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2004/09/09

赤血球成分献血導入?

NIKKEI NET(9/8)の記事。高校生からも「400ml」、献血基準見直しへ

 輸血や血液製剤に必要な血液を安定的に集めるため、厚生労働省は献血の基準を見直す方向で検討を始める。高校生世代の400ミリリットル献血の“解禁”や新たな成分献血の導入などがテーマ。若年層の献血者数が減っているうえ、少子高齢化で将来は輸血用血液などが国内自給できなくなる恐れがあるためだ。血液の安全のためにも国内での「量」の確保が必要とみている。

 献血基準の改定は1999年以来。大幅な改定になれば約20年ぶりになる。専門家でつくる血液事業部会の安全技術調査会で年度内にも本格的な議論を始める。

 現行の献血は「全血献血」と「成分献血」があり、それぞれ200ミリリットルと400ミリリットル、血しょうと血小板に分かれる。例えば400ミリリットルの全血献血は18―69歳、男女とも体重50キロ以上などと基準が定められている。

という記事だが、何故か日経以外には全く載っていない。日経新聞の9/8の夕刊には、この記事の続きとして
輸血用血液や血液製剤の大半は、高齢者のがんなどの医療に使われているが、献血をするのは8割が50歳未満。現在、輸血用血液は全量を国内の献血でまかなっているものの、少子高齢化で25年には必要量の63%分しか供給できないとの日赤などの推計もある。

特に供給不足が心配される赤血球の成分献血についても研究。体重60kg以上の男性から全血で600ミリリットル相当の赤血球を採血しても健康に大きな問題がないことが分かった。

と書かれており、「新たな成分献血」とは赤血球成分献血のことらしい。成分献血については公的機関の説明はそっけないが、現役の看護士さんが書かれた 献血倶楽部 や、献血する側の立場から書かれた けんけつ・どっと・こむ などが参考になる。

全血で600ミリリットル相当というと、さすがに身体への負荷が大きそうだ。。岡山県 献血の推進にあるように、体重 60kg男性の体内血液量が 4800ミリリットルとすると、400ミリリットルはその 8.3%なのに対して 600ミリリットルだと 12.5%に相当する。失血の許容範囲が 15%とすると、12.5%はその 83%にも達することになり、結構きつそうだ。

*失血で問題になるのは循環血液量であり、赤血球については、この程度ならば大きな問題ではないでしょう、というコメントをいただきました。詳しくは下のNATROMさんのコメントを参照ください。

現在の成分献血は、ドナーに対しての負荷が少ないのが一つの売りになっていたけど、赤血球成分献血は一体どんな採血条件となって、赤十字がどんな宣伝をするやら興味がある。

献血のメニューが増えるのは良いことのようにも思えるが、一方では、誰がどうやって献血の種類を決めるのか? 現状でもいろいろと問題がありそうだけど、献血現場でのメニューの選び方について、もっとオープンでわかりやすく納得のいく仕組みが必要な気がする。実現はまだまだ先の話のようだが、興味をもって見守るとするか。

なお、採血装置側は、ヘモネティクス社 CCSあたりの情報を見ると、良く分からないが、そのまま赤血球成分採血ができそうに見える。

*CNN.co.jp(9/9)によると、献血後にビールもOKの飲み物券を配布、オハイオ州によると、献血者を増やすためにレストランやバーなどで飲み物が1杯飲める券を配布するのだそうだ。

米国では全国的に血液が不足しており、各州は献血協力を呼び掛けるため様々な特典を用意している。ミシガン州では、Tシャツや帽子、バッジがもらえるほか、カリフォルニア州サンディエゴでは、ホエールウォッチングの優待券などがもらえるという。
ということで、日本と比べても、それ程驚くような特典は用意されていないようだ。

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コメント

麻酔科か外科の先生のほうが詳しいと思いますが、失血の際にまず問題になるのは、循環血液量の低下であり、貧血(ヘモグロビン濃度の低下)ではありません。失血で循環血液量の12.5%を失ったらかなりキツイと思われますが、失った分の量の液体(生理食塩水など)を補充してやれば、循環は保たれます。

「血液製剤の使用指針」(お前ら無駄に血液製剤を使用するんじゃねえという注意書き)には、循環血液量の15~20%の出血には、血液製剤を使用せず、「細胞外液系輸液薬を出血量の2~3倍投与」とあります。
http://www.imcj.go.jp/yuketsu/news-1.html

2~3倍投与するのは、細胞外液には膠質浸透圧がないので、輸液しても血管外に漏れ出る分があるからです。膠質浸透圧が血液と同等の輸液を出血量と同じだけ行なえば、原理的には循環動態はほぼ保たれます。「赤血球の成分献血」とあるからには、赤血球だけとって残りの蛋白質の含まれた部分は体に戻すでしょうから、それほど問題はなかろうと思われます。

投稿: NATROM | 2004/09/09 22:53

NATROMさん、コメントありがとうございます。

血漿成分献血は負荷が小さいと宣伝するので、てっきり赤血球を失うことが致命的なのかと思い込んでました。そういえば、失血の危険性ってのは血圧の低下なんて聞いたことがあるような。

「膠質浸透圧」、初めて聞きましたが、Kitasato Univ. Electronic Textbookでお勉強しました。

実は、もう一つイメージしてたのは血液検査の結果で出てくる赤血球数です。個人的にこの数値が低めで 450万/μL程度ですので、12.5%低下すると 394万になります。絶対値としてはともかく、この変動は結構きつくて、貧血気味になりそうだなと思ったのですが。

でも、献血の際の検査結果を見てみると、赤血球数のバラツキも結構あって、確かに許容範囲内なのかな、という気がしてきました。まあ、赤血球は他人様に差し上げる程、豊富ではなさそうなので、赤血球成分献血は遠慮しておこうかと思いますが、マニアとしては一度ぐらいは経験してみたいし。。 実際に機会があれば、お医者さんと相談してみましょう。

投稿: tf2 | 2004/09/09 23:49

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