ルネベルグレンズを使った衛星アンテナ
FujiSankei Business iで見つけた記事(12/2)。日本中の衛星放送を1台で受信できるマルチサテライトアンテナ。
全方向の電波に対して均一特性のアンテナとして作用する「ルネベルグレンズ」に着目し、JSAT(東京都千代田区)と共同で開発した。従来、衛星の方向ごとに複数のアンテナを設置する必要があった各種衛星放送(BSアナログ、BSデジタル、CS、110度CSなど)の電波を1台で受信できるほか、衛星にまっすぐ向ける必要がないため設置の自由度も向上した。というもので、この写真を見ても大きさがイメージしにくいが、形も球形だしおよそ衛星アンテナには見えない。専用サイト「ルネキュー40」を見ると、丸く見える部分は直径が40cmの半球状で、これがルネベルグレンズと呼ばれるこの製品のポイントとなる部分だ。共同開発先のJSATのページのプレスリリースは昨年の10月に出ているから、今回の発売まで何故かだいぶ時間が掛かったようだ。価格はアンテナ本体が1万9800円、CSコンバーターキットは8900円、柵・壁付けキットが7500円。専用サイト(http://www.luneq.jp/)で販売中。
何といっても、この製品1台でBSとスカパーの両方をカバーするというのが最大のメリットだろうが、取り付け方法を見ると、場所によってはベランダの床に平置きすることも可能なようで、そうなるとNHKのアンテナウォッチャーには衛星放送を見ていることを見つけられないかもしれない。
それはともかく、ルネベルグレンズとは何ものか? 球状誘電体で、中心からの距離に応じて比誘電率を変化させる(中心のε=2.0、表面のε=1.0で、ε= 2-(r/R)^2 )ことにより、あらゆる方向の電波に対して均一特性のアンテナとして作用するとあるが、よくわからない。
こちらには、誘電体レンズの絵が載っているが、これだと何となくイメージできる。要するにどの方向から来た電波もきちんと焦点を結ぶということがポイントのようだ。従来のパラボラアンテナは特定の方向から来た電波しか焦点を結ばないから、複数方向の電波を受けるには複数のパラボラ面が必要だったが、こいつだと、一つのアンテナ(ルネベルグレンズ)で複数方向からの電波を受けて、それぞれ(別の場所に)焦点を結ばせることが可能となったわけだ。
従って、従来のパラボラアンテナ程にシビアではないにしても、当然調整は必要で、アンテナの向きを変える替わりに、ピックアップ(コンバータ)の方向と位置を調節することになるようだ。移動中の車輌や船舶用の衛星アンテナも開発中のようだけど、この場合にはピックアップを移動させて追随させるのかな?
大体の商品イメージはわかったのだが、このレンズはどうやって作るのだろう? 比誘電率を連続的に変化させた球体を作るのは相当大変そうだが。。 住友電工のテクニカルレビューに技術的な内容が詳細に書かれている。発泡樹脂(PE)に高誘電率の針状フィラーを分散させ、発泡率やフィラーの量を制御して多層構造を形成して製造しているようだ。
既にモニター製品を使った方のレポートが読める。取り付けた写真を見ると、普通のパラボラアンテナよりもしっかり目立っているかもしれないが、感度は問題ないようだ。
今の所、Web販売のみ。電気屋さんに行っても実物が見られないようなので、購入するにはそれなりの勇気が要りそうだけど、これから注目の製品かもしれない。
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