マッハ10のジェット機
各紙報道しているが、写真と図が大きくてきれいなので、Sankei Webの記事(11/17)にリンクしておく。ジェット機がマッハ10で飛行 NASA、世界最速更新
米航空宇宙局(NASA)は16日、無人の極超音速実験機「X43A」の最終飛行試験をカリフォルニア州沖上空で行い、ジェット機としては世界最速となる約マッハ10(時速約1万1260キロ)での飛行に成功したと発表した。他の新聞も見てみたが、これ以外の情報としては、NIKKEI NETの自力飛行は10秒程度とみられるが、この速度なら東京-ニューヨーク間をわずか1時間で結び、3時間半で地球を1周できる計算。今年3月に同機が達成した当時の最速記録マッハ7(時速約8000キロ)を大幅に更新した。
機体は全長約3・7メートル、幅約1・5メートル。超高速で飛びながら吸い込む大気中の酸素をじょうご形の通路を通して圧縮し、液体水素燃料と混ぜて燃やす「スクラムジェット」というエンジンを搭載している。ロケットと違い、このエンジンは液体酸素を積む必要がないため費用が安く、低軌道を飛ぶ宇宙往還機への応用が期待されている。
B52爆撃機の翼につり下げられたX43Aは、上空で切り離され、補助ロケットエンジンで約3万4000メートルまで上昇。さらにスクラムジェットで加速した。速度はマッハ10近くに達したとみられ、NASAは飛行データを基に正確な最高速度を確認するとしている。
通常のジェットエンジンはコンプレッサーで圧縮した空気に燃料を噴射し、点火する。だが音速の3倍以上では、前方からの気流を受け止めるだけで十分に空気を圧縮できるので、実験機のエンジンにもこの原理を利用した。という部分が参考になる。しかし、記録が世界一だからすごいことなのかもしれないが、もう少し開発の背景や目的、或いは技術について説明してくれないと何だかよくわからない。もう少し詳しく解説記事を載せてくれても良さそうなものだ。そもそも超音速ジェットの意義は? まさか本気で旅客機を考えているのだろうか? 燃費は悪そうだし、騒音や熱の対策だけでも相当に大変そうだが。
海外ニュースを例によってGoogle Newsで探してみると、中国の新聞なども結構記事にしているようだが、あの Aljazeera にも、日本の新聞よりは詳しく書かれている。
この技術の背景が詳しく書かれている記事としては、HoustonChronicle.comがある。この中で "supersonic combustion ramjet, or scramjet"と書かれており、スクラムジェットが超音速燃焼ラムジェットの略称だったということを初めて知った。(ラムジェット等についてはWikipediaにまとまっている。) それはともかく、この技術の今後の展開については、予算の面や他の宇宙開発との優先度などの理由から、全く決まっていないようで、この機種での実験もこれで終了らしい。
本家 NASA の記事はこちら。さすがに写真がきれいだし、動画も見られる。ここでは、
"This flight is a key milestone and a major step toward the future possibilities for producing boosters for sending large and critical payloads into space in a reliable, safe, inexpensive manner," said NASA Administrator Sean O'Keefe. "These developments will also help us advance the Vision for Space Exploration, while helping to advance commercial aviation technology," Administrator O'Keefe said.ということで、今回の飛行が、宇宙へペイロードを送るブースター開発のマイルストーンであると書かれている。スクラムジェットはロケットエンジンに対して比推力が非常に大きいのが魅力の一つようだ。
実は、Wired News に詳しい記事が載っており、マッハ10に挑むNASAの超音速飛行機(2004/11/11)と、NASA、マッハ10の超音速航空機を開発中(2001/04/19)を読むと、技術的な問題点と今後の行方についての問題点がきちんと書かれている。しかし、一方でオーストラリアとアメリカ国防総省が共同で開発をするという話もあるようだ。
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