水銀フリー酸化銀電池
nikkeibp.jp(9/29)の記事。ソニー、世界初の無水銀酸化銀電池を発売へ。
ソニーは、水銀を使用しないボタン形酸化銀電池を、05年1月から発売する。無水銀ボタン形酸化銀電池の商品化は世界初。今回発売されるのは、主要10機種。発売される無水銀化酸化銀電池には、鉛も使われていない。タイトルを見たときに、無水の銀酸化電池だと思ったのはともかく、「無水銀化酸化銀電池」ってわかりにくいよね。電池の水銀フリー化は既に完了していたのかと思っていたら、酸化銀電池はまだ水銀を含んでいたんだ。 ソニーのプレスリリースに詳しく説明されているが、これによると現在のボタン型酸化銀電池には 0.2wt%程度の水銀が含まれているようだ。酸化銀電池などのボタン形電池では、無水銀化が難しいとして、欧州議会や欧州環境理事会の電池に対する仕様要求(電池指令)でも、例外的に水銀の継続使用が認められる可能性がある。しかし、同社が無水銀電池を開発したことで、販売個数換算で、年間約320Kgの水銀の使用を削減できる見込み。ソニーでは、無水銀化の技術について、日、米、欧で5件の特許出願中。
電池メーカー各社の情報をざっと調べてみたけど、アルカリ電池やマンガン電池については、完全水銀フリー化(何故か水銀ゼロ使用と呼ぶようだ)されたことが宣伝されている一方で、酸化銀電池には水銀が含まれていることをわかりやすく明記しているサイトはみつからなかった。
電池一般については、電池工業会が比較的よくまとまっているけど、各電池がどんな重金属を含んでいるか、のような情報は見当たらない。なお、ボタン電池の型番が SR で始まるのが酸化銀電池、LR はアルカリ電池だ。(今は手に入らない水銀電池は MR 。)
例えば、環境問題を考えるサイトの中でも信頼性が高いと思われる、環境研究所が運営しているEICネットのエコキッズのページでも、
電池には水銀やカドミウムなど廃棄によって環境中に放出されると有害な成分を含むものもあります。水銀に関しては、国内産の電池に関しては現在は無水銀化されているものの、外国産のものなど一部には水銀を含むものもあります。と書かれており、酸化銀電池には未だに水銀が使われていることは一般的には知られざる事実なのかもしれない。
ソニーの環境活動に関する報告によると、
クラス1物質として指定されている物質で、代替物質がないために2003年度に使用されたのは、電池材料の添加物として使用される水銀704kgです。電池生産量の増加に伴い、前年度に比べ使用量が約2倍に増加しています。とあるから、ソニーが今回削減するという、酸化銀電池に使われている水銀320kgと比べると、あと380kg程度の水銀が他の電池に使われているということか?
今回は、ソニーが水銀フリー化に成功したので、こうして記事になったけど、そうでなければ一般の人の目に止まるようなところには何も出てこないのが実情なのかな。敢えて知る必要もないと言ってしまえばそれまでだが。(この程度の水銀を含有していることを表示する義務はないってことだろう。) 確かに、廃棄の際に、販売店の回収ボックスにキチンと捨てれば環境への問題はないのだろうけど。。
まあ何はともあれ、今回のソニーさんの新技術はヨーロッパの厳しい環境規制へ先回りして対応したということで、色んな面で意味のあることだと思う。もっとも、酸化銀電池を使わないという選択肢だって世の中にはあるわけで、今回の代替技術の安全性や環境負荷についても総合的に正しく評価する必要があるだろうし、業界や他のメーカーはどう動くのかも興味があるところだ。
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