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2004/09/30

水銀フリー酸化銀電池

nikkeibp.jp(9/29)の記事。ソニー、世界初の無水銀酸化銀電池を発売へ

ソニーは、水銀を使用しないボタン形酸化銀電池を、05年1月から発売する。無水銀ボタン形酸化銀電池の商品化は世界初。今回発売されるのは、主要10機種。発売される無水銀化酸化銀電池には、鉛も使われていない。

酸化銀電池などのボタン形電池では、無水銀化が難しいとして、欧州議会や欧州環境理事会の電池に対する仕様要求(電池指令)でも、例外的に水銀の継続使用が認められる可能性がある。しかし、同社が無水銀電池を開発したことで、販売個数換算で、年間約320Kgの水銀の使用を削減できる見込み。ソニーでは、無水銀化の技術について、日、米、欧で5件の特許出願中。

タイトルを見たときに、無水の銀酸化電池だと思ったのはともかく、「無水銀化酸化銀電池」ってわかりにくいよね。電池の水銀フリー化は既に完了していたのかと思っていたら、酸化銀電池はまだ水銀を含んでいたんだ。 ソニーのプレスリリースに詳しく説明されているが、これによると現在のボタン型酸化銀電池には 0.2wt%程度の水銀が含まれているようだ。

電池メーカー各社の情報をざっと調べてみたけど、アルカリ電池やマンガン電池については、完全水銀フリー化(何故か水銀ゼロ使用と呼ぶようだ)されたことが宣伝されている一方で、酸化銀電池には水銀が含まれていることをわかりやすく明記しているサイトはみつからなかった。

電池一般については、電池工業会が比較的よくまとまっているけど、各電池がどんな重金属を含んでいるか、のような情報は見当たらない。なお、ボタン電池の型番が SR で始まるのが酸化銀電池、LR はアルカリ電池だ。(今は手に入らない水銀電池は MR 。)

例えば、環境問題を考えるサイトの中でも信頼性が高いと思われる、環境研究所が運営しているEICネットのエコキッズのページでも、

 電池には水銀やカドミウムなど廃棄によって環境中に放出されると有害な成分を含むものもあります。水銀に関しては、国内産の電池に関しては現在は無水銀化されているものの、外国産のものなど一部には水銀を含むものもあります。
と書かれており、酸化銀電池には未だに水銀が使われていることは一般的には知られざる事実なのかもしれない。

ソニーの環境活動に関する報告によると、

 クラス1物質として指定されている物質で、代替物質がないために2003年度に使用されたのは、電池材料の添加物として使用される水銀704kgです。電池生産量の増加に伴い、前年度に比べ使用量が約2倍に増加しています。
とあるから、ソニーが今回削減するという、酸化銀電池に使われている水銀320kgと比べると、あと380kg程度の水銀が他の電池に使われているということか? 

今回は、ソニーが水銀フリー化に成功したので、こうして記事になったけど、そうでなければ一般の人の目に止まるようなところには何も出てこないのが実情なのかな。敢えて知る必要もないと言ってしまえばそれまでだが。(この程度の水銀を含有していることを表示する義務はないってことだろう。) 確かに、廃棄の際に、販売店の回収ボックスにキチンと捨てれば環境への問題はないのだろうけど。。

まあ何はともあれ、今回のソニーさんの新技術はヨーロッパの厳しい環境規制へ先回りして対応したということで、色んな面で意味のあることだと思う。もっとも、酸化銀電池を使わないという選択肢だって世の中にはあるわけで、今回の代替技術の安全性や環境負荷についても総合的に正しく評価する必要があるだろうし、業界や他のメーカーはどう動くのかも興味があるところだ。

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2004/09/29

黄身の白いたまご「ピュアホワイト」

NIKKEI NET(9/29)の記事。黄身が白っぽい卵、キユーピーが開発・ケーキ材料に

 キユーピーは黄身の色が薄く、白っぽい卵を開発した。鶏用の飼料の配合を変え、卵黄に含まれる赤や黄色の色素を極力抑えた。ケーキなどの原料として製菓業界向けに10月から出荷する。淡い色の菓子を製造する際に黄身を取り除く必要がなくなるため、食感が向上する。卵を使うケーキや焼き菓子などの生地は通常、黄色みがかった色になる。淡い桃色などのケーキを作る場合は、卵白だけで作ることが多いが、黄身を除くと菓子はコクのある味やしっとりした食感が失われがちだった。

 開発した「ピュアホワイト」は卵黄に含まれる代表的な黄色の色素「ゼアキサンチン」の含有量を通常の卵の4分の1以下、赤の色素「カプサンチン」を半分以下にそれぞれ抑えながら、黄身の持つコクと食感を保っているという。加熱するとさらに白くなるため、「コクのある味の、白い『黄身あん』入りまんじゅうもできる」(キユーピー)。業務用のため販売価格は明らかにしていないが、通常の鶏卵に比べて生産コストが3―4割高くなる見通し。

ということだが、「ピュアホワイト」とはまた、たまごらしくない名前のような。キューピーのホームページを探してみたが、このニュースに関するリリースは見当たらなかった。知らなかったけど、キューピーって英語表記は Kewpie なんだな。キューピーの卵総覧によると、黄身については、卵黄レシチン、卵黄リゾレシチン、卵黄コリンといった成分が色々な製品に利用されているようだ。

卵の黄身が黄色いのはてっきりレシチン等のタンパク質の色かと思っていたのだが、全然違ってたようだ。調べていて見つけたのだが、卵のことを調べるのならたまご博物館が圧巻だ。この件については、卵黄色についてに詳しく説明されている。やっぱり鶏に与えるエサの配合で色が変わるとのこと。

また、東京六稜倶楽部報告にも、日本の卵の黄身が黄色いのは黄色いとうもろこしを鶏の飼料に使っているためで、アメリカの卵も以前は白っぽかったけど、アルファルファを飼料に配合して黄色くしたとある。世界各国食めぐりによると、ガーナの卵の黄身はほとんど真っ白らしいから、むしろ今の日本の卵の黄身が黄色すぎるのかもしれない。

一方、高木農場のQAでは、脂溶性の色素を与えるとその色素が卵黄に移行するので、どんな色の黄身でも作れると豪語している。

ということで、今回の白っぽい黄身の卵ってのは、どの程度画期的なのだろう? 色を濃くするよりは薄くする方が難しそうだから、飼料を変えれば良いとわかっていても、実際には相当に苦労したのかもしれない。

ちなみに、黄身を黄色くしている成分のうち、ゼアキサンチンは目への効果、カプサンチンは抗酸化効果があるそうで、ゼアキサンチンはサプリメントが売られている。化学構造を知りたい方は、こちら

ということで、白っぽい黄身よりも、黄色が濃くて赤みのある黄身の方が、栄養面ではこれらの成分の分だけ充実しているかもしれないので、普通に食べるのはやっぱり普通に黄色い卵ということかな。

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2004/09/28

ダイオキシン排出量順調に削減

YOMIURI ON-LINE(9/27)の記事。ダイオキシンの総排出量、「9割削減」の目標達成

 環境省は27日、2003年のダイオキシン類の総排出量は376―404グラムで、1997年と比べて95%減となり、ダイオキシン対策推進基本指針などで掲げた「9割削減」の目標を達成したと発表した。

 規制強化によって、排出の大部分を占める一般廃棄物と産業廃棄物の焼却施設の新築や改築、廃止が進み、排出量が98%削減された。

今やニュースバリューも随分と小さくなってしまったダイオキシンだが、6年前に比べて95%も削減された、という話の取り扱いはこんなに小さくなってしまった。MSN-Mainichi INTERACTIVEでも報道されているが、ダイオキシン:03年の排出量は前年より6割減
 環境省は27日、03年のダイオキシン類排出量は全国で376~404グラム(最も毒性の強いダイオキシン換算)とみられ、前年に比べて約6割減ったと発表した。政府は99年3月に「4年以内に年間排出量を97年比で約9割削減する」ことを決定していた。03年の排出量は97年に比べると95%減となり、目標が予定通り達成された。
という具合で、これまた随分小さい扱いだ。それでも、読売や毎日はまだニュースにしているけど、asahi.comではニュースにもなってない。騒ぐ時だけ大騒ぎして、沈静化すると報道もされないというのも、どういうものだか。。

ところでこの読売の記事、削減された量として95%と98%の二つの数値が出てきてわかりにくい。毎日の記事だと前年に比べて6割減というのを見出しに持ってきてるし。元データは、環境省の報道発表で見ることができる。ダイオキシン類の排出総量は、平成9年が 7680~8135(g-TEQ/年)、平成15年が 376~404(g-TEQ/年)だから、小さいほうの数字同士で比較しても、大きいほうの数字同士を比較しても削減率は 95%となる。

その内訳は、ダイオキシン類排出量の目録という資料で見られるが、なるほど、一般廃棄物焼却施設と産業廃棄物焼却施設からの排出量が、合計6500(g-TEQ/年)から145(g-TEQ/年)まで削減されており、これが98%となっている。読売の記事はこの数字を取り上げていたわけだ。 (個別に見ると、一般廃棄物焼却施設が99%、産業廃棄物焼却施設が95%、小型廃棄物焼却炉等が90~92%削減となっており、大型施設程削減が進んでいるようだ。)

もともと、各種焼却炉からの排出量が全体の 9割以上だったのが、焼却炉の対策が進んだことで今では 6割程度に減ったということになる。(従来は 9割が焼却起因というのが、この分野の常識だったので、環境関係の試験を受ける人は注意が必要かもしれない。) また、一番排出量が多いカテゴリーも、一般廃棄物焼却施設から製鋼用電気炉に変わったようだ。

こんな思い切った目標をしっかりと達成するというのも、目標そのものや、その方法が妥当だったかどうかは別として大したものではある。どうやって目標の数値を決めたのか興味があるところだ。 環境省もたまには少し自慢して、日本の環境は確実によくなっている部分もあるのだ、と認識してもらう努力をすればいいのに。

環境省の詳細資料には、各カテゴリーからのダイオキシン類の排出量の推計方法についての説明がある。たばこ1本当たりのダイオキシン発生量とか、火葬場での遺体1人当たりのダイオキシン発生量なんて数字も載っていて、それなりに興味深いものがある。

それにしても、全国で排出されるダイオキシン類を全部集めても、1日平均 1g程度とは本当に微量だな。

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2004/09/27

ハムスターによるアナフィラキシーショック

東京新聞の記事(9/27)。ハムスターにかまれ死亡例 埼玉男性

 埼玉県に住む四十代の男性が今年二月、飼っていたハムスターに指をかまれた直後に意識不明となり、搬送先の病院で死亡していたことが二十七日までに分かった。傷口からハムスターの唾液(だえき)が体内に入り、急激なアレルギー反応である「アナフィラキシー」が発生、持病のぜんそくを誘発したという。

 ハムスターなどペットの齧歯(げっし)類にかまれたのが原因のアナフィラキシーは一九九五年以降、広島県など全国で十七人報告され、十六人は大事に至らなかったが一人は植物状態になった。かまれた直後の死亡例は初めてとみられる。

 清田和也さいたま赤十字病院救命救急センター長は「常に起きるわけではないがアレルギー体質の人や、かまれる危険の高い獣医師は気を付けた方がいい」と注意を呼び掛けている。

 アナフィラキシーは、タンパク質などの異物が何度も体に入ることで、その異物に対し体の免疫システムが過敏になることで起きる。食物など一般的には無害なものでも原因になることがある。

 男性は四、五年前からジャンガリアンハムスターを飼い、何度もかまれていた。当日は、自宅で左手の指をかまれた後にせき込み、数十分後に倒れているのを家族が発見。病院に運ばれたときには、心肺停止状態で助からなかった。

 男性の臓器や血液を調べたところ、アレルギーの際に多くみられる白血球の一種が見つかり、ハムスターのタンパク質への強い反応も確認された。

ハムスターによるアナフィラキシーについては、All About Japanの記事が詳しい。動物による重篤なアナフィラキシーとしては、スズメバチに刺されるケースなどが有名どころだ。それ以外の動物によるものの中では、死に至るケースは極めて稀だとしても、ハムスターは危険性の比較的高い方なのかもしれない。ネットを検索してみても、犬や猫に噛まれてアナフィラキシーを起こすケースなんてのはみつからないから、ハムスター等げっ歯類の唾液に何か特有のアレルゲンとなりやすい物質が含まれているのだろう。

調べてみたら、アナフィラキシー対策フォーラムというのがあった。統計情報もあるが、日本で毎年 50~60人がアナフィラキシーによって死亡している。そのうちの半分程度がハチによるものらしい。意外と多いという印象だ。(少なくとも、それが直接原因での死亡者数がこれ程多い人工化学物質はないのではないか。)

もちろん、動物が原因の病気は、アナフィラキシー以外の狂犬病やオウム病だとか、或いはその他の菌が入ってのいろんな症状(げっ歯類によるペストなんて話もあるし)の方が怖そうではあるのだが。

亡くなられた方は、何度も噛まれていたということ。自分がハムスターに対するアレルギー症状を持っていることに気付かなかったのだろうか? 逆に言うと、過去に何度も噛まれて、その時はとりあえず大丈夫でも、必ずしも安全ではないということになる。

何がアレルゲンとなるかわからないから、いちいち恐れていたら何もできないけど、万一のことを考えると、自分や家族の体質のことも含めて、この手のことについての基礎知識を持っておくことは重要だろう。早期であれば症状を緩和させる薬もあるようだ。

寡聞にして知らなかったが、ジャンガリアンハムスターというのは、ハムスターの中でもとても人気が高い種類のようだ。Jangarian's Roomを始め、たくさんのサイトに様々な情報が載っているが、アナフィラキシーのことや噛まれると危険だということに触れているところは少ないみたいだ。

とっとこハム太郎はゴールデンハムスターらしいので、ジャンガリアンが人気があることとは関係ないのかな。数年前まで、ハム太郎がどこかのメーカーの「ハム」のマスコットキャラクターだと思っていたことは内緒にしておこう。。(ハム太郎のハムはなかったけど、ハム太郎のソーセージは見つかった。)

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2004/09/24

献血経由のクロイツフェルト・ヤコブ病リスク

続いて献血ネタ。CNN.co.jp(9/22)の記事。 血液製剤にvCDJ汚染の恐れ、6千人に通達 英国

ロンドン(ロイター) 英保健省は21日、血液製剤の原料に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)発症者の血液が含まれていたとして、血友病患者など血液製剤使用者約6000人に対し、注意を促す通達文を送った、と発表した。

英保健省主任医務官のライアム・ドナルドソン氏は会見で、血液製剤によるvCJDの発症リスクは非常に小さいと強調。その上で、政府は「厳重な警戒」をするために通達した、と述べた。

ドナルドソン氏によると、血液製剤使用者のvCJD発症率は、1980年代から90年代にかけて牛肉を食べていた人々と比べ、ほんの少し高いだけだという。「今回通達した情報は、血液製剤を使っている人々とその主治医が、vCJDの新たな感染の危険を最小限に抑えるために必要なもの」と、話している。

vCJDは、異常プリオンたんぱく質が脳にたまり神経を損なう病気で、牛海綿状脳症(BSE)の牛が感染源とされる。英国ではこれまでに、2人の患者が輸血が原因で、vCJDに感染した疑いが持たれている。両患者とも、献血後にvCJD感染が明らかになった人の血液を輸血していた。そのため、現在英国では、過去20年間に輸血を受けた人の献血を禁止している。

保健省の専門家でノッティンガム大学教授のリンゼイ・デイビーズ氏も、英スカイテレビのインタビューに、「(vCJDの)発症リスクは、非常に低い。我々は、公衆衛生における予防措置として、血液製剤を使用している人々に対して臓器移植や献血を行わないよう、また医師らに対して新たな感染者が出ないよう、注意を呼びかけたいだけだ」と答えている。

ということで、血液から vCJD が感染する可能性があるということらしい。関連ニュースは、Google Newsで見ると、ほとんどイギリスの報道ばかりだけど、随分たくさん集まっている。

代表してBBC NEWSを読んでみた。イギリス英語は慣れていないのでわかりにくいが、実際に過去に献血した人が後にvCJDを発症するケースが 9人確認されているようだ。

それにしても、血液中にvCJDに関連する何かが含まれているということだろうか? 輸血のように血液中に直接入れる場合と、食料として消化器官から吸収するのを同列に扱うわけにはいかないけど、非危険部位の牛肉を食べるのは大丈夫の筈なのに。。 BBC NEWSには、それに関して

White blood cells, which it is thought may carry the greatest risk of transmitting the disease, have been removed from all blood used for transfusion since 1999.
と書かれており、白血球が怪しいと考えているようだ。

まあ、BSEの発生数から考えても、日本の vCJD のリスクはイギリスよりも3~4桁小さくて、問題にする必要性はなさそうだが、日本がどうなっているかというと、日本赤十字の献血をご遠慮いただく場合の「帰国日(入国日)当日から4週間以内の方」と「クロイツフェルト・ヤコブ病の方、またそれと疑われる方」などに書かれていて、

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の方、またはそれと疑われる方
 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)とは、増加する異常プリオン蛋白が脳内に蓄積し、知的機能障害や運動障害などの症状を起こす極めて稀な病気です。現在、輸血での伝播の報告例はありませんが、以下に該当する方には献血をご遠慮いただいています。

■ CJD及び類縁疾患と医師に言われたことがある。
■ 血縁者にCJD及び類縁疾患と診断された人がいる。
■ 人由来成長ホルモンの注射を受けたことがある。
■ 角膜移植を受けたことがある。
■ 硬膜移植を伴う脳外科手術を受けたことがある。

とあり、更に
近年、英国を中心に発生している変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、輸血による伝播に関して未知の部分が多い一方、牛海綿状脳症(BSE)との関連も強く指摘されていることから、安全が確認されるまでの間献血をご遠慮いただいています。

(1) 英国・アイルランド・イタリア・オランダ・スイス・スペイン・ドイツ・フランス・ベルギー・ポルトガルの欧州10か国に、昭和55年(1980年)1月から今日までに通算6か月以上の滞在(居住)歴がある方。
(以下略)

とある。HIVやB型、C型肝炎等については血液のウイルス検査でチェックも不可能ではないが、vCJDについてはウイルスじゃないので、今の所は血液の検査では見つけようがない。そこで、疑わしい人は献血しないでくれ、ということのようだ。

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229回目の献血

今日(9/24)相模大野献血ルームにて、血漿成分献血を実施。前回は、4/30だったので、何と5か月ぶり。体調を崩しての薬漬けの生活から抜け出せて、何はともあれ、結構なことだ。

久々に行ってみると、献血ルームがすっかり IT化されていてびっくり。最初に書き込む用紙もマークシートになったし、ドナーや血液の管理はバーコード化されて、ナースの方々は各自、バーコードスキャナーが搭載された無線LAN携帯端末を持ち歩き、要所要所で使っている。聞いてみると、5月末から全国で導入された統一方式らしい。PCから、今現在の全国の献血状況が確認できたり、献血した血液の行方を追跡できるようだ。

こんな話も、(あの閉鎖的体質の)赤十字の公式サイト辺りにはちっとも載っていないんだけど、信頼性を高めるために導入した新たなシステムなら、堂々と宣伝すれば良いのにねえ。でも、奇特な方が、こんな風にレポートしてくれてます。

献血開始や終了時に、端末にその旨を入力するのだけど、何故かそれとは別に看護士さんが用紙に手書きで時間や採血量を書き込んでいる。「無駄な作業じゃないですか?」と聞いてみると、「そうなんですけど。。。」という答えでした。

おみやげには、前回とは色違いで同じデザインの「HUMANITY」Tシャツをいただいてきました。今回は神奈川県独自のカードのポイントも溜まったらしく、マグカップもいただけました。

献血Tシャツとマグカップ

このマグカップ、箱がとても色褪せてくたびれていて「あれっ?」と思ったのだけど、この色がまた何だかなあ、でも本物のスヌーピーだ。オレンジ色のタオルも "Dick Bruna" と書いてあり、本物のミッフィーらしい。

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2004/09/23

電動ハイブリッド自転車試乗記

ひょんなことから、5/19のブログで紹介した電動アシスト自転車、ヤマハのNew PAS リチウムL をしばらく預かることに。自宅近辺の坂の多い地域を中心に 1.5時間ほどのサイクリング。

仕様は、ニュースリリースに詳しいが、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、アシスト力はノーマルとパワーの2つのモードから選べる。それとは別に内装3段変速機搭載。ステンレスを多用しており、車輪のリムもステンレス。そのため重量は 24.6kgと重いが、その走りはどうか?

生まれて初めて乗った電動ハイブリッド自転車の感想は、「やっぱり軽~い、でもやっぱり疲れるんだ。」というところだろうか? とにかく、静止状態からの出だしの2~3回分くらいの踏み込みはアシストの効果が嫌らしいほどに感じられる。そこまで軽くしなくていいんじゃない?って感じだ。また、平地での中間的な速度での走行も、非常に軽快で、電動アシストの恩恵がとても感じられる。

一方、上り坂になると、確かにアシストしてくれているのだけど、それなりに体力を要求されるし、長い急坂が続くと、やっぱり足に来るということがわかった。もちろん、アシストの無い普通の自転車と比べたら、めちゃくちゃ楽に走れることは確かなようだし、短ければ急坂でも苦にならないのは確か。でも期待しすぎるとガッカリするかもしれない。

どうやら、アシスト力が50%を越えてはいけないという規制があるようで、負荷が高くなったら、当然人間に掛かる負荷も高くなるわけだ。それに、電動パワーにも限界があるわけで、ある程度以上の急坂になれば、アシスト力の上限に到達してしまうこともありそうだ。

メーカーの資料によると、速度でアシストの割合を変えているようだけど、感覚的には、踏み込む力を強くすればする程アシスト力が弱くなるような感じもする。そのため、坂道では無理に頑張るより、ゆっくり走った方が楽に登れるかもしれない。でも、ある程度以上スピードがあった方が、坂道も楽に上りきれるのではないか? という経験的な感覚もあるので、この辺が違和感の元かもしれない。

とにかく、踏み出しの軽さや平地での軽さが余りにも衝撃的な分、却って上り坂でのアシスト力にやや不満を感じてしまうのは贅沢だろうか? 恐らくアシスト力の制御は相当に微妙なバランスを調整しているのだと思うけど、まだまだ違和感が残っているように感じたのは、機械側の問題ではなく、こちら側の慣れの問題なのかな?

あくまでも日常の足として使うという用途からすれば不要なんだろうけど、欲しいと思ったのは、アシスト関連の数値を表示してくれるメーター。速度、トルク、モーターアシスト量等々。人間の出力もモニターできるだろうし、だとするとトータルの消費カロリーなんて表示もできそうだ。それに、楽な時もきつい時も、アシストが今どれだけ働いているのかや、自分がどれだけ力を出しているのかがわかると納得できるだろうし。

従来は足への負荷を調節するには変速するしかなかったわけだけど、こいつは、同じギア比と速度で足への負荷だけを変えられるわけで、考えてみると不思議な感覚だ。電動アシストは、上り坂の傾斜が緩くなったことに相当するのかもしれないが、目で見て頭で理解する経験的な坂の勾配とのギャップがあるってことかな。

あと、静かな所を走っていると意外と大き目のヒューンというモーター音がするのが、「すみません、わたし電動アシストに乗ってます」と宣言しているみたいで、何となく恥ずかしいかも。

価格やコメントは、価格.com自転車@2ch掲示板を参考にするのも、この手の掲示板の長所短所をある程度理解している人にとっては有益だと思う。

*ちなみに、今回の New PAS リチウムL は、価格.comや楽天で見つけた最安値よりも 1万円以上も安く入手できた。物によってはネットの情報だけが全てではないということか。

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2004/09/22

C60内でβ崩壊が加速

Yahoo!ニュース経由の産経ニュース(9/21)放射性元素の寿命1%短縮 東北大チーム、実験で確認 半世紀にわたる常識覆した

 放射性のベリリウム7原子を、C60と呼ばれる球状の炭素分子の内部に入れると、ほかの原子へと崩壊する現象が加速され、放射性元素の寿命を表す「半減期」が1%近く短くなることを大槻勤・東北大助教授(核・放射化学)らの研究チームが二十一日までに実験で確認した。ベリリウム7の半減期が0・1%前後変わることは知られていたが、これほど大きな変化が確認されたのは初めてで、これまでの常識を超える発見となった。

 C60にさまざまな原子を入れて新しい機能を持たせ、ナノテクノロジーに利用する研究は各国で進められており、今回のような実験でC60内部の状態解明が進めば、ナノテクノロジーの進歩にもつながりそうだ。

 C60は炭素原子六十個がボールの表面に並んだ形の分子で、直径約一ナノメートル(ナノは十億分の一)。内部は中空になっている。大槻助教授らはC60と炭酸リチウムを混ぜ、陽子を照射することで、リチウム原子から変わったベリリウム7の原子一個を内部に含むC60を作り出した。

 C60内部のベリリウム7原子は自らの電子一個を原子核に取り込み、リチウム7に崩壊する。グループは、その際に放出されるガンマ線を百七十日間測定し、C60内部に閉じ込められたベリリウム7原子の半減期が五二・六八日であることを突き止めた。これは金属のベリリウムの中にある場合の半減期である五三・一二日よりも0・83%短かった。
 大槻助教授は「今後は中に入れる原子の種類を変えるなどして、C60内部の状態を詳しく調べたい」と話している。

 ■中原弘道東京都立大名誉教授(放射化学・核化学)の話 「イタリアの物理学者のエミリオ・セグレが、半世紀前に半減期の変化を理論や実験で示して以来、変化があったとしても0・1%程度と考えられていた。その常識を覆す発見だ。変化の原因はC60内部の電子状態に異常があるためだろう。今後の原因解明に期待したい」

半世紀にわたる常識を覆した成果の割には、何故かマスコミ各社はほとんど取り扱っていないようだ。それにしても、放射壊変の速度が条件で変わるものなのか! 太陽系の寿命などのような数十億年もの年月を測定する物差しとしても使われているというのに。。

元論文はPhysical Review Letters、解説記事が、news@nature.com に載っている。このネイチャーのニュース記事によると、

Atoms of beryllium-7 decay by grabbing electrons from their surroundings. The electron is absorbed into the nucleus, where it combines with a proton to make a neutron, transforming the atom into a different element, lithium-7.

The rate of this kind of decay depends on the chance of an electron straying into the nucleus and getting absorbed. So increasing the density of electrons surrounding the atomic nucleus can speed up the decay.

At least, that is the idea. But the changes seen previously have been tiny.

ということで、原子の周囲の電子密度を高くすることで、β崩壊を早めることが可能と理論的には考えられるが、従来は大きく変えることは出来なかったらしい。で、今回の実験では、
Once the beryllium atoms are trapped, the carbon cage surrounds them with a dense cloud of electrons. This makes it more likely for an electron to get into the trapped atom's nucleus and induce decay.
ということで、C60の内部に閉じ込められたベリリウムの周りの電子密度が高いので電子が原子核に入り込みやすくなり、崩壊が加速されるという説明だ。本当かなぁ?? 半減期50日程度の現象に対して170日間もγ線の測定をして、約 0.5日の半減期の差を見出した、ということで測定精度そのものは大丈夫そうだけど。

理論的にはありえると予測されていたみたいだから、常識が覆されたと言えるかどうかは微妙かな。 もっとも、C60の中に原子1個だったら、電子密度の計算は容易にできそうなものだから、半減期の加速が理論的に説明できるかどうかの定量的な議論も可能だと思うけど。

これに関連する資料を探してみると、平成10年度黎明研究の課題の29番に「極限条件下におけるフラーレン内包EC壊変核種の寿命精密測定」として選ばれており、

 放射性原子核の寿命は外部の条件に無関係と信じられて来た。しかし最近、極限環境、あるいは特別な条件下でコントロールが出来るかもしれない、という可能性が出て来た。本研究者はフラーレンに内包された核種の中でβ崩壊寿命が変るという注目すべき発見をしている。これが事実とすれば将来実用に大きな影響のあるテーマである。
とコメントされているが、随分長期間にわたる研究のようだ。平成16年度黎明研究採択課題の25番によると、「フラーレン中の放射性核がその半減期を変化させているらしいとの研究は賛否の両面から注目されている」とあるぞ。フーム。。

なお、今回の実験でベリリウムをC60の中に入れるのには、異原子内包フラーレンの可能性を探るに大槻さんが説明されている、高エネルギーで無理やり放り込む方法を使ったようだ。

*何の役に立つのか? ネイチャーニュースでは、これを応用して放射性廃棄物を少しでも早く処理できないか、なんて書いてあったけど。。

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2004/09/21

ブルーシルクで技術情報検索

FujiSankei Business i(9/21)の記事。専門用語なしで技術情報検索、三菱総研が12月にもサービス

 三菱総合研究所(東京都千代田区)は、東京大学(同文京区)、沖電気工業(同港区)と共同開発した高性能の検索技術「ブルーシルク」を使って、企業や大学の研究機関の研究テーマから、的確な情報を簡単に探せるシステムの実証実験を始めた。

 三菱総研では11月中旬まで実証実験を行い、使い勝手などを検証したうえで、早ければ12月にも有料の本サービスに移行する予定だ。

 今回の実証実験では、独立行政法人である科学技術振興機構(JST)の学術論文約60万件のほか、特許公報掲載済みの情報約40万件、そして全国の国公立大学と主な私立大学のホームページから検索できるようにした。

 トップ画面の検索文入力欄に、探したい研究成果に関する内容の単語または文章を書き込むと、その単語が含まれていたり、入力文章の内容に近いホームページを自動的に探す仕組み。文章でも入力できるようにしたことで、専門用語がわからなくても技術情報を検索できるようにした。 (後略)

ということで、JDream Petit に続いて、また新たな科学技術文献検索サービスがでてきた。

この ブルーシルクは、現在すでに無料お試しサービス中だが、Bluesilkとはによると、検索対象がJST(科学技術振興機構)提供の科学技術文献だけでなく、特許公報や、大学のサイト内の情報までをカバーしている点と、キーワード検索ではなく文章による連想検索ができるという点が特徴のようだ。

文章を入力しての連想検索や関連キーワードの抽出については、汎用連想計算エンジン「GETA」と、日本語形態素解析システム「茶筌」を採用している。これは、本を検索するシステム Webcat Plus や、新書マップとも共通の技術のようだ。

JSTの JDream Petit (そろそろ無料期間が終わる)と一部オーバーラップしたシステムのようにも思えるのだが、うまく使い分ければ有効かもしれない。 JDream Petit については、検索デスクでも検索の視点として、詳細な評価がされている。

早速、無料ユーザー登録をして、ちょっとだけ使ってみた。検索結果では、JSTの文献はお試し期間中は書誌事項だけで抄録も出てこないけど、特許の場合は明細書の全文まで簡単に見ることができるので特許庁の電子図書館よりもある意味では便利かもしれない。画面の左側や右側にいろいろと情報(関連語、著者一覧、所属機関一覧等)が出てくるのだが、今一有効な使い方がわからない部分もあり、少し使い込んでみる必要がありそうだ。(関連語は何故か Wikipedia にリンクしている)

Q&Aによると、

質問7 現在、Bluesilkでどのようなコンテンツが検索可能ですか?
答え7 現在、Bluesilkでは、以下のコンテンツが検索可能です。今後、逐次コンテンツを拡充していく予定です。
 ●特許(2003年1月~12月公開分):約35万件(特許庁発行 CD-ROM公開公報)
 ●論文(2003年度分):約67万件(JST提供)
 ●MRIオリジナルコンテンツ:約1万件(NEXTING、自治体チャンネル、MRITODAY等)
 ●東京大学ホームページ:約8万件
とあり、まだまだ本格的な使用には物足りない。有料化したときの価格については、まだ未定なのか書かれていないようだ。

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2004/09/20

「科学の最前線で研究者は何を見ているのか」

日経サイエンスに連載されていた対談「時空の旅」全18回分を収録したもの。

科学の最前線で研究者は何を見ているのか
 瀬名 秀明 著 bk1amazon

全4部構成で、読みやすく、しかも読み応えがある本だった。科学系の対談集としては、メタルカラーの時代とかプロジェクトXなんかが有名だが、それらがどちらかというと、物作りとかエンジニアに焦点を当てているのに対して、こちらは相手が研究者で、研究内容が中心となっている点が大きく異なる。

著者の瀬名さんが生物・薬学系の研究者だったこともあるのか、この対談でも生物や人類を扱った対談が、充実していて、興味がそそられる内容になっているような気がする。特に後半出てくる、宇宙やコンピュータを対象とした対談は、何だか消化不良気味のように感じてしまう。

ということで、読後のワクワク感で言えば、冒頭の「人類のはるかな足跡」:馬場悠男、「人間はいくつまで生きられるのか」:白澤卓二、「類人猿のゲノムで探る人間らしさの起源」:斎藤成也、の3篇が断トツで、徐々に(それでも十分に読ませてくれるが)尻すぼみのような。。

対談相手は、正に現役の研究者で比較的若い人達が多い。まだまだ答えの出ていない問題について、最前線にいる研究者の話が直接聞けるというのは幸せで、こちらが共感できるかどうかは別にしても、何が研究を進める力となっていて、どんな夢を見ているのか、等の研究者の内面が垣間見える気がして楽しい。

それぞれの対談では、それなりに深く突っ込んだ最新のトピックが語られるのだが、非常にわかりやすい説明がされていることに感心させられる。その意味では、一流の研究者は、その研究の概要や面白さを一般の人に対してうまく伝える力も持っているのかもしれないし、或いは瀬名さんがうまく引き出しているとも言えるのだろう。本当は、一つ一つの対談はもっと深く突っ込んだ話も聞きたいと思わせるものも多いのだが、それでも18も集まると380ページもの分量となってしまう。

いずれにしても、かなり広い範囲の科学分野のトピックスを見ることができると共に、それぞれの分野における日本の研究者達の横顔や仕事の内容を知ることができる。その意味では、理科系に漠然とした興味を持っていて、今後の進路を考えている高校生あたりにも向いている本かもしれない。

日本の研究が必ずしも世界の主流ではないという点も注意する必要はあるが、日本にこのようにオリジナリティある研究を進めている人達がいることも知っておきたいものだ。でも、何故か今回登場する人達は、日本とか東洋とかを、独自性のよりどころとしすぎているみたいで、少し違和感も感じた。

本書で紹介された研究が更に発展し、いつか新たな成果として報道された時に、改めて本書を読み返すなんて楽しみもありそうな気がする。

著者の瀬名秀明さんのサイトを見ると、いろいろと関連情報が見られる。9月一杯は、オンライン書店bk1に 瀬名秀明書店 なんてのがあって、今購入すると著者オリジナルエッセイPDFがダウンロードできる特典があるらしい。

橋本大也さんが、最近の若者の科学離れの傾向と絡めて、書評を書かれている。

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2004/09/17

低硫黄軽油とPM

YOMIURI ON-LINE(9/17)の記事。「超低硫黄軽油」を全国発売、大気汚染改善に期待

 ディーゼル車規制を進めている東京都の要請を受け、大手石油精製、元売り会社が加盟する石油連盟は17日、来年1月から、「超低硫黄軽油」(硫黄分10ppm以下)の供給を全国で始めることを決めた。

 軽油に含まれる硫黄分を、現在流通している軽油(50ppm以下)の5分の1に抑えることになり、都は、全国レベルで、大気汚染の大幅な改善効果が見込めるとしている。

 ディーゼル車の燃料となる軽油がエンジン内で燃焼すると、硫黄分が粒子状物質(PM)になり、黒煙として排出される。PMは、大気汚染の主要な原因物質で、ぜんそくや花粉症にも悪影響を与えるとされる。

 現行の国の規制では、軽油の硫黄分は500ppm以下。同連盟は都の要請を受け、昨年4月から50ppm以下に引き下げた。連盟の試算では、この削減により、PM値は約10分の1に減り、光化学スモッグの原因となる窒素酸化物(N(Ox))も半分以下になった。

 今回の10ppmは、現時点の技術水準では限界値といい、都では「PM値がさらに5分の1に減ることも期待できる」としている。

 国は、2007年1月から規制値を10ppm以下にする方針を打ち出しており、今回の決定で、2年前倒しされることになる。

東京都のディーゼル車規制は非常に気合が入っていて、やや過激すぎるきらいもあるのだが、確かに着実な成果を手にしていることを認めざるを得ない。

しかし、この記事は何だかおかしくないか? NOxを何故かN(Ox)と書いているのはともかく、「硫黄分が粒子状物質(PM)になり」というのは、本当だろうか? しかも、硫黄の削減量に比例してPMが減るかのようだが、そんなに減るものだろうか?同じニュースを扱った、NIKKEI NETの 超低硫黄のガソリン・軽油を都内で先行販売へでは、

 低公害型ガソリンは硫黄量を極限まで抑えることで、排ガス中の炭化水素を最大約15%、窒素酸化物を約25%削減できるほか、軽油を使うディーゼル車では粒子状物質を20%程度削減できるという。
となっており、PM削減量が全然違うのはどうしてだろう?

東京都の発表資料には、硫黄分の推移の国際比較グラフがあって、わかりやすいが、PMについては全く触れられていない。東京都のサイトで調べると、ディーゼル規制関係の資料が沢山置いてある。例えば、低硫黄軽油は全国の一般スタンドでご利用いただけます!!には、

大気汚染の原因となる粒子状物質(PM)の量が5~10%減るとされています。
とある。また、低硫黄軽油の早期供給への歩みには、
 低硫黄軽油の使用は、硫黄の含有量が減った分だけ排ガス中の硫黄酸化物が削減されることのほか、それだけでも若干のPM(粒子状物質)低減に効果があると言われており、大気環境対策として意義あるものです。

 しかし、低硫黄軽油を早期に普及させる最大の目的は、より厳しいディーゼル車の排出ガス規制をクリアすることが可能な排出ガス低減装置の使用が、燃料に用いる軽油の硫黄分を少なくすること(現在500ppmを50ppm以下)で可能となるためです。

とあるし、一方の当事者、石油連盟の説明でも、
これらのPM減少装置は軽油中の硫黄分が高いと目詰まりを起こし熔損してしまうなどの問題があり、このシステムを円滑に機能させるためには低硫黄軽油(50ppm)が必要となります。
などとある。やはり硫黄を 50ppmまで減らすことで、硫黄が障害となって使えなかったPM減少装置が使えるようになり、結果として放出されるPMが減るというストーリーのようだ。従って、低硫黄軽油の導入とPM減少装置の採用とを合わせることで、PMの大幅削減につながるということで、東京都のディーゼル車規制は的を射ているわけだ。

実際に低硫黄軽油を導入して、PMがどれだけ減ったのか? については、平成15年度大気汚染状況の測定結果についてによると、確かに大幅に改善されている。もちろん、これはディーゼル車規制と低硫黄軽油の効果の合わせ技だが、それでも PMが1/10、NOxが1/2以下、とはなっていないようだ。。

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2004/09/16

研究者の倫理意識の記事

NIKKEI NET(9/16)の記事。文科省調査、研究者の倫理意識がやや低下

 文部科学省は15日、研究者の倫理意識について調査した結果を発表した。倫理を日常意識しているか尋ねたところ「10分意識している」「比較的意識している」との回答は計80.8%で、1999年度の前回調査に比べて2.3ポイント減少していた。

 調査は昨年度に研究者2000人を対象に実施、約7割から回答を得た。

 研究成果が予期せず社会に悪影響を与えた場合について聞いた結果では、技術を使う側の責任であり「研究者が責任を負う必要性は感じない」との回答が前回比8.9ポイント増の20.8%だった。一方で「研究の危険性を扱った論文に目を通す」が同4.2ポイント増の15.3%など倫理問題に積極的な動きもみられた。

今のところは何故か記事にしているのは、日経新聞だけのようだ。元の資料は、文部科学省の我が国の研究活動の実態に関する調査報告らしい。

日経の記事では倫理意識の低下をメインで取り上げているが、文科省の調査報告では、

研究者の倫理意識 (平成11年度調査結果との比較)
  倫理問題を日常的に意識している研究者の割合は、8割以上で、ほとんど変化なし
  一方、具体的な配慮をしている研究者は増加
とまとめられており、ニュアンスがまるで異なっているのが気になる。そもそも、この調査は、他の項目を見ても、前回調査との差異がとても大きく、バラツキの大きな調査のような印象を受ける。そのせいか、文科省としは倫理意識が低下しているとは一言も書いていないのだ。

普通に考えると、研究に対する倫理意識が議論される機会は、特にバイオテクノロジーを中心に以前よりも相当に増えているように思うし、他の分野でも研究者倫理や技術者倫理が話題になることが多く、倫理意識が低下しているとは考えにくいように思うのだが。

ということで、この記事は、新聞を読んだだけだと、間違った印象が植え付けられかねないという典型的例のような。。

この調査、実は倫理意識以外の項目の方が結構おもしろい。研究者に対する国民のイメージが良くなったと感じている研究者が急増したこと、その理由は最近のノーベル賞連発やマスコミの科学報道だと考えていることなども、少し意外な印象。年齢の高い研究者ほど、国民の科学技術リテラシーが向上していると考えているなんてのも興味深い。

一方、研究者が自らの成果を一般国民にどんな手段で説明したいか、という問いに対しては、インターネットの活用がもっと多くても良いと思うけど、意外と保守的な内容でガッカリだ。


日経の記事の「10分意識している」はさすがに校正ミスだろうけど、こんな単純なミスをするところを見ると、Webに載せる原稿は、漢数字を半角洋数字に機械的に変換するフィルターを通しているのかもしれない。(数字が半角というのは珍しいかも。日経新聞も紙面では漢数字を使っている。)

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2004/09/15

金超微粒子の磁性

asahi.com(9/15)の記事。金の超微粒子、磁石にくっつく 北陸先端大など確認

 金(きん)は100万分の数ミリ程度の超微粒子にすると、磁石にくっつく――。こんな新たな性質を、北陸先端科学技術大学院大学と高輝度光科学研究センターのチームが確認した。「将来的には、超小型で超大容量の磁気記録ディスクなどへの応用も期待できる」という。米物理誌フィジカル・レビュー・レターズ10日号で発表した。

 同大の山本良之助手らは、塩化金酸などを超純水に入れて反応させ、直径2~3ナノメートル(ナノは10億分の1)の金微粒子(金原子で約220個)を作った。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)で、これに放射光X線をあてて磁性を持つか調べた。温度を零下約270度まで下げると、微粒子が強い磁性を帯び、そろって磁場の方向を向いた。

 これまでも、金微粒子が磁性を持つ可能性は指摘されていたが、従来の研究設備では磁性を帯びた不純物に邪魔され、金微粒子そのものの性質ははっきりしなかった。

 金微粒子は常温では磁性を持たないが、鉄などの磁性金属を金微粒子で包めば、常温でも応用できると期待される。鉄などに金や白金など貴金属元素を組み合わせると、記録容量も飛躍的に高まるという。

直径2~3ナノメートルとは、正真正銘のナノテクノロジーだが、更に -270℃まで冷却し、その上 Spring-8 の強力X線を当てたという話だから、何というか、超の3乗みたいな特殊な条件の合わせ技の技術だ。金が磁性を持つかどうかぐらい、とっくの昔に解明されていそうなものだが、こんな特殊条件下ではいろんなことが起こるものだ。

スプリング8のリリースが金ナノ微粒子の強磁性を世界で初めて確認で読める。金微粒子の磁気的性質については、理論的に予測されていたわけではなさそうだ。まだまだナノの世界は奥が深そうだ。朝日新聞の記事では、塩化金酸と超純水で金の超微粒子を作成したように読めるが、どうやら有機高分子で金粒子表面を被覆して安定化させているようだ。

でも、これが将来の磁気記録への応用につながるか? と言われると、何だか実用化のためにはハードルが高すぎるんじゃないかと思うのだが。。むしろ、怪しげな健康グッズに使われて「ナノテクゴールド磁石採用!」なんてことになったりして。

おまけ: 微粉が磁石に付くという話で思い出したトリビア。意外と皆さん知らないけれど、本来磁石にくっつかないはずのステンレスも粉にすると磁石につくという話。

ステンレスのページに書かれてように、いわゆるステンレスとして最もポピュラーな 18-8ステンレス(18%Ni-8%Cr、工業的には SUS304と呼ばれる)はオーステナイト系の結晶構造を持ち磁石に付かない。しかし、このステンレスに粉砕等の機械加工をすると、その加工の力で結晶構造がマルテンサイト系に変わってしまい、磁石に付くようになるのだ。 (ナノ粒子の世界の話ではなく、ミリメートルサイズでも普通に起こる。)

以前、化学プラントで金属粉末が製品に混入し、これを磁石に近づけてみると良くくっ付いたのだが、鉄だとするとどこから混入したのかわからず、発生源をあちこち探したことがある。色々と調べてみたら、SUS304が摩耗してできる微粒子が磁石にくっつくことがわかり、原因が判明した。実際に、磁石につかない SUS304の板をやすりで削ってみると、できた粉末は磁石に良くつくことが確認できたのだった。 (逆に言うと、ステンレスの摩耗粉末を除去したい時には、磁石が使えるということでもある。)

磁石につくようになった粉末は、適当な条件で熱処理すると再度オーステナイトに戻るので、磁石につかなくなる。だから、ステンレス微粉末だからといって磁石に付くとは限らないので念のため。

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2004/09/14

飲酒と乳がん

NIKKEI NET(9/14)の記事。乳がんの危険、飲酒で3倍に・愛知医大教授らが調査

 1日に缶ビール(350ミリリットル)1本に含まれる程度以上のアルコールを飲む女性が乳がんになる危険は、まったく飲まない人の約3倍――との大規模疫学調査結果を、菊地正悟愛知医大教授(公衆衛生学)らが14日までにまとめた。29日から福岡市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。

 林桜松・同大講師は「多量の飲酒で、乳がんの増殖に関与しているエストロゲンという女性ホルモンが多くなるためではないか」と話している。

 全国24地域に住む40―79歳の女性約3万6000人を平均7年半、追跡調査した。

 その結果、調査期間中に乳がんになったのは151人。飲酒によるアルコール摂取量が1日平均15グラム以上の人は、飲酒しなかった人に比べ2.93倍、乳がんになりやすいことが分かった。

 お酒に含まれるアルコール量は、日本酒1合では約22グラム、焼酎0.6合で約22グラム。ビールなら大瓶1本で約25グラム、350ミリリットル缶で14グラム程度。

最近、乳がんに関するニュースが目立つが、このニュースはちょっと突っ込みたくなる雰囲気が漂っている。そもそも、缶ビール1本程度が多量の飲酒かどうか大いに疑問があるのだが、この程度の飲酒だと対象となる人が随分多そうだし、事実だとすると結構大きな影響がありそうだ。 (女性は飲酒を控えましょう、みたいなキャンペーンにつながると、アルコール業界は大変だろうな。)

乳がんについては、国立がんセンターの乳がんの解説記事で勉強するとして、その罹患率をがんの統計で見ると40歳以上で人口10万人当たり80~120人程度(1988年)。大雑把に言って 0.1%程度だ。一方で、Yahoo!のピンクリボンキャンペーンでは、「今、日本女性の25~30人に1人が生涯の間に乳がんにかかるといわれています」とあり、累積の罹患率では3~4%に達するようだ。(0.1%×35年で3.5%となり、大体辻褄は合っているようだ。)

さて、冒頭の調査だと 7.5年で0.4%の罹患となり、年間の平均罹患率は 0.05%となる。日本全体の統計と比べると随分小さいのが気になるが、もしや日本の現在の罹患率は、多くの日本女性が飲酒しているため、本来よりも高い、ということになるのだろうか? まあ、普通に考えれば、相当に微妙な差を問題にしている話と理解すべきだろう。3倍というと大きな違いに感じるけれど。。

飲酒習慣と寿命では、日本酒2合以内の飲酒は健康にプラス効果ありそうと書かれているし、市民のための環境学ガイドのWHOの健康寿命では、女性は飲酒で寿命が延びるという話を取り上げている。まあ、これらと乳がんの話が必ずしも矛盾するわけではないが、さてさて。。

お酒の消費量については酒税の関係から、きちんと抑えられているので成熟段階を迎えたお酒の消費なんていう結構面白い統計も見つかるが、女性の平均的飲酒量については、総理府の飲酒量についての統計あたりしか資料が見当たらず、今一はっきりしない。(ちなみに、この統計で、「飲酒習慣」とは週3回以上、1日に日本酒1合以上またはビール大1本以上飲むことをさすらしいので、毎日缶ビール1本を飲んでも飲酒習慣ありとは呼ばない。)

飲酒量が増えるとと罹患率が増加するのか? といったデータや、飲酒習慣が大きく異なる他の国の状況なんかも考慮しつつ考察すべきなんだろうけど、どうだろう??

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2004/09/13

ナノフェライト除菌フィルター

空気清浄機の性能競争が熱いようだけど、東芝が8月末に発表した「ナノフェライト除菌」には驚かされた。新聞記事だけでは訳わからなかったので、メーカーの発表を楽しみに待っていた。今日見たらWebにリリースが載っていたので、内容をチェックしてみたのだが。。

もとの発表は、例えば nikkeibp.jp(8/31)の記事。東芝、磁力でウィルス/細菌を破壊する空気清浄機を発売

東芝コンシューママーケティングは8月30日、磁力で細菌やウイルスを分解・除去する「ナノフェライト除菌フィルター」を備えた空気清浄機を10月16日より発売すると発表した。
   (中略)
微粒子化した強磁性フェライト(酸化物磁石)を不織布のフィルターに添着させ、磁場を形成する。電磁誘導の作用で電圧を誘起させ、電流を流して細菌やウイルスを破壊・除去する。「こうした方式の除菌フィルターは世界初」(同社)。従来のようにフィルターに付着したものだけでなく、通過する空気内の細菌やウイルスも除去できるという。
   (後略)
東芝コンシューママーケティングのプレスリリースを読むと、このナノフェライト除菌フィルターについては、
 超微粒子の強磁性フェライトを不織布に添着し、細菌やウイルスがフェライトを添着したフィルターを通過する際に、磁場を横切ることにより電磁誘導の作用により電圧が誘起され、細菌やウイルスに電流が流れ、細胞を分解・除去※3する世界初の除菌※2フィルターです。
という説明と、何だかよくわからない不思議な説明図が載っている。電気屋さん的には、この説明で理解できないのは、こちらが非常識だということになるのだろうか? 東芝さんは、モーターも作っている電機メーカーなんだから、電磁誘導についての説明くらい、もう少し詳しくしてくれてもよさそうなものだが。。

さて、電磁誘導については、初歩の物理のページから、電磁誘導 や、ゴロピカ電気講座の 電磁誘導 などで勉強できると思う。。 今回のフィルターが実現しているのは、「磁場の中を細菌が移動すると、電圧が発生し電流が流れる」という現象らしいが、どう理解するべきなのだろう?

まず磁場について考えてみると、強磁性体の微粒子を不織布フィルターに付着させただけでは、全体として向きの揃った磁場は望むべくもなく、ミクロにみてもランダムな磁場があるだけだろうと思うのだが。(強磁性体粒子をフィルターに付着させる際に、磁場の中で行えば、各微粒子の磁場の方向を揃えることはできるかもしれないが。)

例えば、固定された磁場がある時、細菌もしくはウイルスが荷電粒子だと仮定すると、これの移動は電流と考えられるから、磁場内を移動する時にフレミングの左手の法則で力が作用してフィルターにキャッチされる、というならわからなくもないが、そんな磁場がそもそも存在しているかどうか怪しいし、細菌やウイルスが最初から電荷を持っているとは考えられないからなあ。

でも東芝さんの説明に従うとすると、磁場内を(電荷を持たない)細菌もしくはウイルスが移動した時に、何故か電圧が発生するようだけど、それでどこからどこに電流が流れるのだろう? ん?? 細菌もしくはウイルス内に渦電流が発生する可能性はあるのかな? わからん。。

東芝さんのプレスリリースでは、フェライトの有無で通過する細菌の数が異なることを、この現象の証拠としてあげているみたいだけど、メカニズムを証明したことにはなってないし。

もしも、メカニズム等がおかしかったら、他の電機メーカーとかから反論が出てきそうな気もするし、もう少し情報収集を続けてみようかな。

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2004/09/10

環境危機時計とか終末時計とか

Yahoo!ニュース経由、共同通信(9/10)の記事。環境危機時計は9時8分 昨年よりやや改善

地球環境の悪化による人類存続の危機の度合いを示す「環境危機時計」は今年9時8分になり、過去最悪だった昨年より7分逆戻りしたと旭硝子財団(瀬谷博道理事長)が9日、発表した。
 同財団は「環境が改善されたというデータはない。昨年は米、ロシアの京都議定書批准問題がクローズアップされ、危機感が高まったが、その反動ではないか」と分析している。
 環境危機時計の時刻は同財団が毎年、識者を対象にしたアンケートを基に定めており、今年で13年目。時計が戻るのは4回目という。時計は12時が“滅亡時刻”。
 今年4月から6月にかけ、世界の環境問題の専門家や各国政府、自治体の関係者ら約3600人に調査票を送付。回答率は22・2%だった。
 昨年熱波や洪水に見舞われた北米や西欧の回答者は危機時計を進めがちだが、経済開発を重視する東欧やロシアの回答者は時計を遅らせる傾向にあった。
とのこと。アンケート結果から時間を求めたようだが、具体的にはどんな内容なんだろう? 旭硝子財団の地球環境アンケート調査を見ると、昨年までのアンケート結果のまとめが載っている。しかし残念ながら、具体的なアンケート調査項目や時刻の算出方法は見つからなかった。そういう付帯情報の公開も大事だと思うんだけど。。

昨年までの推移一昨年の地域別時計を見ると、昨今のテロや戦争に伴う事情の変化や、人口増加問題やエネルギー問題等が、きちんと考慮されているようには見えない。でも、細かく見ると、それぞれの地域毎の認識の違いも読み取れそうで、それなりにおもしろい調査ではある。

まあ、この時計、あくまでもアンケートによるものだから、環境危機そのものの深刻さを表すものではなく、環境危機に対する人々の危機感を示すものだ。今年は時刻が8分戻ったらしいが、それだけ環境が良くなっていれば良いが、逆に皆が危機意識に麻痺したとか、環境問題なんか考えている余裕がなくなっただけかもしれない。それにしても、アンケート回収率がずーっと20%前後と低いことが気になる。

そういえば、これとは別に、核戦争による地球の危機を表わす時計があったな、と思って探したら、Doomsday Clock(終末時計)だった。2002年以降は、23時53分となっているようだ。この時計の説明は、ひらがなが多いけど、時の理科ページが親切だ。これによると、1990年以降は地球温暖化やオゾンホール等の環境問題も考慮されているらしい。

おまけだが、人類滅亡までの時間と共に、個人の余命も計算してくれる、人類滅亡時計なんてページを見つけた。この数字の信憑性はともかくとして、個人別の余命を算出するというアイデア、厚生労働省の周辺なんかが真面目に作って公開しても良いと思うなぁ。(いろいろとデリケートな問題も含めて、功罪両面あるとは思うけど。。)(何歳まで生きられるか?なんてページもみつかった。)

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2004/09/09

赤血球成分献血導入?

NIKKEI NET(9/8)の記事。高校生からも「400ml」、献血基準見直しへ

 輸血や血液製剤に必要な血液を安定的に集めるため、厚生労働省は献血の基準を見直す方向で検討を始める。高校生世代の400ミリリットル献血の“解禁”や新たな成分献血の導入などがテーマ。若年層の献血者数が減っているうえ、少子高齢化で将来は輸血用血液などが国内自給できなくなる恐れがあるためだ。血液の安全のためにも国内での「量」の確保が必要とみている。

 献血基準の改定は1999年以来。大幅な改定になれば約20年ぶりになる。専門家でつくる血液事業部会の安全技術調査会で年度内にも本格的な議論を始める。

 現行の献血は「全血献血」と「成分献血」があり、それぞれ200ミリリットルと400ミリリットル、血しょうと血小板に分かれる。例えば400ミリリットルの全血献血は18―69歳、男女とも体重50キロ以上などと基準が定められている。

という記事だが、何故か日経以外には全く載っていない。日経新聞の9/8の夕刊には、この記事の続きとして
輸血用血液や血液製剤の大半は、高齢者のがんなどの医療に使われているが、献血をするのは8割が50歳未満。現在、輸血用血液は全量を国内の献血でまかなっているものの、少子高齢化で25年には必要量の63%分しか供給できないとの日赤などの推計もある。

特に供給不足が心配される赤血球の成分献血についても研究。体重60kg以上の男性から全血で600ミリリットル相当の赤血球を採血しても健康に大きな問題がないことが分かった。

と書かれており、「新たな成分献血」とは赤血球成分献血のことらしい。成分献血については公的機関の説明はそっけないが、現役の看護士さんが書かれた 献血倶楽部 や、献血する側の立場から書かれた けんけつ・どっと・こむ などが参考になる。

全血で600ミリリットル相当というと、さすがに身体への負荷が大きそうだ。。岡山県 献血の推進にあるように、体重 60kg男性の体内血液量が 4800ミリリットルとすると、400ミリリットルはその 8.3%なのに対して 600ミリリットルだと 12.5%に相当する。失血の許容範囲が 15%とすると、12.5%はその 83%にも達することになり、結構きつそうだ。

*失血で問題になるのは循環血液量であり、赤血球については、この程度ならば大きな問題ではないでしょう、というコメントをいただきました。詳しくは下のNATROMさんのコメントを参照ください。

現在の成分献血は、ドナーに対しての負荷が少ないのが一つの売りになっていたけど、赤血球成分献血は一体どんな採血条件となって、赤十字がどんな宣伝をするやら興味がある。

献血のメニューが増えるのは良いことのようにも思えるが、一方では、誰がどうやって献血の種類を決めるのか? 現状でもいろいろと問題がありそうだけど、献血現場でのメニューの選び方について、もっとオープンでわかりやすく納得のいく仕組みが必要な気がする。実現はまだまだ先の話のようだが、興味をもって見守るとするか。

なお、採血装置側は、ヘモネティクス社 CCSあたりの情報を見ると、良く分からないが、そのまま赤血球成分採血ができそうに見える。

*CNN.co.jp(9/9)によると、献血後にビールもOKの飲み物券を配布、オハイオ州によると、献血者を増やすためにレストランやバーなどで飲み物が1杯飲める券を配布するのだそうだ。

米国では全国的に血液が不足しており、各州は献血協力を呼び掛けるため様々な特典を用意している。ミシガン州では、Tシャツや帽子、バッジがもらえるほか、カリフォルニア州サンディエゴでは、ホエールウォッチングの優待券などがもらえるという。
ということで、日本と比べても、それ程驚くような特典は用意されていないようだ。

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2004/09/08

宇宙太陽光発電の新技術

中日新聞(9/8)の記事。宇宙太陽光で発電 宇宙航空機構など開発

 宇宙空間で太陽光を集めレーザーに変え、地上に送って発電する-。そんな夢の実現を目指す宇宙航空研究開発機構とレーザー技術総合研究所(大阪府吹田市)は、従来の二十倍近い37%という高い効率で太陽光をレーザーに変換する技術を開発した。

 実用化に一歩近づく成果で、宇宙機構の森雅裕・高度ミッション研究センター長は「二〇一〇年までに太陽光の変換装置を搭載した人工衛星を打ち上げ実証実験を始めたい」としている。

 宇宙での太陽光発電は大気や雲で太陽光が弱められる地上に比べ、集められる光の量が圧倒的に多いという利点があり米航空宇宙局(NASA)なども研究中。ただ地上にエネルギーを送るために損失の少ないレーザーに変えねばならず、その変換効率は約2%にとどまっていた。

 宇宙機構などは、イットリウムやアルミニウムなどでできたYAGという物質にクロム原子を加え、高温処理し、セラミックYAGという物質を開発。光が通ると一部をレーザーに変える「レーザー媒質」に使った。

 従来のレーザー媒質は太陽光中のさまざまな波長の光のうち、ごく一部しかレーザーに変換できなかった。セラミックYAGではクロムの働きで変換可能な光の波長帯が飛躍的に拡大。変換効率が37%に達することが実験で確かめられた。

 同研究所の内田成明主任研究員は「変換効率を上げる原理は確立できた。今後は衛星に載せる変換装置の設計を急ぎたい」と話している。

 <宇宙太陽光発電> 静止軌道などに人工衛星を打ち上げ、太陽光を利用して発電するシステム。地上での太陽光発電は日中に限られるが、宇宙では昼夜の区別なく太陽エネルギーを使えるのが利点。太陽光をレーザーに変換して地球に向けて照射し、地上の施設で発電する方式や、巨大な太陽電池パネルを備えた衛星を使って軌道上で発電し、電力をマイクロ波で地上に送る方式が研究されている。

人工衛星が太陽電池を広げて軌道上で発電し、マイクロ波で地上に伝送するという良く知られた(?)方法ではなく、太陽光をレーザー光に直接変換して地上に送り、地上で発電する方式らしい。

もっとも JAXA(宇宙航空研究開発機構)のページにある太陽光発電の説明だと、

宇宙太陽光発電の構想では、高度3万6000キロメートルの軌道上に大型の太陽電池衛星を設置し、ここで発電した電力を、いったん高度20キロメートルの低空に浮かぶ飛行船にレーザーで中継し、さらに地上のアンテナへはマイクロ波や光ファイバーで送信するという方法が考えられています。
となっており、先の記事とはレーザーの使い方が異なり、一旦太陽電池で発電してからレーザー伝送する計画のようだ。

もう一方の当事者であるレーザー技術総合研究所のサイトには、宇宙レーザーのページでは、「宇宙の太陽光エネルギーをレーザー技術を駆使し有効にエネルギー変換-伝送し地上でエネルギー源に用いる」と書かれており、太陽光をレーザーに直接変換するように読めるが、レーザーエネルギー伝送のページには、「太陽光発電衛星のエネルギーをレーザー光に変換して地球に送る」と書かれており、一旦発電してからレーザーに変換するように読める。よくわからないぞ??

さらに探してみると、同じレーザー技術総合研究所の発行するレーザー・クロスという雑誌に太陽励起レーザー宇宙太陽光エネルギー利用システム(L-SEUS)という関連記事がみつかった。これによると、最初の新聞記事にあるように、太陽光エネルギーを直接レーザー光に変換し、レーザー光を地上に送るシステムを想定しており、地上では水の分解によって水素エネルギーに変換する計画のようだ。

太陽光をレーザーに変換する素子についても、太陽光直接励起型固体レーザーの開発に詳しく書かれており、レーザー方式とマイクロ波方式との比較もされている。

それにしても、変換効率を20%として、原発1基分程度の1GWの発電のためには、直径2km程度の集光鏡、200m四方という大量のYAG(ファイバーを束ねたものでよいらしいが)が必要になるなど、想像を絶するスケールだ。それ以外にも確立すべき技術は山積のようだが、夢のある技術でもあり、注目したいところだ。

他にも参考になる資料としては、マイクロ波送電技術が中心だが、
  気になる化学探検隊「家庭のコンセントか宇宙へ繋がる 宇宙太陽光発電衛星構想」
  市民的危機管理入門 未来エネルギー論
  NEDO海外レポート NASA、宇宙空間での太陽光発電に再挑戦
など。

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2004/09/07

ココログ8か月

ココログを始めて8か月が経過です。カウンターの伸びは、この1か月は17500程度となり、前月までのペースを大きく上回りました。後に書きますが、オリンピック特需だったようです。

 1か月目:900
 2か月目:4500
 3か月目:11700
 4か月目:19000
 5か月目:32300
 6か月目:43500
 7か月目:54500
 8か月目:72000

この1か月の、Ninjaツールの集計によるアクセス解析結果は、

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp (ご存知ヤフーサーチ) 全体の17%(前回2位)
 2位 bookmark (お気に入りに入れてくれた方) 全体の13%(前回1位)
 3位 http://a.hatena.ne.jp 全体の1%(前回4位)
 4位 http://www.search.msn.co.jp(MSNサーチ 全体の1%(前回11位)
 5位 http://www.google.co.jp(ご存知グーグル日本版) 全体の1%(前回3位)

この結果、実はNinjaの集計が明らかに間違っていて、本当は Googleがコンスタントに2位だと思うのですけどね。それでも今月、ヤフーサーチが断トツに多かったのは確かなようです。

実はこれ以外に、最近目立つのが、http://www.baidu.com からの検索。百度という中国の検索サイトのようだ(参考)。 で、一体中国の皆さんはどんなキーワードでこのサイトに来ちゃうのかを調べてみると、こんな感じです。
  usa最色的网站 何だ?
  生 殖 器 写真 おいおい!
  日本素人娘 ???
中でも、下の二つのキーワードで訪ねてくる人が後を絶たないという現状なのでした。。。中国の皆様、ご期待にお応えできずに申し訳ありませんね。 orz (というか、何故このサイトが上位に来るのだろうか? 検索ロジックを見直したほうが良いのではないかと。。)

(2)検索キーワード
 1位 金メダル(初登場)
 2位 オリンピック(初登場)
 3位 重さ(初登場)
 4位 メダル(初登場)
 5位 青いバラ(前回3位)
 6位 サントリー(前回2位)
 7位 ルミセラ(初登場)
 8位 合計特殊出生率(前回13位)
 9位 水質検査(前回14位)
10位 平石クリニック(前回28位)

ということで、この1か月はオリンピック関連の検索で来られた方が多かったみたいですね。オリンピック関係では、
  5/24の金メダル遺伝子?
  7/08のにんにく注射がオリンピックに
  8/17の銅メダルはブロンズ?
なんてのがあるんですけど、キーワードから見ると、金メダルの重さを調べて来られた方が多かったみたいですね。夏休みの宿題関係だったりして。。

なお、このブログのバックナンバーは、こちらに整理してありますので、興味のある方はどうぞ。(このページの右下にもリンクが置いてあります。)

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2004/09/06

地震のマグニチュードと Richter scale

昨夜の紀伊半島沖の地震2連発について、海外の報道を見ようとGoogle Newsで探したら、予想以上に多くの記事が集まっていた。 地震の規模について、CNN.comでは、

The two offshore quakes Sunday -- the first with a magnitude of 6.9 followed by a 7.3-magnitude temblor five hours later -- were felt most strongly in sparsely populated areas in southwestern Wakayama prefecture (state), about 450 kilometers (280 miles) west of Tokyo.
と "magniture" で書かれている。(地震を表すのに "temblor" なんて単語もあるんだ) 一方、例えば reuters.co.uk では
An earthquake measuring 7.4 on the open-ended Richter scale shook western Japan just before midnight on Sunday, forcing hundreds to evacuate as quake-generated tsunami waves approached.
と、マグニチュードではなく、"Richter scale"で書かれている。今回の2回目の地震のマグニチュードについては、速報値は 7.3 だけど、後に 7.4 に修正されたようなので、CNN と Reuters で数値が異なるのが、この物差しの違いなのか、発表時点の違いなのか不明。

ということで、マグニチュードと Richter scale の関係を調べてみると、ウィキペディアに簡潔にまとまっているが、地震のマグニチュードを表す定義は沢山あるということがわかる。気象庁の発表するマグニチュードは、気象庁独自のものらしいので、気象庁のサイトで探してみると 気象、地震、火山、海洋等の基礎知識というページがあったが、マグニチュードについてはあまり詳しく触れられていない。昨年9月のマグニチュード算出方法変更については、報道発表資料が読める。

この話はなかなか難しいが、他にも解説記事としては、

  地震被害0をめざして
  日本地震学会
  東大地震研
  Hi-net 高感度地震観測網

などが参考になる。マグニチュードが対数尺度で、マグニチュードが2大きくなると地震のエネルギーが1000倍になること、また地震のマグニチュードが大きくなると、対数尺度で直線的に発生頻度が減少するということ(グーテンベルグ-リヒター(Gutenberg-Richter)の関係式と呼ばれる)も初めて知った。

ということで、恐らく、海外のメディアが日本の地震の規模を "Richter scale" と表記するのは、厳密に言うと誤りなのだろうと思う。

ところで、津波については

Tsunami -- waves triggered by seismic activity -- as high as 90 centimeters (3 feet) were recorded along the Pacific Coast Sunday, though the Meteorological Agency lifted its tsunami warnings early Monday.
のように、CNNでは解説付きで "tsunami"という単語を使用しているが、他の新聞は特に解説なしで普通に "tsunami" を使っているようだ。

*おまけ、大地震は「だいじしん」か「おおじしん」か?

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2004/09/03

猫が鳥インフルエンザに感染

asahi.com(9/3)の記事。 鳥インフルエンザ、ネコの発症を実験で確認

 病原性の強い鳥インフルエンザH5N1が、ネコにも感染して病気を引き起こし、重い場合は死に至ることを、オランダのエラスムス医療センターの研究者が確認した。3日付の米科学誌サイエンスで発表する。ネコの発症が実験で確認されたのは初めてという。

 気道にウイルスを直接付ける方法で3匹、感染した鳥の肉を食べさせる方法で3匹調べた。いずれのネコも発熱や肺炎などの症状が現れ、気道感染のネコ1匹は感染後6日で死亡した。

 国立感染症研究所の田代真人ウイルス第3部長は「今回の研究で、人で流行するインフルエンザにネコは感染しない、という結果も出ている。人と鳥の両方のウイルスに感染してしまうブタでは両方が混ざり合って新型ウイルスが生まれる可能性が懸念されているが、その恐れはネコではなさそうだ」と話している。

ということで、半年程前に大騒ぎしていた鳥インフルエンザのニュースが最近になって再び、いろいろと聞こえ始めている。例の Google News で関連記事を探してみると、色々と出てくるが、記事によって若干ニュアンスが異なるようだ。

朝日は、上記のように、ヒトへの感染については余り心配する必要がなさそうなコメントを載せているのだが、MSN-Mainichi INTERACTIVE(9/3)では、鳥インフルエンザ:猫に感染確認 人への感染型に変化の恐れも

 猫はA型インフルエンザウイルスに感染しにくいとされていたが、今年2月、タイでの感染が報告された。このため、研究チームは、ベトナムで鳥インフルエンザにかかった患者からウイルスを採取し、猫3匹に接種する実験をした。

 その結果、3匹とも発熱や呼吸困難などの症状が出て、1匹は接種後6日目に死んだ。ウイルスを接種した猫と同じ部屋にいた別の猫や、ウイルスに感染した鶏を食べた猫も感染した。

 人のA型ウイルス(H3N2型)を別の3匹に接種しても感染せず、A型でもH5N1型が猫に感染しやすいことも確認できた。

 大槻公一・鳥取大教授(獣医微生物学)は「研究は、鳥インフルエンザが予想外の身近な動物を通じて広がる可能性を示した」と話している。

と、タイトルで人への感染の可能性を示唆しているし、コメントも朝日よりも危険性を強調するニュアンスが感じられる。もっとも記事本文には人への感染については直接触れられていないので、タイトルだけが先走っているようにも見えるのだが。

他にも、Yahoo!ニュース経由 共同(9/3) 猫も鳥インフルエンザ感染 実験で確認、人間に危険もでは、

猫の体内でウイルスが交雑して新たなウイルスをつくりだす危険は、豚よりも低いとみられる。
とあるが、Yahoo!ニュース経由 産経新聞(9/3) 鳥インフルエンザ、猫への感染確認 オランダの研究グループでは、
猫の体内でヒトに感染しやすい新型のインフルエンザウイルスに変異する可能性もあることから、十分な注意を喚起している。
とあり、どっちなんだかよくわからない。。

元々の論文は、Science Magagine のサイトで、Avian Flu Finds New Mammal Hostsで読める。研究者は、

The study underscores H5N1's ability to infect multiple mammal species, which is unusual for strains that circulate in birds. That prowess may help the virus acquire the genes necessary to become easily transmissible among humans, a prerequisite for triggering a pandemic. "The more hosts it gets into, the more possibility it has to change,"
のように、感染する種が増えれば、人へ感染する型に変異する可能性も増えるだろう、という立場らしい。

アメリカの Google News で関連ニュースを探して見つけたのが、NATIONAL GEOGRAPHIC NEWS。この記事は、人への感染の可能性を強く警告する立場と、恐れる必要はないという立場の、両方のコメントを併記している。

鳥インフルエンザや、H5N1って何? という疑問いついては、農林水産省の鳥インフルエンザに関する情報よりも、Yahoo!ニュースが紹介してくれた、獣医師広報板の、インフルエンザの基礎知識および鳥インフルエンザについてが図表が充実していて、説明も親切でお勧めだ。


結局、鳥インフルエンザに罹った鶏肉を猫が食べると感染する可能性あり、しかも猫から猫への水平感染もあり、だけど豚と違って猫は人のインフルエンザには感染しないので、今の所は人への感染源として心配する必要はないということか? もちろん、可能性の話をすればきりがないのだけれど、とりあえずは身近な猫が風邪引いたら気をつけましょうね、という程度かな。。

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2004/09/02

「図解科学捜査マニュアル」

目次をパラパラとめくってみると、犯罪捜査の基礎っぽい項目がズラッと並んでおり、雑学的には知っているのも面白そう、ということで読んでみた。

王様文庫
 図解 科学捜査マニュアル
 「事件・犯罪」研究会 編 bk1amazon

TVなんかでお馴染みの、種々の犯罪捜査手法についての解説だ。科学捜査と銘打っているけど、それほど科学的に突っ込んだような専門的な内容は出てこない。血液型やDNAの鑑定がどの程度の試料からどこまで可能か?とか、死因の鑑定はどんな着眼点で行われるか、というような普通の人向けの話が沢山出てくる。

どちらかというと、現在の最新技術を駆使した最先端情報というよりは、過去の犯罪で使われた鑑定の例を交えながらの、比較的枯れた技術の紹介というか、地味な手法が並んでいる印象だ。実際の捜査現場は、意外とそんなものなのかもしれないが。

さすがに、最新の状況は安全上の理由から公表できないのだろうか? でも、Spring-8 はヒ素カレー事件や、最近も警察庁長官暗殺未遂事件でニュースに出てきたし、本書のタイトルからして、この手の話が少しぐらい載っていても良さそうなものだが。

本書で扱っているそれぞれの項目は、推理小説だとかTVドラマ、或いは実際の事件報道等で、聞いたことがあったり、何となく知っているつもりのことが多いのだけど、本書で改めて説明を読むと、結構知っていそうで知らないことが多かったことに気付く。一般人には、人が死んだ後の身体の変化なんてのを冷静に知る機会は中々ないからなあ。

ということで、この本を読んでも、これから完全犯罪をしてやろう、と考えている人にはアバウト過ぎてあまり役に立たないかもしれないが、推理小説を書こうという人には参考程度にはなりそうだ。

本書では、メインの話の他に、各ページの下部欄外にコラムが載っていて、雑学のネタとして楽しめそうなものもあった。(死後の体温の低下速度だとか、弾丸の種類別のスピードなど。まあ、死に関するネタばかりなので、あれだけど。)

本書の帯には「どこまでプロファイリングできるか!事例満載!」と書かれている。そう言えば、一時「プロファイリング」という言葉が流行したけど、何故か最近はパッタリと聞かなくなったような。

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2004/09/01

Googleニュース サービス開始

グーグルニュース開始の Googleニュースで読める様々な記事によると、本日(9/1)から日本と韓国でも Googleニュースサービスが始まった。

このGoogleニュースのページは、自動更新になっているので、常時接続環境で立ち上げておくと、勝手に最新ニュースを集めて表示してくれるようだ。

海外ニュースを探すのに、従来から英語版は時々使用していたけれど、このサービスはとても便利だと思う。何よりもニュースだけを検索できるし、あるニュースに関連した記事がグループ化されているので、一つのニュースについて様々なサイトの記事を比較して読むことができる点も良い。

従来からある、Yahoo!ニュースは、読売新聞、毎日新聞、産経新聞はカバーしているけど、朝日新聞や日経新聞はカバーしていないし、他のポータルサイトのニュースでも、朝日はあるけど読売がなかったりで、大手新聞社サイトを全部カバーしているところはなかなか見つからない。よくわからないが、いろいろなしがらみがあるらしい。

Googleニュースは少なくとも今の所は、朝日、読売、毎日、日経といった大手は全てカバーしているようだ。と思いきや、あれっ?? 読売は消えたのか?(午前中には読売新聞の記事へのリンクもあったと思ったのだが。。)産経もないみたいだ。読売と産経と来ると著作権絡みかな? ITmediaの記事にも

 ただし、Webサイトに掲載した記事への直接リンクなど、いわゆる“ディープリンク”に対する風当たりは強い(関連記事)。国内でも、ニュース記事のタイトル(見出し)は著作物であるとして、読売新聞社がニュースリンクの配信サービス会社を相手に訴訟を起こしたことがあり(東京地裁で敗訴)、同社のような検索エンジンサービスにも配慮が求められそうだ。

 こうした指摘に対してチェン氏は、「社内の見解では(同サービスは)合法的なもの。ただし、コンテンツホルダー側が希望すれば、検索エンジンがそのサイトを訪れないようにすることは可能だ」と話している。

と書かれている。Googleニュースの検索結果に出てこないとなると、読売や産経の記事を読みに行く人が減るのではとおせっかいな心配もしたくもなるのだが、逆にこのままだと Googleニュースの価値が期待ほどは高くないとも言える訳で。。

今の所、まだ関連ニュースの集積状況が不十分な印象(メジャーなニュースなのに大手新聞社の記事が全部揃っていない等)があるが、これは徐々に改善するものと期待しておこう。普段あまり見に行くことがない、スポーツ新聞や地方新聞へのリンクが出てくるのは、楽しみが増えた点で歓迎だ。

あと、英語版では気が付かなかったけど、NIKKEI NETによると、

 なお、このサービスは通常のGoogleの検索結果と連動しています。ユーザーがGoogle.co.jp上で検索を行うと、検索キーワードに関連したニュースが存在する場合は、ニュースの見出しが通常の検索結果とは明確に分けられてページの上部に表示されます。
ということで、試しに Googleで、"オリンピック 特別賞"と検索してみると、一番上にニュース検索結果がリストアップされている。これも便利な機能だ。

今後の改善要望項目として是非お願いしたいのは、関連ニュースに海外サイトも加えて欲しいということ。日本で話題になっているニュースが、海外ではどんな報道されているのかとか、逆に日本では簡単にしか紹介されていないけど、海外の詳しい情報が知りたい、なんてニーズが結構ありそう。

もっとも、このサービスは完全に自動化されているのが特徴らしいので、実現は難しそうだが、現在はベータ版につきご意見ご要望を受け付けているらしいので、一応投げてみるか。。

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