ヒースロー空港のX線スキャナー
CNN.co.jp(11/10)のニュース。空港で服の上からX線探知、「プライバシー侵害」論争に
ロンドン――英国ロンドンのヒースロー空港にこのほど導入された、服の上から検査出来る新型の「X線金属探知機」をめぐり、国内の人権団体から「のぞき行為であり、プライバシー侵害だ」と反発の声が上がっている。ということで、どんな見え方をするのか興味がある。調べてみると、本家CNN.comで写真入りの記事がみつかった。他にもGoogle Newsでいくつか記事がみつかるが、これらの記載によると、この装置はヒースロー空港のターミナル4に設置され、乗客は全員が検査を受けるわけではなく、ランダムにサンプリングされて、カーテンで仕切られたブースの中で検査を受けるようだ。事前に説明を受けた際に、この検査を拒否して従来の金属探知ゲートを通過する選択肢も可能らしい。同探知機は、低レベルの放射線をあてると、画面に裸に近い全身像が白く映し出され、拳銃などの金属物が黒く浮き出るようになっている。先月から、4カ月の試用期間を設け、導入された。
これに対し、人権団体「リバティー」が「明らかに個人のプライバシーの侵害だ」「のぞき趣味者の特権だ」と反発。「セキュリティー装置を導入することに反対するわけではないが、(裸に近い映像を)映すことが必要だとは思わない」と主張している。
また、同探知機導入の必要性を証明するために、従来の装置が「不適当だ」という証拠を提示する必要がある、とも指摘している。
米交通安全局も「このような探知機を導入する際には、プライバシー関連事項などをあらかじめ提示しておく必要がある」などと懸念を示している。
一方、ヒースロー空港側は、検査を受けた搭乗者のうち、98%が同装置の使用について賛成の意見を示していると主張。「(撮影した)画像はデータとして残すことはしない。検査も、同性の検査官が行い、対象者の顔を見ることもない」と強調している。
預託荷物などの検査でこれまで使われてきた一般的なX線金属探知機は、プラスチック爆弾「セムテックス」と同等の濃度を持つチョコレート、ピーナツバターなどを、誤って爆弾と判断してしまうなどの問題が指摘されていた。
従来の金属探知機(電磁波方式)では、セラミックナイフとかプラスチック爆弾は引っ掛からなかったのが、この装置だと見つけられるようだ。さらに、木製の武器とか、ガラスやプラスチックの容器に危険な薬品を入れている場合なども、この装置では見つけられる可能性が高いようだ。
この写真だとよくわからないが、確かにヌードといえなくもないけど、さほど抵抗ないレベルだと思うけどなあ。でも人によっては隠しておきたい秘密があったりするかもしれない。X線検査といいながらも、別に骨まで透けて見えてるわけではないし、健康診断をしてくれるわけでもないから、かなりX線のエネルギーは弱いと思われるが、その安全性については何も書かれていない。
ということでさらに調べてみたら、この装置は RAPISCAN Secure 1000というものでアメリカの会社の製品らしい。X線の反射と散乱を利用しているということで、非常に弱いX線源を使用しているようだ。安全性やFAQの記載によると、1回で10マイクロレム以下、自然放射線を5分間浴びた程度の量らしい。また、体内には 0.1インチ(約2.5mm)程度しか侵入しないとのこと。どうやら放射線被曝という点では、妊婦さん等のケースを除けば特に問題なさそうだ。
ところで、あの安全にうるさいアメリカが、個人のプライバシーを理由にこの装置の導入に踏み切れていないのも興味深い。(自国民の人権意識には勝てないのだろうか?)Times Onlineによると
The US Transportation Security Administration (TSA) has decided not to deploy the device at American airports until manufacturers can develop an electronic means of masking sensitive body parts.ということで、個人のプライバシーを守る改良がなされたら導入を考えるということらしいが、隠したい所が見えちゃ駄目だけど、武器をパンツの中に隠していてもみつけるような方法を考えろ、ということだろうか? 安全を守るために払える犠牲はどの程度までなのか、なかなか難しいものだ。
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