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2004/09/13

ナノフェライト除菌フィルター

空気清浄機の性能競争が熱いようだけど、東芝が8月末に発表した「ナノフェライト除菌」には驚かされた。新聞記事だけでは訳わからなかったので、メーカーの発表を楽しみに待っていた。今日見たらWebにリリースが載っていたので、内容をチェックしてみたのだが。。

もとの発表は、例えば nikkeibp.jp(8/31)の記事。東芝、磁力でウィルス/細菌を破壊する空気清浄機を発売

東芝コンシューママーケティングは8月30日、磁力で細菌やウイルスを分解・除去する「ナノフェライト除菌フィルター」を備えた空気清浄機を10月16日より発売すると発表した。
   (中略)
微粒子化した強磁性フェライト(酸化物磁石)を不織布のフィルターに添着させ、磁場を形成する。電磁誘導の作用で電圧を誘起させ、電流を流して細菌やウイルスを破壊・除去する。「こうした方式の除菌フィルターは世界初」(同社)。従来のようにフィルターに付着したものだけでなく、通過する空気内の細菌やウイルスも除去できるという。
   (後略)
東芝コンシューママーケティングのプレスリリースを読むと、このナノフェライト除菌フィルターについては、
 超微粒子の強磁性フェライトを不織布に添着し、細菌やウイルスがフェライトを添着したフィルターを通過する際に、磁場を横切ることにより電磁誘導の作用により電圧が誘起され、細菌やウイルスに電流が流れ、細胞を分解・除去※3する世界初の除菌※2フィルターです。
という説明と、何だかよくわからない不思議な説明図が載っている。電気屋さん的には、この説明で理解できないのは、こちらが非常識だということになるのだろうか? 東芝さんは、モーターも作っている電機メーカーなんだから、電磁誘導についての説明くらい、もう少し詳しくしてくれてもよさそうなものだが。。

さて、電磁誘導については、初歩の物理のページから、電磁誘導 や、ゴロピカ電気講座の 電磁誘導 などで勉強できると思う。。 今回のフィルターが実現しているのは、「磁場の中を細菌が移動すると、電圧が発生し電流が流れる」という現象らしいが、どう理解するべきなのだろう?

まず磁場について考えてみると、強磁性体の微粒子を不織布フィルターに付着させただけでは、全体として向きの揃った磁場は望むべくもなく、ミクロにみてもランダムな磁場があるだけだろうと思うのだが。(強磁性体粒子をフィルターに付着させる際に、磁場の中で行えば、各微粒子の磁場の方向を揃えることはできるかもしれないが。)

例えば、固定された磁場がある時、細菌もしくはウイルスが荷電粒子だと仮定すると、これの移動は電流と考えられるから、磁場内を移動する時にフレミングの左手の法則で力が作用してフィルターにキャッチされる、というならわからなくもないが、そんな磁場がそもそも存在しているかどうか怪しいし、細菌やウイルスが最初から電荷を持っているとは考えられないからなあ。

でも東芝さんの説明に従うとすると、磁場内を(電荷を持たない)細菌もしくはウイルスが移動した時に、何故か電圧が発生するようだけど、それでどこからどこに電流が流れるのだろう? ん?? 細菌もしくはウイルス内に渦電流が発生する可能性はあるのかな? わからん。。

東芝さんのプレスリリースでは、フェライトの有無で通過する細菌の数が異なることを、この現象の証拠としてあげているみたいだけど、メカニズムを証明したことにはなってないし。

もしも、メカニズム等がおかしかったら、他の電機メーカーとかから反論が出てきそうな気もするし、もう少し情報収集を続けてみようかな。

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