医療と美容の間
京都新聞電子版(11/22)の記事。無資格でまゆにアートメイク 京都府警、容疑で2人逮捕
医師の資格がないのに、女性客のまゆやまぶたに入れ墨する「アートメイク」を施したとして、京都府警生活経済課と太秦署は22日、医師法違反の疑いで、京都市右京区西院三蔵町のエステティックサロン「YGREK(イグレック)」経営高木芳江容疑者(27)=下京区黒門通四条下ル=と従業員(27)の2人を逮捕した。全く守備範囲外の事件なので、へー! というだけなのだが、考えてみると中々興味深い。江東区のページに、レーザー脱毛・アートメイク・ピーリング等についてという記事があり、アートメイクだけでなく、レーザー脱毛なども医行為であり、医師免許が必要と書かれている。調べでは、高木容疑者ら2人は、昨年5月から今年10月にかけて、医師免許がないのに、南区の女性(24)ら市内の4人の女性客に、まゆ毛や目の周囲に電動器具を使って色素を注入する医療行為を計11回施した疑い。高木容疑者は「法に触れるとは知らなかった」と供述しているという。
府警によると、同店でメイクを受けた客の1人が、「目がはれて痛い」と医師の診療を受けて、同署に相談したことから発覚。高木容疑者らは、1回あたり約2万-3万円でメイクを施していた、という。
アートメイクは化粧の必要がないとして、数年前から女性に人気のある美容の手法。医療行為に当たり、厚生労働省は医師の資格外でのアートメイクを禁じている。
アートメイクというのが違法なら、刺青はどうなんだということで、調べてみると、inked skin under dark suitsで、刺青側の視点から非常に詳細に考察されていて勉強になる。もともと法の外側で生活している人達が行っている分にはその世界だけの話だったのだろうけど、tattoとして国際的に流行り始めるとなると、法律側もそれなりの運用を考えるということなのだろう。
しかし、美容と医療の明確な線引きは結構むずかしそうだし、世の中大体において、その中間のグレーな領域がビジネスとして美味しかったりするのかもしれない。今回のように、医師の資格を持たないで明らかな医療行為に手を付けちゃうとお縄を頂戴してしまうけど、中には医師免許を持っている人が怪しい美容と医療の中間的な行為をして大儲けしているケースもありそうな気もしないではない。 逆に、今後また医療行為に該当しない新たな美容技術が開発される可能性もあるだろうし、イタチゴッコの側面もありそうだ。
そういう点では、医療と美容の関係は、薬と健康食品の関係に似た構図なのかもしれない。法に従ってコストを掛けたきちんとしたものと微妙にオーバーラップする領域で、怪しくて安いものが(場合によっては合法的なものよりも極端に高価なこともありそうだが)、手を替え品を替え生き残っていくそれなりの市場があるようだ。
それにしても、こうやってインターネットをちょっと調べればすぐにわかるような違法な行為を業務として始めてしまうというのも困ったものだ。医師免許が必要かどうかは知らなくても、人の身体に手を加えるんだから、仕事を始めるに当たって何らかの届出とか認可が必要じゃないか、等の調査ぐらいするだろうに、普通は。。(普通じゃないから捕まったんだと思いたいが、実は同様の違法行為を行っているところは沢山ありそうな気もする。。)
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