森林浴の生理的効果
asahi.com(10/20)の記事。森林浴にストレス物質濃度下げる効果 産官学で実証
森林浴が人体に及ぼす効果についてホルモンの分泌や脳の活動状況などを調べた結果、森林浴で人体は生理的にリラックスした状態になる――。産官学でつくる「森林セラピー研究会」が行った実験結果を研究会の事務局を務めた国土緑化推進機構(林野庁の関係団体)が19日に発表した。同機構は「森林の癒やし効果が医学的に測定されたのは世界でも初めて」としている。森林セラピーについては、3/12のブログで取り上げたけど、前回は岐阜県での実験だったが、今回は千葉県での実験のようだ。今回の研究では、どこが進歩したのかよくわからない。調べてみても、この研究結果の詳細は見つからなかったが、同じようなニュースがMSN-Mainichi INTERACTIVE(10/18)に載っている。こちらでは、実験は7月下旬、千葉県の森林とJR千葉駅前で実施した。精度を高めるため、6人ずつ2つのグループに分かれて、2日にわたって森林と駅前の雑踏を体験した後に測定、個人差が実験結果に表れないようにした。
森林にいた人は駅前の雑踏の中を歩いた場合に比べて、唾液(だえき)中のストレス物質の濃度が低下。さらに、脳の中で思考や記憶をつかさどる部分の活動が落ち着くことも確認された、という。
森林浴には、ストレス物質の分泌を抑えたり、血圧を下げたりするなど、体全体をリラックスさせる効果があることが森林総合研究所や九州大などの研究で分かった。森林浴の効果が全身の生理機能の計測によって確かめられたのは世界で初めてだという。東京で開かれる日本生理人類学会で22日、発表する。とある。なんだか関係する団体の名前が異なるけど、内容からみて同じ話のようだ。それにしても、3月の記事でも、血液中のコルチゾール濃度の低下が見られたとあるから、世界初ではないんじゃないか?森林の香りや風景にリラックス効果があることは昔から知られているが、科学的なデータはほとんどなかった。研究グループは7月、男子学生12人に千葉県内の森林とJR千葉駅前で一定時間過ごしてもらい、その前後で思考をつかさどる脳の前頭前野の活動、リラックスすると低下する血圧、ストレスを受けると増加するだ液中のホルモン「コルチゾール」の濃度などを計測した。
その結果、森林にいるときは都市部にいるときに比べ、コルチゾール濃度が低下し、脳の前頭前野の活動も沈静化した。また、興奮や緊張状態を高める交感神経の活動が弱くなり、最低血圧が下がった。
森林総合研究所生理活性チーム長の宮崎良文さんは「面白いことに、ストレスホルモンや脳活動の抑制は、実際に森林に到着する前から見られた。これから森林に行くという期待感だけでリラックス効果があると考えられる」と話している。
それはともかく、森林と駅前での状態を比較したら、森林の中の方がリラックスしてた、と言われても、全くサプライズはない。 それよりも、森林に行くという期待感だけでも変化が出たということの方が、世界初の知見ではないのか?フィトンチッドなんかよりも、心理的な要素が支配的ということになるわけで、プラセボ効果も含めて、いよいよ研究方法に工夫が必要なことが明らかになったということではないだろうか?
日本生理人類学会の第52回大会案内によると、この研究の関係者の数が多いことに驚かされる。
独立行政法人森林総合研究所、林野庁研究普及課、千葉県森林研究センター、ソニーPCL(株)、ヤマハ発動機(株)研究創発センター、富山大学工学部、九州大学大学院芸術工学研究院、九州芸術工科大学大学院、九州芸術工科大学芸術工学部そんなにみんなで研究するほど魅力的なテーマとは思えないのだが。。。
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コメント
これは多分、森林の健康効果そのもののためと言うよりは、森林の価値を高めて保全や利用を進め、さらに林業なんかの雇用創出を狙っているのが本音ではないかと思います。
投稿: ESD | 2004/10/21 01:23
確かに、それも狙いの一つだと思いますけど、http://www.pcl.sony.co.jp/">ソニーPCLなんて、全くの畑違い。どちらかというと、リラックスのメカニズムなんかに興味があるのかも知れませんけど。
いずれにしても、すごく取り組みにくい研究対象だとは思うのですけど、やるからにはもう一工夫欲しい所だと思ってしまうんですよね。
投稿: tf2 | 2004/10/22 00:18