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2004/10/11

「なんでも測定団が行く」

サブタイトルが「はかれるものはなんでもはかろう」ということで、様々な計測に関する話が書かれている。ちょっとした空き時間に気軽に読める本だけど、正直言ってあまり驚きや新たな感動のようなものが味わえるような内容ではない。

ブルーバックス B1451
 なんでも測定団が行く
 武蔵工業大学 編 bk1amazon

武蔵工業大学の創立75周年記念出版物ということで、大学の教職員が世の中に対して意味のある情報発信をしようと考えて企画されたらしい。その狙いや目の付け所はなかなか良かったと思うのけど、内容にもう一工夫ほしい所だ。何と言うか、タイトルで遊んでいる割には、中身に遊びがないという感じ。

第1章「はかる歴史」、第2章「人間をはかる」、第3章「ものをはかる」、第4章「地球をはかる」、第5章「情報をはかる」、第6章「環境をはかる」、第7章「社会をはかる」ということで多方面に渡り、全部で50の項目からなる。それぞれが3~5ページ程度にコンパクトにまとまっていて、わかりやすいのだが、ブルーバックスなんだし、もっと突っ込んだ話があってもよかったと思う。

確かに、飛行中の飛行機の高度、地球の重さ、遠くの星の年齢、地球の平均気温、樹木の年齢、初詣の人出、などの具体的な測定法は、どこかで見たり聞いたりしているようで、いざ自力で説明しようとすると意外と難しい。その点では、まあ何がしかの雑学が身に付くんだから、軽く読み飛ばす本としては悪くないのかもしれない。

個人的には、青函トンネルが貫通した時の北海道側と本州側からのトンネルの貫通誤差は、縦横高さのそれぞれの方向で20~50cm程度だったとか、現在でも地球の平均気温は世界各地の百葉箱で測定された温度を集計して算出しているとか、面白いネタもあった。

こういう「へぇー」と思われるようなトリビアネタをもっと多く集めたり、原理や方法について、より詳いく知りたい人向けに、参考ウエブサイトを紹介する等の工夫があったら良かっただろうと思う。特に本書は大学からの情報発信を意識したのだから、信頼できる情報の入手先を責任を持って示すことも割と重要だと思うのだが。

ということで、内容に深みがないのと、考える楽しみとか新たな知識を得る感動などのワクワク感が不足している点が残念だ。結局のところ、誰を対象とした本だったのだろう?

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