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2004/12/24

小惑星衝突?25年後の13日の金曜日

asahi.com(12/24)の記事。25年後に小惑星が衝突? 確率300分の1、NASA

 2029年に小惑星が地球に衝突するかもしれない――。そんな見通しを、米航空宇宙局(NASA)の専門家が示した。23日、AP通信が伝えた。危険性を正確に予測するためのデータはまだ十分でないが、大きさは約400メートルとみられ、衝突すれば大きな被害が避けられない。

 この小惑星は今年6月に発見された「2004MN4」。NASAジェット推進研究所のイエオマンス部長によると、衝突の危険度によって小惑星を「0」~「10」の11段階で格付けするトリノ・スケールで、暫定評価ながら初めて「2」に格付けされた。

 同部長は「この小惑星が2029年4月13日に地球に衝突する確率は300分の1だ」と述べ、衝突の際のエネルギーは広島型原爆の約10万倍にあたる1600メガトンほどと推定した。平野部に衝突すれば大都市と周辺部を壊滅させ、海に落ちても大津波を引き起こす恐れがあるという。

 今後、数カ月間ほど地球から観測できるため、NASAは詳しいデータを集める予定だ。

クリスマス・イブのニュースらしく、なかなかロマンとインパクトがあるが、25年後の特定の日にちまでわかっていて、確率が1/300というのは、どうやって算出したのやら。トリノスケールというのもちょっと調べておこう。

Google Newsで探してみると、Sci-Tech Todayなどの記事があるが、そんなに詳しく書かれているわけでもない。さすがに欧米らしいのは、衝突予定日が13日の金曜日であることを強調しているところだ。

NASAのNEO(Near Earth Object)サイトのNewsに、この小惑星と地球の軌道図が載っており、当日の地球と月と小惑星の位置関係のアニメーションも見られる。現時点では、地球に再接近した時の距離は地球から月までの距離の約2倍程度と推定されるが、軌道計算の不確実性を考慮すると、地球に衝突する可能性が1/300程度と見積もられるようだ。

もっとも、このサイズの小惑星が月までの距離の2倍以内を通過するのは、5年に1回程度の頻度で起こっていることで特別な事態ではないようだ。 (だから今回も大丈夫とは言えないはずだけど。 だって、確率だけを比べると、年末ジャンボ宝くじで 1万円のラッキー賞が当たる確率とほぼ同等だぞ。。)

トリノスケールについては、横浜こども科学館の地球接近天体の衝突危険度がリンクや資料が充実していてわかりやすい。今回初めて "2" にランクされたが、先のNASAのサイトでも、

According to the Torino Scale, a rating of 2 indicates "a discovery, which may become routine with expanded searches, of an object making a somewhat close but not highly unusual pass near the Earth. While meriting attention by astronomers, there is no cause for public attention or public concern as an actual collision is very unlikely. New telescopic observations very likely will lead to re-assignment to Level 0 [no hazard]."
ということで、観測データが集まってくると、通常はレベルゼロに格下げになると見込まれるようだ。

12/9のブログで紹介した「トンデモ科学の大冒険」でも、1章を費やして小惑星の衝突について論じられていた。その中に書かれていたのだが、Closest Approaches to the Earth by Minor Planetsを見ると、月までの距離(0.0026AU)よりも近くを通った天体が 22個も載っているが、そのうち 21世紀になってからのものが18個もある。これは、決して最近になって接近する天体が増えたのではなく、観測網や技術の進歩によって多く見つかるようになったということで、今まで気付いていなかったけど、実は結構頻繁にニアミスしていたってことらしい。さて、今回の小惑星が今後の観測でどんな評価となるのか、楽しみでもある。。

それにしても、明日の天気予報でさえ随分とはずれているのに、25年も先の小惑星の位置がそんなに正確に推定できるものなのか。 多体問題は結構難しいと聞いたような気がするのだが。。。

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コメント

NASAのサイトの最新情報を見ると、確率が1/300(約0.3%)から、2.7%に上昇しており、トリノスケールも「4」になっているぞ!!

http://neo.jpl.nasa.gov/risk/2004mn4.html">2004 MN4 Impact Risk

投稿: tf2 | 2004/12/27 19:53

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