?というか、有機物として成長なり腐敗なりする変化を止めるのが役目な訳だし、光合成ガンガンしちゃって大丈夫なんかいな、って気もします。
一方で「冷蔵庫で育ってる」って感じがワクワクしますし、個人的に欲しくなります。冷蔵庫プロパーとしての役割というより、「育ってる。。」っていう気持ちをターゲットにしている気がします。癒しよ、癒し(笑。
投稿: 石倉由 | 2004/08/26 15:03
石倉さん、どうもです。
なるほど、光合成は癒しだったのか! でもメーカーサイドやマスコミは全然気付いてないみたいですけどね。
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0408/25/news097.html?lc10">”抗酸化家電”ってなんだ?
この先どこに行くの?って考えてみたんですが、いっそのこと積極的に食品を生かす、育てる冷蔵庫なんてどうでしょ?
・光を当てるだけでなく、水や肥料の自動供給装置付きの野菜用「温室」
・いつでも魚の活きがいい「イケスルーム」
なんて。。
投稿: tf2 | 2004/08/26 20:20