« 「科学技術はなぜ失敗するのか」 | トップページ | Googleでワイルドカード »

2004/12/01

昆虫の視覚と紫外線

NIKKEI NET(12/1)の新製品ニュース。人には自然光、虫には暗やみ―松下電工が新室内用照明器具

 松下電工は30日、虫を寄せつけにくくした室内用照明器具「ムシベールのあかり」=写真=を12月21日に発売すると発表した。室外用はすでに発売済みだが、室内用は初めて。月間2万台の販売を目指す。

 照明器具のカバーには、虫を引き寄せる410ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の光の波長を出さない特殊加工をした。人間の目には明るく自然な光だが、虫にはその場が暗闇のようになる。虫は70%ほど寄りつきにくくなるという。照明器具から出る紫外線も従来品と比べ99%カットし、写真や絵画の色あせを防いでいるのも特徴。価格は3万5700―13万200円。

ウチでは全く室内の照明器具に虫が寄ってくることはないが、確かに虫が寄り付かない機能が欲しいという人も多いのだろう。それにしても、410nm以下の光をカットすると虫の目には暗闇になってしまうものなのか? 寄って来るかどうかと見えるかどうかは別の話のようにも思える。

確かに誘蛾灯に代表されるような、紫外線による捕虫器なんてものもあるくらいで、昆虫は一般的に紫外線にひき付けられる「すう光性」という性質を持つようだが、では目の波長感度はどうなっているのだろう?

松下のサイトには本製品に関係する資料は見当たらなかったが、例えば紫外線カット蛍光灯紫外線カットコート剤なんてのが売られており、これらのページに昆虫の目の感度図や忌避効果が載っている。確かに、昆虫の目の感度は紫外線域を主としており、可視光域は非常に感度が悪そうだから、紫外線をカットするとほとんど暗闇と言っても良いのかもしれない。 見えるか見えないかはともかくも、多くの昆虫で忌避効果が顕著なのは確かなようだ。

ということで、昆虫の目で見る世の中は随分と異なっていて、可視光では区別がつかないような、花の中心部が目立って見えたり、モンシロチョウやアゲハチョウの雌雄の区別がついたりするようだ。デジカメは紫外線に感度があるので、フィルターで虫の目の世界の再現を試みている方もいるし、こちらはより本格的に専用レンズで紫外線写真を撮っている。

ちなみに、この紫外線カット照明を使っても、恐らく犬や猫などには影響はなさそうだが、お魚には多少影響があるかもしれない。参考1参考2) なお、爬虫類の中には赤外線に感度を持っているものもいるようだが、亀の飼育には紫外線が必要らしく、室内で動物を飼う人は光の波長に注意が必要ということらしい。

|

« 「科学技術はなぜ失敗するのか」 | トップページ | Googleでワイルドカード »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 昆虫の視覚と紫外線:

« 「科学技術はなぜ失敗するのか」 | トップページ | Googleでワイルドカード »